死命 (文春文庫)

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著者 : 薬丸岳
  • 文藝春秋 (2014年11月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (525ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167902186

死命 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 薬丸岳さんの本は【刑事の約束】に次いで2冊目。
    長編の【死命】ですが、気が付けば一気読み!
    胸の中にずっし~んと重い物を投げ入れられたかのような、しんどさを感じつつもグイグイと物語に引き込まれていきました。

    榊新一は末期癌の余命宣告を受け、殺人を犯す。
    連続殺人犯を追う警視庁捜査一課刑事の蒼井。
    彼もまた余命宣告を受けた身。
    犯人と刑事。
    二人はそれぞれ命をかけた使命のため、残りの時間を費やす。
    榊の使命、蒼井の使命。
    どちらも辛い…

  •  胃がんにより余命わずかと知った榊信一は、残りの人生を自身の殺人衝動に正直に生きることを決意し女性たちを絞殺していく。
    その事件の捜査を担当することになる蒼井だが、彼も胃がんの再発が発見され、余命わずかの二人が事件を通して交差する。

     単に連続殺人を捜査するというだけの話ではなく、余命わずかの中、娘と息子を持つ蒼井はどう生きるか、殺人を犯しながらも自分を大切に思ってくれる女性のいる榊はどう生きるか、
    というそれぞれの生き方と選択という点に迫ってる点が単なるサスペンス小説とこの小説が違っている点だと思います。

     自分自身はまだ親も元気で死に対する実感はなかなかわかないのですが、この小説に出てくる蒼井親子の話は読んでいて非常に切なくなりました。

     個人的な読みどころは蒼井と榊の最後の対決の場面でしょうか。余命わずかなため罰を恐れず罪の意識を見せない榊を蒼井はどう罰するのか。

     薬丸さんは現代の社会における犯罪の罪と罰というものを真摯に描き切っている作家さんだと思います。今回の作品も描きたかったのは、死を間近にした人の生き方だけでなく、
    罰を恐れない者を罰することはできるのか、という問いだったと個人的には思うのです。

     最後の二人の対話の場面の蒼井の言葉、榊の叫びはこれまでの話の流れからするととても自然というか、そうすることでしか罰は与えられないよな、と納得のいくものだったのですが、
    それだけにその場面のページ数が少なかったのがちょっと物足りなく思いました。

     ただサスペンスとしてはオーソドックスな話でも、こうして「罪と罰」という薬丸さんが他の作品でも問い続けているテーマをしっかりと結び付けられていて、
    薬丸ファンである自分としては「やっぱり薬丸さんの作品なんだな」と感銘を受けました。

     これからも薬丸さんが問い続けるテーマを読者である自分自身も一緒に考えていけたらな、と改めて思いました。

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    死へのカウントダウンは彼らの運命を――

    余命僅かの宣告を受けた殺人願望を秘めた男と殺人犯逮捕に執念を燃やす刑事。死を恐れぬ者たちが最期に臨む戦慄の光景とは……。

    若くしてデイトレードで成功しながら、自身に秘められた女性への殺人衝動に悩む榊信一。ある日、余命僅かと宣告され、欲望に忠実に生きることを決意する。それは連続殺人の始まりだった。元恋人の澄乃との皮肉な再会。犯人逮捕に執念を燃やす刑事・蒼井にも同じ病が襲いかかり、事件の展開は衝撃の結末を―。

    死を恐れぬ罪人に報いを与えられるのか! もっとも注目される乱歩賞作家がおくる渾身の傑作ミステリー

  • 面白い。ただ薬丸さんだから、読者に問いを残すような何かを期待してしまった。
    あらすじ(背表紙より)
    若くしてデイトレードで成功しながら、自身に秘められた女性への殺人衝動に悩む榊信一。ある日、余命僅かと宣告され、欲望に忠実に生きることを決意する。それは連続殺人の始まりだった。元恋人の澄乃との皮肉な再会。犯人逮捕に執念を燃やす刑事・蒼井にも同じ病が襲いかかり、事件の展開は衝撃の結末を―。

  • 刑事と犯罪者双方の心の動きを表現するのがうまいなぁ。
    どちらの心理状況もよくわかる。それほど細やかに書かれているということか。
    自分の命を投げ出してでも犯人を逮捕したい刑事と自分の欲求を抑えられない犯人。
    残りの人生が僅かだとわかっているなら、じっと寝ているよりも自分のやりたいことをしたいという点では蒼井刑事に共感する。

  • おぞましい殺人衝動を題材に扱い、主人公ともいうべき3人がそれぞれに死を免れなくなるにもかかわらず、「イヤミス」とならずに済んでいるのは、作者のページターナーとしての力量か。
    解説で書かれているように、犯罪小説、警察小説、恋愛小説、推理小説と4つの味を贅沢に楽しめる作品。

  • すごく夢中になって読みました。同じように病気で亡くなっていく2人がこれほどまでに違うのかとすごく考えさせられる部分もありました。
    澄乃の亡くなり方と榊の動機には少し違和感を持ちました。なんだかなーと。そこがもう少ししっかりしてくれていたらさらによかったなーと私は思います。
    しかし、読みやすさ、話のおもしろさはさすがだなと思いました。

  • がんに冒され、余命いくばくかしかない殺人鬼と刑事が、それぞれ人生を全うするため前者は殺人衝動に忠実に、後者は犯人逮捕に余命を注ぎます。

    殺人犯の榊について。虐待された過去があったとして、その復讐ならまだしも何の関係もない人を殺めて良い理由にはなりません。澄乃との話を除けば彼には全く感情移入ができず、読んでいてあまり楽しめませんでした。

    対する家庭を顧みない蒼井刑事には、最初は冷めた気持ちしか抱けませんでしたが、妻との馴れ初めエピソードを知ってからは同情の念が湧き上がって来ます。犯人逮捕に執着する理由が分かってからは、その必死な様子に心の中で応援しまくりでした。

    ラストシーンで岩澤刑事が捕まえた犯人は「あのときの犯人」だったのか。あるいは直近で発生した事件の犯人なのか…… 前者の可能性は現実的には限りなく低いと思うのですが、蒼井刑事のことを思うと心残りなく旅立って欲しく、そうであってほしいと思います。ただ、それがはっきりしないので、読後はもやもやとした心残りに取り憑かれてちょっと苦しく感じてしまいました。

  • さすがの薬丸作品。

    末期ガンが判明し、これまで抑えていた人を殺したい欲望を開放した榊。
    末期ガンが判明し、それでも亡き妻のため刑事として、犯人を追う蒼井。

    相変わらず、多々考えさせてくれる作品でした。
    もっと評価高くてもいいけど、榊の過去が思った以下であったこと、榊の恋人の亡くなり方があっさりしすぎたこと、伏線の回収が弱かったところが残念でした。

  • ガンの病に侵された犯罪者と刑事とのそれぞれの人生を対比させながら読み手を引き込む情感溢れる筆致で一気に読み進められた。著者の筆力に参りました。

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死へのカウントダウンは彼らの運命を――余命僅かの宣告を受けた殺人願望を秘めた男と殺人犯逮捕に執念を燃やす刑事。死を恐れぬ者たちが最期に臨む戦慄の光景とは……。

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