陰陽師 螢火ノ巻 (文春文庫 ゆ 2-33)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167908614

感想・レビュー・書評

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  • 大好きな陰陽師シリーズ。

    このシリーズは、作中の時代に合わせるように、少しゆっくりと、より空気感を感じながら読み進める。

    道満、救いのヒトですね。

  • 帝と都が繋がっているという話「双子針」
    空を見上げるのが好きな星を飲んでしまった中納言の話「仰ぎ中納言」
    道満が山の主(青物主)に引き裂かれてしまった夫婦を救う話「山神の贄」 他。
    蘆屋道満の登場が多かった。道満の回は切ない話が多く、なかなか良い。

  • 今回は道満大活躍。
    悪い人じゃないんだよね。ただ退屈なだけ? 酒が飲みたいだけ?
    誰かと飲みたくなったら、都に行って悪さすれば晴明が相手してくれるしね。
    博雅の、晴明の話に混乱する下りが少なくなって淋しいな。
    二人が褒め合って照れる下りは増えたけど。ツンデレの晴明も、博雅相手じゃひとたまりもない。

  • 「双子針」主上と帝都が一心同体的なあのネタ。
    「仰ぎ中納言」星を飲んだ男。
    「山神の贄」道満殿がいいことしてるとちょっと動揺してしまう・・・。
    「筏往生」直接でも間接でも、人を手に掛けちゃおしまいなんだよなあ・・・。
    「度南国往来」やっぱりしんだ人にも徳を積まなきゃあかんのだなあ・・・。
    「むばら目中納言」たしかに永久機関で儲けられるな・・・と思ってしまった・・・。
    「花の下に立つ女」今巻の博雅爆モテノルマ。
    「屏風道士」仙人にも後悔はある。
    「産養の磐」結局お前が悪いんかーい、という海外ホラーオチ。

  • 今までの陰陽師シリーズの中で一番好きな色合いかもしれない。
    桜の薄紅色と天空の紺碧。
    桜の話、星を掬って飲んでしまった男の話、山の神にとられた夫に会うために健気に琵琶を奏でる女、身重の身で愛する都の男に会いに行こうとした世間知らずなお嬢様、食べるためにちょっとずつ欲が出てしまった法師、自分が昔書いた絵の中で人生を振り返る道士、都と双子の帝、仏道に目覚めた男、幼少期に写本した観音経に助けられる善良な男。
    自然を表す言葉もまた色合いが美しくい。
    人生に疲れてるときに効くのかもしれない。
    このまま年を積み重ねていくのもよいなと思える人生が遅れたら、どんなにか幸せだろう。

    晴明と博雅だと都からなかなか出られないので場所や客も決まってくるが、道満だとお酒をもって山に入れば、困ったときに高確率で助けてもらえるらしい。
    晴明たちの客が男が多い分、道満は若い女性相手が多かったり、庶民が多いようだ。
    彼もまた、庶民の心を知っていそうなものだから、どこか寄り添ってくれそうな暖かさを感じる。
    なるほど、以前は道満は乱暴者っぽくて好きではなかったが、今回はそんな粗野さすらチャーミングに見え、晴明の冷静な物語と対をなすものとして、いとおしく感じた。

  •  陰陽師・安倍晴明と源博雅が活躍する14弾。今回は芦屋道満が活躍する3本も収録。

     今回も二人の息の合った掛け合いは健在、都の闇を二人の活躍で解決していく展開を楽しみました。

     しかも今回は、あの道満が中心となって話が進む作品もあり、物語に深みが出てきた感じでした。

     道満が中心の物語では、道満の意外な人間性も垣間見え、魅力を感じました。

     今後も二人だけでなく、この三人目も活躍していく展開を楽しんでいきたいと思います。

  • 面白いけれど・・・
    老成したというか、無難になったというか。
    悪く言えば焼きが回った・・・?
    どろどろした良さ、不気味さ、生臭さが全く無くなった。
    全てを受け入れる悟りの境地が作品全体に漂っている。
    面白いんだけど・・・

  • 『陰陽師』シリーズ14弾。今回は晴明のライバル蘆屋道満を主人公にした短編が三本含まれています。道満、好きです。憎めないし愛嬌あるし強いし。悪さをしても晴明がやれやれと後始末しながら許してしまう気持ちわかります。そんな道満が旅の途中、思い出すのは晴明(と博雅も入ってるかな?)言葉に出さずとも彼らのことを好きなのわかります。
    道満はお酒のお礼と言いながら、旅の途中で出会うものたちを助けます。その中には命を落とした者もいるけれど、ちゃんと彼らの道筋をつけてあげます。彼らと別れるたびに一緒に酒を飲みたいと思い出すのは晴明(と博雅?)。博雅の笛の音もやっぱり懐かしいですよね。また都に戻ってきてください。
    そして、いつものことながら晴明と博雅が酒を酌み交わしている場面はいいですね。晴明がはにかみ、それを初だとからかう博雅。仲良しですね~。

  • 『山神の贄』と『筏往生』の最後の蘆屋道満の寂しそうな、遣る瀬無さそうな姿が心に残ります。この人の人間臭さがとても良いな、と思うようになりました。
    『度南国往来』ではにかんだ晴明を博雅がからかったら次の『むばら目中納言』で晴明に逆に同様の事をされている博雅に微笑ましくなりました。仲が良くてなにより。

  • 蘆屋道満多めの巻。道満ってこんなイイ奴だったっけ?

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著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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