キャプテンサンダーボルト 下 (文春文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167909543

作品紹介・あらすじ

俺とおまえで世界を救いに行こうじゃないか―― 稀代の人気作家ふたりが合作、その化学反応が生み出した問答無用のノンストップ・サスペンス。 下巻には本編の後日譚となる書き下ろし掌編小説をボーナストラックとして収録! 少年時代の悪友ふたりと一匹の犬が、世界を破滅から救うために大博打を決意する。 逃走する相葉と井ノ原、そしてポンセと呼ばれる一匹の犬。二人と一匹を追撃する銀髪のテロリスト。すべての背後にあるのは「村上病」をめぐる秘密らしかった。ウィルスの発生源とされる蔵王の火口湖「お釜」に何があるのか? そして主演男優のスキャンダルを理由に封印された戦隊ヒーロー映画に何が映っていたのか? 太平洋戦争末期に蔵王山中に墜落した米軍機の謎を追う女性・桃沢瞳の助けも借りて謎に挑む二人(と一匹)。だが事態を解決するためには、あの銀髪の破壊者との直接対決は避けられない―― 平凡な男ふたりが世界を救うために命をかける。その胸にあるのは少年時代の思い出。ちりばめられた伏線たちが反撃のために収束、破滅へのカウントダウンが点滅する中で、人気作家コンビが腕によりをかけて紡ぐノンストップ・エンタテインメントは白熱のクライマックスに突入する!

感想・レビュー・書評

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  • 私の推理はこうだ。最初の数章は、相葉を伊坂、井ノ原を阿部が担当した。プロットは決めておいたが、結論と細かいところは全然決めていなくて、2人のキャラが確立した辺りから、いろいろシャッフルしてきた。ボーナストラックは、上巻が伊坂、下巻が阿部である。

    とはいえ、おそらく4-5年ぐらいは回答は明らかにされないだろう。明らかにされるタイミングがあるとすれば、映画化のときだ。実際、これほど映画化に向いた原作はない。原作自体が既に話題性満杯だし、作者本人たちはモデルにしていないと言っているらしいが、プロデューサーが頑張って、相葉を相葉雅紀、井ノ原を井ノ原快彦に演ってもらったら、ヒット間違いなしだろう。ついでに村上病に関連して、村上春樹のちょい出があれば決定的である。これは、見事なバディ映画であるのと同時に、「ゴールデンスランバー」を彷彿させる、ノンストップエンタメ作品でもある。

    2018年2月11日読了

  • スリル感、スピード感抜群の映像的なストーリー

    小学生以来の悪ガキコンビ
    高校時代の過去の出来事をキッカケに、決定的に関係が疎遠になっていた
    ひょんな事から再び出会った二人が、世界を巻き込むような壮大な事件に巻き込まれる

    お互いに色々な事情で抱えた借金
    公開中止になった特撮映画
    ゴシキヌマの水を求める謎の組織と銀髪の男
    村上病の謎
    戦時中のB29の不可解な墜落
    テロ組織


    相葉時之と井ノ原悠という名前は、解説でも語られているけど、明らかにアイドルグループを意識してるよな

    二人の性格も真面目と不真面目、熱血とクール、猪突猛進と冷静沈着と対象的だけど
    特撮ヒーローものの「鳴神戦隊サンダーボルト」に思い入れがあるという共通点

    ターミネーターの如く執拗に、そしてタフに追いかけてくる銀髪の男

    謎の美女 桃沢瞳
    色仕掛けを武器に男から情報を引き出しつつ、彼女も何らかの事情を抱えていそうな雰囲気

    それにしても、冒頭の一文「ガイノイド脂肪に注目しろ!」のインパクトよ
    この文章はどっちの思惑なんですかね?
    伊坂さんっぽくはあるけど……


    戦後に発生した架空の病気「村上病」の謎
    新型コロナウイルスのパンデミック前にこの物語が書かれていたんだなぁ
    架空の物語ではあるけど、所々に人々の反応の答え合わせがされた気がする

    国が推奨するワクチン接種
    それに反発する人
    ワクチンのリスクとベネフィットの比較

    所々の設定に物語上の都合のよいファンタジー要素があるけど、実際にバイオテロを起いたら大変な事になるというのが実感できる

    ラストの展開ですけど、あそこの気密性ってどうなんですかね?
    確か人が閉じ込められたときのために通気孔があるようなものですけど
    ま、その辺のツッコミは野暮ですね

    色々と手こずらせたり、いい場面で活躍したりした犬のポンセ(仮称)
    助っ人外国人で巨人の選手ではなかったというヒント
    名前が何かの伏線や前フリかと思ったけど違ったな

    下巻のボーナストラックでも登場してるし、やはりマスコット的な立ち位置なんだろうなぁ



    物語としてはバディものにあたるけど、その執筆背景が何よりのバディものになっているというね

    阿部和重と伊坂幸太郎が打ち合わせして、お互いに担当する章を決め
    さらに出来上がった文章にまたお互いにガンガン手を入れてくという制作方法らしい
    お互いに手の入っていない部分はないとの事

    阿部和重さんの著作は一作も読んでないし、伊坂幸太郎は何作か読んだ程度だけど、設定や言い回しの所々から伊坂幸太郎っぽさは感じる

    世の中に、こんな制作スタイルで出版された作品って他にあるのかな?
    こんな特徴というだけでもこの作品に価値があると思える

  • 本屋大賞2015年8位。阿部和重と伊坂幸太郎の共著。阿部和重のは読んだことないけど芥川賞作家らしい。伊坂の本は娯楽小説の王道っぽいけど、ときどき政治的な主張が鼻につくとこある。この本は共著のせいか個人的なかたよりがなく純粋に娯楽を追求してる感じ。ユーモアと小気味良い展開が際立ってるし、ストーリーもわかりやすくサクサク進む。ただ、なんか物足りないのです。心が揺さぶられる部分がないというか。あと、オタクっぽいうんちくの部分がやや退屈。戦時中に米軍が秘密工場を破壊した時、他に誰かいたような記述があったけど、その伏線がどう回収されたのか良くわかりませんでした。筒井さんと何か関係あったの?

  • 現実的かどうかなんてどうでもよくなるほどに面白い。
    ボーナストラックは読むとにやにやしてしまう。

  • 前半に比べて、ドキドキハラハラがあって、
    タイムリミットのシーンはこっちまで心臓バクバク。
    銀髪の怪人の最期はまさかだったなー。
    その後の2人がなんとも微笑ましかった。

  • 都合よくいきすぎと思いつつ、爽快感がたまらない。ボーナストラックがまたよかった。伊坂幸太郎がもっと好きになりました。

  • 実に胸熱の、これでもかというくらいのヒーローものである。回収されてゆく伏線と鮮やかな解決。伊坂氏の陽気なギャングを読んでいるかのようだった。

  • 導入は村上春樹「海辺のカフカ」の「Rice Bowl Hill Incident」を想起させる僕好みのドキドキ展開だったものの、結果「まあまあ」。どうせならいっそのこと最初から映画を撮っちゃえばいいのに。一番感動したのが文庫用に追加された「ボーナストラック」(下巻の方)、というオチ。

  • 六転七転するストーリーを楽しんだ。ボーナストラックの話もなかなか良い。
    そして、伊坂幸太郎って、『野球には逆転があるが、俺たちの生きている社会にはなかなかない』と言いながら、それでも生きていれば逆転があるってことを信じているんだなと、いつものように思った。
    あわせて、作者の心の中にある今の政治への批判や戦争に対する思いも、これもまたいつもの通り受け取った。

  • 面白かったー!
    前半の途中からラストまで、一気読み。
    ハラハラドキドキに、ミステリー要素ありで面白かった!

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著者プロフィール

1968年生まれ。1994年「アメリカの夜」で群像新人賞を受賞しデビュー。1997年の『インディビジュアル・プロジェクション』で注目を集める。2004年、大作『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞、第58回毎日出版文化賞、2005年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞受賞。『シンセミア』を始めとした「神町」を舞台とする諸作品には設定上の繋がりや仕掛けがあり、「神町サーガ」を形成する構想となっている。その他の著書に『ニッポニアニッポン』『プラスティック・ソウル』『ミステリアスセッティング』『ABC 阿部和重初期作品集』など。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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