Deluxe Edition (文春文庫 あ 72-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167906085

作品紹介・あらすじ

現代を疾走する作家の超小説集!現代文学を代表する阿部和重が9・11から3・11へ至る世界に対峙した12の小説。おなじみの洋楽ナンバーに乗せてお届け。

感想・レビュー・書評

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  • 作品中に洋楽(およびその歌詞)が登場するのは作者の特徴のひとつだけれど、この短篇集は曲のタイトルを使っているものの歌詞は引用されない(ひとつだけ曲のタイトルではない、「Geronimo-E,KIA」には「I want you back」が伏字入りで引用されるが)。なのに、目次を見ると、コンピレーションアルバムっぽい雰囲気を醸しているのがあべかずっぽい逆転感。アップルミュージックにプレイリスト作ってくださってる方がいたので、聴きながら読みました。

    以下、思い出したくなった時のために:
    「Geronimo-E,KIA」:ビンラディン暗殺。これが一番印象に残ったかも。現実がゲームにずれこむ構造は、先日読んだ『フライデー・ブラック』とか、ジョージ・ソーンダーズなんかにもありそうだけど、あれらは問題提起や風刺の対象が明確なのに対し、こちらは何を提起したいのか、そもそも問題提起の意図などないのか、はっきりしないところが好きだ。
    「Bitch」:これがハルヒのやつか!(笑)
    「Search and Destroy」:微妙な世代間の描き分けが愉快。両親の名前が星夜と樹璃亜で、子が一三六と佐都子なのがツボだった。
    「In a Large Room with No Light」:シンセミアっぽくて面白かった。場面が映画みたいに頭に浮かぶ(って陳腐な感想だが、作者の小説はそこが心地よいからいくらでも読めるのかも)。軽いのか重いのかわからない身体の痛みも映画的。
    「Sunday Bloody Sunday」:これ、面白かった!血の日曜日ってそういうことかよ!っていう。主人公もトイレのドラえもんもキモ切ない。
    「The Nutcracker」:福永信さんの解説ではピストルズが挙げられていたけど、わたしは「ミステリアスセッティング」っぽいと思った。寓話を入れ子にしているところもそうだし、ユウコちゃんのうざさとかあの妹を思い出す。でも、シオリとちがってユリは自己犠牲ではない道を選ぶんだね。雪の異世界にたどりつくところはタイトルの『くるみ割り人形』っぽくて、『グランドフィナーレ』の冒頭といい、あべかずはガーリーな描写もうまい!
    「Family Affair」:ヘイトデモとか外国人の搾取とかSNSとか2013年に書かれているのに今っぽい。最後よくわからなかったのでまた読み返したい。
    「Ride on Time」:短いのでさらっと読んでしまったが、解説を読んではっとした。波って、金曜日って、そういうことか・・・。ぼやぼやしないでこういうとこちゃんと読めるようになりたい。

  • ハルヒに似た話があるけど、特にクレジットはないみたい。いいのかな。パクリ感あり。

  • 2冊目だが、やっぱり現代音楽聴いてるみたい。
    普通に起承転結のある話が好きな私には「で?」という感想しか出てこない…

  • 3.2

  • びっくりするほど短編

  • 始めの幾つかの作品は?という感じだったが、読み進めるにつれて、いつもの阿部和重節が全開。
    ふざけているのか、おちょくっているのか、どうせフィクションだからと過度なホラ話めいた風にしているのか。そのような煙幕の中から、鋭い弾丸が飛んでくる。

  • 9.11から3.11に至る世界と対峙した12の短編小説集。タイトルはお馴染みのロック、ポップスの曲名から取られている。阿部特有の世界感はそのままに暴力と猥雑さに滑稽さも垣間見れる。

  • インディビジュアル・プロジェクションから追いかけている(女の人が写ってる表紙の写真につられて「ちょっとえっちな話しかな、と思って買ったのは秘密だ)阿部和重。スナイパーの話など大きなオチがある短編がとくに楽しめた。新境地ではないか。解説も本編をより楽しめるように考えられていて大変よかった。

  • 【現代を疾走する作家の超小説集!】現代文学を代表する阿部和重が9・11から3・11へ至る世界に対峙した12の小説。おなじみの洋楽ナンバーに乗せてお届け。

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著者プロフィール

1968年生まれ。1994年「アメリカの夜」で群像新人賞を受賞しデビュー。1997年の『インディビジュアル・プロジェクション』で注目を集める。2004年、大作『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞、第58回毎日出版文化賞、2005年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞受賞。『シンセミア』を始めとした「神町」を舞台とする諸作品には設定上の繋がりや仕掛けがあり、「神町サーガ」を形成する構想となっている。その他の著書に『ニッポニアニッポン』『プラスティック・ソウル』『ミステリアスセッティング』『ABC 阿部和重初期作品集』など。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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