- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167909987
感想・レビュー・書評
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長篇で改めて書いてほしい話がいくつもあった。
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50のショートストーリー集です。
どの作品もそれぞれ違った良さがありますが、私が特に印象に残っているのは、“他人には理解することのできない、彼女だけの苦しみの中に(p39)”いる女の物語『8 雨宿り』や、“生き難さを抱えているすべてのひと達のために祈れって(p175)”教祖が言ったという『45 供述』、“生き難さを感じるひと達と同じ場所で歌えばいいんだ(p182)”と思い歌う『47 すべてのひとに』です。
人それぞれ生きる苦しみはあるかもしれませんが、希望の光が見え、心が温かくなり励まされる、“やさしい作品集”でした。著者のやさしさが詰まっていました。 -
二週間に一話はハイペースだけど、この一冊におよそ一年の時間がそのまま流れているわけで、そう考えると面白い。
あとがきにあるように、ファンの方が持ち歩きたい作品と言うのは分かる気がした。
(『銃』やら『遮光』やら、中村文則のカバンに潜めるシリーズは不穏だけど、笑)
「タクシードライバー」という、冒頭の話が、とても良かった。
同じ時間に、同じことをしなければならない、そんな制約がどんどん強まっていく男。
同じ時間に、同じバーに来て、同じタイミングで飲み始め、飲み終える。
それさえ怖くなって店長には時報を流しておいてもらう。
自分は繰り返しだけをひたすら願うのに、周囲の無遠慮な変化はそれを赦してくれない。
同じ時間、同じバーにあるはずの席が、その日混雑していて、なくなっていた。
人であろうとするから、制約が付いてくる。
だけど、人であったから、救われることもある。
途中から自分の中の強迫観念のようなものに触れていることに気付きながら、結末に、私が救われた。
「宗教や神話にあるヘブンとは、本当は、あの世のことではないのだから。ひとが世紀を跨ぎながら創り上げていく、その先に実在する世界のことだから」 -
ブクログさんの「読みたい本プレゼント」でいただいた本。
寂しさが詰まっていて、読むのに少し時間がかかりました。
短編集だけど、どこかは繋がってて、ページを行ったり来たり。
繋がりを考えずに、シンプルに読んだらまた違うのかも。 -
『Nの失踪』は、何度も読みたい、かも。
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作者の長編は本当に重厚な雰囲気なので、疲れてる時や読書に没頭できない時にはこの短編集がちょうどいいかも。
1番最初のお話が1番好きかな。 -
短い物語で、どうしてこんなにも心が揺さぶられるのだろう。
そういう話がいくつかあった。
なにを書かせてもこの人の文章にはガツンと来るものがある。 -
気を抜くといきなり心臓を掴まれるショートショート集