おちくぼ物語 (文春文庫 た 3-50)

著者 :
  • 文藝春秋
3.84
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本棚登録 : 286
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903503

作品紹介・あらすじ

千年もの長いあいだ人々に愛された日本のシンデレラ物語意地悪な継母に召使いのように蔑まれながら育った「おちくぼ姫」。ところが都で評判の貴公子が姫に求婚して…王朝版シンデレラ物語。

感想・レビュー・書評

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  • 和製シンデレラ。
    継母にいじめられていた美しい落窪(落窪んだ部屋に住まわされていた)が、今をときめく中将に見初められ、愛する落窪をいじめ続けた継母に中将が復讐する話。

    個人的には阿漕が好き。落窪に忠誠を誓って、気を配り働き続ける美しい女房。バリバリ働きながら恋も楽しんでいる姿は、現代の働く女性にも近い部分がある気がする。恋人に強気で発言しつつ、仲睦まじいのは可愛らしさもあって、とても魅力的な女性。

    落窪と中将が結ばれる所まではいいんだけど、やっぱり中将は北の方への復讐をやり過ぎているよなぁ。もう少し違うやり方もあるでしょうに…。

    どこがどう違うかと言われるとわからないけど、原作にかなり手を加えている気がする。もともと話は好きだったけど、私は田辺さんの訳があんまり好みじゃなかったので★3で。
    田辺さんの訳は出てくる物や平安時代の習わしが細かく書いてあるので、平安文学に全然触れたことない方には読みやすくておすすめ。
    一応文学部出身の身としては、もう少し本文に忠実で固めの訳が好きかな。

  • 最高でした。平安文学は苦手だったけど、去年は和泉式部、今回は落窪。
    いよいよ源氏物語ですかね。

  • 生みの母を亡くし、継母とその娘達に虐げられる心優しく美しい姫君。
    彼女を見初めてそこから救い出す美しくて人気も地位もある貴公子。
    確かにこれは平安版のシンデレラストーリー。
    さしずめ阿漕がフェアリー・ゴッドマザー?

    本筋としては落窪の姫君と中将の恋物語、なんだろうけれど全編通して二人を結びつけようとする阿漕の苦労と努力がずっと描かれるので、ずっと読んでいるとなんだか彼女が主人公の様な気がしてきてしまう。
    けれどそのお陰で単純なストーリーでもより一層楽しめる。

    後半の継母達への復讐は結構ねちっこいと思ったけれどこれでも原典よりはマイルドに訳してあるらしい。
    いつの時代も人の恨みを買うと恐ろしい事になるんだなあ…

  • 職場の方から借りて、借りたから読まねばと思い読み始めたら思いの外面白くあっという間に読了!!シンデレラストーリー!

  • とても読みやすかった。継母や義理の姉妹にいじめられる所や位の高い男性に見初められる所はシンデレラとしか思えなかった。

  • 平安版シンデレラ物語と帯びにあったので読んでみました。
    主人公は才色兼備で血筋も高貴な姫君で、嫉妬した継母に虐げられた生活を送っています。
    ある日のこと、姫の噂を聞き付けた少将がアプローチをしてきました。
    姫と王子のラブストーリーですが、それだけではないのがこの作品。

    シンデレラと違って、魔法使いは出てきません。
    主人公には始めから、彼女の身を案じ、幸せを願い、彼女のためにと献身的に働く召使いがいます。
    そんな彼女の働きが縁を結びます。
    主人公はもちろん姫君なのですが、この召使いもまた主人公のように輝いていて、熱い友情の物語としても楽しめました。
    もちろん、主人公の人柄が良いからこそ良い縁が繋がっていったのですから、主人公も立派です。
    マイナス思考がたまに傷ですが、数少ない短所でしょうし、その方が人間らしいですね。

    姫君と少将が結ばれた後の話もあります。

    少女漫画の王道をいくストーリーという帯の言葉通りの作品でした。

  • 学生の頃から好きな本で、もう10回以上は読み返していると思う。

    古典のシンデレラストーリーが面白いのはもちろんのこと、途中にある用語の解説が分かりやすい。
    例えば、三日夜の餠や几帳、お菓子等、聞いたことはあるけれど詳しくは知らないな、といった用語を作中で丁寧に分かりやすく記述してあるのでイメージがしやすい。
    このおかげで、受験の際に別の古典を読んでいても情景が思い浮かべやすかったこともある。

    落窪の君や阿漕等のキャラも好きだ。
    これからも何度も読み返すことだろう。

  • 作者の創作かと思えば、「源氏物語」や「枕草子」より古いと言う。妻は一人だという評判の若様と身分は高けれど、継母にいじめ抜かれた姫君との大恋愛劇は、まるで少女漫画の世界で、キラキラしている。しかも、仕返しまでセットだ。昔の女性達が心ときめかせて読んでいたのかと思うと、これもまた感慨深い。

  • 本屋大賞2023発掘部門『超発掘本!』
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99764500

  • 結構ライトな感じだった
    別の訳のやつ読んでみたい

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著者プロフィール

1928年3月27日生まれ、大阪府大阪市出身。樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)卒業。1957年、雑誌の懸賞に佳作入選した『花狩』で、デビュー。64年『感傷旅行』で「芥川賞」を受賞。以後、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』『ひねくれ一茶』『道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代』『新源氏物語』等が受賞作となる。95年「紫綬褒章」、2000年「文化功労者」、08年「文化勲章」を受章する。19年、総胆管結石による胆管炎のため死去。91歳没。

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