サマーサイダー (文春文庫)

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著者 : 壁井ユカコ
  • 文藝春秋 (2014年5月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167900946

サマーサイダー (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 過疎化によって統廃合した日暮市立ひぐら西中学校最後の卒業生の
    三浦誉(みうら・ほまれ)、恵悠(めぐみ・ゆう)、そして紅一点の倉田ミズ。
    幼なじみの三人は校内の備品を発展途上国の学校に寄付しようという女性教師、松沢千比呂(まつざわ・ちひろ)の呼びかけにより、
    高校一年生の夏休みに再び母校に集まることに。
    やがて三人を一年前の夏に封印したハズの罪の記憶が呼び覚ます…。

    いやはや、コレはぶったまげたなぁ~っ!
    最初はただの三角関係の恋愛ストーリーと思いきや、
    いくつもの謎を孕んだまま
    次第にサスペンス的展開へと流れ込み、
    ついにはホラー映画真っ青のトラウマ描写の連続に撃沈!

    しかしそこで終わらず最後には切なく胸を打つ、
    秀逸な青春小説として物語を締めてくれるこのチカラ技(笑)

    ファミレスと思って気軽に入ったら、
    豪華なフルコース料理が出てきたみたいな
    意外性と言えば分かってもらえるかな(笑)。

    小学校二年生の夏休み、
    探検隊を組織して変死体を探しに行く子供たち。
    三浦と倉田の甘い秘密。
    ぶどうの飴の香りのする異性の匂い。
    蝉にとりつかれた先生。
    二人を繋ぐ甘美な「罪」という名の共有。
    そして我が子のためなら他者を踏みにじることを躊躇しない母という存在の怖さ。

    壁井さんの作品を読んだのは今回が初めてだったけど、
    いやもう、ツボを突かれすぎてしまって、もはや冷静ではいられないくらい(笑)
    個人的にはこの世界観大好きです。

    登場人物は、
    猫背でうつむきがちの文化系男子で、いつも何かにイラついている
    高校一年生の三浦誉(みうら・ほまれ)。
    スポーツ推薦で私立高校に進んだ
    180センチを越える体格の一年生男子、恵悠(めぐみ・ゆう)。
    小悪魔的魅力を発揮し、ダメ男になぜか惹かれてしまう高校一年生の少女、倉田ミズ。
    20代後半の小柄で可愛いく、生徒にも人気のある女性教師、
    松沢千比呂(まつざわ・ちひろ)。
    一年前の夏休みに変死体で発見された三浦たち中学三年の担任だった佐野青春(あおはる)。

    登場人物は少ないけど、それぞれのキャラが立っているので飽きずに読ませるし、
    おそらく福井県であろう地方の方言がキャラに命を与え
    ミステリアスさを増すいい効果を上げているし、
    切実な青春の苦しみや焦燥感をビビッドに描きだす壁井さんの文体や瑞々しい会話もホンマ心地良いのです。

    大人でも子供でもない、学生という困難な季節。
    体の異常をひた隠しにし、
    早く何かを成し遂げなければと焦燥感に駆られる三浦の姿が本当に切なく胸を焦がす。

    けれども、傷付くこともなく、
    なにもしないで打ち勝てる闘いなんてあるわけないのです。
    苦悩しあがき続けた者だけが手にできる一筋の光。
    そんな青春を生きた少年少女たちの未来に、幸多からんことを。
    そしてそんな物語に出会えた奇跡に最大の感謝を。

    特別有名な作品ではないけれど、
    埋もれてしまうには勿体ない、
    とても面白く秀逸な青春ミステリーだと思います。

  • 市川春子さんの表紙に惹かれて買ったけれど、内容もわりと好みだった。不気味さとやり切れなさを程々に残しつつも、王道を外さない爽やかな青春ものとして纏まっていた印象。

    (ラノベを書かれている方ということで敬遠していたが、最近ではジャンルの垣根が曖昧になっている、というか、もうそういった括りで考えない方が良い、文章のリズムが自分に合うかどうかという話だと最近ようやく気付いた。)

    文体はカジュアルだが、淡々とした語り口で、すらすらと話は進む。中学生と高校生の、微妙な心情の変化と、梅雨明けから一気に夏へと向かうじっとりとした暑さが絡み、今の時期と重なって場面場面が迫り来るようだった。登場人物のキャラクターはそれぞれ濃いながらも、どことなく既視感のある要素も持ち合わせていて、身近に感じた。

    脱皮や蝉の描写には確かにぞっとしたが、市川春子さんの扉絵の美しさに中和された感がある(ファンの欲目かもしれないが)。『虫と歌』で寿命が来て冬を越えられなかった彼らを思い出した。
    細かな設定や種明かしについて語られ過ぎない点も良かった。

  • 最初は本当にいかにも青春小説で、この三角関係はどうなるのだ?と無邪気に読んでいたのですが・・・・
    途中からなんか雰囲気が変わりまして・・・

    予想のだいぶ斜め上方向のホラー風味だった(笑)

    でも面白かったです。
    とにかく雰囲気が良くて、3人のヒリヒリするような感情や、それぞれの想いなど、青春小説として良かった!!屈折した男子高校生ってのが私には新鮮で良かったですね~。

    ホラー風味は・・・・
    まぁそこまで怖くはなくて、むしろSF風として私は読みましたが。とりあえず、これ夏のお話ですが冬の間に読んで良かった!と思います。これを夏に読んだら○○が怖くて外出できない!!って意味では十分ホラーですね・・・

  • 夏の暑さがみせた、白く弾けて何も見えない夢。

    とんだホラーだよ! 三浦のキャラクターが好み、とか思っていたら、超グロテスクでした。夏に読まなくてよかった。

    なんてことない日常に潜むサスペンスかと思いきや、ファンタジー要素が入ってきて、そしてホラーです。でも着地点は日常の世界。本当は、世界のどこかにいるかもしれない、「人と違う」存在。三浦も恵も、挫折を抱えているところが魅力的で、どっちが本命なんだろうと、どきどきしながら読むこともできます。佐野先生の正体(まあ、確定はしていないけど)もどきどきします。読み出したら一気に読むしかない。この著者の作品は初めてだけど、すごくひっぱられました。

    母の本能とか、生存本能とか、そういう理性を上回る利己的なところが本当は一番怖いのかも。

  • 予想外の展開。まさかそんな秘密があったなんて…あとがきにもあったけど、前半と後半で話が全くちがう。誰も悪くないのに後味悪い感じだった。

  • まず一言、夏の空気の中で読めて良かった!小説に恋愛要素をあまり求めたことが無かったけど、気づいたら三浦とミズのもどかしい関係の先が知りたくてしょうがなくなっていた。夏の暑さとか気怠い感じとか、表現がすごく好きな感じだったなぁ。でも、アオハルは結局何者だったのだろうか…はっきり分からない辺りがますます怖い。母親は誰でも千比呂になり得るということに気づかされた時、母親とは何か考えさせられた。何より、単純そうに見える恵と、その恵の善意を辛いと感じている複雑な三浦の関係に、切なくなった。壁井さんの他の作品も読んでみたい!

  • 幼馴染3人のひと夏の物語。タイトルや表紙から、爽やか青春ものというイメージで読み始めたが、ホラーやミステリーの要素もあり、青春のなかに仄暗さや恐怖などといったものが漂っていた。読んでいてゾワっとするところも多々。不器用な少年少女たちの抱える、苦しさや切なさがとてもよく描かれている。「ひとつひとつの個体の存在意義。そんなことを考えるのは人間くらいのものだ」。生まれた瞬間から目的地が決まっているのと、生きながら目的地を探すのとでは、自分にとっての幸せはどちらなんだろうかと考えてしまった。

  • すんごい不気味だった
    セミの脱皮?グロテスク…
    暗闇で不慮のキス?はニヤニヤした

  • 基本がキャラ読みなので笑
    ちょっと読み進め遅くなってしまいましたが、前半と後半で話の雰囲気が異なっていて面白かったです!

    でも描写がグロテスクなんだけど、リアルさもあって怖い(;゜゜)

    でも学生の儚げで危うい感じが表現されててすごいと思いました。


    グロテスクさがなければ、他の作品も読みたいなぁー

  • そう言えば去年の夏? 結構前に読んだのを今頃思い出した。市川春子の挿絵が見たいだけで図書館借り。期待してなかったせいか、久々に
    読むジュブナイル小説だったせいか、まぁまぁ面白かった。お転婆なヒロインと幼馴染みの男子2人が、思春期ごろから意識し合って…みたいな甘酸っぱいティーンもの。作者が女性だからであろう、美少年(だよな?)の描写が生々しくてエロいかんじだが健全すぎる内容なのでご心配には及びませんよ。ハンディキャップを持った聡明で強く美しい少年と、以前のガキ大将が成長してイケメンになってる子と、彼らが反発し合ったり信頼し合ったり、その辺の揺れも宜しい。女の子視点で読みやすい。

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サマーサイダー (文春文庫)の作品紹介

廃校舎に隠した“罪の記憶”――。傑作青春小説幼なじみの少女と少年二人の間には誰にも言えない秘密があった。高校生になり互いへの気持ちに揺らぐ彼らを一年前の罪が追いつめる。

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