決定版 鬼平犯科帳 (7) (文春文庫) (文春文庫 い 4-107)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167908157

作品紹介・あらすじ

鬼平誕生50年を記念して、人気絶大の時代小説のベスト&ロングセラー「鬼平犯科帳シリーズ」全24巻を、【決定版】で順次刊行。さらに読みやすい文字になり、カバーデザインも一新、全巻揃える楽しみも倍増。鬼平の魅力から脱け出せなくなる第7巻。「雨乞い庄右衛門」「隠居金七百両」「はさみ撃ち」「掻掘のおけい」「泥鰌の和助始末」「寒月六間堀」「盗賊婚礼」の7篇を収録。解説:中島梓

感想・レビュー・書評

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  • なれるものならなってみたい“おまさ”の登場がほんの少しだったので、あら残念……と思いきや、まさかの辰蔵が大活躍!?の場面が多々あり驚き!あはは、何度吹き出したことやら、この若様は今回もやってくれました。
    辰蔵のことを少し紹介いたしますと、この年、寛政四年の正月を迎えて二十歳となった、われらが“鬼平”こと火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵宣以の長男でございます。
    まあ、この辰蔵、剣術の方はさっぱりで、悪友の弥太郎に女あそびを教えてもらってからというもの、そちらの方面に打ち込んでいるご様子。父よりも怖い母の久栄に小遣いをねだりながら(そしていつもピシャリと断られる)、平蔵には、己の命にかえても私邸の留守はお任せを(平蔵夫婦が役宅で暮らしているため)……などと調子のいいことばかりを言っております。
    親の居ぬ間に羽を伸ばし放題のドラ息子……それでも何とも憎めないのが辰蔵であります。

    『隠居金七百両』
    そんな辰蔵が、茶店「笹や」で働く芋の煮ころがしのような小むすめ(失礼ねっ)に夢中になることから、ある事件に巻き込まれる。
    走る、尾行する、人助けする、“鬼辰”の活躍はいかに!?

    『泥鰌の和助始末』
    季節は秋。あの辰蔵が「人が違ったように」剣術の稽古に励んでいるとの報告を、私邸の用人松浦与助より受けて半信半疑の久栄さん。
    噂の辰蔵が、ある時半蔵のご機嫌伺いに役宅へ。
    「これ久栄、小づかいをねだっても渡してはならぬぞ」
    「おっしゃるまでもございませぬ」
    頑張ってること自体に、もう何か裏があると思われてしまってる辰蔵……ぷっ。可哀想だけど、笑える。
    その辰蔵から平蔵は、松田十五郎と名乗った浪人の恐るべき剣法についての話を聞き、ある男を思い浮かべる。
    父から件の浪人を見かけたなら、後をつけるよう、一人の大人として扱ってもらったばかりか、尾行のときに必要な費用まで与えられた辰蔵は、張り切って浪人探しに精を出すのだが。
    “鬼辰”は再び活躍することができるのか?それとも、人生そんなに甘くない!?

    ……どうも辰蔵が出てくると、本題の事件から離れた「辰蔵日記」になっちゃいます。

    『雨乞い庄右衛門』
    発病し、梅ケ島で療養していた“雨乞い庄右衛門”は、体調が回復したことから江戸へ戻ることにする。その旅の途中、旅籠で曲者に襲われたところを偶然にも平蔵の剣友、岸井左馬之助に助けられるが。
    事件解決の褒美として、左馬さんにあるものを渡すこととなってしまい、珍しく泣き出しそうな顔の平蔵。えー左馬さんの意地悪〰️。久栄さんはさすが鬼平の妻、笑っちゃってます。

    ……いやいや、辰蔵だけでなく左馬さんが出てきても、本題の事件から離れた「左馬之助日記」になっちゃいます。

    『はさみ撃ち』
    薬種屋〈万屋小兵衛〉へ出入りするようになった貸本屋の友蔵は、主人の小兵衛より四十も年下の女房・おもんをたぶらかし、店へ盗みに入ろうとする。しかし、そのことに気づいた老主人と番頭は何やら面白そうで。この楽しそうな、おか……いやいや旦那さまと番頭さんの正体は。
    茶目っ気たっぷり、子どもにかえったような、いたずらお爺ちゃんたちに、くすり。

    ……「近頃のわけーもんは、なっちやいねえっ。この盗人の面汚しめ。顔洗って出直して来いってんだ!」
    あら、ワタクシとしたことが、思わず啖呵きっちゃいました。これは失礼、うふふ。

    他にも『掻堀のおけい』では、とんでもない女にひっかかった男。『寒月六間堀』の息子のかたき討ちをする七十一歳の老武士。ある盗賊の先代お頭に恩義を受けた男の忠義が余韻を残す『盗賊婚礼』

    個性溢れる生き様の登場人物たちのおかげで、とても楽しい読書時間を過ごすことができました。

  • - 2 3 - 5 - 7

  • あっという間に読了。あまりにいさぎよい文体。意外と濡れ場多いことを知った。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    この年二十の平蔵の長男・辰蔵は、剣術の稽古そっち退けで、女あそびに打ち込んでいる。いまは“芋の煮ころがしのような小むすめ”に夢中だ(「隠居金七百両」)。緩急自在の鬼平の魅力ここにあり。ほかに「雨乞い庄右衛門」「はさみ撃ち」「掻掘のおけい」「泥鰌の和助始末」「寒月六間堀」「盗賊婚礼」の全七篇を収録。

  •  「余白の多い文章の、その行間の無言のゆたかさ」と解説の中島梓さん(1953~2009)。「豊かな味わい深い簡潔」、読者が想像し遊ぶことができると。池波正太郎 著「鬼平犯科帳 7」、2017.3発行。7話が収録されています。本巻に関しては、私は、内容にテンポが感じられずイマイチな思いがしました。

  • 劇画を見ているようなリアリティある文章

  • 決定版・鬼平も第七巻。「雨乞い庄右衛門」「隠居金七百両」など全七編を収録。個人的には「泥鰌の和助始末」が一番好き。

  • いつの時代もどんな職業も、きちんと長期的な計画を立てて努力の末に結果を求める真面目なタイプと楽をして他人を傷つけてでも己の利益だけを求めるタイプがいるのだなぁ…。

    己のなかにきちんとした芯がある人って素敵だな。
    鬼平さんは、若い頃遊びまわっていたのが良かったのかなぁ…。

  • 家族、友人も大切な登場人物である。しっかり者の妻の久栄、ちょっと頼りない息子の辰蔵、養子のお順、友人で剣豪の岸井左馬之助など。「隠居金七百両」「はさみ撃ち」「掻堀のおけい」「泥鰌の和助始末」などを収録。

  • 20170414 鬼平の若さを感じる。何回目かの読み直しだが、自分もそれだけ歳を取ったという事なのだと思う。

  • 【話題沸騰「アニメ鬼平」、でも原作はもっと凄い!】鬼平誕生五十年を記念して、より読みやすい文字の文庫決定版を順次刊行中。カバーデザインも一新し、二〇一七年は鬼平イヤー!

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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