- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167901462
感想・レビュー・書評
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湊かなえ、米澤穂信等、よく読ませていただいている作家さんの短編小説。
自分自身、教育に携わるものとして、ハッとされられる場面が何回かあった。
人と関わる仕事の責任の重さ、影響力について改めて考えさせられた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
時の罠、
辻村深月と米澤穂信は読みやすいし、
内容に意味がある。
万城は、上っ面な感じ。
辻村深月は、ほっこりした。子供を持った親って、偉大な感じだけど、大学の先生だし、突っ張ったところがなく、ありのままの情けない人。
けど、子供は気がかりで、大好きってわけではないけど、関わっていきたいと思ってる。
そんな自然体がほっこりする。 -
「時の~~」っていうSF短編集があったから、これもその類かと思ったら違った。
タイムカプセルものが2編、時間を操る縁結びの氏神様が1編、ゆっくり時間が過ぎる山の話が1編。
著者が凄い顔ぶれだから、それなりに面白かった。
最初の比留間先生のタイムカプセルが一番かな。
最後のタイムカプセルも中々いい。
万城目さんはいつもの如くバカバカしい設定を真面目に描いてる。山の話だけSF。
病院の待合室で読むのにいい長さ。 -
辻村氏と湊氏の作品が共に「小学生が埋めるタイムカプセル」ネタ。
私自身のタイムカプセルネタ…40歳の時に皆で集まったけれど、もうずっと前に誰かが勝手に取り出していて中は空っぽらしいという噂をみんなが知っていて、空っぽの確認となったこと。
息子のタイムカプセルネタ…担任の先生が預かって、成人式だか10年後だかに集まってワインを飲みましょう、という話があったはずだが何も無し。
小学生のタイムカプセルって、現実にはあまりパッとしない。
大好きな万城目氏の作品は、期待が大きかった分、私には少し残念だった。
米澤氏の作品は、最初の数行が読みにくくて飛ばしちゃおうかと思ったが、意外と面白かった。 -
タイムカプセルで始まり、タイムカプセルで終わるという構成が面白かった。
辻村深月さんの「タイムカプセルの八年」では、何よりも主人公の男性の造形が興味深かった。父親となっても子どもに関心のない男性の内面って、こんなふうなのか、と、とても新鮮な感じがした。考えてみれば、昭和の男性作家が描く男性はみなこんな感じだったのだが、今の時代に、女性作家によって描かれるととても新鮮で、かつ、許しがたい感じが強くなる。主人公の変化が救いだった。
万城目学さんの「トシ&シュン」は、もう、万城目ワールド全開でとても楽しかった。
米澤穂信さんの「下津山縁起」は、小松左京さんの作品を彷彿とさせるような、スケールの大きい話だった。
ラストの湊かなえさんの「長井優介へ」は、相変わらずダークな展開だなあと思いながら読んでいったのだが、ラストで思わず安堵の溜息が出た。
やっぱりラストには救いが欲しいよな、と再認識。
どれもみな、読み応えのある作品だった。 -
短編集とかアンソロジー物はあまり読んだ事がありませんでしたが、これは楽しめるお話ばかりでした。
家族愛もの(私にはオヤジの友情もの)やSF物、オチがスッキリとしたものニヤリとさせられるもの。
いろんな作家さんに少しずつ触れるには持ってこい、な一冊でした。 -
4人の人気作家による『時』をテーマとしたアンソロジー。
女性作家2人の作品は、どちらも学校の卒業記念で埋めたタイムカプセルがコア。しかし、辻村深月はハートフル。湊かなえはちょっとウエット気味と、それぞれの持ち味が存分に出ていて興深い。
対して男性作家2人の作品は、どちらかと言うとSF的作品。万城目学は、神様モノ。米澤穂信は過去から未来にかけての壮大な時間モノ。
売れっ子作家さんだけにハズレなし。
装丁の猫は何故?と思うが、読み終えるとおそらくシュレーディンガーの猫なのだろうと気付かせてくれる。
何れも初出は別冊文藝春秋らしいが、このアンソロジーは、企画が先にあって雑誌に掲載されたのか、掲載後に似たテーマを纏めてアンソロジー化したのか、どっちだったんだろう。
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限りなく☆5つに近いが、米澤穂信さんの作品がネックになった。好きな作家さんばかりで胸が踊るお宝作品集。短編なのに読み応えもあり読後感もここまで素晴らしいとは。同じタイムカプセルものでも作家さんの味がそれぞれにあって甲乙つけがたい。人気作家さんだけにうならせるところが
全ての作品にあって最高。