64(ロクヨン) 下 (文春文庫 よ 18-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167902933

感想・レビュー・書評

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  • いや〜長かったですね〜。
    作者の経歴を拝見すると元記者だそうで。
    警察とマスコミを主な登場人物として、ドロドロした世界が描かれていますが、妙にリアリティがあります。
    正誤の物差しだけでは生きていけないのは世の常ですね。

    作中では1つの大筋が最初から最後まで通っていて、比較的読みやすいです。
    特に終盤の盛り上がりには引力があり、最後は一気に読み終えました。

    事件について、全て100%の解決をするわけではないので、スッキリ感は少なめでしたが、実際の事件を題材にしているということもあり、ここもリアリティがあって良かったです。

    クリスマスローズの花言葉のひとつには、"私を忘れないで"という言葉があるようです。

    三上夫妻の気持ちが少し前へ進んだような気配がある中で、数年ぶりに咲いた白いクリスマスローズ。

    何か意味があるような気がしてなりませんでした。

    あゆみは、両親にはずっと自分のことを考えていてほしいのかも、しれません。

    ---
    「クリスマスローズよ。お義父さんが亡くなる少し前に植えたの。ここ何年か咲かなかったんだけど、本当に長生きよね」
    ---

  • R1.5.2 読了。

     ロクヨンと誘拐事件の裏にあった秘密、幸田メモ、無言電話などなど。後半に謎が説かれた時にそれまでひとつひとつが点でしかなかった事柄が、線になり思わず鳥肌ものだった。面白かった。
     また、警察組織の警務部広報課という部署についても、勉強できて良かった。

  • 有名で名前をよく目にするので読んだけど、
    執念みたいなものは感じた、どこまで自分のものにしたか疑問?
    よくこんな状態でレビューをかけるわ!と厚顔無知に我ながら感心する。
    何よりすぐ書かなければ、よほどの作品でない限り
    書く内容を忘れる。

  • 上巻星4つからの加点1つでは足りませんでした。
    事件の発生からは一気に読み進みました。
    最後の三上と二渡のシーンは、発刊時に読みたかったと思わせられました。
    三人の靴の描写など味わい深い作品です。
    暫くしたら読み返したい一冊になりました。

  • 下巻は429ページでしたが、最後はあっという間に読み終えました。面白かった。刑事部と警務部、キャリアとノンキャリア、マスコミと警察、多くの対立があり、闇がある。64のホシはあがるのか?赤間警務部長はどうなるのか?気になることは多々あるが、あゆみがどうなっているのかは知りたかった。

  • 元刑事で一人娘が失踪中のD県警の警務部広報官・三上が、記者クラブとの軋轢、“昭和64年”に起きた未解決の幼女誘拐殺人事件「ロクヨン」の長官視察をめぐる刑事部と警務部の全面戦争、D県警が抱える深い闇等、組織の問題に振り回される中で自分の成すべきことを見出だすとともに、「ロクヨン」の再来というべき誘拐事件に全力で向き合うことで全ての真実に迫っていく作品。

    横山秀夫作品を読んでみたかったので、「このミス」キング・オブ・キングス2位の本書を手に取った。
    上下巻だけとは思えないほど読み応えがあった。読了までかなり時間を要したが、読み終えてみれば、とても面白い作品だった。

    なぜ「読み終えてみれば、」と枕詞を付けたかというと、下巻の途中までは、刑事部と警務部、キャリアとノンキャリアといった警察内の主導権争いが中心で、衝撃的な事実として明かされる内容のあまりのくだらなさに驚き、嫌気を感じながら読み進めていたからだ。
    しかし、三上が放った一言、「俺の職場はここだ。キャリアにも刑事部にも好き勝手にはさせない。」この一言に痺れさせられて以降、流れが一変。
    三上は、まるで別人のプロフェッショナル広報官として、ピリピリとした緊張感の中で職務を全うする。
    その姿勢にページを捲る手が止まらず、私自身も職務を成し遂げたような清々しい気持ちで読了した。
    本当に面白かった。

    正直言って、警察の広報官にこんなに胸熱くさせられるとは思わなかった。仕事人として忘れてはならない大事なことを気付かせてくれる作品だった。

  • 何だか波長が合わなかったようで、全然進まなかったものの、下巻の後半(三上が色々とふっきれたあたり)でようやく楽しくなってきて、最後は松岡と二渡がかっこよすぎるため、その余韻で終わってしまった。

    今年は鬼平犯科帳を読んでいるので、鬼平さんなら雨宮さんと幸田さんは何の罪にも問われず、「ご苦労であった」で終わるんだろうな。と妄想してしまった。

    日吉が少しでも元気になりますように。

  • 刑事部と警務部の対立、マスコミ対応する広報部の膠着状態、この行き詰りの中、警察庁長官視察前日に64(ロクヨン)誘拐の模倣事件が勃発し一気に動いた。誘拐被害者である目崎が64誘拐事件の犯人であり、模倣事件の真犯人は64事件の被害者の雨宮。14年間、電話帳全員に電話をし、犯人の声を聴き探した雨宮の正義、14年前の失態からどうにか雨宮を助けたいと思う幸田の正義は「不条理」とも言える。この怒涛のストーリーが完成したのは著者が正義を突き詰めたことに起因するだろう。また、部下を育て信頼することの一義を学んだ。

  • 読みごたえあった。
    正直、かなり後半まで、何なんだこれは、何が裏にあるのか、64とどう絡んでくるのか、見えてきそうで見えてこなくて、
    ひたすら「読まされている」感だった(苦笑)
    しかし、終わりに近づいて、64と絡む本筋が明らかになると、次々に起こっていた事と、1人1人の思いが見えてきて、一気に引き込まれ、睡眠を削って読んでしまった。

    松岡までが、最低だったらどうしよう、とヒヤヒヤしてしまったが、三上が今後も尊敬していけるような人で良かったな。
    あゆみちゃん、元気でいるといいな。そして、いつか、自分の価値と父母の愛に気付けるといいな。

  • 記者クラブとの軋轢、
    ロクヨンをめぐる刑事部と警務部の全面戦争。

    その狭間でD県警が抱える爆弾を突き止めた三上は、
    長官視察の本当の目的を知り、己の真を問われる。

    そして視察前日、最大の危機に瀕したD県警を
    さらに揺るがす事件が。

    驚愕、怒濤の展開、感涙の結末。

    **************************************

    こんな展開、想像もできひん。
    最終的に全てが繋がる納得の内容。

    <上>では、何を読まされてるんやろ、って思うところもあったけど、最後まで読んでみて、こんな濃い小説はないなと思った。

    話の流れも素晴らしいねんけど、登場人物もよかった。

    初めて部下ができたと思えた瞬間。
    この人の下でもう一度働きたいと思わせる上司。

    小説だけじゃなくそれを演じてる人を観たいと思った。
    ピエール瀧、観れるやんな。

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著者プロフィール

1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、デビュー。2000年、第2作「動機」で、日本推理作家協会賞を受賞。2002年、『半落ち』が各ベストテンの1位を獲得、ベストセラーとなる。その後、『顔』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』『臨場』『深追い』など、立て続けに話題作を刊行。7年の空白を経て、2012年『64』を刊行し、「このミステリーがすごい!」「週刊文春」などミステリーベストテンの1位に。そして、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞(翻訳部門)の最終候補5作に選出される。また、ドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれ、国際的な評価も高い。他の著書に、『真相』『影踏み』『震度ゼロ』『ルパンの消息』『ノースライト』など多数。

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