悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

著者 :
制作 : ピエール・ルメートル 
  • 文藝春秋
3.81
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本棚登録 : 3565
感想 : 450
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167904807

感想・レビュー・書評

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  • 救いのない一冊。というか、この人の本を買い求めた時点で強く陰鬱なる刺激を求めたわけなので、一周回って当たりだったのだが、それにしてもバッドエンドに程がある。さすが、凄惨な殺人事件を書かせれば、映画SAWの比じゃないほどに目も当てられない。被害者に感情移入した時点で、精神を根こそぎもっていかれそうになるほどの絶望感、これから起こる、もしくは今自分に起こっていることへの失望感、虚無感、etc、を味わうはずです。他者に対してそれができちゃうあたり、やっぱり脳の何かが欠けているとしか思えない。ちょっとでも想像できれば、人の痛みが分かるなら、普通はできない、という一線をスキップで超えていくような作品です。

  • 面白かったんだよ。後味超悪いけど。
    でも読み終わって尚、やはり言いたいことがひとつある。

    タイトルひどくない?

    聞けばこの作品、三部作らしい。
    『その女アレックス』
    『傷だらけのカミーユ』

    だ、ださーーー

    つまんなそう。絶対につまんないよ。

    ただでさえ翻訳本に抵抗があるし、信頼してるブログのレビューを読まなかったら絶対に手に取ってない。

    しかも本作に関してはさらにネタバレになっちゃってますし。
    悲しみの、って誰目線の言葉なんだろね…イレーヌってもちろん重要な登場人物なんだけど、恐ろしいことに結局のところほとんど彼女のことって描写されてないわけですもんね。

    タイトルのことばっかり言っちゃったけど、構成はすごい面白かったです。私はほとんどミステリを読まないので事件の類似やらよくある構成やらに関しては知識が無いので素直にほぇーーってなれました。
    ただ犯人は誰だ?トリックはどんなだ?という観点から読み応えを期待した場合どうなんだろう?このぽんこつな脳みその私ですらどう考えても1人怪しい奴がいるな、と思ったし色々スムーズ過ぎたり、いやそこスルーする?みたいなとこも多いし文章のそこここに違和感があって、まぁその理由は読み進めたら分かるんだけども。

    とにかくスイスイ読み進めちゃうの。
    あぁ〜この先絶対最悪なことが起きるんだっていう予感がビンビンしてるのに、引き寄せられるかのように読んじゃう。読みたくないーでも読みたい止まらない。

    って、思って読んでのアレでしょ。
    作者性格悪いでしょ。「ぷーーザマァww」て言われてる気分だったよ。まったく!面白いったら。


    ともかくこのままだとあまりにも読後感が悪いし、本当のカミーユはどんな人物なのかも気になるので、続きも読まないとですね。
    読んだところで、「ほんとうの」ことなんて何もわからないんだろうけれど。

  • 低身長の精神的にはうら若き部分も多々あるリーダーが部下たちと仕事をする話は、30代、40代の共感を得るでしょう。イレーヌが何やら終始良い人。もう少し人間臭くて良かったのでは?

  • グロはともかく(けして好きでもないが)、娯楽であるはずのフィクションの読書でまで人生に絶望したくないので、イヤミスなるものはあまり得意ではない。それでこれまで意識的に避けてきたのだが、「悪の猿」(J・D・バーカー)を非常に面白く読んだら「ルメートルの二番煎じじゃないか」と酷評するレビューがあったので、それならばと手に取ってみた。
    はたして下馬評どおり、グロとイヤミスとどんでん返しがすばらしい作品だった。

    不器用で無愛想な警察官にふさわしからぬ幸福な家庭像に、もう冒頭からイヤな予感しかしない。日本では翻訳が前後したという事情はあれど、せめてタイトルはなんとかならなかったのか。10年、20年経って今の評判が沈静化したとて、このタイトルでは台なしである。
    そんなこんなでネタははなから割られているようなものだったが、「もうひとつのアイディア」は秀逸だ。世界が根底からひっくり返って粉々に砕け散るような、この仕掛けは確かにすごい。こちらは逆に時が経ち、シリーズ作品が積み重ねられていった後にこそ、ますます効果を発揮するものだ(かく言う私も、続巻でどんなヴェルーヴェン警部に出会えるのか、とても楽しみにしている)。
    あと、なにげにポイント高かったのが、日本ともアメリカとも北欧とも違う、現代フランスの警察の捜査描写。コツコツとハイテクの両輪が絶妙にかみ合っていて興味深かった。

    「悪の猿」のレビューで触れられていたのは「アレックス」とその次の「カミーユ」のほうだが、我慢(?)してシリーズ第1作のこちらから手に取って本当によかった。それが難しいのは重々承知だが、本作は少しでも予備知識の少ない状態で読むのが吉である。
    また上述のとおり、ネタの1つはすでに割られているようなものだが、もう1つのほうはその状態でも充分に楽しめるので、「ならや〜めた」とせずにお読みになることをお勧めする。

    2019/1/2〜1/3読了

  • 「最近話題になるミステリーといったら残虐殺人ものばっかだな」と思いつつ本書を読みだしたら、案の定……(´ェ`)ン-…
     が、だんだんこのグロミスブームを皮肉った作りになってることが分かってきて、さらに……(゚д゚)!
    「やけに第一部が長いな」とも思ってたけど、「第二部」が始まったとたん、「ああ、そういうことか!」と……(゚д゚)!
     うまいこと考えたなあ、と思った( ´ ▽ ` )ノ
    「イニシエーションラブ」的な衝撃( ´ ▽ ` )ノ
     ゆえ どうせなら第一部と第二部、もっと大きく「変えた」ほうが面白くなったよね( ´ ▽ ` )ノ
     ネタバレになりそうだから あんまり詳しくは書けないけど、〇〇系の作家ならこの仕掛けを活かして、こっちをこうしたりあっちをああしたり、「分かってニンマリ」度を増すことができてたろうなあ( ´ ▽ ` )ノ
     〇〇系作家ならずとも、泡坂妻夫氏がこれを読んでいたら「俺ならもっとうまくやれるぞ」と鼻で笑ってそう( ´ ▽ ` )ノ(「第二部」を袋とじにしてたかも)
     まあ、作者の処女作らしいから、こんなとこなんだろうね( ´ ▽ ` )ノ
     ちびっこベルベンをはじめ 曲者ぞろいのデカたちの人間模様も面白かったし、今後の期待株だね( ´ ▽ ` )ノ

     しかし、先行した「その女アレックス」と体裁を合わせた結果なんだろうけど、邦題はよろしくないね(>_<)
     いまグーグル翻訳かけたら、原題Travail soignéの直訳は「慎重な仕事」だって( ´ ▽ ` )ノ
     なるほどね( ´ ▽ ` )ノ

     マッコイの解説は とっちらかってるし自分語りが多いし分かりづらいしで、本編の読後感を悪くした……(´ェ`)ン-…


     刊行から時間がたってようやく全巻を入手できたんで、結果として シリーズを正規の順番通りに楽しめる( ´ ▽ ` )ノ
     次は大いに話題になった「アレックス」( ´ ▽ ` )ノ
     楽しみ楽しみ( ´ ▽ ` )ノ

    2018/12/23
     

  • 2018.12.02.読了
    先にその女アレックスを読んでしまったため、もしかしたら楽しめないかも。。。と危惧しておりましたが、そんな心配は無用でした。
    文句なくおもしろい!
    しばらくピエールルメートルにハマりそうです。
    次に読もうと何冊か買ってありますが、勿体無くて読めない!
    一旦、ほかの作家の作品を読みます

  • 細部はさておきインパクト大

  • 『アレックス』を先に読ませた文春さんが恨めしい…

  • 「その女アレックス」を読む前に、こっちが先だったと知って、この作者の作品で初めて読んだ作品。

    全体を見ればなかなか面白かった。事件現場の描写がとても細かくておぞましいと思うくらい。一方で、ヨーロッパでの話で、そこの登場人物だからか、名前や場所がなかなか頭に入ってこなくて読みにくかった。でも最後の殺人事件がああいう形で終わることは想像してなかったな。

    「その女アレックス」に期待しよう。

  • 翻訳順が逆だから仕方ないけど『その女アレックス』より先に読みたかった!!
    結末知ってても、してやられた感はハンパない。結末知ってるのに、ドキドキもビックリも、ざわざわもした。
    久々に残虐で気持ち悪くなった(誉め言葉)。

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著者プロフィール

橘 明美(たちばな・あけみ)
英語・フランス語翻訳家。お茶の水女子大学卒。訳書にスティーブン・ピンカ―『人はどこまで合理的か』(草思社)、デヴィッド・スタックラー&サンジェイ・バス『経済政策で人は死ぬか?』(草思社、共訳)、ジェイミー・A・デイヴィス『人体はこうしてつくられる』(紀伊國屋書店)ほか。

「2023年 『文庫 21世紀の啓蒙 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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