夜叉御前: 自選作品集 (文春文庫 ビジュアル版 60-28)

著者 :
  • 文藝春秋 (1994年3月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784168110320

感想・レビュー・書評

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  • 〇濃密さにくらくらする。

    「時じくの香の木の実」
    一族の掟で姉と二人、干した果実を食べさせられる。どちらかが永遠に歳をとらない者になるという。私は勝った。聴覚と引き換えに。
    ←賢く強い少女の怒り

    「キルケー」
    山奥で最後のバスを逃してしまった中学生4人と小学生1人。家の灯りを見つけ、助けを求めたが…。
    ←最初のイヌたちは…、そうか。

    「鬼来迎」
    漁村の村に住み込みで働くことになった。美しく優しい茶道の先生と面倒見のよい先輩のお手伝いさん。そして、怯える子ども。
    ←女の鬼が1番怖い

    「笛吹き童子」
    ・石笛
     遺産を巡る親族。祖母は孫娘に笛を吹かせる。
     ←引導
    ・笛吹き童子
     楽の音を誰よりも愛しているが楽の才能が無い秦氏の総領息子。ある日、精霊に笛を預けられる。
     ←苦労は買ってでも。

    「海底より」
    人気アイドルだった女の子が視力を失い、人も仕事も離れていき、親戚の家で養生することになる。平家ゆかりの土地で、琵琶の音と平家一族の物語に絡め取られていく。
    ←あわいを歩いているよう。

    「夜叉御前」
    家族で山奥の一軒家に越してきました。でも、この家はよくない。私はすぐにわかりました。鬼がいるのです。
    ←母ではなく鬼を選んだか…。

  • (1)時じくの香の木の実…巫女とは、不老不死とは――。
    (2)キルケー…泉鏡花「高野聖」を連想してしまった。
    (3)鬼来迎…優しそうなお手伝いさんが主の所業を黙認――。
    (4)笛吹き童子…前半はちょっとブラック、後半は救いのある物語。
    (5)海底より…平家一門の怨霊の声に感応してしまったのだ。
    (6)夜叉御前…怖すぎるっ!

  • いくつか既読もあった短編集。
    ほんとに絵が最強の頃のばかり集めて至福。眼福。
    鬼来迎の、修一の右手の描き方がどきどきする。
    でもやっぱり表題作の「夜叉御前」でしょうねえ。ネタバレとかいう次元でなく、マンガというツールを使ってしかできない、与えられない「トラウマ」ですよ。

    • りうじさん
      いや、ホントこのへんの山岸涼子は凄いよ…。すっげえ怖いし。
      いや、ホントこのへんの山岸涼子は凄いよ…。すっげえ怖いし。
      2010/09/17
  • 2018.11.2高校図書館(長女)
    前に私が買った「天人唐草」に触発されたのか、同じ山岸凉子の自選作品集を図書室で借りてきた。怖いの好きなのね…
    鬼や怨霊と狂気だらけでどれもすごく怖かったけど、そのなかで「笛吹き童子」の第2話だけはちょっと救いのある話で好きだった。(箸休め?)

  • 恐ろしくも魅惑的な著者の短編作品6編を収録しています。

    「時じくの香の木の実」は、巫女の家に生まれた腹違いの姉妹の物語。「キルケ―」は、山の中で道に迷ってしまった少年・少女たちが、不気味な洋館の女主人のもとで一夜を過ごす話。「鬼来迎」は、生け花の先生のもとに住み込みで働くことになった若い女性が、彼女の息子の世話をすることになり、おそろしい運命に巻き込まれる話。「石笛」は、遺産相続で揉めている家で、一人の少女が祖母にみちびかれて醜い争いを繰り広げる親族たちに裁きをもたらす話。「笛吹き童子」は、雅楽頭の家に生まれながら才能を発揮できずにいた青年が、苦労の末に笛の神の寵愛を受けることになる話。「海底より」は、目が見えなくなった元アイドルの少女が琵琶法師のように平家の怨霊によって海底へとみちびかれる話。「夜叉御前」は、禁断の行為におよんだ家族の崩壊を、娘の見た幻想を通じてえがきだした作品です。

    表題作の怖さが群を抜いていますが、そのほかの作品も民話にモティーフをとりながら幻想的な作品世界をつくりだしていて、はずれがありません。どれもおもしろく読みました。

  • 少女漫画なのですが、「漫画」のカテゴリーに入れざるを得ない。
    低温やけどをする漫画(集)第一位ではないだろうか。
    そーっと後ろから人間の業を語りかけられ、振り向くことも出来ないままぶるぶると震えるしかない・・・
    そんな話が詰められている。

  • 「時じくの香の木の実」日向と日影、「永遠に年を取らない者」になるのはどちらか一人。
    「キルケー」山で帰り損ねて見知らぬ女性の館に泊まることになった5人は…。
    「鬼来迎」都会の仕事に疲れ、住み込みをすることになった海辺の家には優しい先生と不気味な子どもが…。
    「笛吹き童子」(一話:石笛)遺産目当てで駆け付けた親戚たち。/(二話:笛吹き童子)楽器の修復はできても楽の才のない直行は絶望して家を出たが…
    「海底より」視力をなくした元アイドルと平家物語。
    「夜叉御前」越してきた家で見える恐ろしいもの…夜叉と黒い物の正体は。
    「時じくの香の木の実」「鬼来迎」「夜叉御前」が印象的。「時じく…」は日向も日影もそれぞれにかわいいと思えてしまって困るなあ。「夜叉御前」は途中でわかっちゃうけど描き方が良かった。
    「笛吹童子」の第二話:笛吹童子が唯一のハッピーエンド…かな?

  • 女の陰な気配が詰め込まれてるホラー。
    なんの救いもない表題作が酷い。

  • これぞ怪談と言っていいような珠玉の名作ばかりの自選作品集

    そこには品があり、ぞくり、ぞくりと肌で感じさせる描き方は感心させられるばかりである

    時代も様々なのに、どれも面白い!

    怪談も今がどうとか関係ないということに気づかさせました

  • 読み終って一言・・・こわい!自選集というだけあって、秀逸なホラーが盛り込まれています。一話目の「時じくの香の木の実」がもっとも好みです。姉の成長の描写が妖艶で美しい。6話のどれもよく練られたストーリーで、繊細な線が緊迫感を際立たせます。ときおり枠外の作者のツッコミや、デフォルメされたキャラの顔がほっとさせてくれます。それぞれの話の表紙に力がはいっていて、カラーでないのが残念すぎます。

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著者プロフィール

山岸凉子(やまぎし・りょうこ)
1947年北海道生まれ。69年デビュー後に上京。作品は、東西の神話、バレエ、ホラーなど幅広く、代表作に「アラベスク」「日出処の天子」「テレプシコーラ/舞姫」など。

「2021年 『楠勝平コレクション 山岸凉子と読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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