藝人春秋 (文春文庫 す 20-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167903510

感想・レビュー・書評

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  • そのまんま東、石倉三郎、甲本ヒロト、草野仁、古舘伊知郎、三又又三、堀江貴文、湯浅卓、苫米地英人、テリー伊藤、ポール牧、爆笑問題、北野武、松本人志、稲川淳二、有吉弘之
    あとがき/若林正恭

    奇人変人、鬼才天才らのエピソードがただただ面白い。ダジャレはくだらないが博士の文章も嫌いじゃない。

  • 通勤のお供にと思って読んでみたら、なかなか読み応えがあった。水道橋博士の人物に対するマニアックな審美眼がよいです。出てくる人たちが怪人物ばかりですが、その魅力を的確に説明して一般人にも分かる様に翻訳してくれます。良書でした。

  • なにげなく読んだらおもしろくてびっくりした。この人、人間が好きなんだろうなあと思う。有吉弘行の帯文「困るんだよなぁ、あのクズ野郎のことで泣きそうになった」もなんかよい。

  • 著者の観察眼が鋭く、大変興味深く読んだ。ただ、そんな聡明な著者がそこまでビートたけしに入れ込む理由がよくわからない。たけしってそこまで魅力のある芸人かな?全然わからない。かつては輝いていたのかな?
    なんだかんだでやはり稲川淳二の回が一番よかった。息子さんが障害者でお涙頂戴の美談というわけではなく、著者が稲川淳二のプライベートというリアルにもっとも真剣に向き合っていたからだと思う。お笑いブームとかクソみたいにつまんなくて大嫌いだけど、芸の道というものを見せてもらったという感じ。
    あとは湯浅卓と苫米地英人の回がよかった。二人とも狂っているので、著者の冷徹な筆致で正確に描写するだけで面白くなる。それをわかっているから著者も興に乗って軽やかに冷徹さを徹底している。

  • 水道橋博士による芸人に対するノンフィクション。水道橋博士の本は始めて読んだけど、この人は超絶に頭が良いなぁ、という印象。記憶力、分析力、構成力が半端ないというか。目次眺めて、目次の芸人に興味があるなら買って損無し。非常に読み応えがある割に、あっという間に読み終わってしまった。

  • 東国原英夫 慶応通信制 ビートたけし殺人事件 文武平等 ハンドボールでインターハイ ゴルフシングルプレーヤー 政経学部 高田文夫 ラモス瑠偉と桜樹ルイ 割れたガラスの破片 慚愧 母を妾とし、破天荒な人生を歩んだ父 父親探し チョウザメブリーフ どげんかせんといかん 石倉三郎 畳み込んで行くそのスピードとリズム感。センスの良さと時代感覚の鋭さ。使い古したような昔風の台詞でも、決して色褪せて見えないお洒落さ、粋さ。 深見千三郎 愛甲猛 西新宿のマンション 山梨の甲府の闇カジノでルーレットを廻してたことがあってね 門前仲町深川花菱 甲本ヒロト 十四才 向こう側への線 草野仁 そもそも、あの胸囲が''ザ・ワイド''だからね!」 ベビーフェイス(善玉)のムーブ(言動) シュート(真剣勝負)セメントマッチにも強い 行った所がカザフスタン、つまり中央アジアですよね。向こうにテンザン山脈が見えるというアルマータっていうところに連れて行かれましてね、そこで来る日も来る日も重労働を3年半… 神輿に乗って 瓦 手刀一閃 たけ師とひと師 長崎県島原市 古舘伊知郎 博士の従来のルポライター体質が覚醒 質問の千手観音 人より心が冷たい ''日本語の異種交配''とも言える比喩のミルフィーユ 言葉の求道者 伊知郎とイチロー。冷め切った感情、それが当たり前であるかの如く興奮は見せぬまま淡々と喋り続け打ち続け、観客の過去への郷愁は許さない。 鶴見に生まれしひとりの男の子 真面目なトーンで違うことを言うのが面白い 沈むなよ 橋本真也34歳、小川直也に負けたら即引退スペシャル 言霊溢れる過激実況の真骨頂を 三又又三 おれは直角 小山ゆう 坂田亘 三又竜馬は自分の夜明けを待っている 堀江貴文 江川卓を彷彿させた 下馬の一軒家 だって竜馬の亀山社中って日本のベンチャー企業の先駆けでしょう 岸部四郎の気持ち 湯浅卓ゆあさたかし 国際弁護士 ロックフェラーセンタービルを売った男 神はディテールに宿る筈だ 妄言をアクセル一杯に吹きまくる 傲慢無礼な態度 連獅子れんししの毛振り エリマキトカゲの悲哀も感じさせる 神はディテールに宿るはずだ 苫米地英人 ロックフェラーセンターを買った男 イェール大学 三菱地所 それは上の方で大筋合意してからテクニカルな弁護士同士の話になんでしょ 絵に描いたような「とっちゃん坊や」真贋しんがん ジミヘンならぬジマン止まららヘン状態で語った 上智大学 本物のディベート''弁論の格闘技''を持ち込んだ張本人でもあると自称する 上祐より俺の方が上流と、格の違いを強調し、かの尊師より尊大に振り返った。 ネタの繰り返し、お笑いでいうところの「テンドン」も忘れない。 「彼らが理解できればね!」決め台詞がカッコよすぎる! テリー伊藤 こうかくあわ口角泡を飛ばす舌鋒ぜっぽう ラテンの次はテキサスだ 「でもさぁ。俺だけは、たけしさんの哀愁以外だけを演出したいんだよぉ!」 斜視の矯正手術 ポール牧 訃報ふほう 指パッチン 邂逅かいこう ポールのポールにパールが入っていたわけか! 鷹揚おうよう ルポライター吉田司 甲本ヒロト 立川談志 輪廻転生 太鼓持ち 鴎のジョナサン 落語の一席は多くの場合、「導入→本題→オチ」の三つで成り立っています。この“導入”部分のことを、「マクラ」といいます。和歌なんかに出てくる「枕詞」のまくらです。高座にあがっていきなりストーリー突入では、聞いているこちらもちょっと味気なくてつまらない。はじまりのちょっとした時間で聞いている人の気持ちをグッとつかむ。それがマクラの役割です。さらに落語のマクラのすごいところは、時にそれが後の本題への伏線になってたりすること。そして噺家さんによってはお客さんのマクラへの反応を見て、高座の上でその日の演題を変えてしまうことも。そんな大事な役割をもったマクラには、短いけど洗練されたキレのいい小噺がたくさんあるんです。
    かけがえがなくなってくる 「『変わらないからいい』『変わるからいい』とかじゃなくて『いまそれが好きかどうか』。」 爆笑『いじめ問題』この文章の''言霊''の無さは何ということだろう? 所詮首の挿げ替えが可能な、ただのお飾りの人形 嘲笑してるってシニカルな笑い 斬られ損 某番組司会者 お笑いは昔から予定調和のいじめギャグで笑わせてきたんでさ 本音とウソのバランス感覚がなくなってるんだろうな 世界は、遊びとはいえない殺しのようなキャッチボールなんだ。 どこまでも「お前が言えるか!」という自己矛盾が付いて回る 緩慢で退屈な日々 うつらうつらと、生きていても死んでいるような 毎週、深夜ラジオのバカ話であるが故、ときおりシリアスな話題を正面から語るときの凄みと言葉の刺さり具合と言ったらなかった。 「悩んでる奴はとっとと死んじまえ!」と突き放した。それは脳内で変換され、暫く木霊した。そんな人生なら、とっとと辞めてしまえ! 「ここで今をときめくアイドルが死に、俺のような今や死んだも同然のボンクラが生き直そうとしているのか…」生死観そのもののようなものを打ちつけられた。 しかし、それを僕は望んだのだ。 ここは死線であり、もう一歩も引けないという覚悟と共に。 たぶん、昨今の''いじめ問題''の発言に、僕が違和感を持つのは、只々「死ぬな!」と「逃げろ!」だけのメッセージだからかもしれない。まるで、どこかに、ダメな自分を常に優しく包み込んでくれる社会があるかの如く保証しているような空手形に馴染めないのだろう。 もっと強くしごかれたいと望むほど、社会や他人ではなく、不安定で無力で逃げ腰で耐性が無さ過ぎることへの「自分への苛立ち」の方が大きかったのだ。「たけしさんがやったことは逆説なんだってことを気がつかないと、それをそのまま受け入れちゃうと、それで良いんだと思っちゃうじゃない?」 跋扈ばっこ 昔の人間は誇りがあったと最近すごく言われるけど、同時に、昔から落語家がいて、お侍のことを茶化す奴等がいて、どっちもあったじゃないですか? 自分の世界があったから救われた お前その経験をしとくと、将来伸びるから‼︎(爆笑) その一層(30人)だけで判断するなよ… 「虐めは殺すが、弄りは生かす!」 傷だらけのスカーフェイス 「赤信号、みんなで渡れば恐くない!」などのブラックユーモアを提示 ラジカル=過激なさま 俺の方がより凶暴で、俺の方が優しい 稲川淳二 俺は虐められてるんだっていう根性じゃ駄目なんですよ。どんなことでもマイナスがあればプラスがある。損した分だけ得しなくちゃ駄目ですよ。虐められた分、目立ってやろうとか、どこかで得しなくっちゃ」''ヨイショのグレコローマン・スタイル''と言われるほど相手のバックに素早く廻り肩揉みを決める 局を出たら夜中。車の中から見る街の景色が歪んでいて、なんだかショッパイものが唇を濡らしているんです。自分じゃ気が付かなかったけど、泣いているんですよ。泣いてるという実感もなしに泣いてるなんて、ああいうの初めてだったな」 活字を追うスピードと胸の鼓動がシンクロした 滂沱ぼうだの涙 臓腑を抉えぐられるような葛藤 これはお笑いの文章じゃないでしょ。なんか嫌だなぁ〜、嫌だなぁ〜と思ってね、人の病気や哀しさを活字にしといて、それが「泣ける」なんて言われると、どういう顔していいんだろうって 重度の知的障害者 簀の子 小さな成長の証 児玉清 アタック25 負けるのは美しく 本を読む悦びは結末があることだ 褒賞ほうしょう 貴闘力 「休場させてください。不戦敗でダメですか?」 誠意なき反省なんて茶番なんですよ! 脳内にアドレナリンが噴出した 険 ペイント・イット・ブラック ブックオフの100円棚に堆く積まれていた頃 あいつはまだ何も見せてないですから… 酔ってない時にアレ出せたら、アイツ、これから化けるよ! 根岸の金正日 おしゃべりクソ野郎 これからは人間関係という貯金をしていくべきだ 芸能界で唯一の人脈預金は上島竜兵だけで、その銀行が一番、危ないんです。 ヤンキー系のニーズが高いテレビで受けてるんだと思う テレビのバカ連中の買いかぶりなんですよ! 我が意を得たり 白い雲のような紫煙をバリア代わりに吐き出した サブカル系の人が苦手なんですよね その優れた環境適応能力を裏付ける戦略が披露されている 向こうの知識欲を満足させるっていう作戦です 苦手なタイプには質問に徹して完全服従 言葉責め的な嗜虐の快感に包まれ 彼は本を読むだけでなく文脈も正確に読み取れている人 困るんだよなぁ…あのクズ野郎のことで泣きそうになった 組み立て工 壊し屋 リサイクル業者 自分流にリフォーム 番組を初期化してしまうのではなく、ウィルスコードを仕掛けてプログラムを改変してしまう知能犯だ 雛壇芸人 その生温かいポジションに安住 いつか解体されるBIG3 サイレント・レボリューション 沈黙の下剋上 ルポライター竹中労は、「人は無力だから群れるのではなく、群れるから無力なのだ」と書いた ひとりきりのヒッチハイク キッズ・リターン たけしさんは僕にとって都合の良い嘘をつかない数少ない大人だった 辛いことや悲しいこと情けないことや恥ずかしいことがあっても笑い話にすればいいという救いを受けた 中国の魔裟斗 自分のネタの不甲斐なさのせいで春日を経験も無い格闘技のリングに上がらせてしまったことに負い目を感じていた 人見知り芸人 物語りの大きい小さいじゃない。他人の物語りか、自分の物語りかなのである。英雄でも武将でもないことを思い知った後、自分の物語りが始まる

  • 「藝人」という特殊なジャンルを、インサイダーの立場から描いた一冊。

    博士が扱うだけあり、どの人物もコクがあり、とても読みごたえがあった。
    そして彼が文章畑の人間だということを感じた。

  • 水道橋博士の人物評。
    東国原英夫、ビートたけし、甲本ヒロト、松本人志など、そうそうたるお笑い芸人を博士の視点で書かれてある。
    どれも面白いが、抱腹絶倒なのは、三又又三の話。
    芸人としての本人は、笑ったことがないが、すべらない話で松本人志が取り上げることも多い三又。
    やっぱりすごい人なんだと思う。
    オードリー若林の解説も面白く、この人が本を書いたら読んでみたいと思った。
    芸人になるような人で、味のある人たちには、既存の教育制度に適合できず、お笑いの世界で初めて他人から承認されたような人も多いのだろうと想像した。

  • 稲川さん・・・知らなかった、逸話

  • 意外にもオードリー若林のあとがきが一番うるっと来た。

著者プロフィール

1962年岡山県生まれ。ビートたけしに憧れ上京するも、進学した明治大学を4日で中退。弟子入り後、浅草フランス座での地獄の住み込み生活を経て、1987年に玉袋筋太郎と漫才コンビ・浅草キッドを結成。1990年のテレビ朝日『ザ・テレビ演芸』で10週連続勝ち抜き、1992年テレビ東京『浅草橋ヤング洋品店』で人気を博す。幅広い見識と行動力は芸能界にとどまらず、守備範囲はスポーツ界・政界・財界にまで及ぶ。メールマガジン『水道橋博士のメルマ旬報』編集長。
主な著書に『藝人春秋3 死ぬのは奴らだ』『藝人春秋2 ハカセより愛をこめて』『藝人春秋』(文春文庫)、『はかせのはなし』(KADOKAWA)ほか。
浅草キッドとしても『お笑い 男の星座2 私情最強編』『お笑い 男の星座 芸能私闘編』(文春文庫)などの著書がある。

「2021年 『藝人春秋Diary』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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