新装版 霊長類ヒト科動物図鑑 (文春文庫)

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著者 : 向田邦子
  • 文藝春秋 (2014年7月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167901417

新装版 霊長類ヒト科動物図鑑 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 向田邦子さんの本は2冊目。
    前に読んだ本より向田さんのことを身近に感じることが出来たような気がする。
    くすりと笑ってしまう話が多い。
    とても可愛い人だという印象。心が和む。

    「霊長類ヒト科」というざっくりした分類が素敵だ。
    「人間」よりも「霊長類ヒト科」という呼び方の方が同じ種族感が増すような気がする。
    「霊長類ヒト科」には得意なことも苦手なこともあるのだ。
    善意もあれば悪意もある。計算もある。誠意もある。
    飾らず力まず、自然な自分でいられたらどんなにいいだろうと思うような時、誰かを羨ましく思ってしまう時、この本をまた開きたいと思う。
    そうすればいろいろと考えて空回ってしまう自分を肯定出来る気がするから。
    笑って泣いて、怒って、決してきれいじゃない感情にまみれて生きることを受け入れられる気がする。
    「霊長類ヒト科」はそういう生き物なのだろうから。

  • 向田さんの本を読むと、私は私でいいんだなって思える。

    人は、どんなにかっこつけても、かっこ悪い。
    弱くて、醜い感情をたくさん持ってて、後ろめたさを抱えて生きてる。
    向田さんの本は、人のそんな部分をちゃんと書いてくれる。
    向田さんの本の中には、かっこつけてない、そのまんまの人間がつまってる。


    私はかっこつけだ。
    ても、どんなに澄まして歩いても、こける。ガムやうんこを踏む。
    分かったようなことを言ってみせるけど、心の中は汚い感情でぐちゃぐちゃだ。後ろめたさをたくさん持ってる。

    たまにおしゃれをしてみても、歯にゴマがついてることだってある。

    かっこつけても、様にならない。
    それが、私。


    向田さんと同じ、11月生まれの私。
    それだけで、私にも何か書けそうな気がしてしまう。
    私は、単純すぎる。

    嫉妬するほどの観察力と文才を持つ向田さんに、憧れる。

    でも、どんなに憧れても妬んでも、私は彼女にはなれない。
    悔しいけど。

    かっこがつかない私でも、私は私でいいんだよ。

  • 向田邦子さんのショートエッセイ集。
    敢えて「随筆」と呼びたい雰囲気の、おかしみもありぐっと考えさせられる一面もあり、それでいて軽妙で読みやすい一冊。

    普段は口には出さないちょっぴり黒い考えとか、無意識ながら他人を観察していて気づくこと、自分のおかしな失敗談など“ヒト科”の面白味がシニカルに書かれている。
    客人が持参してきたお土産らしきものの大きさや箱の様子を見て中を予想してその客人に出す飲み物を選ぶくだりとか、その客人によってお土産を寄越すタイミングが違うと観察しているところとか、口に出すのは憚られることだからこそ読んでいて面白い。

    そして印象に残ったのは、向田さんが飛行機嫌いだということを書き残している点。験担ぎではないけれど、飛行機で出掛ける前は家の中を片付けすぎないようにしていたとか。(綺麗にしすぎるとその後死ぬフラグが立つようだから)
    そんな彼女が最後飛行機事故で亡くなってしまったということにも、無意識の予感みたいなものがあったのかもしれない。

    「Aを見に出掛けてなぜかBを見て帰って来てしまう」というたまにあるなぁと思えることとか、「安全ピンや安全カミソリで怪我をすることもある」という“安全”という言葉に対して胡座をかいてしまう人間の甘さだとか。
    そんな中「郵便ポストだけは透明にならない方がいい」と考えていた向田さんが、今のネット社会の、SNSやなんかでの人と人のやりとりが誰にでも透けて見えてしまう現象を目にしたらどんな風に感じるのだろう、と考えたりした。
    想像力と奥ゆかしさ、人間の少し秘めたる部分は失いたくないと、そういう短い一文を読んではっとさせられた。

  • 向田さんのエッセイはやっぱり面白い。読後感がいいです。今はもう遥か彼方に行ってしまった昭和が感じられて、自分の幼少時代のかすかな記憶を思い出せます。

  • 様々なことが積み重なって、その中から1本通っているという印象を受けました。
    とても読みやすいのに、軽すぎず重すぎず、気持ちよく読めます。

    「電気どじょう」には原稿が書けない理由がいくつか紹介されており、あまりの面白さに家族中に言いふらしました。

  • 短いエッセイがたくさん。ふふふと笑ったりしんみりしたりしながら、スルスル読み進む。あんまり読みやすいから、私にも書けるかもとか思ってしまう(冷静に考えると無理だけど)。

    「父の詫び状」は子供の頃の思い出が中心だったけど、この本はわりと大人になってからの向田さん自身が多く描かれている。
    ヒトってこんなだよなあと、肩肘張らず読める本です。

    あと、やっぱりお父様がおもしろい。家族みんながヤレヤレという風に我儘に付き合ってあげている様子とか。

  • 向田邦子のエッセイの読後感はサザエさんを見たあとの感覚に似ている、と思う。そこに在るのは純然たる昭和であり、なぜだかホッとするような生活感が広がっている。ただ一つ違うのは、サザエさんは明るさがあとに残るが、向田邦子のエッセイを読んだあとに残るのは、うっすらとした人間の悲哀だ。特に本書は殊更悲しい。何故なら「ヒコーキ」というエッセイに、向田邦子の飛行機に対する不安感が綴られているからだ。飛行機事故で亡くなっただけに、リアリティのある悲しさがそこにある。面白いが物悲しい、なんともややこしい読後感になる本。

  • 昭和初期ののんきな雰囲気を漂わせているエッセイ集。おもしろかった。

  • 読書録「霊長類ヒト科動物図鑑」3

    著者 向田邦子
    出版 文藝春秋

    p191より引用
    “大分前のーーつまり銀座通りに都電が走っ
    ている頃のことだが、安全地帯に立っていた
    人が、単車にはねられるのを見たことがあ
    る。”

    目次から抜粋引用
    “豆腐
     助け合い運動
     新聞紙
     小判イタダキ
     お手本”

     放送作家である著者による、著者が出会っ
    た人々について記したエッセイ集。
     年の瀬のカレンダーの付け替えから交差点
    での信号待ちについてまで、物語の登場人物
    を語るように書かれています。

     上記の引用は、安全について書かれた話で
    の一節。
    どれ程安全とうたっていたとしても、いつ何
    が起こるかなんて、誰にもわからないものな
    のでしょうね。安全や安心などというものは、
    本当はどこにもありはしないものかも知れま
    せん。
     テレビ全盛期に数多くのドラマを書かれた
    著者だからでしょうか、出会ったあらゆる人
    が物語の題材になるくらい、観察されている
    ようです。
     単行本が昭和56年と、かなり昔の出版なの
    で、年月を感じるところも多数あるので、若
    い方にはギャップを感じるところもあるかも
    しれません。

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新装版 霊長類ヒト科動物図鑑 (文春文庫)の作品紹介

これぞエッセイ! 達人の筆が冴える傑作ぞろいすぐれた人間観察を筆にのせ、人々の素顔を捉えて絶賛を博した著者が、最も脂ののりきった時期に遺した傑作揃いのエッセイ集。

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