- Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167905569
作品紹介・あらすじ
これは、いのちのものがたり十四年間ともに暮らしたジャーマン・シェパード、タケとの最後の日々。重なるのは日米間で遠距離介護をしていた父の姿だった――。
感想・レビュー・書評
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2017/10/13読了
「犬心」
〜急いで書かないと、タケのいのちに置いてけぼりにされてしまうような気がしている。
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伊藤さんの全ての作品を読んでいるわけではないけれど、この人の綴る文章がとても好き。
笑ってしまったり ほろほろ涙がこぼれたり。う○この話が多いけど 老いるということはそういうことかと思ったり。良い本でした。
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老親、老犬と暮らす、見送る。親、こども、犬。自分よりずっとタフでエネルギッシュな日々を描いているのだけれど、解像度も立体感も透明度も違うような、なんというか、なんかすごく良かったです。
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「犬心」伊藤比呂美著、文春文庫、2016.02.10
252p ¥670 C0195 (2021.10.03読了)(2021.09.30拝借)
「先生!どうやって死んだらいいですか?」を読んでいたら『犬心』が出てきました。
100頁に以下のように述べてあります。
『犬心』では、十四年間も一緒に暮らした愛犬の老いていくさまを、遠距離介護していた父の姿と重ねてみたわけですけど、言われてみれば、犬も人間も変わらないんですよねえ。
ちょうど手元に、かみさんから渡された『犬心』があることが分かったので読んでしまうことにしました。犬の末期も人間の末期もさほど変わらない様子がつづられていました。
【目次】
第1章 犬心
第2章 えー、うんこの話を少々
第3章 ルイのお爺さん
第4章 行く命来る命
第5章 ルイの旅
第6章 タケの恋
第7章 そのときが来た
あとがき
文庫版のためのあとがき
解説 町田康
☆関連図書(既読)
「今日 Today」伊藤比呂美訳・下田昌克絵、福音館書店、2013.02.15
「先生!どうやって死んだらいいですか?」山折哲雄・伊藤比呂美著、文藝春秋、2014.02.15
「ハラスのいた日々」中野孝次著、文春文庫、1990.04.10
「老いの生きかた」鶴見俊輔編、ちくま文庫、1997.09.24
「介護入門」モブ・ノリオ著、文芸春秋、2004.08.30
「死顔」吉村昭著、新潮文庫、2009.07.01
「ボーヴォワール『老い』」上野千鶴子著、NHK出版、2021.07.01
(「BOOK」データベースより)amazon
十四年間をともに過ごした愛犬、ジャーマン・シェパードのタケ。最後の数年、その一挙手一投足に、死は、生は、と考えた。浮かび上がってくるのは、カリフォルニアから熊本へと、遠距離介護を続けた父の姿だった―。パピヨンのニコ、ルイにも囲まれた生活のなかで、詩人は思索を深める。これは、いのちのものがたり。 -
読んでいくと、引っかかる部分が1つ、2つと出てくる。もちろん感動する場面もあるのだが、結局は後味が悪い。
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老犬との暮らし、そして別れを綴ったエッセイです。
アメリカ在住の著者は、
九州で一人暮らしをしている老いた父親の面倒もみています。
老犬の介護をしながら、
アメリカと日本を行ったり来たりしての遠距離介護です。
著者にはときおり老犬と父親の姿が重なって見えたりします。
文章はライトな感じで、けして重々しさはないのですが、
これってすごくたいへんな状況だと想像できます。
ですから犬との関係が
美辞麗句だけで語られているわけではありません。
生老病死という誰も逃れることのできない事実が、
淡々とリアルに綴られています。
そして、その淡々とした描写の中に深い愛情がうかがえます。
愛犬を看取るのはとても辛いことです。
犬を亡くして思い知らされるのは、
犬から与えられた愛情の大きさ、深さです。
与えたものより、与えられたものの多さに愕然とします。
人間って愚かな生きものですから、
失ってからやっと思い知るんですね。
その点犬は、日々全力全身で愛情を表現します。
エライですねぇ。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2 -
(特集:「先生と先輩のすすめる本」)
「飼い主の意思には抗えて」も逆らえない「内なる犬的なもの」を、「犬心」と著者は呼ぶ。彼女は愛犬タケの犬心を、見て、嗅ぎ、聞き、書く。犬の目線から人の目線から、タケの全てを書き残す。老犬の介護と老父の介護を同時にこなしながら、命のあり方と向き合うその筆は、時に焦り、乱れ、笑い、悩むが、いつ終わってしまうとも知れない命に急き立てられるように、上のことから下の事情まで書く。私の愛犬が死んで二年になる。その「犬心」が与えてくれもののなんと多いことかと、この本を読んで改めて思う。町田康の解説も秀逸。
(教員推薦)
↓利用状況はこちらから↓
https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00546464 -
タイトルに惹かれて購入。
「これはいのちのものがたり」とあるとおり、最後は「死」に涙してしまうことを覚悟して、ページをめくった。
ときに笑いも交えて語られるさっぱりとした文章が、余計に泣けた。 -
ちょっといまいちかなあ・・
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実父と愛犬が年老いて看取られるまでを著者がそれぞれの思いを重ね合わせエッセイ風に仕上げられた作品。犬の寿命は本当に短い。ご飯をあげ、散歩に行き、糞尿の始末をし、怒って撫でて躾をし、ギュッと抱きしめ臭いと温もりを感じ、そういう事をすればする程幸せを感じる。愛情を持って接すれば必ず愛で答えてくれる犬。犬は我々の心の中が分かっているのだ。昨年、愛犬の一匹(トイプー)も老いて生を全うして旅立った。ほんのひと握りの骨だけになった時の喪失感は今でも残っている。それでも命と向き合うのは大事な事だ。だからこそ一生懸命愛すのだ。