あしたはれたら死のう (文春文庫 お 69-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 269
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907488

感想・レビュー・書評

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  • 図書館から借りた本。

    太田紫織の本はオークブリッジで読んでいたのと、
    やはり地元の作家さんということで、久しぶりに読んでみた。
    櫻子さんは苦手だったけれど、これはとても読みやすくてあっという間に読んでしまった。

    謎解きパートがハラハラというか面白かったのだけれど、
    もう少しひねりが欲しかった気もする。
    タイトルの「あしたはれたら」がなぜ平仮名なのかとか、変な勘ぐりをしてしまった。
    あと、援助交際のくだりも別に驚きがなくて、
    なんなら志信の相手はお父さんなのかと思っていたから、
    そこも違うのかという感じだった。

    出てくる人の感情の起伏が激しくて、
    やっぱりどこか生きてる人って感じではなく、創作における「人(キャラクター)」という感じがした。
    太田紫織の作品の登場人物はみんなキャラクターという感じがする。
    どこかに居そうな人、という感じがしない。
    そういう意味ではライトノベルだなぁと思う。
    内容的には浅い部分をどうしても感じてしまったけれど読みやすさはとてもちょうど良かったので、楽しめたと言えば楽しめた。
    ただ、帯広や北海道に住んでてこんな「わよ」とか「〜だわ」みたいな女性語を使う人は少ないと思う(笑)
    いるかもしれないけど。
    関東から来たお金持ちのお嬢様かと思われてそれこそ虐められそう。

    出てくる大人がみんなどこか歪んでいて、情緒不安定なのもシニカルだなぁと思ったりしました。
    学校の担任なんて、常軌を逸しすぎてて現実的では無いし。

    夢の中の言葉の「来て」は、
    最終的に「生きて」のきてっていうオチかなって思ってたから、違ったんかーいってなってしまいました(笑)
    深読みよろしくない。

  • タイトルからして、救いのない話だったら嫌だなと思っていたけど、強くて前向きな話だった。生きていくって大変だなとしみじみ感じる。

  • 「あしたはれたら死のう」と日記に書いた翌日、遠子は、ある少年と共に、橋から飛び降り自殺を図る。遠子だけは命をとりとめたが、遠子は数年分の記憶と感情を失っていた。
    なぜ「わたし」たちは死のうとしたのか、遠子は本能的な使命感で、「わたし」たちの自殺の原因を探っていく。

    (以下ネタバレあり)

    書き出しが、「帯広という街の名前の由来は、少女の性器という説がある。」で始まる衝撃。
    この小説は淡々と謎に迫っていく感じが小気味いい。
    特に志信くんの秘密がだんだん明らかになっていくのは驚き。愛する人に裏切られ、紙飛行機を壊すことになり深く傷ついた志信くん可哀想です。
    しかし、石川さんが志信を真に愛していた云々の描写があったけど、完全に金を払って体を許す関係があったんでしょ。
    16歳の高校生と淫行とか、犯罪ですから。承認欲求が強い志信くんの未熟さと不安定さを大の大人が利用するなんて、純愛でもなんでもないでしょ。
    石川悪くない的な描写に違和感たっぷりです。

    最後もすっきりした終わり方のようだけど、遠子の学校関係の描写も入れると良かったのに。一度川で自殺未遂した女子高生が、その後再び川で死にかけるって、大ニュースだよ。学校も対応大変だろうし(担任の先生「またかよ・・」とか落胆してしまいそう)、千晶の話だけ出して、シロとつっかの話に触れないのはなんとも悲しい。
    結局遠子はあんまり友達と思っていなかったのかな。

    「あしたはれたら」が平仮名なのが、何らかの意味があるのではと思ったが、何にも意味なくて残念。

    • 灯 六鹿さん
      初コメント失礼します。
      私も、タイトルになにか意味があるのかと思っていたのに何も無くて肩透かしを食らった1人です(笑)
      こういうのって深読み...
      初コメント失礼します。
      私も、タイトルになにか意味があるのかと思っていたのに何も無くて肩透かしを食らった1人です(笑)
      こういうのって深読みしてしまいますよね!
      2023/06/22
  • なぜ「死」だけが漢字なのかとはじめは疑問に思ったけど、深い意味はなかったのかな。ただ死ぬのではなく遠子と志信とがともに逝くこうとすることを選択するまでのもっと深い心の交流と葛藤があったのではないかと思うものの、そこまでは書かれていないのがちょっと残念。

  • 「明日晴れたなら、死のうかな」とにわかに思った事があるから手に取ってみた。
    自殺を題材にした作品は人物の心の動きが鮮明に書かれてるから好きなんだけど、記憶喪失からのスタートだったからミステリ感の方が強く、真相も思っていたより浅く感じてしまったため、評価低めです…。中学生の頃でも読めたので読みやすさはあったかと思います。

  • 自殺未遂の結果、数年分の記憶と感情を失った少女、遠子。彼女は何故自殺を選んだのか、たどり着いた結末とは。
    なかなかに良い所を突いてくる青春ミステリである。悲しみ、喜び、切なさなどがある。中でも読者を鼓舞するメッセージは万人の心に届くのではないだろうか。主人公が得た能力をあまり活かせきれていない部分は首を傾げたが、一読に値する作品だ。

  • 良かった。

  • 最初の方は、主人公の同級生達のいじめがあまりに幼く羞恥すらも感じたのですが、後半につれて謎が解けていき、最後の十数ページは号泣してしまいました。
    これは私が家族に恵まれているからこその感想なのかもしれないので、もしかしたらあまり感動できない方もいらっしゃるとは思いますが…

    (以下、少々ネタバレ入ります)
    この物語の『わたし』である遠子と志信は、“面白くて、優しい、無責任な人間”の被害者だと感じました。“面白くて、優しい、無責任な人間”とは即ち、遠子にとっては父親、志信にとっては母親の元恋人のことを指します。
    遠子はヒステリックな母親を疎み、父親といる方が快いとすら感じていました。父親はヒステリックでもなく、怒りもせず、冷静に話を聞いてくれるからです。しかし、最終的には母親のヒステリーが心配故のものであると気づきました。
    一見腹立たしいことを言う人の方が、自分のことを想ってくれている場合も多いことに私自身、改めて気付かされました。
    志信の方も同じです。
    遠子も志信も遠子の母親も花子さんも、全員“無責任な人間”に人生を狂わされています。
    何故“無責任な人間”が面白くて優しいのかといったら、それは責任を取るつもりがないからです。だから、なんでも好き勝手できるのです。相手の後先も考えずに優しくできるのです。
    これからの人付き合いを考えさせられる話でもあるなと思いました。

  • 良かった、、、、、、、
    遠子と志信の2人を取り巻く環境がどんなものだったのか、記憶のない遠子がどんどん明らかにしていき、かつ遠子自信が変化することに対する周りの変化も読んでいて楽しかった。クライマックスのシーンは、私の語彙で表現することが不可能なほどよかった、泣いた。
    人にもおすすめしたい!

  • 読みやすく、まずまず面白いストーリーだったけど、後に残るものはあまりなかった。

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著者プロフィール

北海道札幌市出身。2012年まで旭川市在住。小説投稿サイトE★エブリスタにて作品を発表し、高い筆力で人気となる。同年、「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」にて、E★エブリスタ 電子書籍大賞ミステリー部門(角川書店)優秀賞受賞(Eleanor.S名義)。他に、怪盗ロワイヤル小説大賞 優秀賞、E★エブリスタ×『カルテット』小説コンテスト 大賞を受賞。著作に「昨日の僕が僕を殺す」シリーズ、「涙雨の季節に蒐集家は、」シリーズ(共に角川文庫)などがある。

「2022年 『後宮の毒華』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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