歌川国芳猫づくし (文春文庫 か 46-32)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167906801

作品紹介・あらすじ

天才絵師と猫。江戸の怪事件を解く!今なお人気の歌川国芳が風刺画、春画、滑稽画を引っ提げて江戸の怪事件に出くわす! 猫を愛した天才が活躍。ユーモア溢れる短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 歌川国芳の周囲で起こる様々な事件とその顛末を軽快に描いてあった。
    下手なのに国芳に絵を習いに来る老人、金魚を偏愛する男、北斎の娘・応為に振り回される日々、病を抱える妻に義母に自分自身に猫、幽霊が出てきたり、歌川広重との冷戦があったり、最後は自分の偽者まで現れたり。
    国芳が大好きな猫は常に八匹置いておくと決めているらしいが、一匹亡くなったと思ったらどこからかまた新しい猫がやってくるのも面白いし、弟子たちも増えたり減ったり。
    人の死や殺人も起こるが、陰惨ではないので楽しく読めた。
    出来れば作中に登場する作品を掲載して欲しかったかな。
    自分で検索して眺めながら読んだ。
    五十代半ばの国芳が描かれているので、自分や家族の健康や老いらくの恋、自分の作品がどう残っていくのかを考える様子など、興味深い部分も多い。

  • 風野真智雄の作品だけに、どれも軽妙でありながらもグッとくる。

  • 作者の大衆小説作家観というようなものが浮世絵師国芳の口を借りて語られているのだ思った。それは『団十郎の幽霊』に特に顕著に見られて、さらに加えて猫への愛も。《暗い夜にあいつがいないと、闇は猫のかたちだけ削り取られ、寂しくなった気がする》(p38)。かっこいいフレーズだ。

  • 装丁ラブ(笑)

    きっとこんな人だったんだろうなという国芳観に合っていた。
    読むまでは勝手に「国芳と愛猫が探偵して事件解決!」みたいな作品だと思っていたので、あれ?
    と感じたけれど、面白く読めた。

  • 面白かった。
    帯には怪事件、という言葉があったが、特に怪事件というわけではなく、難解な謎解きがあるわけでもなく、その意味では耳袋とは違うのだが、人間の織り成すいろいろなことが丁寧に書かれているという感じ。まぁ、事件はそもそも怪なるものばかりだと思えば、怪事件でもよいのかな。
    一編一編が味わい深い。義母との関係や、下ッ引きの変容など、なかなか読ませてくれるし、応為も登場するなんて言うのは大サービス。
    もう少し、読みたい気分です。

  • 猫好きの彼の人間臭い思いにとても親近感を覚えました。

  • 面白かった!
    国芳と猫とお弟子さん達と、身近のちょっとした謎解き。不思議もあり。
    お栄さんや広重も登場するし、北斎や暁斎の逸話なんかもてんこ盛りで超豪華!
    国芳と同じ時代に生きていたら、彼が絵に込めた想いもリアルに感じとれてもっと楽しめて驚けたのに…と思うと悔しいーっ。
    至急、本の中に出てきた作品を見直さなければっ。

  • http://wp.me/p7ihpL-hA

    べらんめい口調の人気絵師、歌川国芳を主人公にした小説。
    8匹の猫、妻とその母、2人の娘と暮らす国芳は通いの弟子たちとともに自宅の仕事場で仕事をする。
    病弱な妻の世話を母に任せ、仕事が終われば弟子たちや火消しの棟梁と近所の店へ夕飯に繰り出す生活。
    60歳を目前にした人気絵師の周りに起こる、大小の様々な事件の短編集。

  • 普通に面白かった。けど、長編だったらもっとよかったのになぁとおもいます。そして思ったよりもにゃんこが活躍しなかった。

  • 【天才絵師と猫。江戸の怪事件を解く!】今なお人気の歌川国芳が風刺画、春画、滑稽画を引っ提げて江戸の怪事件に出くわす! 猫を愛した天才が活躍。ユーモア溢れる短編集。

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著者プロフィール

かぜの・まちお
1951年生まれ。’93年「黒牛と妖怪」で第17回歴史文学賞を受賞してデビュー。主な著書には『わるじい慈剣帖』(双葉文庫)、『姫は、三十一』(角川文庫)『大名やくざ』(幻冬舎時代小説文庫)、『占い同心 鬼堂民斎』(祥伝社文庫)などの文庫書下ろしシリーズのほか、単行本に『卜伝飄々』などがある。『妻は、くノ一』は市川染五郎の主演でテレビドラマ化され人気を博した。2015年、『耳袋秘帖』シリーズ(文春文庫)で第4回歴史時代作家クラブシリーズ賞を、『沙羅沙羅越え』(KADOKAWA)で第21回中山義秀文学賞を受賞した。「この時代小説がすごい! 2016年版」(宝島社)では文庫書下ろし部門作家別ランキング1位。絶大な実力と人気の時代小説家。本作は「潜入 味見方同心」シリーズの完結作。



「2023年 『潜入 味見方同心(六) 肉欲もりもり不精進料理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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