64(ロクヨン) 上 (文春文庫)

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著者 : 横山秀夫
  • 文藝春秋 (2015年2月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167902926

64(ロクヨン) 上 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

  • 上下巻あわせてのレビューです。

    わずか7日間だった昭和64年に起きた少女誘拐殺人事件、通称“ロクヨン”。1月5日に誘拐された7歳の少女。父親が犯人に身代金を届けるも、昭和天皇が崩御した1月7日、少女は遺体となって発見されたのだ。犯人は見つからないまま、あと1年で時効を迎えようとしている平成14年。事件発生当時、刑事部に所属していた三上は、今は警務部の広報室広報官。警察庁長官が現場の鼓舞とPRを兼ねて視察に来ることになり、被害者の父親・雨宮宅を慰問したいと言い、その段取りを三上がつけるようにと命じられるのだが……。

    上巻が約350頁、下巻が約430頁。かなりのボリュームですが、一気に読ませます。時効間近の事件解決に突き進む話かと思いきや、頁が割かれるのは警察内での刑事部と警務部との対立、そしてそれゆえに矢面に立たされる三上ら広報室と新聞各社の記者クラブとの迫真のやりとり。

    匿名報道のあり方について考えさせられます。取り繕うことしか考えない人同士では決して物事はいい方向へは進まない。電車の中で読んでいたら、「戦略なき戦略」の段では涙が出て困りました。ハッピーエンドなどという言葉では括れない、深い余韻を残す作品でした。

    映画は公開直後に観ました。三上に佐藤浩市、雨宮に永瀬正敏。原作にほぼ忠実で上手く端折っている印象。異なるのは、原作では三上がかなりの醜男で、その妻が絶世の美人という設定。観賞後、中年夫婦が「私ら警察組織のこと知らんから、ちょっとややこしかったな」と話しているのが聞こえてきました。原作を読んでからならすっと話が入ってきます。読んでから映画を観ることをお勧めします。

    映画の感想はこちら→〈前編〉http://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/fbe66f669172c14ee14c08b608065b8b
    〈後編〉http://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/d19e5b83166bf28c6fe72edf19899192

  • 少女誘拐殺人事件、通称64における幸田メモを解読するまでの上巻。誘拐殺人事件の解明が本筋かと思えば広報室の在り方、刑事部と警務部の確執を描きながらも物語の奥に潜む大スキャンダルの暴露に内心怯えながら読み進める。
    前後編のボリュームながら濃密な設定や警察組織を理解しての深い問題提起。
    物語は主人公に対しこれでもかと言うほど息もつかせぬトラブルを被せつつ、暗躍する上官達の影をちらつかせる。
    本当の関心は主人公、三上の娘の帰還と64の解決だが、上官達への主人公の反撃を強く望みながら読んだ。
    三上のハードボイルドと更なる冴えを期待して引き続き下巻を読みます。

  • 登場人物が多く、誰だっけこの人?となるがまあなんとかなるのでそのまま読み続けることをオススメします。
    後半の誘拐犯人には想像が及びましたが、まさかそういうことで。。。という驚きがありました。
    横山作品では半落ちをドラマで観て、なにこれ?全然ツマラナイ!と思っていたのでなかなか手に出来なかったのですが、ロクヨンは確かに価値のある作品だと思います。
    ただ、広報官としての主人公の仕事ぶりや娘さんの家出の話がこねくり回されておりましたが、最終的には必要だった?と思ってしまいました。
    総じては、面白い作品★4.2

  • 今回(お久ですが)紹介するのが「ロクヨン」という警察小説。
    この書籍は(名前は忘れたけど)日本で何かの賞を取り、海外でも高く評価されたそうです。

    たまには小説でも読もうかと前々から思っていましたが、興味がある警察官の小説です。
    ハイ、本作は。でも私は小説はダメです。この書評もボツにしたいのですが、長期間書評を書かなかったので、リハビリ目的で書きました。関係者の方々すいません。

    かいつまんで書きましたが、ネタばらし全開なので本作の読書予定の方はスルーして下さい。

    では、早速書評スタート。
    主人公は三上義信という、一地方の県警(D県警)の広報室の責任者。いつも刑事部とマスコミとの狭間に挟まれるのだ。

    ある日、妊娠8か月の女性が起こした人身事故の名前(加害者の妊婦)を公表しないことで、三上は県警記者クラブからいつものように非難を浴びる。

    三上は私生活でも大変。年頃の娘(あけみ)が家出をして奥さんノイローゼ。彼女かと思われる無言電話がかかってくるが、三上の奥さんが出ても無言のまま電話は切れる。

    そこで三上は娘の捜索願を全国の都道府県警に出す。それが元で恩を売ってくる奴らが多数。

    三上は公・私生活でも疲弊する。

    そんな時、以前起こった誘拐殺人事件で(昭和64年に起こったので、関係者の中では”ロクヨン”と呼ばれる)、被害者宅に警察庁長官が謝罪に訪れるつもりだから、被害者の両親からその件につき事前の承諾をもらってくれ、と依頼を受ける。

    三上はその亡くなった女の子と自分の娘をシンクロさせる。
    そんな中、三上は重大な内部情報を聞かされるのだ。上記の人身事故の加害者は公安委員の娘であり、そのため公表しないようにと圧力がかかってきたのだ。

    マスコミ対応という三上の損な役回りの上、翔子ちゃん事件(上記の誘拐殺人事件)での県警のミスをつかれて、彼はいつも通り難しい対応をマスコミに取らされる。

    ロクヨンが刑事部の隠ぺい体質も手伝って、県警をあたかも転覆させるのではないか?と三上を思わせるのであった。

    そんな中、翔子ちゃん事件の遺族は、三上の奮闘虚しく、時効寸前の警察庁長官の弔問を拒否ってしまう。

    そんな遺族にますます三上は同情してしまう。
    ちなみに、あけみは引きこもった上6度目のカウンセリングで「自分の顔が醜いから、学校に行きたくない」と打ち明ける。

    三上の奥さんは”ミスD県警”で有名で、三上は普通のルックス。彼らは自分自身らを責めた。あけみはなんと「整形したい」と言い出すはめに。その上での家出。

    そんな中でも、三上は広報官の仕事の本質は「知らされるよりは知らない方がいい」と言うことに気付く。何故なら、マスコミ対応にはその方が都合がいいからだ。

    三上は自分はD県警を本庁(警察庁)に売る気か?と繰り返す。
    しかし彼の答えは「わからない」だった。というのも、彼は警察でしか生きられない、ということを悟っていたからだ。

    三上は元刑事だが、「刑事職は麻薬のようなもの」と感じている。なぜなら記者一人を手なずけたら(犯人逮捕を公表すれば)、百万、千万の国民に「警察の正義」を伝えることが出来るからである。

    しかし広報官は異なる。警察の不祥事のマスコミ対応を手際よくすると、それはD県警を東京(警察庁のやり方)に繋げることになるのだ。具体的には、刑事部長をキャリア組に戻すことが出来るのだ。

    そんな中、三上は自身のアイデンティティーを見失う。三上は基本的にはマスコミ対応の実務を部下に丸投げしていて、責任を全て自分が負っていたからだ。

    そのため、部下から彼はキャリア組のような扱いを受けていた。すなわち「腰抜け」であると。

    彼のプライベートでもここで重大な判断をする。娘を結局、実名報道して支援を受けようとするのだ。

    ところが、マスコミは彼の娘の実名を公... 続きを読む

  • 組織論としての読み物に近い。板挟まれる主人公に共感。内省的で裏の裏まで読む洞察力に感嘆。世の中には裏の裏は表じゃないこともあり得るのね。

  • ひと口に警察といっても様々な職務がある。
    市民生活に一番密着し、身近な存在はやはり交番勤務のおまわりさんだろう。
    落し物を拾ったとき、目的地がわからないとき、多くの人たちは交番を訪れる。
    広報官は警察内部において微妙な立場にある。
    内部の人間から冷たい視線を浴びながら、彼らには彼らにしかわからない苦悩をかかえている。
    14年前に起きた未解決の誘拐事件。
    隠蔽されたミスと、脅しを交えた関係者への口封じ。
    組織のトップに立つ人間が無能だと、下の者は苦労が絶えない。
    だが、無能なだけに留まらず、出世欲や自己保身に走る人間ばかりになったとき、組織は中から腐り崩壊していく。
    娘の家出というトラブルに絡み、上司の命令に忠実な犬になってしまった三上。
    娘を思うがゆえの父親の弱さと情が切ない。
    犯人を突き止めるために、何万件もの電話をかけ続けた被害者家族の無念。
    どちらも子を思う親ならばこその強い思いがこめられている。
    誰の心にも正義はある。
    問題は、その正義ときちんと向き合うことが出来るかどうか。
    その一点にかかっているのかもしれない。

  • 三上の刑事であるというプライドがあるのに広報官に甘んじているという意識での苦しみや、記者クラブや刑事部との駆け引き、醜形恐怖症を発症し失踪した娘とそれがきっかけで家からでなくなった妻に対する心情などがとても丁寧に描かれていた。
    警視長長官が時効間近の「64」事件を視察するのには何か裏の意図があるような気がする。
    「幸田メモ」には何が書かれていたのか?三上の娘は見つかるのか?
    記者クラブとの諍いはどう解決させるのか?
    本当に謎が謎を呼ぶという言葉が適切だと思ってしまう。
    下巻でどう収束させるのか楽しみ。

  • 警察組織の広報部。昭和64年におきた誘拐殺人事件が通称ロクヨン。
    同期の二渡をはじめ人間模様や駆け引きがみごろ。
    C0193

  • 映画化もドラマ化もされてたので気になって読んでみた。
    最初は展開もダラダラしててイマイチかなーって思いながら読んでたけど、上巻の終わり頃から少しずつおもしろくなってきた。
    下巻に期待。

  • う~ん、なんだかイマイチかなぁ。
    内容が難しいと思う。
    登場人物も多くて、把握しきれなかった。
    映画のチラシが役に立った。
    映画はどうなんだろう??

  • 上巻の感想。下巻も読んでしまったので果たして上巻の感想になるのかわからないが。
    昭和64年に起きた未解決の誘拐事件と、D県警の刑事部と警務部の争いを描いている。それにマスコミと警察の関係というテーマも大きい。ずっと刑事畑を歩みながら、広報官として奮闘する三上。娘のあゆみが行方不明の中、組織、家族、自分の中の正義という葛藤に苦しむ。
    上巻はハラハラドキドキ。特に話は昭和64年にとぶと、この事件はどう解決するのか、と次々と読みたくなる。

  • 読むきっかけは、映画を見た職場の先輩に薦められて。

    ジャンルは警察ミステリー!
    主人公の三上義信はD県警の広報官!記者クラブと匿名問題で揉めている中、警察庁長官の視察!D県警過去最大の傷で今も尚未解決の『ロクヨン』事件への激励する為との事!広報官の三上は朝刊視察の為の段取りをしていく中で『ロクヨン』の闇に触れていく。三上の同期、二渡の暗躍、県警の管理部門と刑事部の対立そして三上の娘の失踪など内容は盛りだくさん!

    三上の上司達の圧力や記者クラブの報道の自由への主張へ嫌悪感を覚える中、組織というのは個人の出世欲で腐敗していくものだと思わせられる。



    上巻の最後は下巻への最高のラストパス!

    記者クラブとの対立は?警察内部の対立は??娘は帰ってくるの???ロクヨン事件の真相は????そして裏側で糸を引くのは誰なのか?????

    消化不良を思わず心配してしまうようなボリュームですが下巻への期待は計り知れません!!!

  • 時効間近な事件と
    娘の失踪
    隠蔽と箝口令
    警察内部の繋がり…
    自分の立場と家族の立場…
    んー難しいなぁ‼
    どこまで スッキリさせてくれるのでしょうか

  • 登場人物が多く、何人か覚えてなくて後半戸惑った。
    マスコミとの攻防は
    興味がないとちょっとじれったくなる。

    ロクヨンのことが気になる読み手としては、
    事件がなかやか動かないので
    下巻に期待です!

  • 「64(上)」
    昭和64年に起きたD県警史上最悪の事件を巡り警務部と刑事部が全面戦争に突入。


    何か月待っただろうか。図書館で積み上げられた予約が多すぎて4か月くらい経ってしまった。そして、漸く読了。まだ上巻だけど、随分な読み応えでした。


    広報官三上義信を中心に描かれる警務部vs刑事部、警務部vsマスコミ。刑事部とは、昭和64年D県警管内で起きた誘拐殺人事件、マスコミとは匿名事件を起因に長官取材のボイコット騒動と、双方に因果関係が無さそうだけど、次第に徐々に絡み合っていく。


    本小説は、警察小説ですが、家族愛も描かれています。娘が家出をして消息不明になり、娘と同世代の身元不明の遺体が発見されたら、自分の娘ではないかと思い、遺体確認に行く日々。妻は、娘を失って情緒に不安を抱え、彼女の為だけに生きようと思っても、警察組織はそうはさせてくれない。それだけではなく、娘を使って嫌がらせをしてくる、警察って何なんだよ。心底嫌になりますね。


    娘が家出した理由が、また自分の顔で、仕舞いには病気になってしまうなんて辛すぎませんか。そして、美しい顔を持つ美那子にさえ、娘は、嫌悪と嫉妬を覚えるなんて・・・。三上だけではなく、妻である美那子に対しても、思っていた以上に見たくないような人間模様が潜んでいてちょっと嫌になります。美しいけど、自分のことを美しいと思っていないのに、嫉妬を受ける。人間って嫌なもんですね。


    上巻では、徐々に真相に迫るんですが、徐々にだからか、三上を取り巻く環境がとてつもなく辛く、ちょっと読むのに耐えなくなりそうでした。とはいえ、64事件の自宅班も、警察の闇を映していて、心が痛い。


    ここから一気に事件の真相へ。下巻を早く読もう。

  • D県警で広報官を務める三上義信は元刑事。高校生の娘が引きこもりの末に家出し行方知れずとなっている中、匿名問題で記者クラブと揉めていた。
    そんな矢先。昭和64年に起きた未解決の誘拐事件で死亡した女児の遺族宅を長官が慰問したいという知らせが入る。
    遺族からは訪問を拒否され、刑事部からは猛反発を受けることになり……。

    2016年12月13日読了。
    D県警シリーズということで、「陰の季節」の主人公である二渡も登場。
    本作の主人公である三上と二渡の間には高校時代からの因縁もあり、三上は二渡を敵視しているような状態。ですが、「陰の季節」を読んでいる人間にとっては、二渡の相変わらずの不器用さが懐かしくて、三上が彼の行動を悪く捉えようとするたびに思わず苦笑してしまいました。
    前半は地固め、という印象。後半でどう動くか、楽しみです。

  • 20161120 初めての横山秀夫作品。難しく読み切れるか不安だったが、するすると読めた。気が付くと読む手が止まらなくなっていた。三上が正義感が強くかっこいい。下巻に続く。

  • 没頭した。複雑に絡み合った人間関係とそれぞれ心情描写に納得できる作品でした。でも、真実は明らかになったけど、エピローグ好きとしては、エピローグを切望。。。

  • 人間関係や、一通りの登場人物の話が多くて、今何が起こってるのか最初は少し読み取りにくかった。

    でも、読み進めていくうちに、話に引き込まれる場面が多く、現場の雰囲気や空気が読み取れる作品だった。

    強面の三上だが、脆く弱い部分も描かれていて、人間味のある主人公だったように思う。

    下巻が楽しみで仕方ない!!

  • それまでいい状態を保っていたのに、一人娘が疾走し
    上司に首根っこ掴まれた状態の主人公。

    昔起こった事件が関係している…ようですが
    主人公の今現在の目の前の仕事、の方が気になります。
    家庭事情に、上司からのせっつき。
    読んでいると、権力は恐ろしいもの、という
    認識をさせてくれます。

    どの事件がどう繋がるのか。
    人なのか、そうではないのか。
    きりきりするような状態ですが、それがまた
    現実のようで恐ろしいものがあります。

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