64(ロクヨン) 上 (文春文庫)

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著者 : 横山秀夫
  • 文藝春秋 (2015年2月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167902926

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64(ロクヨン) 上 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

  • わずか7日間の昭和64年に起きた誘拐事件、通称「ロクヨン」。

    未解決のまま時効が目前に迫った時、警務部と刑事部それぞれに不穏な動きが…。体は警務部、心は刑事部の三上はふたつの間で激しく揺れ、もがきながら必死に真相へ近づこうとする。

    事件後、所在不明になった刑事、引きこもりになった科捜研の青年、一度も異動のない刑事、署長になった自宅班の班長、そして警察を拒む被害者家族。14年間彼らは何を思い生きていたのか。幸田と柿沼の関係を思うと切なくなる。彼らが隠してきたものとは。それがわかった時三上はどう動く…。

    最初の150ページは全然進まなかった。娘さんの家出、不本意な人事異動で辛いのはわかるが、あのイライラにはうんざりした。娘さんの家出の原因は三上にもあると思う。平手打ちはまぁいいとして、女の子にグーパンチありえないでしょう。「補欠野郎が」などと、人を見下す三上がどうしても好きになれない。

    でも、ロクヨン事件が動き出してからはどんどん面白くなってきて、人と人の気持ち、繋がり、やはり私は人間ドラマが好きなんだと改めて思った。

    警務部対刑事部、広報室対記者もかなり熱く、警察小説・男社会が好きな人には読み応えたっぷりの作品だと思う。

  • 登場人物が多く、誰だっけこの人?となるがまあなんとかなるのでそのまま読み続けることをオススメします。
    後半の誘拐犯人には想像が及びましたが、まさかそういうことで。。。という驚きがありました。
    横山作品では半落ちをドラマで観て、なにこれ?全然ツマラナイ!と思っていたのでなかなか手に出来なかったのですが、ロクヨンは確かに価値のある作品だと思います。
    ただ、広報官としての主人公の仕事ぶりや娘さんの家出の話がこねくり回されておりましたが、最終的には必要だった?と思ってしまいました。
    総じては、面白い作品★4.2

  • すごく有名だしドラマ化もしてるしついに映画化もしてキャスティングもかなり豪華だし!!って勝手に期待しすぎてハードル上げすぎた。実際読み始めたら、最初はお?と思ったけど警察の内部事情の話ばっかりで登場人物も多いし、、、正直飽きてしまってなかなか進まなかった。
    そもそも主人公の三上はすごく醜い顔だろうけど、映画だとを佐藤浩市さんだし普通にかっこいい。ちょっとイメージ湧きずらかったかなぁ?
    64事件の真相は確かにすごい気になるから、下巻に期待する。

  • 少女誘拐殺人事件、通称64における幸田メモを解読するまでの上巻。誘拐殺人事件の解明が本筋かと思えば広報室の在り方、刑事部と警務部の確執を描きながらも物語の奥に潜む大スキャンダルの暴露に内心怯えながら読み進める。
    前後編のボリュームながら濃密な設定や警察組織を理解しての深い問題提起。
    物語は主人公に対しこれでもかと言うほど息もつかせぬトラブルを被せつつ、暗躍する上官達の影をちらつかせる。
    本当の関心は主人公、三上の娘の帰還と64の解決だが、上官達への主人公の反撃を強く望みながら読んだ。
    三上のハードボイルドと更なる冴えを期待して引き続き下巻を読みます。

  • 組織論としての読み物に近い。板挟まれる主人公に共感。内省的で裏の裏まで読む洞察力に感嘆。世の中には裏の裏は表じゃないこともあり得るのね。

  • 家出した娘。実名報道を巡るトラブル。希望しない広報部。昭和64年に発生した未解決誘拐殺人事件。隠蔽問題。被害者宅への警察庁長官訪問。暗躍する同級生。記者との駆け引き。娘からの電話を待ち続ける妻。警察署内の覇権争い。出世欲。そして、新たに発生する誘拐事件。

    複数の事件やトラブルが同時並行的に進み、そこに絶妙な利害関係が張り巡らされた本書は、横山秀夫の話題作。警察官である三上義信は刑事畑でキャリアを築いてきましたが、ある日、突然、広報官に任命されます。希望しない広報官としての仕事を進める三上ですが、様々なトラブルに遭遇し、いくつもの壁が立ち塞がります。そこに実娘の失踪や時効寸前の未解決誘拐殺人事件、相容れない同級生の存在、自身の出世欲(というより、刑事部への出戻り欲)といったものが重なり、序盤~中盤までの空気はとても重たいものがあります。とりわけ、サラリーマンだからこそわかるような微妙な利害関係の描写には、思わず唸ってしまうような場面も。最終的に三上が到達する姿は自身の利害を排除し、いま踏みしめる足場を第一に考えるというもの。いわゆる王道の展開なのかもしれませんが、そこまでの過程が長く重苦しいものであるため、三上がようやく到達した答えに対して、達成感やら満足感といった感情が溢れました。上下の2巻構成ですが、没頭して読み進められる作品です。

  • 2016.9.7-53
    64年の誘拐事件を担当した広報官三上が巻き込まれる新たな誘拐事件。
    ロクヨンの隠蔽と遺族、広報対マスコミ、警務部対刑事部、本庁対署の対立、娘の失踪など多数の要素が絡み奥深い。

  • 警察組織の中の
    情報官にスポットを当てたミステリー。

    刑事VS警務・・・
    一般人には外勤か?内勤か?
    程度の認識しか無かったが・・

    次から次へと裏切られ
    罵られ・・・誰も信じられないって
    そりゃ~なるわ。
    少々話がくどいので4点。
    しかし、内容的にはGOOD

  • 64(ロクヨン) 上 (文春文庫)
    64(ロクヨン) 下 (文春文庫)

    【著者プロフィール】
    横山 秀夫
    1957年生まれ
    著書:「半落ち (講談社文庫) 」、「顔 FACE 」、「第三の時効 (集英社文庫) 」、
    「真相 (双葉文庫) 」、「影踏み (祥伝社文庫) 」、「看守眼 (新潮文庫) 」、「臨場 (光文社文庫) 」、
    「出口のない海 (講談社文庫) 」、「震度0 (朝日文庫 よ 15-1) 」



    読もうと思ったきっかけ


    書店に足を運ぶと必ず目に入ってくる優良な場所に陣取っていた。
    原因は平積みや面での展開もあるが、装丁、表紙による所が大きかったと思う。

    今まさに映画が公開されている「映画64(ロクヨン)」
    その映画に出ている俳優陣15人が表紙を飾っているのでインパクトがある。

    でも気にはなっていたが読もうとは思わなかった。

    何度も書店にいっては目の端を何度も霞めては消えていく。
    ふとfacebookに同じ職場で働く同僚がこの映画を見たと投稿していた。

    小説もドラマも映画も観て勧めていた。

    人が勧めている書籍はとにかく読んで見ようと思っていた。

    理由は自分が好きな書籍や気になる書籍だけを手にとっていては視野が狭まるかもしれない。
    知らないジャンルを勝手に選り好みしては、未知なる愉しみを排除してしまうかもしれない。


    そんな警戒心が働いているからである。
    過去読んだ本にもたしかどこかにそのような事が書かれていたからかもしれない




    犯人は、まだ昭和にいる。


    時代は昭和64年に起きたある事件を中心に描かれている。
    内容は実際に読むか観て頂ければと思う。

    登場人物は多いが読んでいて分からなくなる事は無かった。
    映画ではどうだか分からないが、文字だけよりも映像があるので更に分かりやすいのではないかと思う。

    実際人物の心情の描写などが細かく描かれている。
    人物の警察組織内での立場、背景、心情、駆け引きなど凄く引き込まれる。


    真実を知っているのか、知らないのか。

    刑事部と警務部の思惑。

    広報官と記者との駆け引き。

    被害者家族と警察。


    様々な立場の人間が登場し、それぞれの情報と思惑を探りながら繰り広げられる情報戦と
    個人情報、匿名性が絡みつつ、そこを隠れ蓑にする、またはさせない駆け引き。

    嘘と真実の狭間で揺れ動く描写などは、上下巻合わせて700ページにも及ぶ長編を
    一気に読ませる力があった。

    実際には二日間で読み終えたが興奮しつつ感心しながら読ませて頂いた。


    久しぶりに推理小説以外の小説を読んだ。
    やはり自分の好き嫌い、興味の範疇だけで書籍を選ぶのは勿体ない。


    これからも更に人が勧める本は可能な限り読んでいこうと思わせてくれた作品だ。
    http://blog.livedoor.jp/book_dokushonikki/

  • この数か月で横山さんの短編を数冊読んだが、
    短編に比べるとやっぱり長編物は、長さも内容も超ハードだね(笑)
    何かがテンポよく解決してゆくわけではなく痛快感も欠けるためか、読むスピードもどうしても遅くなってしまうけど、それでもやっぱりこの重厚さが好きなんだよな♪
    警察とマスコミ、キャリアとノンキャリ警官、被害者遺族、そして警察官の家族。。。様々な複雑な人間模様が広報官三上を悩ませる。
    下巻ではこれらがどのように展開するんだろう?
    三上警視ガンバレ~(^_-)-☆

  • 元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、〈昭和64年〉に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう。組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。

  •  元刑事ながら人事で刑務部門の広報に配属された現D県警広報官警視の三上義信。記者クラブとの軋轢に苦慮する彼に、昭和64年に起こった誘拐殺人事件の被害者遺族に、警察庁長官視察の決定とその際の遺族宅への訪問の旨を伝えるよう命令される。
    しかし遺族はこれを拒否し、三上は刑事部と刑務部の動きからこの事件の裏に何かあると察知し独自に調査を始める。

     ”横山秀夫ここに在り”
     上巻を読んでいてそんなふうに思いました。序盤の広報の改革に乗り出す三上の心理描写。それを読んだだけで、横山さんらしい重厚な登場人物の心理描写がひしひしと伝わってくるのです。

     そしてその横山さんの描写力はとにかく精緻です。記者クラブとの特ダネを餌にした心理戦や人間関係や各社の思惑といった微妙なひだも、
    そして刑事部に戻りたいと思いながらも、家族のため自らの思いを封印し動く三上の心理描写も圧巻の一言に尽きます…。

     個人を捨て、家族のため組織の不条理や矛盾に目をつむろうとしながらも、それでも現れる様々な思い。反感や不信、そして家族をめぐっての自らへの責めや遺恨。
    そして横山作品だからこそ書ける警察の管理部門や人間関係、力関係の圧倒的なリアリティ。

     この二つがものすごい濃度で絡み合い、そこから生まれる緊張感は全編にわたって途切れることはありません。

     横山さんが7年間の沈黙を破って発表した作品、さらに文庫化する際にも改稿を加えたそうで、横山さんの魂が読んでいる自分にも伝わってくるようでした。

     横山さんの魂がまだ下巻でも味わえるのか、と思うとワクワクするような作風の作品ではないと頭では分かっていながらもワクワクが止まらない自分がいます。

    2013年版このミステリーがすごい!1位
    2013年本屋大賞2位

  • いろんな登場人物が出てきて混乱するけど、緊迫感があってどんどん読めた。感想は下巻次第!

  • 横山秀夫氏による警察を舞台にした小説。映画やドラマになっているのでストーリーについては言及しませんが、上巻を読み終えた印象は、さすが横山氏の描く世界だなという感じです。事件を解決する刑事の活躍ではなく、警察を監督する警務部に属する主人公の葛藤や心の揺らぎの描写に多くのボリュームを割いています。
    組織内での嫉妬や縄張り意識、不祥事の隠蔽、出世のための保身、など人間の嫌な面だけれども、誰もが心のどこかには感じることがあって、目を背けたくなるような一面をよくここまでストーリーに落とし込んだものだと思います。爽快な読後感はないですが、著者の描く世界にどんどん引き込まれていきます。

  • 上下巻あわせてのレビューです。

    わずか7日間だった昭和64年に起きた少女誘拐殺人事件、通称“ロクヨン”。1月5日に誘拐された7歳の少女。父親が犯人に身代金を届けるも、昭和天皇が崩御した1月7日、少女は遺体となって発見されたのだ。犯人は見つからないまま、あと1年で時効を迎えようとしている平成14年。事件発生当時、刑事部に所属していた三上は、今は警務部の広報室広報官。警察庁長官が現場の鼓舞とPRを兼ねて視察に来ることになり、被害者の父親・雨宮宅を慰問したいと言い、その段取りを三上がつけるようにと命じられるのだが……。

    上巻が約350頁、下巻が約430頁。かなりのボリュームですが、一気に読ませます。時効間近の事件解決に突き進む話かと思いきや、頁が割かれるのは警察内での刑事部と警務部との対立、そしてそれゆえに矢面に立たされる三上ら広報室と新聞各社の記者クラブとの迫真のやりとり。

    匿名報道のあり方について考えさせられます。取り繕うことしか考えない人同士では決して物事はいい方向へは進まない。電車の中で読んでいたら、「戦略なき戦略」の段では涙が出て困りました。ハッピーエンドなどという言葉では括れない、深い余韻を残す作品でした。

    映画は公開直後に観ました。三上に佐藤浩市、雨宮に永瀬正敏。原作にほぼ忠実で上手く端折っている印象。異なるのは、原作では三上がかなりの醜男で、その妻が絶世の美人という設定。観賞後、中年夫婦が「私ら警察組織のこと知らんから、ちょっとややこしかったな」と話しているのが聞こえてきました。原作を読んでからならすっと話が入ってきます。読んでから映画を観ることをお勧めします。

    映画の感想はこちら→〈前編〉http://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/fbe66f669172c14ee14c08b608065b8b
    〈後編〉http://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/d19e5b83166bf28c6fe72edf19899192

  • 今回(お久ですが)紹介するのが「ロクヨン」という警察小説。
    この書籍は(名前は忘れたけど)日本で何かの賞を取り、海外でも高く評価されたそうです。

    たまには小説でも読もうかと前々から思っていましたが、興味がある警察官の小説です。
    ハイ、本作は。でも私は小説はダメです。この書評もボツにしたいのですが、長期間書評を書かなかったので、リハビリ目的で書きました。関係者の方々すいません。

    かいつまんで書きましたが、ネタばらし全開なので本作の読書予定の方はスルーして下さい。

    では、早速書評スタート。
    主人公は三上義信という、一地方の県警(D県警)の広報室の責任者。いつも刑事部とマスコミとの狭間に挟まれるのだ。

    ある日、妊娠8か月の女性が起こした人身事故の名前(加害者の妊婦)を公表しないことで、三上は県警記者クラブからいつものように非難を浴びる。

    三上は私生活でも大変。年頃の娘(あけみ)が家出をして奥さんノイローゼ。彼女かと思われる無言電話がかかってくるが、三上の奥さんが出ても無言のまま電話は切れる。

    そこで三上は娘の捜索願を全国の都道府県警に出す。それが元で恩を売ってくる奴らが多数。

    三上は公・私生活でも疲弊する。

    そんな時、以前起こった誘拐殺人事件で(昭和64年に起こったので、関係者の中では”ロクヨン”と呼ばれる)、被害者宅に警察庁長官が謝罪に訪れるつもりだから、被害者の両親からその件につき事前の承諾をもらってくれ、と依頼を受ける。

    三上はその亡くなった女の子と自分の娘をシンクロさせる。
    そんな中、三上は重大な内部情報を聞かされるのだ。上記の人身事故の加害者は公安委員の娘であり、そのため公表しないようにと圧力がかかってきたのだ。

    マスコミ対応という三上の損な役回りの上、翔子ちゃん事件(上記の誘拐殺人事件)での県警のミスをつかれて、彼はいつも通り難しい対応をマスコミに取らされる。

    ロクヨンが刑事部の隠ぺい体質も手伝って、県警をあたかも転覆させるのではないか?と三上を思わせるのであった。

    そんな中、翔子ちゃん事件の遺族は、三上の奮闘虚しく、時効寸前の警察庁長官の弔問を拒否ってしまう。

    そんな遺族にますます三上は同情してしまう。
    ちなみに、あけみは引きこもった上6度目のカウンセリングで「自分の顔が醜いから、学校に行きたくない」と打ち明ける。

    三上の奥さんは”ミスD県警”で有名で、三上は普通のルックス。彼らは自分自身らを責めた。あけみはなんと「整形したい」と言い出すはめに。その上での家出。

    そんな中でも、三上は広報官の仕事の本質は「知らされるよりは知らない方がいい」と言うことに気付く。何故なら、マスコミ対応にはその方が都合がいいからだ。

    三上は自分はD県警を本庁(警察庁)に売る気か?と繰り返す。
    しかし彼の答えは「わからない」だった。というのも、彼は警察でしか生きられない、ということを悟っていたからだ。

    三上は元刑事だが、「刑事職は麻薬のようなもの」と感じている。なぜなら記者一人を手なずけたら(犯人逮捕を公表すれば)、百万、千万の国民に「警察の正義」を伝えることが出来るからである。

    しかし広報官は異なる。警察の不祥事のマスコミ対応を手際よくすると、それはD県警を東京(警察庁のやり方)に繋げることになるのだ。具体的には、刑事部長をキャリア組に戻すことが出来るのだ。

    そんな中、三上は自身のアイデンティティーを見失う。三上は基本的にはマスコミ対応の実務を部下に丸投げしていて、責任を全て自分が負っていたからだ。

    そのため、部下から彼はキャリア組のような扱いを受けていた。すなわち「腰抜け」であると。

    彼のプライベートでもここで重大な判断をする。娘を結局、実名報道して支援を受けようとするのだ。

    ところが、マスコミは彼の娘の実名を公... 続きを読む

  • ひと口に警察といっても様々な職務がある。
    市民生活に一番密着し、身近な存在はやはり交番勤務のおまわりさんだろう。
    落し物を拾ったとき、目的地がわからないとき、多くの人たちは交番を訪れる。
    広報官は警察内部において微妙な立場にある。
    内部の人間から冷たい視線を浴びながら、彼らには彼らにしかわからない苦悩をかかえている。
    14年前に起きた未解決の誘拐事件。
    隠蔽されたミスと、脅しを交えた関係者への口封じ。
    組織のトップに立つ人間が無能だと、下の者は苦労が絶えない。
    だが、無能なだけに留まらず、出世欲や自己保身に走る人間ばかりになったとき、組織は中から腐り崩壊していく。
    娘の家出というトラブルに絡み、上司の命令に忠実な犬になってしまった三上。
    娘を思うがゆえの父親の弱さと情が切ない。
    犯人を突き止めるために、何万件もの電話をかけ続けた被害者家族の無念。
    どちらも子を思う親ならばこその強い思いがこめられている。
    誰の心にも正義はある。
    問題は、その正義ときちんと向き合うことが出来るかどうか。
    その一点にかかっているのかもしれない。

  • 三上の刑事であるというプライドがあるのに広報官に甘んじているという意識での苦しみや、記者クラブや刑事部との駆け引き、醜形恐怖症を発症し失踪した娘とそれがきっかけで家からでなくなった妻に対する心情などがとても丁寧に描かれていた。
    警視長長官が時効間近の「64」事件を視察するのには何か裏の意図があるような気がする。
    「幸田メモ」には何が書かれていたのか?三上の娘は見つかるのか?
    記者クラブとの諍いはどう解決させるのか?
    本当に謎が謎を呼ぶという言葉が適切だと思ってしまう。
    下巻でどう収束させるのか楽しみ。

  • D県警で広報官を務める三上義信は元刑事。高校生の娘が引きこもりの末に家出し行方知れずとなっている中、匿名問題で記者クラブと揉めていた。
    そんな矢先。昭和64年に起きた未解決の誘拐事件で死亡した女児の遺族宅を長官が慰問したいという知らせが入る。
    遺族からは訪問を拒否され、刑事部からは猛反発を受けることになり……。

    2016年12月13日読了。
    D県警シリーズということで、「陰の季節」の主人公である二渡も登場。
    本作の主人公である三上と二渡の間には高校時代からの因縁もあり、三上は二渡を敵視しているような状態。ですが、「陰の季節」を読んでいる人間にとっては、二渡の相変わらずの不器用さが懐かしくて、三上が彼の行動を悪く捉えようとするたびに思わず苦笑してしまいました。
    前半は地固め、という印象。後半でどう動くか、楽しみです。

  • それまでいい状態を保っていたのに、一人娘が疾走し
    上司に首根っこ掴まれた状態の主人公。

    昔起こった事件が関係している…ようですが
    主人公の今現在の目の前の仕事、の方が気になります。
    家庭事情に、上司からのせっつき。
    読んでいると、権力は恐ろしいもの、という
    認識をさせてくれます。

    どの事件がどう繋がるのか。
    人なのか、そうではないのか。
    きりきりするような状態ですが、それがまた
    現実のようで恐ろしいものがあります。

  • さすが、横山秀夫。2回目読んでしまいました。

  • 最初から家で娘のことが気になっていた。
    下巻でこれが解決するかどうかが一番気になる

  • 【作品紹介】
    元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、“昭和64年”に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう。組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。

    ※感想は下巻感想欄に記載。

  • ミステリ、謎解きとしての面白さもさることながら、警察組織の中にただよう緊張感(それが、現実的かどうかはさておき)を書き起こした作品として楽しかったです。久しぶりに、夜更かししてまで読み切ってしまいました。

  • 警察広報と記者クラブ。
    未解決誘拐殺人事件、被害者遺族。
    捜査ミスの隠蔽、組織の闇。
    刑事部と警務部の対立。
    地方警察と本庁、生え抜きとキャリア。
    娘の失踪。

    様々な要素が入り組んだ展開にぐいぐいと引き込まれた。
    相当面白い。
    特に下巻は読むことを中断したくないくらいだった。

    だけど、不満も残る。
    あゆみはどうなったのか。
    日吉も気になる。
    もう少し先の話も欲しいなぁ・・・。

    映画は観てないので、今後DVD化されたら観ようと思う。
    しっかし、三上さんは佐藤浩市さんにイメージぴったり。

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二〇一二年のミステリー二冠! 究極の警察小説登場!昭和64年に起きたD県警史上最悪の事件を巡り警務部と刑事部が全面戦争に突入。その狭間に落ちた広報官・三上は己の真を問われる。

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