日本〈汽水〉紀行 (文春文庫 は 24-4)

  • 18人登録
  • 3.75評価
    • (4)
    • (0)
    • (2)
    • (2)
    • (0)
  • 5レビュー
著者 : 畠山重篤
  • 文藝春秋 (2015年10月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167904753

日本〈汽水〉紀行 (文春文庫 は 24-4)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 海の恵みは川をさかのぼり森林があってこそもたらされる、という「森は海の恋人」を合言葉に、植樹をすすめている宮城の漁民、畠山さん。
    地元の気仙沼湾が、海水と淡水のまじりあう海産物の宝庫「汽水域」であることに端を発し、日本各地の汽水域を訪ねた折のエッセイとしてまとめられている。
    知ること多く、自分がふだん食べているものに思いを馳せずにはいられない、すばらしい本だと思う。
    どこへ行っても、森の存在が牡蠣やアワビ、シジミなど海の生き物を守っている・・・、先々で出会った人とのやり取りや実際に見た風景を詳細に記すことで、そのことをより身近に読み手に感じさせてくれる。

  • 著者は、気仙沼の牡蠣・帆立の養殖漁業家。現在では、「NPO法人・森は海の恋人」代表にして、エッセイストでもある。
    本書は、文藝春秋の雑誌「諸君!」に2001~2003年に連載された「汽水の匂う洲(くに)」をまとめて2003年に出版され、日本エッセイスト・クラブ賞を受賞(2004年)した作品である。(2015年文庫化)
    私は本書を手に取るまで、恥ずかしながら「汽水」という言葉すら知らなかったが、本書を読んではじめて、「汽水域(=淡水と海水が混じり合う水域=河川水が注ぐ海)」がどれほどの海の生き物の宝庫で、それはなぜなのか、そしてそのために森が如何に大切なのか、更には、だからこそ日本の海の恵は世界に類がないほど豊かなのであるということを知り、新しい世界に目が開かれた思いである。
    著者が1989年に始めた「森は海の恋人」の活動は、国や地方自治体からの理解も得て、今や全国に広まっており、著者は地元・気仙沼湾をはじめ、自らが訪れた陸奥湾、岩手の広田湾、宮城の舞根湾、北上川、新潟の三面川、富山湾、千葉の大原、東京湾、天竜川、諏訪湖、宍道湖、四万十川、有明海、屋久島、さらに中国の揚子江と舟山諸島の、汽水の様子や現地の取り組みなどについて綴っている。
    そして、当然ながら、現地の海の幸についての記述も多く、それが本書を一層楽しめるものにしている。気仙沼のもどりガツオ、三陸の牡蠣とアワビ、東京湾のアサリと海苔、宍道湖のシジミ、富山湾の寒ブリ。。。
    都会で会社勤めをする私にとって、森や川や海に関わる直接的な活動をする機会は残念ながらないが、本書を読んだことによって、今後、食する海の恵が、どのような森と川とつながった、どのような海で、どのように育ち、どのように獲られたものなのかを多少なりとも意識できるようになる気がする。
    日々の(食)生活を豊かにしてくれる、優れたエッセイ集と思う。
    (2015年11月了)

  • 気仙沼で養殖業を営みながら、森の保全を進めた作者のエッセイ集。「森は海の恋人」というキャッチフレーズは、生態系の複雑さと大切さを思い出させる。

  • 【森は海の恋人運動の提唱者。気仙沼で牡蠣を養殖する筆者が、運動を通じて出会った人々と土地を描いたエッセイ】
    汽水とは河口近くの湾、淡水と海水の混ざり合うところ。山から下ってきた腐葉土などの栄養分、特に鉄分が含まれ海の幸が豊富。気仙沼はその代表。
    筆者の森は海の恋人運動に賛同した多くの漁師や養殖業者などの方々との出会いが記されている。
    縄文時代からの陸奥湾、ムツゴロウの有明海、四万十川と鯨、屋久島、諏訪湖とウナギ、江戸前の文化、宍道湖の蜆、寒鰤の富山湾、三面川の鮭など。遠くノルウェーから気仙沼を訪れる外国人もいる。
    日本の環境行政は縦割りだという。林業から河川、海とそれぞれ管轄は別。自然を無駄に破壊する開発も多かった。
    日本列島は中央を縦断する脊梁山脈の森から血管のように無数の川が日本海と太平洋に注いでいる。だから日本は汽水に囲まれ海の幸が豊富だという。
    本書、文庫版のあとがきでは東日本大震災の気仙沼の被害にも話が及ぶ。津波の被害地は埋め立て地が主であり、川や流域の森に被害はない。森からは引き続き鉄分が供給されるため、川を保全したことが海の回復につながっているという。
    復興を経た筆者の新たな作品にも大いに期待したい。
    満足の行く一冊でした。

全5件中 1 - 5件を表示

畠山重篤の作品

日本〈汽水〉紀行 (文春文庫 は 24-4)はこんな本です

日本〈汽水〉紀行 (文春文庫 は 24-4)を本棚に登録しているひと

日本〈汽水〉紀行 (文春文庫 は 24-4)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

日本〈汽水〉紀行 (文春文庫 は 24-4)を本棚に「積読」で登録しているひと

日本〈汽水〉紀行 (文春文庫 は 24-4)の作品紹介

日本の本当の豊かさはここにあった――森と海が出会う場所〈汽水〉には、人間にとって一番大切なものがある。「森は海の恋人」運動の著者が贈る感動の名エッセイ。

日本〈汽水〉紀行 (文春文庫 は 24-4)のKindle版

ツイートする