春から夏、やがて冬 (文春文庫 う 20-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1534
感想 : 153
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901134

作品紹介・あらすじ

ミステリーの限界を超えた“現代の神話”スーパーの保安責任者の男と万引き犯の女。偶然の出会いは神の思し召しか、悪魔の罠か? これは“絶望”と“救済”のミステリーだ。

感想・レビュー・書評

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  • まさかの展開に驚き。
    しつこい女だな〜鬱陶しいね〜図太いな〜。冬でもサンダルのしつこい女はちょっと関わりたくないよね。偽善者みたいな事言ったり、ハメたり、頼ったり…イライラしたわ。
    それにしても真実は何だったんだろう。
    哀しい気持ちになったな。
    こんなに救われない事があるのか…と虚しい気持ちになった。

    • moboyokohamaさん
      この作品ならば覚えています。
      やられた〜っていう読後感だった事。
      先入観ってあるよねーーーー、という感じでした。
      この作品ならば覚えています。
      やられた〜っていう読後感だった事。
      先入観ってあるよねーーーー、という感じでした。
      2021/08/21
    • ぴーまんさん
      是非やられにいきたいと思います!笑
      是非やられにいきたいと思います!笑
      2021/08/21
    • moboyokohamaさん
      ぜひぜひ!
      ぜひぜひ!
      2021/08/21
  • 初めての歌野晶午作品

    「春から夏、やがて冬」
    題名も意味深で、読む順番としては合ってたのか?

    登場人物ー平田誠は自分の名前平田の「平」は平凡の「平」だと自負していた、
    スーパーの保安担当、ある日万引きした末永ますみを二度としないというところで許してしまった、
    彼女は同居人から酷いDVを受けている、そこから始まっていく〜

    末永ますみの語り口がいやだった。いかにも今時かもしれないが
    「サーセンシタ」ーすみませんでした
    「アリアタッシタ」ーありがとうございました。
    主人公平田は高校2年生の娘を交通事故でなくしている、犯人は不明のまま。
    そして妻も自死 

    とかく世の中は皮肉にできている
    平田と末永ますみが合うところがまさに因縁?会うべくして?皮肉?
    物語は進んでいくー
    自分は作者の意図を汲み取っているのか?
    この結論をわかっているのか

    たぶん読者が答えを出さないといけないのだと思った。

    本文よりーフランスの聖職者

      一瞬だけ幸福になりたいのなら、復讐しなさい。永遠に幸福になりたいのなら、赦しなさい。

    イングランドの文学者

      賢者はすぐに罪を赦す、時の価値を知っているから、無駄な苦しみで時が流れていくのに耐えられないのである。

    アメリカの法律家はいった。

       赦すことで過去を変えることはできない、しかし間違いなく、未来を変えることはできる

    他にも
       赦すはよし、忘れるはなおよし

       弱いものほど相手を赦すことができない。
    赦すということは、強さの証だ。

    主人公が安穏となるためには赦すことが必要だしまた、理解する相手が必要だが
    彼には何もない、失うものもない

    他人のことは何とでも言える、当事者が「自分が」
    その立場になった時、その時しかわからない。
    春を期待しながら読んでも冬?

    ここまでの苦しみを味わったものしか〜

    読書中、ずっと苦しかった
    このところ苦しい作品ばかりにあたる。

    人は人を捌けるか?
    自分はNoだ。

    願わくば許せる人間になりたいー所詮きれいごとかもしれないが。

    一つ一つ小さなわからないことを誰かに聞きたかった。〜義妹「姪」とのからみ
      〜ダウンの羽根はどこから来る。など

  • ミステリー小説には「オチは凄いが途中が退屈」という作品がちょいちょいありますが、この本は最初から最後までとても面白かったです。
    夢中になって読みました。
    短めでサクッと読めるのもいいですね。

    ただ、帯の『葉桜の季節に〜…を超える衝撃』と言うのは言い過ぎですね。
    葉桜の方がよっぽど衝撃的でした。

    展開がかなり読めてしまったのでどんでん返しを求めて読むのはオススメしませんが、あまり期待せず読むと楽しめると思います!

  • 久しぶりの歌野作品。

    最初から最後まで暗い世界の中で物語は展開していて鬱々としているのになぜか頁を繰る手がとまらない。

    果たしてますみは平田の心を救えたのか?という疑問は残したままだけど、個人的見解てはさらなる苦痛を与えてしまったのではないかと思う。きっと精一杯考えた末の行動だったのだろうけど。誰も幸せになれなかった途轍もなく悲しい人生を送って人たちのはなし。

  • こんなミステリーもあるんだと知った。

    ずっと切ないけど、
    先が気になって読み進めさせる
    ストーリー。

    歌野晶午さんの物語は好きですね。

  • おもしろかったけれど終わり方は消化不良でした。
    物語は、スーパーの保安責任者・平田が万引きをした末永真澄を捕まえたところから始まる。平田が末永を警察に突き出さなかった理由は、亡くした娘と同じ歳だったから。末永はDVに遭いながらも男から離れられず、親切にしてくれる平田を頼るようになる。平田も末永を放っておけず、過剰なまでに世話を焼くようになる。
    ところが…、

    …の後はネタバレになるので記しませんが、「ところが」に至るまではおもしろかったです。平田のひねくれたようで相手を想っている頭の良さそうな喋り方、末永の無教養で依存症が伝わってくるような口調や動作。妻が病んでいく様子も被害者遺族の悲しみがリアルだったし、医者の蘊蓄もおもしろい。ミステリーというよりヒューマンドラマとして読んでいました。

    だけど、結局はどうだったの? な終わり方になってしまっているのが、消化不良でした。結末の真相を、あーだこうだと考察する楽しみもミステリーにはあります。が、もっと人間の悪意と闇をこれでもかと見せつけられて欺瞞が交錯しハラハラドキドキする種類の物語こそ考察の醍醐味があるけれど、この作品については平田の意図を直接的にしっかり書いて感動させてもらいたかったかなぁ…。ここまで平田の内面、苦しみや葛藤に読者をつきあわせてくれたのだから、最後まで見放さないでほしかったです。
    でも最後までページをめくって読めたので☆3つです。

  • さすが歌野晶午さん。
    一筋縄ではいかない展開に、後半ドキドキが止まりませんでした。
    暗くて重いですが、読みやすくてどんどん引き込まれます。
    ミステリーとも少し違うような印象で、深い余韻が残るような色々考えさせられる作品でした。
    やはり人の気持ちというのは、他人にはわからないし伝わらないものなのかなぁ…だから難しいんだよなぁ…と思いました。

  • 受け取り方によって、ハッピーエンドにもバッドエンドにもとれる。それが著者のやりたかったことのようだ。
    ますみは殺されることまで望んでいたのか、そしてますみは本当の犯人ではなかったと平田が知ってしまったら...
    切ない。

  • これは面白い
    天性のホームランバッター歌野晶午
    三振もするがこれはホームラン

    スーパーの万引犯の処遇を決める責任者と万引したダメ女の話しなんだけどなんか読みやすいなと思ってた所からの後半怒涛の展開
    完全にこっちが緩い球投げてたとこに打ち込まれたわ

    表紙が「葉桜の〜」に似てたから、あああれ系かな?みたいなノリで読んで、途中ああ違うのかなからの後半ウホっと興奮したよ
    自分の死生観や家族の有り難さも考えさせられる筆力、奥深い作品でした

    歌野晶午ファンは是非手に取ってもらいたい作品


    °今回のタメになった言葉°
    「桜餅に使われる葉は伊豆に多くあるオオシマザクラのものです、ソメイヨシノの葉は硬くて毛が多いので食用に適しません」

  • 無理矢理な偶然だな…と思ったら、もう一捻りあったのね。
    まあ、バカかと思っていた登場人物が急に賢くなるのは違和感を感じたが… (^^;

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著者プロフィール

1988年『長い家の殺人』でデビュー。2004年『葉桜の季節に君を想うということ』で第57回推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞をダブル受賞。2010年『密室殺人ゲーム2.0』で第10回本格ミステリ大賞をふたたび受賞。

「2022年 『首切り島の一夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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