おちくぼ物語 (文春文庫 た 3-50)

著者 :
  • 文藝春秋
3.84
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903503

作品紹介・あらすじ

千年もの長いあいだ人々に愛された日本のシンデレラ物語意地悪な継母に召使いのように蔑まれながら育った「おちくぼ姫」。ところが都で評判の貴公子が姫に求婚して…王朝版シンデレラ物語。

感想・レビュー・書評

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  • 和製シンデレラ。
    継母にいじめられていた美しい落窪(落窪んだ部屋に住まわされていた)が、今をときめく中将に見初められ、愛する落窪をいじめ続けた継母に中将が復讐する話。

    個人的には阿漕が好き。落窪に忠誠を誓って、気を配り働き続ける美しい女房。バリバリ働きながら恋も楽しんでいる姿は、現代の働く女性にも近い部分がある気がする。恋人に強気で発言しつつ、仲睦まじいのは可愛らしさもあって、とても魅力的な女性。

    落窪と中将が結ばれる所まではいいんだけど、やっぱり中将は北の方への復讐をやり過ぎているよなぁ。もう少し違うやり方もあるでしょうに…。

    どこがどう違うかと言われるとわからないけど、原作にかなり手を加えている気がする。もともと話は好きだったけど、私は田辺さんの訳があんまり好みじゃなかったので★3で。
    田辺さんの訳は出てくる物や平安時代の習わしが細かく書いてあるので、平安文学に全然触れたことない方には読みやすくておすすめ。
    一応文学部出身の身としては、もう少し本文に忠実で固めの訳が好きかな。

  • 最高でした。平安文学は苦手だったけど、去年は和泉式部、今回は落窪。
    いよいよ源氏物語ですかね。

  • 生みの母を亡くし、継母とその娘達に虐げられる心優しく美しい姫君。
    彼女を見初めてそこから救い出す美しくて人気も地位もある貴公子。
    確かにこれは平安版のシンデレラストーリー。
    さしずめ阿漕がフェアリー・ゴッドマザー?

    本筋としては落窪の姫君と中将の恋物語、なんだろうけれど全編通して二人を結びつけようとする阿漕の苦労と努力がずっと描かれるので、ずっと読んでいるとなんだか彼女が主人公の様な気がしてきてしまう。
    けれどそのお陰で単純なストーリーでもより一層楽しめる。

    後半の継母達への復讐は結構ねちっこいと思ったけれどこれでも原典よりはマイルドに訳してあるらしい。
    いつの時代も人の恨みを買うと恐ろしい事になるんだなあ…

  • 職場の方から借りて、借りたから読まねばと思い読み始めたら思いの外面白くあっという間に読了!!シンデレラストーリー!

  • とても読みやすかった。継母や義理の姉妹にいじめられる所や位の高い男性に見初められる所はシンデレラとしか思えなかった。

  • 平安版シンデレラ物語と帯びにあったので読んでみました。
    主人公は才色兼備で血筋も高貴な姫君で、嫉妬した継母に虐げられた生活を送っています。
    ある日のこと、姫の噂を聞き付けた少将がアプローチをしてきました。
    姫と王子のラブストーリーですが、それだけではないのがこの作品。

    シンデレラと違って、魔法使いは出てきません。
    主人公には始めから、彼女の身を案じ、幸せを願い、彼女のためにと献身的に働く召使いがいます。
    そんな彼女の働きが縁を結びます。
    主人公はもちろん姫君なのですが、この召使いもまた主人公のように輝いていて、熱い友情の物語としても楽しめました。
    もちろん、主人公の人柄が良いからこそ良い縁が繋がっていったのですから、主人公も立派です。
    マイナス思考がたまに傷ですが、数少ない短所でしょうし、その方が人間らしいですね。

    姫君と少将が結ばれた後の話もあります。

    少女漫画の王道をいくストーリーという帯の言葉通りの作品でした。

  • 学生の頃から好きな本で、もう10回以上は読み返していると思う。

    古典のシンデレラストーリーが面白いのはもちろんのこと、途中にある用語の解説が分かりやすい。
    例えば、三日夜の餠や几帳、お菓子等、聞いたことはあるけれど詳しくは知らないな、といった用語を作中で丁寧に分かりやすく記述してあるのでイメージがしやすい。
    このおかげで、受験の際に別の古典を読んでいても情景が思い浮かべやすかったこともある。

    落窪の君や阿漕等のキャラも好きだ。
    これからも何度も読み返すことだろう。

  • 作者の創作かと思えば、「源氏物語」や「枕草子」より古いと言う。妻は一人だという評判の若様と身分は高けれど、継母にいじめ抜かれた姫君との大恋愛劇は、まるで少女漫画の世界で、キラキラしている。しかも、仕返しまでセットだ。昔の女性達が心ときめかせて読んでいたのかと思うと、これもまた感慨深い。

  • 本屋大賞2023発掘部門『超発掘本!』
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99764500

  • 結構ライトな感じだった
    別の訳のやつ読んでみたい

  • 長孫が読みたくて購入した本。孫のあとで読みました。孫はこの後どんどん古典小説にはまっています。私はまあまあ面白いとも思いましたが、
    昔昔、源氏物語に若い女性がはまり、みんな読んでいました。今は瀬戸内寂聴さんだけれど(孫の読の読むのは)私の時はやはり女流作家の…思い出せない

    田辺聖子さお訳は、わかりやすくてとてもおよかったです。

  • 平安時代の物語ということで高貴なイメージがありましたが、所々笑えるところや汚い場面もあり、いい意味で親しみやすく人間味の強い話だなぁと思いました。ただ一人の女性をまっすぐ愛する男性が理想的すぎるので、きっと作者は女性だろうな…私もこんな男の人に出会いたい…と遠い昔に生きていた方ながら共感を覚えずにはいられません。
    田辺聖子さんの訳もすごく読みやすくて驚きました。古典初心者なので助かります。本当に読んで良かったです。

  • いのまたむつみさんの表紙イラストがかわいい。日本版のシンデレラ物語として有名な古典。田辺聖子訳は今となってはちょっと古く感じる部分もあるけど、アレンジも読みやすく、おもしろかった。阿漕の働きがすごい。好きなキャラです。

  • 想像以上に面白かった。
    解説は『ガラスの仮面』の美内すずえさん。

    正にシンデレラストーリー。

  • 資親さんと四の君さんが幸せになってるだけで素晴らしく感じてしまう。
    それにしてもお父様の主体性のなさよ。
    みんなから耄碌じじい扱いされてしまって…。
    でも、この時代の耄碌じしいさんだから、実際今の感覚だと若いんだろうな。何歳ぐらいなんだろうな。
    相変わらず見栄が支配する世界だけど、とりあえずハッピーエンドにしてあって良かったよ。

  • 高貴な生まれだが、母親が死んでしまったため
    義母にこき使われる日々をおくるお姫様。

    平安版シンデレラ、というのには納得な状況ですが
    親指姫も混ざっているような状況です。
    本人にはまったくもって駆け引きするつもりはなかったでしょうが
    うまい事作用して、向こうは夢中。
    そしてうまい具合に、邪魔をしそうな人物はいなくなる。

    わりと序盤ですべてが整うわけですが、それから先
    義母の奮闘(?)によって、また色々と大変な状況に。
    この時代ですから、自力で逃げる、という手が使えないので
    じりじりとすか事が進まない。
    そのおかげで、よし! という状態で出ていく事が。

    本人ではなく、周囲の人間が仕返しをしているのも
    異母妹が幸せをつかんでいるところまであるのも
    風呂敷きれいにたためて、納得する読後感でした。

  • 最高!最近は、原作訳だけじゃなくて、小説風とか漫画になってるから、古典も親しみやすくなったね✨

    姫を助け出すシーンは、
    ハラハラして一気に読んじゃった( ´∀`)
    ヒロインの姫も好きだけど、阿漕という女房が一生懸命で大好きだ...!

    日本語とか和歌の訳とか、いいまわしとか...分かりやすく砕くと物足りなさがあったりするけど...。
    この本はその辺も丁寧に訳してあって良かった◎

    古典初めての人も文春文庫は
    普通の物語調だから読みやすくてオススメ!✨

  • 途中までは、その性格にいらっとするところはありつつも、おちくぼや阿漕を応援していたのだけど、だんだんいらいらの方が強くなり、後半の仕返し編は、読むのがちょっとしんどかった。 田辺さんの現代語訳にも時代があるのだと思う。 40年も前のものだから。 源氏物語を思わせる部分は、こちらが原典かな。 前半の阿漕帯刀コンビはすごく好き

  • こりゃダメでした。超速読で。

  • 話はおもしろかったけど、合間合間に、読者に語りかけるナレーター的文章が入るのが、物語に没入してるところから醒めてしまうので、毎回萎えました…。
    まさに「和製シンデレラ」という表現が合う物語でした!
    やっぱり、いまの価値観にあわないし、小さいころに読んでいれば純粋に受け入れられたのですが、いまでは、ヒロインの性格が現実離れして感じてしまいますね、できすぎているというか、、
    でもそれは「いま」だからそう感じてしまうのであって、この物語の時代の価値観ならとても受け入れられたんだろうな、と

  • おちくぼ姫と右近の少将だけでなく、四の君と兵部の少輔もハッピーエンドに終わって良かった。でもこれは田辺さんによるアレンジで、原作ではそうはなってないみたい。

  •  題材は古典文学だけど、読みやすくアレンジされている。ハッピーエンドなのは良かったけど、少女漫画的な展開でご都合主義ではある。遊び人の少将がこの後もずっとおちくぼに飽きずに愛し続けるかは甚だ疑問。

  • 恥ずかしい装丁だが、非常にたのしく読んだ。うっとおしくならない程度に当時の生活や結婚事情の基礎知識の説明もおりこまれているし、ある程度現代の人にも共感を得やすい感情描写もあって、万人に読みやすい作品だと思う。もともとの物語が良いのだが、扱い方が良い。おちくぼというとなんといっても結婚後、北の方へのリベンジになるとたいへんエキサイトする。胸のすく物語。

  • 読み始めたら思いのほか面白かったです。
    でも落窪の姫の継母である北の方がいじめエスカレートしていく過程が見ていられず途中で何度読むのをやめようかと思いました(笑)
    阿漕が献身的に姫君を支える姿には感動しました。
    そういう人になれたらいいなーって思います。

    でもあまりにも落窪の姫があまりにも聖人君子すぎて・・・。恨みつらみがちょっとくらいあってもいいのに。
    それが引っかかり★を減らしました。

  • 『舞え舞え蝸牛』の新装版。原作よりもソフトに、少女漫画チックに書かれているので、大変読みやすい。四の姫の件は田辺さんのアレンジで、ハッピーエンドの大団円を迎えられて良かったですね。『落窪物語』は、ついつい手が出てしまう大好きな作品です。

  • 主役は、この「おちくぼの君」というよりも、主人公のお付きの女房なのではないでしょうか(苦笑)

    どこかで見たような展開ということは、この後の作品は「源氏物語」も含め、多大なる影響を与えたということなのですね。

  • 継母と義姉妹にいじめられている気立ても器量もよい姫ぎみが、なんでもそろっているイケメンに見初められ幸せになるシンデレラストーリー。というか、シンデレラより落窪物語の方が古いのだけども。
    結婚後、少将と衛門の復讐がやたら詳しく書かれているのもおもしろかった。原作はもっとひどくて長いらしいが、田辺聖子さんがかいつまんだらしい。これくらいのボリュームでぴったりだと思う。姫ぎみと四の君が継母を許してあげているラストシーンがじんわりよかった。

    それにしても、落窪物語やとりかえばやといいシンデレラといい、人間が好きな「物語」って千年以上前からたいして変わっていないのだなあと感心。予定調和な物語はバカにされがちだけれど、おもしろいからこそ千年も受け継がれているんだよな~。

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著者プロフィール

1928年3月27日生まれ、大阪府大阪市出身。樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)卒業。1957年、雑誌の懸賞に佳作入選した『花狩』で、デビュー。64年『感傷旅行』で「芥川賞」を受賞。以後、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』『ひねくれ一茶』『道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代』『新源氏物語』等が受賞作となる。95年「紫綬褒章」、2000年「文化功労者」、08年「文化勲章」を受章する。19年、総胆管結石による胆管炎のため死去。91歳没。

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