花鳥の夢 (文春文庫)

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著者 : 山本兼一
  • 文藝春秋 (2015年3月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (508ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903183

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花鳥の夢 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

  • 長谷川等伯の「松林図屏風」を観てから、等伯に興味を持ち、安部龍太郎の『等伯』をずっと前に読んだ。『等伯』に描かれる永徳の、ここまで悪人にしていいの?という位の冷血なイメージがあった為、こちらの作品との対比も楽しみだった。
    折しも、大徳寺聚光院の特別拝観で「花鳥図」を観たばかり。以前「洛中洛外図」「楓図」も観た。
    芸術職人集団の大組織率いるリーダーと、絵師永徳個人との葛藤と苦悩が読んで辛いほど。等伯への激しい嫉妬がありながら、認めたくない自身を、統率者として狩野派を肯定する事で隠す。本当はもっと自由に、楽しく、新しい世界に、挑戦したかったのだろうな。
    ストイックに自分を追い詰めている姿は、絵を観る人の場所がない、と言われた永徳の絵そのものなのか?しかし、狩野永徳あっぱれ!と思わずにいられなかった。
    山本氏の作品は初めてだったが、素晴らしく熱のこもった作品だった。若くして亡くなられた事が大変残念です。

  • 狩野永徳の絵師としての生涯。描くことへの執着と自分への過信、そして情熱。長谷川等伯との確執に至る絵画観の根本的な差違。芸術論であり人間論でもある狩野永徳の一代記。絵のなかに鑑る人の空間を作る必要があるか否か、描く姿勢が真剣過ぎて鑑る人を疲れさせないか、描くことが楽しくて仕方なくそこにしか生きている実感を感じられない等々、絵師永徳の本領を山本兼一が存分に表現している。

  • 江戸時代の絵師・狩野永徳。狩野派の工房を背負う葛藤と苦悩。そして描くことへの喜び。

    等伯への激しいライバル心と嫉妬心。自由に描きたいと思いつつも、伝承され続けてきた狩野派としての基礎は崩せないし、責任もある。まったく共感できない人ではあるけれど、絵にとらわれていたのか、絵を自分のものにしていたのか、苦悩に充ち満ちていたんだろうなと、ある意味気の毒になってしまった。
    それにしても火事や戦乱の多い時代。どれだけの宝が燃えてしまったことか。もしも永徳の作品がもっと残っていたら、永徳は狩野派以上の絵師として、後年は祖父、曾祖父以上にもっと評価されていたのかもしれないな。

  • 17/02/08。
    阿部龍太郎さんの『等伯』を探していたが、在庫がなく、アマゾンをいじっていて、たまたま見つけた。先に永徳を読むことになる。

  • いっしん虎徹もそうだったが、著者の主人公は思い詰めて激情に駆られる、心力が迸るような描写が引き込まれる反面、読後感にぐったりするような感覚がある。
    この後、未読の「等伯」を読んで見たくなった。

  • 永徳と等伯の、なんだろう? 分からない。

  • 一気読み。
    永徳が描くことを止められないように、その勢いに巻き込まれる感じで止められなくなった。
    思い描いていた永徳像を裏切らない。
    気力を尽くして描き、生きるその様が、とても苦しく悲しく、とにかく疲れた。

    才を持って生まれてしまった人の業。ただただ壮絶。

    これだけ身を削らなければならなかったのか。
    そうでなくては描けなかったのだろう圧倒的な画。
    そうまでして作り上げたものの悉くが、灰燼に帰してしまうその運命はあまりにも悲しすぎる。
    時代とは言えもっと、後世に残っても良かっただろうに。見たかった。

    等伯夫妻の登場でより深く、暗く、画業に囚われていく心理が鬼気迫る。
    何度も打ちのめされ、それでも屹立する強さは、もう異常。
    最期の最後まで画の苦しみと喜びに夢を見る。

    読み終えても満足はできない。心が締め付けられる。
    でも、これも一種の感動なのだろう。

  • 狩野永徳の一代記。書きたいものと書かなくてはならないものとの葛藤。一族を背負う重圧。長谷川等伯への嫉妬。とかく人の世は生きにくい。

  • 直木賞受賞作『等伯』の前にこちらを読む。

    どの時代にもライバルというのはつきもの。あってこそお互いに磨きがかかる。
    また逆もあったりするから面白い。

  • 最初はあんまし面白くないなぁ、と思ってて。
    何故かとよく考えたら、主人公家柄にも才能にも恵まれ、最初から順風満帆。みんなに尊敬されて、目上にも可愛がられてなにかと引き立てられる。
    そんな話、誰が読みたい?

    面白くなるのは、長谷川等伯が出てきて、嫉妬で非常に狂ってくるあたりから。

  • 寺院や山門の天井とかが気になるようになった。絵師かあ・・実在した時代があったことがファンタスティック。

  • 狩野永徳の小説。美をおう話は流麗孤独。

  • 戦国時代を中心に、読み応えのある歴史小説を次々と発表した、山本兼一。
    残念ながら2014年に亡くなってしまいましたが、その作品の文庫化は、まだ続いているようです。
    本屋を散策していると、この作品が並べられていたので、読んでみることにしました。
    主人公は戦国期に活躍した絵師、狩野永徳。
    祖父の代から栄えてきた絵師集団の後継ぎとして育った永徳。
    祖父からも認められた才能をさらに高めようと努力する、10代後半の時点から、物語は始まります。
    天皇家や武将から絵を依頼され納める、狩野家に求められるのは、絵の「端正さ」。
    子供の頃からそのように教え込まれた永徳はある日、生き生きとした鳥の絵を目にし、その技量と自由な表現に驚きを感じます。
    そして父とともに納めた絵が認められた、室町将軍家から大作の依頼を受けて・・・という展開。
    天下第一の絵師を目指し、時の権力者からの依頼に対峙していく彼の奮闘が、「ライバル絵師」との競争心もまじえて、描かれています。
    絵を描き、人に見てもらうとはどのようなことなのか。
    一つの分野、特に芸事の世界で突き進もうとする人物の描き方は、さすが山本兼一だなと、感じました。
    そしてこの時代の権力者と絵師との関係、さらには狩野永徳と長谷川等伯という同時代の絵師のライバル関係という状況を、初めて理解することができました。
    千利休など、これまでの山本兼一作品の主役が「チョイ役」で登場するのも、良い味付けとなっています。
    晩年に複数の作品を発表したようなので、この後の作品についても、文庫化されるのを待ちたいと思います。

  • 地位も名誉も技術もありながら、悩み続ける様子がとても印象に残りました。
    まだ天下人ではない、信長・秀吉と対面するシーンも良かったです。

    次は「等伯」を読み、違った視点からの狩野永徳を知りたい。

  • 2015.5.17
    天才狩野永徳の生涯に迫った力作。
    強烈な嫉妬心が人間らしく、天才の苦悩を上手く描いている。また芸術家は果たして、誰の為に絵を描くのか?自分の為か?客の為か?という問いにも迫っている。答えは、恐らく両方の為。父の絵との対比で、そこはうまく表現できている。また、利休のことばも、それを表現している。

    時代小説は、権力者にスポットが当たったものしか、経験なかったが、美術家にせまり、時代を描いた力作。山本兼一の他の作品も読んでみたい。

    良作?

  • 天才絵師 狩野永徳
    天才ゆえに弟子に任せられきれない葛藤、
    狩野派頭領としての守りの立場と一絵師としての新たな境地を切り開く攻めの気持ちとの葛藤、
    長谷川等伯の技量を認めながら、それに負けまいとする矜持、
    常に葛藤を抱えながら、国宝を次々と産み出し、絵を描き続け、絵を描いている最中に過労で亡くなる。
    絵については負けることを許さず、描き続ける壮絶な人生を、絵を描くことで得る至福の中で終える事ができたのであって欲しいと思う。

  • 苦手意識のあった歴史小説。狩野永徳の絵に対する思いを描いていて、すばらしい!絵の裏にあるストーリーを想像を交えて書いてあるのだろうけど、すんなり受け入れられた。これを機に歴史小説にも手を広げようかしら~。

  • 全1巻。
    狩野永徳の生涯。

    久しぶりに全開の山本節って感じ。
    よくぞ最期まで書いてくださいました山本先生。

    あいかわらず知識ゼロでも読ませる職業小説。
    特に物語中盤、信長との絡みは、
    初期作品の「信長テクノラート三部作」を思わせ、
    嬉しくなった。
    出世作「火天の城」の主人公との絡みとか、
    初期代表作と、
    山本先生が亡くなってからの物語がリンクして
    感慨深いものがある。

    『火天の城』
    http://booklog.jp/users/bullman/archives/1/4167735016


    ちょっと残念なのが、
    永徳のライバル等伯、そして等伯の妻へ対する思いが
    物語のキーとして設定されているんだけど、
    結果的にあまり目立たず、
    結末に向けて収束もしなかった事。
    個人的には、
    最期に本音をぶちまけるようなシーンを期待してた。
    等伯に対して。
    等伯の妻の絵の使い方ももったいない。

    とはいえ、読ませる力は凄い。
    最期までぐいぐい引っ張られた。
    山本兼一真骨頂。

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花鳥の夢 (文春文庫)の作品紹介

狩野派を引き継ぎ変革した天才の生涯安土桃山時代。権力者たちの要請に応え「花鳥図襖絵」など、次々と新境地を拓いた天才画家・狩野永徳。芸術家の苦悩と歓喜を描く。

花鳥の夢 (文春文庫)のKindle版

花鳥の夢 (文春文庫)の単行本

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