アルカトラズ幻想 上 (文春文庫 し 17-10)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903138

作品紹介・あらすじ

現代ミステリを導く鬼才・島田荘司の到達点ワシントンDCで発生した猟奇殺人は、恐竜絶滅の謎を追うひとりの男をあぶり出す。そして舞台は、難攻不落の牢獄アルカトラズへ。

感想・レビュー・書評

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  • 不思議に魅惑的なタイトルや装丁に負けない、まさに奇想天外なミステリー。なんと途中に「重力論文」が差し込まれる。
    凄惨な猟奇殺人の動機に恐竜の謎が絡んでいることが分かり、多分犯人も分かり、既に満足の内容なのに、まだ上巻とは!下巻はいったいどうなっちゃうんだ〜。
    なんとなくワシントンの空気を感じる(行ったことないけど)刑事たちの軽妙なやりとりも良い。

  • 娼婦の不可解な殺人事件と「重力論文」がどう繋がってくるか。このあとどのように下巻が展開していくか、たのしみです

  • 重力論文がとてもおもしろかった。
    前半はミステリとしてきれいにまとまっていて読みやすい。

  • 島田荘司さんの小説を読むのはこれが初めてです。
    自分が好きな作家さんがこの本の名前をあげていらしたので、手にとってみました。

    一部が切り取られた女性の遺体が
    森の中に吊るされているのが発見されたところから物語は始まります。
    猟奇殺人事件と思われたこの連続殺人から
    重力論文へ構成が展開していくわけですが、
    興味深い内容の論文にページを捲る手が止まりません。
    初めは唐突とも思えるある人物の論文の転記に戸惑いますが
    読み進める内に犯人の意図が見えてくるところが恐ろしいです。
    実際の科学者であればこのような論文や、こういった書き方はしないという指摘もありますが
    この辺りは飽く迄もフィクションということで自分は割り切れました。
    地球の自転速度が遅くなり、重力が変わったことで恐竜が絶滅したという説が
    あまりに突飛であり一笑に付して終えられないじわりとした恐怖。

    日本人作家が書いている外国が舞台の物語ですが、海外ミステリーのようなタッチで違和感もなく読みました。
    下巻でどのようにまとめられるのか非常に楽しみです。

  • 1939年、ワシントンDCで猟奇殺人事件が発生する。しかし、その犯行は常識では理解不能な意図が隠されていた。
    目を覆いたくなる残虐な事件に、恐竜の謎、そして「重力論文」。奇想この上ない島田ワールド全開の一作です。下巻にどんな繋がりを見せ、どんな展開に導かれるのか。予想することは絶対不可能な、これがほんとのミステリー。

  • 下巻まで読んだ上で書いている。
    好き嫌い分かれそう。下巻、ダラダラした流れても意味があるので頑張って読んでほしい。
    衝撃的でした。島田荘司やっぱ凄いなーって。

    島田作品に突如ぶっこまれる、事件に関係あるんだけど、やたら長い作中の長文、本作も健在。
    今回は重力論文という論文の形。とても面白かった。

  • やはり島田荘司さんの作品は安心して読めますね
    上巻の後半で語られる恐竜の件は、とても興味深いですね
    下巻のどのような伏線になるのか楽しみです

  • 猟奇的殺人を追う刑事、途中で恐竜や宇宙を題材に、学生がかいた重力論文がそのまま載っている。それによりその犯罪の真実が明らかになる。

  • 最初は海外刑事モノくらいの気持ちで読んでいたが、猟奇殺人の捜査の間に突然の長い論文が挟まれてきて驚いた。
    惑星の話とか、恐竜の話とか、特に後者は興味をそそられたので難なく読めたが、興味のない分野だったら辛そう。
    上巻でほとんど犯人が確定、みたいな流れだったけれど、下巻ではどんな展開になるのか。気になる。

  • 前半は海外ミステリーのようなタッチで好きな文章。が途中から話があやしくなる。論文の辺りから読み飛ばし。

  • 島田荘司『アルカトラズ幻想』(文型春秋、2012)


    SF要素ありのミステリ。大戦期のアメリカを舞台に、猟奇事件発生→2つめの事件→大学院生の論文→犯人逮捕・収監→不思議な国→謎解きと展開していきます。

    この後半の不思議な国の部分、主人公格の記憶の混濁を描いていてまったく意味不明、呼んでいくのが非常にツライところですが、それだけに最後の謎解きパートで明らかにされていく過程がたまらなく快感です。

    凄すぎる起承転結の具体例、あるいはここまでの「転」は他にないかとも思われます。

    「よくわからんが、とにかくスゴイ」

    細かいところでは、証拠書類として大学院生の古代地球における重力に関する論文を読んだ警官たちのとまだいが愉快です。

    【本文より】
    ○「この惑星の上では、ホモサピエンスの直立二足歩行は危険な選択だったってことだ。引力が強すぎるから」
    「だが、二足歩行するしかなかったろう」
    ウィリーは言った。
    「どうしてだ?」
    「どうしてって…、四つん這いで地下鉄に乗れるか?どうやって改札を通る。四つん這いでどうやって自転車を運転する。署の連中がみんな四足で歩きはじめてみろ、フロアが狭くてたまらない」

  • 島田荘司の小説によくある展開。
    猟奇殺人が恐竜の論文と繋がって・・・
    という展開。

    論文の部分は、読みづらいが、興味深い。

  • <あらすじ>
    1939年
    ワシントンDC近郊で中年女性の死体が発見される。
    その死体は手と首をロープで縛られ、首吊りのように木に吊るされていた。
    しかも性器が切り取られ、そこから内臓がぶら下がっていた。
    検視の結果、死因は心臓麻痺だった。

    しばらくして、今度は若い女性の死体が発見される。
    死体は1件目の事件と同様に木に吊るされていたが、
    今度は腹が切られ、骨盤がノコギリで切断されていた。
    検視の結果、死因は交通事故だった。

    2つの事件を異常者による犯行とみて調査するも捜査は難航する。

    そんな警察のもとに、最初の事件の第一発見者から、
    事件に関するものかもしれないから確認してほしい、と
    彼が学校で偶然見つけた論文が渡される。

    その論文は重力について考察したものだった。
    恐竜はなぜ地球で生きていられたのか?
    首長恐竜は骨格や筋肉量からして首を支える構造になっておらず、
    ティラノサウルスも2本足で走ることなど不可能だし、
    翼竜も空は飛べないはずである。
    そこで昔の地球は今より重力が少ないと考えると全てに辻褄が合う。
    太陽系の惑星の自転速度はほぼ同じなのに、地球の自転速度だけなぜか遅い。
    ならばもし、昔の地球の自転速度が太陽系の惑星の自転速度と同じだったなら?
    恐竜もあの骨格や筋肉で生きることが可能!
    それで地球に隕石が落ちたりしたことで地球の自転速度が遅くなり、
    重力が大きくなったことで、恐竜は死滅した。
    その後
    恐竜に変わって哺乳類が台頭。直立二足歩行する猿が生まれた。
    普通の哺乳類は直立すると骨盤の影響で内臓が下に落ちてしまう。
    特にメスは子供を産むために骨盤に穴が開いている。
    しかし人間はそれを筋力で支えたり、進化の過程で骨盤を変化させメスの骨盤の穴も小さくなった。(だから人間はひどい難産なのだと)


    上記の論文を読んだ警察は、論文の著者バーナードの元を訪ねる。


    >下巻につづく・・・

  • 身体を切り裂く事件から恐竜や重力に関する論文が出てきて下巻にてどのようにまとめられるんだろうかと期待してしまう。

  • 猟奇的な事件が上巻でここまで進んじゃったら、下巻はまるまる一冊何が詰まってるんだろう。
    とても気になる。

  • 子宮にこだわった殺人事件。

    恐竜絶滅についての論文。
    地球重力の変化による淘汰。→人間の内臓落下。

    レビューは下巻に。
    うーむ、どう結び付くんだー!?

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著者プロフィール

1948年広島県福山市生まれ。武蔵野美術大学卒。1981年『占星術殺人事件』で衝撃のデビューを果たして以来、『斜め屋敷の犯罪』『異邦の騎士』など50作以上に登場する探偵・御手洗潔シリーズや、『奇想、天を動かす』などの刑事・吉敷竹史シリーズで圧倒的な人気を博す。2008年、日本ミステリー文学大賞を受賞。また「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」や「本格ミステリー『ベテラン新人』発掘プロジェクト」、台湾にて中国語による「金車・島田荘司推理小説賞」の選考委員を務めるなど、国境を越えた新しい才能の発掘と育成に尽力。日本の本格ミステリーの海外への翻訳や紹介にも積極的に取り組んでいる。

「2023年 『ローズマリーのあまき香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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