新装版 ホワイト・ジャズ (文春文庫)

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制作 : James Ellroy  佐々田 雅子 
  • 文藝春秋 (2014年6月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (679ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901325

新装版 ホワイト・ジャズ (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 暗黒のLA四部作の完結編、最終作。
    なのですが、、僕はこの作品から読んでしまって一応、作品は独立して読めるものになっているものの話の筋を理解するのは、なかなか大変だったです。

    でもスピード感のある、モダンジャズのように繰り出される文体がカッコよくって、物語の筋は読めない部分も正直ありましたが、カッコいいなって感じでしたね。

  • LAコンフィデンシャル、ブラックダリアの記憶をほじくりかえす。様々な人物と思惑が螺旋になり、それはしぼむどころか大きな竜巻となって、周囲を巻き込み蹂躙しながら昇華していく。
    疲れ/毒気にあたられ、でも不思議な活力をもらう。 抗えない魅力。

    自分を嘆くだけの害のない引きこもり気質の人間より、精力的な害のある悪人を好む自分を再発見。 人生に意味を求める=他力本願、人生に意味を見いだす=能動的。エネルギーに溢れた一作。

  • 「LAコンフィデンシャル」を読んだ後、この作品にとりかかりました。「LA」にも出てた登場人物が「ホワイト・ジャズ」にも出ています。とくに「LA」で主役の一人だったエクスリーは重要な役で登場します。
    語り手でもある主人公、デイブは刑事でもあり、弁護士の資格も持っており、家を貸したりギャングの殺し屋やったりと複雑な人物。しかも妹との際どい関係も物語のファクターになっています。
    デイブはヤクの売人の家が荒らされた事件に関わり、そこから「LA」にも出てきていたダドリー・スミスとエクスリーの間にある確執に、デイブも巻き込まれます。
    エクスリーは「LA」で誓った「完全な正義」を実行するためにデイブを利用するのですが。
    「LA」に引き続き、登場人物の多さで名前を覚えるのは大変でした。メモ取りました。
    前作以上に「血の因縁」が事件に関わり、人間の運命が物語をドラマチックにしていますが、独特の乾いた文体が特徴的で不思議なリズムがあります。
    LA4部作の最後だけあって、それぞれの末路が語られますが、そこを読むとやっぱり1部の「ブラック・ダリア」から読めばよかったな…と後悔してしまいました。
    全部読むと、また感慨ひとしおだと思います。メモとっておいた方がいいでしょうけど…(笑)

  • 【世界最高の暗黒小説にして警察小説の極北、復刊!】痙攣し疾走し脈打つ文体が警察内部の壮絶きわまる暗闘を描き出す。ゼロ年代日本のクリエイターに巨大な影響を与えた究極の暗黒小説。

  • 恐れ入りました。参りました。ひれ伏します。
    R指定小説です。子供は読んではいけません。
    僕は猛然と面白かったですが、こういうの、嫌いな人もいっぱい居ると思います。

    1950年代の、ロサンゼルス。
    つまり、エルビスやビートルズやベトナム戦争の、以前のアメリカです。
    流行りの音楽っていうのはジャズだった訳です。
    (ま、でも別に音楽についての小説じゃないんですが)


    ○○○○○

    以下のような文体です。ビックリです。

    主人公=デビット・クライン。ロス市警、警部補。42歳。独身。一人称。
    クライン=刑事/犯罪者。暴力団の殺し屋。表向きは警察官。裏の顔。汚職、収賄、恐喝、暴力、そして殺し。
    目的=金。蓄財。生き残る為。妹。弱み。ヤクザからの脅し。
    陰惨な家庭の育ち。想い出=妹との関係。
    妹=今でもお荷物。ごろつき、殺し屋たちとの関係。クラインの十字架。逃れられない足枷。
    クラインに降りかかる災難。ロス市警と癒着した麻薬王一家の自宅を、変質者が荒らす。
    腐敗したロス市警の上層部。殺しも辞さない派閥争い。市警と連邦警察の政争。
    巻き込まれるクライン。見えない全貌。秘密。「上」の命令。ほのめかし。クラインが殺す。何人も。殺しをするたびに、妹に買っていくドレス。
    クラインの周りでも、謎の死が相次ぐ。
    誰と誰が、何で繋がっているのか。不可解な殺しの理由は。動機は。
    そして、クラインのアルバイト。ヤクザなハワード・ヒューズからの、愛人の見張り。
    愛人=グレンダ、売れない映画女優、かつて売春婦、そして殺人。
    クラインとグレンダ。破滅するしかない、恋愛。
    ロス市警と麻薬暴力組織の癒着。真相に近づくクライン。汚れた「上」からの脅迫、勧誘、懐柔。
    グレンダに迫る破滅の危機。グレンダの為に。一歩づつ無理を重ねる。追い込まれる。
    逃げ切れるか。ネタを握れるか。真相に迫れるか。
    汚れた闇。疑惑。広く。深く。

    ○○○○○


    読み始め、入り込めませんでした。
    文体の事もありますし。
    あと、登場人物が、どばぁっーー…っといっぱい出てきます。
    それが、ファースト・ネームで呼ばれたり、ラスト・ネームで呼ばれたり、イニシャルで呼ばれたり。
    もう、トルストイさん、ドストエフスキーさん的な、とにかく名前の混乱。
    (トルストイさん、ドストエフスキーさんの小説は、とにかく人物が多い上に、ロシアの人なんで。
    ファースト・ネームとラスト・ネームと、日本人にはビックリな「愛称」っていうのもありますから…)

    で、読み始めてすぐに、
    「あ、これは、判らなくて良いんだ、きっと」と割り切って。
    人物相関図や固有名詞が、もやっとピンぼけなまま、とにかくガンガン読んでいきました。
    そうしたら…文庫本で600頁くらいなんですけど。200頁超えたくらいから、俄然、むくむくと、タマらなく面白くなってきました。
    主人公の、人柄とか背景が判ってきて、どんな世界なのかが判ってきて、事件があって謎があって。
    市警内の派閥争いと腐敗、一枚一枚、迷走しながらめくれて垣間見えてくる、真相のおぼろげな風景。ラスボス的な、巨悪。

    作者は、ジェームズ・エルロイさん。
    世間的には、映画「L.A.コンフィデンシャル」の原作者さん、というのがいちばん判りやすいかもです。
    1948年生まれ。10歳のときに、お母さんが誰かに殺害された、という、モノスゴイ育ちの人です。犯人は、今も判らないそうです。
    で、17歳のときにはお父さんも死んじゃって。
    生まれ育ち、ロサンゼルス。
    それから、とにかく暗黒街、犯罪界で生きたそうです。ネットの情報ですけど。
    麻薬の売人とかしてたんですって。すごいですねー。
    …で、傍ら、小説を書き出したそうで。
    アメリカでは、
    「ブラック・ダリア」1987 で、大ブレイクしたそうです。
    そして続く、2冊の小説、そして、本作「ホワイト・ジャズ」1992、までの四冊。これが、全部、1950年代のロス市警が出てくるそうで。「暗黒のL.A.四部作」なんて言われるそうです。
    (でも、僕は「ホワイト・ジャズ」しか読んでないです。でも、全然面白かったです。だから、連作的な感じなんですね)

    どれもこれも、血が飛び散り、金のため、名声のため、保身のために、殺し、殺され。
    弱みを握りあい、脅しあい、威張りあい、卑屈になり。
    警察は腐敗し、マスコミは嘘をつき、白人が傲慢で、黒人(や、とにかく、非白人)は差別され。
    売春婦と同性愛者とポルノと麻薬が夜の街を埋め尽くす、そんな小説ばかりだそうですね。
    そして、ベースには、既得権益者たちへの容赦のない憤怒、嫌悪。ほとんど殺意と言って良いような。

    もう、文体からして。
    こう…。夏の暑さ。ワイシャツがべっとりと体にへばりつく。
    そこに加えて雨が降る。
    靴の中の靴下が濡れそぼって。靴の中がぐちょぐちょになって。それでも脱げなくて。
    臭くて。
    むせ返るようなタバコの煙の悪臭。
    吐き気がするような、セックスのスえた匂い。
    オッサン臭漂う満員電車。汗まみれの肌が密着。ねっとりと。ぴちゃっ…と。
    生理的な不愉快。ブタバコみたいな。
    美女。ほんとに美女か?。濃すぎる化粧。腋臭と白粉の不潔な体臭に、ぞっとするような…。

    まあ、そんな小説です。
    善人なんか、ひとりも出ません。みんな、悪党。
    そんな、どろどろのぐちゃぐちゃの中なんですけど。
    「ホワイト・ジャズ」。悪党警部補・クラインさんの一人称。悪党なんです。
    なんだけど、そりゃ、悪党になる訳がある。悪党なりの背負ってる過去がある。
    悪党なりに、大切に守りたいものがある。
    もっと「上」の悪党たちに、こき使われ、振り回され、脅され、笑われ、使い捨てられそうになり。
    そんな中で、負けじと奮闘する、主人公・クラインさんに、いつしか完全に、感情移入しちゃいました。

    正直、暴力描写、流血描写、セックスエログロ。そういう文章自体は、好きではないんです。
    なんですが、これぁ、エルロイさんは、何だかそういう、ウケるため、売れるための演出的作為じゃ、ないんですね。
    例えば、エッチな描写なんて、全然、「男性読者のエッチな愉しみですよ」っていう描写じゃないんですよね。
    もうなんか、眼も背けたくなるような、殺しと同等みたいな言及の仕方だったり。
    別段、エロのための描写なんか全然ありません。
    暴力描写、流血描写は、うーん、まあ、正直、境界線上というか。僕はもう、ギリギリです、という感じですけど。
    ただ、これみよがしな書き方じゃなくて、もう、その、ナタでぶった切ってザックリ炙ったら、そのまんま食べてくれ的な。
    ドライな迫力。簡潔。
    それでいて、ただの悪趣味じゃないんです。ぐいぐい一人称で、切ない心情に引きずり込む。どんどん事件が起こる。
    死体、謎、因縁。家族、悲恋、恨み。
    考えようによっては、「フィリップ・マーロウ・シリーズ」に比べると、よっぽど、具体的にエンターテイメント。
    要は、金田一耕助さん。つまりシャーロック・ホームズ。なぞ解きの快感。
    怒涛の力技。
    強烈サが目立ちますが、実はもう、目がくらむような緻密なオハナシの作り。疾風怒濤の娯楽小説。

    そしてまあ、平和な資本主義的消費生活っていうのが、恵まれたトッピングみたいなものなんだなあ、と。
    そういう恵まれた人々の、目につかないようなトコロで。
    ツイてない人たちの、暴力と敵意と悪意にまみれた殺し合いと騙しあいと孤独と絶望と、やけくそな享楽な暮らしがあるんだなあ、というか。
    いや、別に、「それが世界の、唯一つの正しい見方だ!」、とは、思わないんですが。
    ただ、「そうなんだよ!」と、世界の中心で暴力を叫ぶ、暴力を憎みながら暴力を叫ぶ、「叫ぶエルロイの会」みたいな。
    うーん。何だろう。「山羊の睾丸」とか、「猿の脳味噌」を食べちゃって。
    いやもう、間違いなくグロいし生臭い。「超・ブルーチーズ味」。
    旨いんですよね…好きな人は、たまんないんですよね…。

    飛躍な例えですが、若い頃に、日本のパンクバンド・INUの名曲「メシ食うな」を初めて聞いた時の衝撃というか。
    (その後、芥川賞作家になってしまわれた、町田康さん。19歳の絶叫ボーカルです)
    ホント、凄かったです。


    あ、あと、「ホワイト・ジャズ」。原題のママなんですけど、カッコいい題名だなあ…。パチパチ。
    内容も、凄くふさわしい。
    流れる音楽は、ジャズなんです。50年代ですから。ジャズが輝いていた時代。西海岸。アート・ペッパー。
    極悪で欲深く傲慢な、白人たちが繰り広げる、混沌のジャズのような、ぐちゃぐちゃな物語。
    終盤、「モダン・アート」なんて聴きながら、読了。
    実に、読書の快楽でした。


    ネタバレですから、詳細は言いませんが、ラスボス/巨悪みたいなヒトが、終盤に判明する訳なんですが。
    言ってみれば、「スター・ウォーズ」におけるパルパティーンさんみたいな。
    その役の、人物のイメージが。
    いやあもう、僕の脳内では、映画「黒い罠」のオーソン・ウェルズだなあ…。
    デ・ニーロ…ハックマン…マーロン・ブランド…。
    うーん。いやあ、やっぱり、ウェルズだなあ…。





    ###############################
    備忘録的に。以下、ネタバレ。







    つまり、ダドリー・スミスという、強盗課の警部がキモ。
    他もみんな悪いことしてるんだけど。
    でも、スミスが、スターウォーズで言うところの、パルパティーンですね。

    相当昔に、男Aと男Bというのが、粗悪な密造酒で違法に儲けていました。
    ところが、粗悪なもの作りすぎて、何人か、食中毒的に失明したり、死んだりした。
    恨みを持った失明者が、男ABが経営してるバーに、乱入、発砲、自殺した。
    そこで、殺されちゃった、かわいそうな偶然の犠牲者夫婦がいました。
    ふたりには可哀そうに、子供がいて「不幸な孤児」になった。

    その事件の捜査で、悪人スミスが、男ABを脅して、不問に。
    その代り、賄賂を継続的に要求。癒着します。麻薬商売をやらせ、市警のイヌにする訳です。

    そんな隠し事を、「不幸な孤児」が、長ずるにつれ、知ってしまって。
    個人的に、男ABとスミスに復讐を行っていく。

    以上が真相。それが分かるまで。
    これが、まあ、縦軸ですね。

    そこに、男ABが、それぞれに奥さんがいるんだけど。
    何だかものすごいことに、「ふたりとも、相手に隠して、お互いの奥さんと、長年不倫関係。Hしてた。避妊せずに」。
    そこで生まれた子供たちは、どっちの子供か判りません…。
    そして長じて、そのお互いの兄弟姉妹たちが、愛し合い、憎しみ合い…殺し合い…という。
    横溝正史もびっくり仰天のトンデモ設定…

    それに、別線で、
    主人公クラインと、殺人の過去を持つ愛人/女優のグレンダさんの、傷と不幸と悪事を舐めあうような、恋愛というか、実は純愛。
    その純愛に溺れて、弱みを重ねてしまうクラインさん。

    まあ、そんな感じでメモっておきます。

    ##############################

  • 単行本/文庫本旧版で既読。

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