- Amazon.co.jp ・本 (431ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167902209
感想・レビュー・書評
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久々の葉村晶シリーズがいきなり文庫って! これはあまりに贅沢すぎますよっ! ファンとしては超大満足の一冊です。
探偵を休業し、事件とは無縁、のはずに思えてもさすがは葉村晶(笑)。どんどん事件に巻き込まれ、次々に降りかかる信じられないほどの不幸……悪いけど笑っちゃいます。どれだけついてないの……。
しかし。どれだけ打ちのめされても決してめげることなく真相を追い求める彼女の姿勢はやはりカッコいい!のひとことに尽きるのです。真実がどれだけ残酷でも、誰かの望む結末でなくとも、依頼を全うするのが探偵。素晴らしい。
さて、このまま完全復活してほしいところです。富山さんのキャラも素晴らしいので(ひどいよねえ、この人)。一緒に古書店探偵やっちゃいましょうよ。 -
葉村晶シリーズ。
相変わらずケガがつきなくてハラハラ。
謎、事件がどんどん出てきて複雑。
後半は一気読みでした。
最初は確か20代だった葉村さん、いつのまにか年上になってる〜 -
再読。
当時、文春のミステリ年間ランキングで上位に入ったのを見て、おもしろそうだったので読んでみたんだった。
それから若竹作品を遡って読んだ。
今回久々に読んだが、岩郷元刑事の失踪原因以外はほぼ忘れていたので、楽しく読めた。 -
葉村晶シリーズ。
とても贅沢なミステリーでした。
久々に、読み終わっちゃうのがもったいないと思える本でした。
葉村晶、好きだなぁ。まだまだ、探偵を続けてほしい。 -
前作から10余年。
勤務先の廃業とともに探偵を休業中の葉村晶はミステリ専門書店でバイトをしていた。
ある日、古書を回収しに行った家の床板を踏み抜き、床下に埋められていた白骨死体に頭突き。
肋骨を2本折り入院するが、同室になった元女優の老女から20年前に行方不明になった娘を探してほしいと依頼を受ける。
これが、受難の女探偵・葉村晶のさらなる不運の始まりだった。
メインの謎となるのは、元スター女優の20年前に失踪した娘探しですが、同時にいくつもの派生した謎や別のトラブルが発生し絡み合っていくという複雑な様相を呈しています。
失踪当時、女優の娘を調査中に突然失踪した探偵の行方は?
他にもこの親子の近辺の人物が何人も行方不明になっているが、その真相とは。
また、偶然知り合った舞美という女性は何が目的で葉村に近づいたのか?
それらの謎が有機的にメインの謎と結びついたり結びつかなかったり、盛りだくさんでおなかがいっぱいになりました。
雪崩のように事件が発生し、伏線を取りこぼすことなく続々と破綻無く回収していく様子は日本版フロスト警部のミステリを読んでいるようで至極満足でした。
事件が起こった時に一人の人間の心の水面が波立ち、それが言動となってあらわれ周囲にどう波及していくのか、露わにしてみせる巧みな心理描写には唸らずにはいられません。
悪意や残酷さを鷲づかみにしてナマの人間の本質を見せてくれる作者の凄腕にぶんぶん振り回されながらも、葉村の筋を通す頑固一徹な清廉さにほっとします。
正義というとちょっと面映いのですが、物事に対して葉村は必ず自分の内面の正義と照らし合わせてから行動を起こすような一面がある気がします。
人間って普通、筋が通らないことでも自分の利益になることなら真実も捻じ曲げ、ずる賢く欺瞞に満ちたことを平気ですると思うのですが、葉村は賢いがゆえにそのごまかしに自分で気づいてしまうようなところがあるんですよね。
そんな彼女だから、不運を呼び寄せてしまうのですが、後悔なく生きているであろう彼女が悪意に敢然と立ち向かっていく姿がすごく好きです。
自分にはできないから憧れているのかもしれません…。
ウィットに富んだ台詞回しもいつもながら楽しいし、100点満点の作品です!!