女を観る歌舞伎 (文春文庫 さ 29-8)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167907976

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  • 女を観る歌舞伎。女形って歌舞伎の超特徴的な一面ですが、やはり時代背景もあってか、お芝居のなかで大活躍するのは立役(男役)であることが多い。女暫とか、女団七とか、あえて「女」を主役にしている演目もあるが、逆に何も言わなければ主人公はだいたい男性。私もどちらかというと立役の魅力を重視して見てしまう。そんな歌舞伎のいくつかの演目を、「性愛以外においては女にしか興味が持てない」というくらい女観察が好きな酒井さんが、女性の振る舞い、生きざまに焦点を絞って解説。複雑な時代物のあらすじも華麗にすっとばして、ただひたすらに女。
    すごく雑にいうと、歌舞伎の中の女性はだいたい不幸、しかも自ら不幸な(、と私たちには思える)選択をすることさえあります。現代の人権意識ではあまりに理解不能すぎて、「そういうものなんだ…」とわかったようなわからんような感じで呑み込んで観てしまいがちですが、酒井さん、そこは同じ女同士と斬り込んで、私たちにも通ずるようにタイプ分けしていきます。「罪な女」「リードする女」「だめんず好きな女」等々。
    これですっきり昔の女の気持ちがわかった!とまではいきませんが(そこまで封建社会甘くない)、あ~こういう女の人いるいる、こういうことあるある、という理解から歩み寄ることはできそうです。

    実はこれが初・酒井順子さんだったがそういう意味ではチョイスを間違えたかも。初めて順子節を味わってみようとしている私からしたら、歌舞伎は題材として強すぎるというか…。せっかくいただいた新鮮な食材もカレーに入れたらカレー味だわな、みたいな。そっちは別のものでリベンジしようと思います。

著者プロフィール

エッセイスト

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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