選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫 S 13-1)
- 文藝春秋 (2014年7月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167901554
作品紹介・あらすじ
NHK白熱教室でも話題になった盲目の女性教授の研究を書籍化社長が平社員よりもなぜ長生きなのか。その秘密は自己裁量権にあった。選択は生物の本能。が、必ずしも賢明な選択をしないのはなぜ?
感想・レビュー・書評
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本文でもあったが自分は特別だと思いながら実は普通なんだと痛感してしまった。
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「選択」という単純、かつ毎日何気なく行っている作業をここまで掘り下げるとは!(感動)
著者の「選択」にかける情熱がひしひしと伝わってきます。
「今日はA定食にするか、B定食にするか?」といったちょっとしたものから、「転職するべきか、それともとどまるべきか」といった人生に大きな影響を与えるものまで、私たちの生活は常に「選択」の積み重ねで成り立っています。
自分の意思で選択したと思っていた事も、実は外圧や周りの環境が影響していたのかもしれません。
(自信満々に自分で決めたようでいても、そうではない)
反対に、決めかねていたものを他人が決めてくれて安心した経験もあります。
私たちが選択する時、私たちの心の中では何が起きているのか?科学的に証明しています。
(恐らく何の影響も受けず、100%自分の意思で選択するってないと思う)
そんな選択の奥深さを知ることの出来る本でした。
この本を読むと、自分が選択してきた経験と本に出てくる実験を照らし合わせ、振り返りをしたくなってきます。成功した時、失敗した時、その時の自分の心理状態はどうだったのか?何を基準に選択したのか?
自分の選択の傾向を知ることで、今後の選択を後悔なく乗り切ることができるのではないでしょうか。
実は「転職したいな~」と思っていて、自分で転職のタイミングを決めるのが怖かったので、参考がてら手に取った本なのです。
この本読んで、成行きに任せるのもアリ(それも選択)なんだな、と思ったら気が楽にりました。
あと、この本は言語化という意味でもスッキリさせてくれました。
私は占いが好きなのですが、理由を聞かれると「神秘的だから」とふわっとしか答えられなかったのです。
なんと、この本で言語化された箇所を見つけました。
(自分の言語化できなかったものを本で見つけると嬉しくなりますね!)
”苦境に立たされたとき、自分が正しい方向に進んでいると太鼓判を押してくれる人がいれば、たとえ現実の結果が変わらなくても、苦しみは大いに軽くなる。”(抜粋)
ボリュームが多く、翻訳ものなので体力使いますが、読む価値はあります。 -
選択とは何か。
同じ環境でも自分で選択したと認識している時はストレスを感じず、誰かに決められていると思った時はストレスを感じる。また、決めたくないことの場合、興味がうすいとか決められないくらい大きな決断は誰かに決めてもらった方がストレスが減る。
いろいろな事例、立場や環境がありいろいろ考えさせられる。読んでいて面白かった。 -
様々な実験、事例とともに、わたしたちの「選択」について科学する。
「選択は人生を切りひらく力になる。わたしたちは選択を行い、そして選択自身がわたしたちを形作る。」
パラパラと捲って最初だけ読み、その時はイマイチ感しかなくて何年も積んであった本。時を経て、あるとき本棚で光って見えた。
きっと読むべき時に読んだから良いのでしょう。これもきっと自分にとっては最良の「選択」。 -
選択するときの基準は、様々な要因が影響する(これまで意識したことがないことも沢山あって興味深い)。それでも選択そのものには、人生を大きく動かすパワーがあると実感した。私は日本というアジア文化圏に生まれ、集団が選択に大きく影響することは日々実感するが、私の基準で納得いく選択を取っていきたいと改めて思った。また集団や社会へも、主体的に動こうとする人を応援し、失敗しても支える社会であってほしいと願う。(よくある自己責任論や足の引っ張り合いはマイナスしか生まない)。人生の時間やお金の使い方、仕事、人との関わりも積極的に、能動的に「選んでいく」ようにしよう。
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示唆に富む一冊である。
本書のキーワードはズバリ「選択」である。
日常生活でもビジネスシーンでも何かを選択する機会はいくらでもある。
さてさて、その選択について我々はどの程度知っているだろうか。
たとえば、選択肢は多いほうが良いのだろうか、そもそも選択とは自由であることと同義であろうか、選択をするのは自由意志なのか、何か特別なパラメータに強く依存するのだろうか。
これらを知っているのと知らないのでは、結果は大きく違うことになるだろう。
結論としては、
・専門的な判断が必要となる場合には重要な選択でも専門家の判断を仰いだ方がいい
・選択肢は多すぎないほうが良い。最大でも30!
・アジア人は選択について、全体最適化する傾向があり、アメリカ人は個人最適化をする傾向がある
・選択結果の精度を上げたい場合は、その選択を選んだ際に、それをなぜ選択したかを自問自答すると良い
ということであろう。
当たり前だと言われるかもしれないが、上記の主張に対して科学的な実験の結果を交えて紹介されているので説得力がある。
個人的には、選択結果に人種に依って変わりうるという事が興味深い。 -
この「選択」について書かれた本が、他の作品と大きく異なるところは、著者の出自だろう。
アメリカのシーク教徒移民の居住地に生まれ、インドの習慣の中で育った彼女が語る「選択」、そして後天的に盲目になった彼女が語る「選択」は、(偏見を露呈したような書き方になってしまうが)自由の国アメリカの文化の中で生まれ育った白人の語る「選択」とは、まったく趣の違うものに感じられる。
いや、僕は別に、何が普通かとか、何が良く何が悪いかという議論をしたいわけでも、もちろんアメリカを否定しているわけでも無い。
ただ、異なる文化を行き来し、異なる文化に生きる人々を愛す彼女だからこそ、そして、見えない世界とかつて見てきた世界を俯瞰し、それらを『言語によって』架橋してきた知性だからこそ、このような作品が書けるのだろうと思うのだ。
作品中に出てきた名言を書き連ねると長くなってしまうので、巻末の解説から養老先生の言葉を抜粋したい。
「目の見えない人は論理に優れていることがある。百聞は一見に如かず、と俗にいうくらいで、目で見るとアッというまに結論が見えてしまう。いわば目は論理を飛び越す。(略)これが著者の最初の本なのに、筋が通ってわかりやすく、よく書けているのは、全盲のせいもあるのかもしれない。」
訳者の仕事も見事で、ほんとうに読みやすく仕上がっていると思う。英語で書かれた論説文を訳したことがある多くの人には、同意してもらえるのではないだろうか。 -
人生の主導権は自分で握れ!
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いや、面白い。社会心理学の観点から、選択とは何かを取り扱う。
「選択肢がある方が幸福感は高まるが、ある程度以上増えると逆に下がる」ということは前に読んで知っていたけど、このシーナ・アイエンガー氏の功績だった。
本書からわかるのは、例えばこんなこと。
例え同じ結果になったとしても、自分で選択したのか、特定の誰か(専門家や母親など)が代わりに選択したのか、ランダムまたは機械的強制的に決まっていて選べなかったのか、という過程によって幸福感は全然違うこと。同時に、文化や社会によっても違いがあること。アジア系の子供たちは母が選んだ時がベストになるとか、旧共産国ではバリエーションが増えても選択肢が増えたとは感じられず、それにはfree from Xとfree to Xの違いが関連しており、機会の平等と結果の平等とシンクロしていること。結婚相手を本人以外が決めてしまっても、それが不幸とはかぎらない理由。学生の日米比較では、そもそも何を選択とみなすかの時点で大きな差があること。
本書では直接触れられてはいないけれど、小坂井敏晶『社会心理学講義』で取り上げられていたように、選択(=判断〜決定)はそのまま自由と責任に結びついている。自己決定、自己責任、という観念。
本書は、すぐに日常生活に役立つおもしろ知識から、すぐには役に立たない「人間にとって自由意思とは何か」まで、広く深く高く扱い見渡している。私の興味関心のど真ん中でした。 -
自由結婚か、パートナーが決められた結婚か
自分で選択したことが全て幸せに繋がるとは限らないというのは勉強になった。
そもそも自分で選択しているように見えて、選択させられていることも多いし、
全ては自分とそれ以外の関わり合いの中で決定されること。
その決定をどう意味付けするかがやっぱり大事なんじゃないかなと思います。 -
選択という行為がかようにも実に奥深いことを知らしめてくれた。特に医療を巡るケースは印象的であった。選択には自由のイメージがあるが、それと同時に諦めきれない後悔を伴うこともあると知る機会になった。
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人生とは選択の連続である。
選択は人生を切り開く力になる。 -
宗教によって制約が多かった著者の実体験に基づく「選択」について、「選択」について直感に反するような研究結果の紹介などが書かれている。
著者のように選択の自由を宗教上制限されていたとしても「自分の人生を自分で決めている」という意識を持つのは可能である、といったように、選択についての疑問の答えが調査によって明らかにされる。
本書は7つの講義から構成されている。そのうち著者の直接の経験に大きく関わる講義ははじめの2つで、残りは著者の研究に関する話や、一般的な認識と異なる研究結果の紹介になっている。
個別の話の内容について書くと、本書の結論を盗み書きしているような記述になってしまうのでここには書かない。
巻末には養老孟司による解説が添えられていて、これを読んであまりに上手くまとめられていて詳しい感想を書く気持ちが削がれてしまった。
> 著者が有名になったのは、店頭に並べる商品の数は、せいぜい七つほどが限度だ、という調査をしたからである。...自由に選択することは幸か不幸か。著者は後半で、障害児のいわば安楽死問題に関する両親の選択を扱う。決して自由な選択が万能薬だなどとはいっていない。よく目配りされた内容である。ぜひ本書をお読みいただいて、人生における選択について、もう一度考えていただきたいと思う。多かれ少なかれ、今後の人生を生きる参考になるはずである。(解説 養老孟司 p.460) -
幸福論の文脈で目にした「選択のパラドックス」というキーワードが気にかかっていて、本書に行き着いた。選択肢で溢れかえった社会に生きている自分が、ちっとも幸せだと思えない。そんな実感からだった。
著者は、「選択できる」ことの重要度が文化によって異なることを豊富な実験結果とともに示している。また、多すぎる選択肢がストレスにつながることや、ジレンマを生む選択肢に遭遇した時は選択を他者に委ねた方が心が楽になることも。
「人は自由であればあるほど幸せだ」という命題は、一見真に思える。一方で、本書の内容には頷ける部分が多々ある。むやみに選択肢を広げることを追い求めず、この先に何を掴みたいのかを熟慮し、丁寧に選択を積み重ねていくことが幸せへの近道なのかもしれない。 -
自ら選択しているという事が幸せにつながる。
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シーナ・アイエンガー教授の名前は知らない人でも、ジャムの法則は知っているという人は多いと思う。ジャムの法則の話はもちろん出てくるが、その他にも「選択」を色々な角度から考えさせられる内容になっている。しかし、哲学や思想に走らず行動心理学的な実験とインタビューをベースにした論が展開されるので最後までストレスなく読める。
コロンビア大学の講義の内容をまとめたものだけれど、その講義はNHKでもかつて「白熱教室」として放送されたらしい。DVDもあるので、本を読む暇のない人はそちらを見るのもいいのではないだろうか。
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選択肢は多ければ良いというものではない。望ましくない選択肢ばかりの場合、選択権を与えられる事は却って、後に悔やんでストレスとなる場合が多い、という知見は、職業柄非常に参考になるものであった。