ありふれた愛じゃない (文春文庫)

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著者 : 村山由佳
  • 文藝春秋 (2016年9月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167906924

ありふれた愛じゃない (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  • これを読んだ読者の中でどれだけの人が 自分も感情のまま素直に行動に移せたら…と思ったことだろう…
    真奈に感情移入してしまって、リウが 本当に惹かれる人で素敵で仕方なかった。
    ジョジョのような話相手が私も欲しい。ズバッというけど的を得ていて言ってることは正しい。
    一見優しそうな貴史の方が実は嫉妬深くていざとなると手をあげてしまう性格で、リウのような男性は女性に対して一見ぶっきらぼうだけど、決して手などあげるようなことはなく、心から深く愛してくれて守ってくれるんだろうな

  • ボラボラ島に行きたくなった。
    いや、真奈と一緒に同じボラボラ島の景色を見ていた。海の匂いを感じ、肌に張り付く湿気を感じ、まとわりつくエイの生々しくも確かな触感を感じ、現地の時間を感じていた。
    250ページ辺りでたまらずネットでボラボラ島を検索した。
    島の景色も、オテマヌ山も、ホテルの内装も、文字から映画のように立ち上がる世界と同じものだった。
    一字一句、読み飛ばすことなくよ噛み締めて読んだ。
    この本は速読できないタイプだった。
    一日、集中してボラボラ島に行けたことは幸いだった。
    物語のタイトルも章題も、人の名前も、真珠のように上品でかつ目を奪わずにはいられない純粋な照りを持っていて愛惜しい。
    人々の人となりもまたしっかりと輪郭が確立されており、本当にそこに彼らが暮らしているかのよう。
    一月ほどバカンスを楽しんだような気分になれた。
    セントレジスへの憧れも植え付けられ、憧れの海上コテージにいつか滞在したいと、夢が広がった。

    日本人はグレーの曖昧を受け入れられるというのが意外と言えば意外で、受け入れているというのとはちょっと違うんだよな、曖昧にしておくことを選んでいるというのが一番近いかなと思っていたところ、灰色にもたくさんの種類があり、それぞれに名前がついているという話が出たのを見て、私たちはただ灰色を受け入れているのではなく、同じ灰色でも、鳩羽鼠か桜鼠か、ベースは同じでも数多の要素により選択肢が広がる灰色の、微妙に異なる色彩の、名付けられた灰色のうちからふさわしいものを選びとっているのだ、と思った。
    日本人が好きな鼠色な人とのやり取りは、曖昧の度合いも色々あろうし、程度も様々。

    外国には愛はあっても恋を表す単語がないらしきというのもなかなかショックだった。
    狂おしくなるほど求めてしまう、そのためならなんでも捧げてしまっても構わない。
    あなたが私のもとに来てくれるのなら。
    会いに行くのではなく来てほしいというのが恋。
    どこまでも片想い感が抜けない、相手を手繰り寄せるように求める気持ち。
    確かにこれは、その辺にありふれている思いやりの愛じゃない。
    自分勝手でわがままな恋なのだ。

    竜介の最後のエアメール。
    一連の出来事を通して、最後に遥かな距離と人生とを越えてこっちに来いというあの手紙は、表題のラストにふさわしいありふれた愛ではないものの最たるものではないか。
    それでも片方が答えたとき、満たし合いながら狂おしいほどの恋心は両者の水かさをならすように分け与えられ、均等にならされていき、愛となる。
    鯨という神々しいマナの宿りし者に祝福の虹をかけてもらい、二人の前途に幸せあれと願う。
    言葉が素直でない真奈にはボディラングエージでしか伝えられないこともある。
    しかも、体は素直だから、求めるものにしか素直に伝えられない。
    厄介だが、本当に求めるものを見分けるにはよかったのだろう。

    わたしはマリヴァが好きだ。
    娘二人の母であり、女であるマリヴァが好きだ。
    ベビーベッドの間で愛しい男とやましさなく裸で眠れる彼女が羨ましいし、人をもてなせる愛を持っているところも、嫉妬に狂う彼女も直接的で好きだし、情熱的に踊る彼女も、腕を折られて尚娘を守ろうとする母としての彼女も好きだ。

    ジョジョには是非あってみたい。
    外見が少々ぼんやりしたまま読み進めていたが、40半ばのレレに人生相談に乗ってもらいたいと、いや、彼女はそんな辛気くさい話なんか聞きたかないわよと一蹴してくれそうだが、そんなやり取りをしてみたい。
    一番会ってみたい人。

    そして、こざっぱり後の渡辺広美はジョジョと似たような口調と性格で、真奈の日本のジョジョになったなと(笑)
    ドロンジョ様だし、なんか似てるし。
    余生とか言ってないで、もっかい恋してほしい。
    いや、きっと数年、いや何カ月後かには、胸と子宮の奥から焦がれるような相手に出会えるに違いない。そうあってほしい。

    子犬君は小動物系の彼女とうまくいくのかな。
    均等に注ぎ合える想いでないと、関係を保つのは難しいのかもしれないから。

    クリスはボラボラ版の子犬君みたいだったかな。
    年上のお姉さんに憧れる年下の男の子。
    香港のホテルの御曹司として、きっと素晴らしいラグジュアリーなおもてなしをしてくれることだろう。
    香港でもバイバイなんだねって、ああそうか、英語の音に漢字つけたのか。なるほど。

    ボラボラも香港も混血が生まれる歴史がバックボーンにあるんだわね。

    高橋社長の男としてというか人間としてはダメだけど、人生観と商才は憧れるものある。
    「物事にはすべて、流れというものがあってな。うまくいかないからと無理にそれに逆らったって、絶対に結果は出ない。そういう時はあえて一歩引いて、仕切り直して、自分の乗っかる流れそのものが変わるのを待ってやることが大事なんだ。」(p62)
    「貧乏だってかまわんが、貧乏くさい発想だけはするな。」(p67)
    ハッとする言葉が二つもあった。

    薫子さんはあれはあれで幸せ?なのだろう。
    確かな目があるし経営手腕持たしかで。
    ビシッとしていて働く女として憧れる。
    何を優先して大事にするかで、幸せを考える理性的な彼女。
    高橋さんとは別の大事な男性が一人くらいは過去にいそうだ。進行形かは探らないこととして。
    てないと女の色香は出ないもの。

    苦難を飲み込んで美しく育つ真珠の物語。
    村上由佳は10代の時に読んだ「青のフェルマータ」の性と暴力表現がトラウマになっており、これも南国ものということで一年も暖めてしまったが、この時期に読めてよかった本だと思った。
    相変わらず暴力表現が容赦なくていたかったけど、10代の頃のようなショックと気持ち悪さまではなくて、うまくやり過ごせたのかと思う。
    女として生きるからには、男のああいう短絡的な暴力の対象となることもあるのだと、村上由佳は容赦なく突きつけてくる。
    その一方、濃厚な性描写は本能的な、根元的なものを包み隠さず表すのに必要なのだと、今なら受け止めることができる。

    映画で見てみたいな。

  • 全体的な内容の割に長い、落とし所が予想できる流れの中で起きる出来事がそれを揺るがす訳でもないのでダラダラした感じを受ける。村山由佳らしいキラーワードがある点は惹かれる部分ではあった。

  • 再会、真珠と南の島と。ささいなことがきっかけで相手が自分の仕事とその比率を認めてくれないように思えてしまう瞬間について、昨日会話したばかりだったのでそのシーンがすごく印象的。

  • 主人公がありふれてないようでありふれた恋愛をしている状況から入れば、タイトルからして何かが起きそうな予感。そして出張先の非日常(それも仕事で行った先は世界中が認めるリゾート地)で過去と向き合い・・・ 先が読めるようなでも読めなくて、超保守的主人公はどうなるのか?彼女の思考回路がわかるようでわからなくて気になって読み進んでいった。

  • 村山由佳さんの作品は舞台となる土地の描写が魅力的でいつもその土地に行きたくなったり住んでみたくなったりする。
    今回もタヒチの海やホテルのすてきなコテージやバーなどなど、友達が新婚旅行でタヒチに行って写真を見せてもらったことがあったのでイメージが浮かんで\いいな~タヒチ~/ってなりながら読んでた。
    ストーリーは「運命の愛」って感じだけど、凡人としては運命の相手じゃなかった過去の人たちの立場だったらな…と思ってしまう。
    そりゃー誰だって運命の人なんて相手がいたらいいけどさぁ~。

  • 真珠、タヒチ、タトゥー、暴力が印象に残った

  • BGMには是非SADEのベストアルバムを。32歳、独身、年下の彼氏有、仕事はまぁまぁ順調。あとは結婚まっしぐらか。買い付けの出張で訪れたタヒチで運命は大きく動く。美しい自然が何よりものウリなリゾート地・タヒチで待っていたものは濃密で異次元のような出来事ばかり。彼の地では聖なる力とも言われているMANAと同じ名を持つ真奈。社会通年や常識にがんじがらめになっているようにも見れる。それは社長をして「固い」と言わしめる頑なさ。「人生は、願うならどんな方向にだって舵を切ることができる。」決意した人は美しく、強い。

  • タヒチに行くことで、自分の本心に気づく女性の恋愛話。
    本当の愛ってなんなんだろうな。分からなくなる。
    どのキャラクターも、現実的というか魅力的に思えた。

  • ・「だいたい、好きなだけじゃやっていけないなんて言うけど、タヒチの女たちはまるで逆よ。相手と一緒にいるかどうかの基準は『この男が好き』って気持ちがあるかどうかだけ。結婚を選ぶなんてむしろ稀で、お互いに愛情がある限りは一緒に暮らすし、愛が消えればたとえ子どもがいたってさsっさと別れる。それこそが人としての誠実さってものでしょ」

    ・「あんたたち女はね、自分じゃ気がついてないかもしれないけど、おっそろしく欲ばりなのよ」

    ・「―で?」
    「え?」
    「いったい何があった?」
    別に、としらばくれた竜介に、タプアリは首をふって言った。
    「お前が俺を訪ねてくるのは、心が乱れたときだけだ」

    ・「こいつらはたいてい、オスとメスがくっついて泳いでるんだ」
    「つがい、ってこと?」
    「ああ。で、オスを銛で突くだろ。そうするとメスは、何でだろうな、うろうろ泳ぎ回ってその場を離れようとしない。それで結局、自分も捕まっちまうんだ」
    「そうなのよ、おばかさんでしょ?さっさと逃げればいいのに」
    言いながら、マリヴァが今度こそキッチンへ消える。奥からゴトリと魚の頭をシンクに置く音に続いて、勢いよく水を出す音がした。生臭くなった手を洗っているのだろう。
    「・・・・おばかさん、か」
    「ん?」
    「ううん。なんだかちょっと、泣ける話だなと思って」

    ・「わかってないのね。あんたたちって、強烈に反発し合ってる磁石みたいなものなのよ。傍から見てると苛々して、つい、S極とN極をくるっとひっくり返してやりたくなるの。たったそれだけでー」

    ・「安心しろ。俺がいる」
    立ち泳ぎをしながらも竜介に手を握ってもらうと、不思議と落ち着いた。この感覚だ、と思う。どんな時も自分を守ってくれる強い牡への、闇雲な信頼。絶対の安心感。

    ・あまりの神々しさに打たれ、自分でもわけのわからない感情が突き上げてきて、大声で叫びたくなった。そうするかわりに、水底へ向かって両手を差しのべる。もとより届くはずもないのに、たまらなく切ない。

    ・言葉にならなかった。たったいま確かにこの目で見たはずなのに、もうすでに幻のように思えるのだ。その存在があまりにも巨き過ぎて、脳の処理能力を超えてしまったのかもしれない。

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