- Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
- / ISBN・EAN: 9784196695103
感想・レビュー・書評
-
彼の絵からは、風と土の匂ひが漂つてくる。そして、透き通る水の冷たさ。ほんたうに彼はこの地球が好きなのだといふことが感じられる。そして、それは自然と人間といふ対立では決してなく、人間もまたその自然の一部であることを彼はたしかな感覚としてもつているのだらう。ジブリスタジオ、特に宮崎駿に限つて言えば、この感覚なくしてはあり得ないと思ふ。
ひとはさういう自然の中で生きてはじめて男になり、女になつていくのだ。王子とはいふものの、最初のシュナは男女のそれと区別がつくものではなく、テアもまたさうだ。自然と生き、他人と生きて行く中で、彼らはひととなる。旅立つ時のシュナとテアのその顔は、はじまりの旅とはまつたく違うものである。この生れ変る瞬間、一瞬の機微を彼はかき分けることができるのだ。それが彼の生み出した精神であり、彼のスタイルであると思つてゐる。アニメはさういふ書き分けや想像のできる形である。
どんなに原作のある作品であつたとしても、その原作の中に、この精神を重ねあはせることによつて、ジブリはジブリらしさといふものを生み出している。原作を改編しているのではなく、原作と自身の精神の対話があるのだ。そこに創造性が存在するのだ。あとがきにもある通り、これは本当にあつた出来事といふよりかは、チベットの人々の穀物への感謝の物語だ、といふことばに現れている。
願はくは、その精神が今後のジブリスタジオで生きて行くことを。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
穀物。何よりも重要。生の象徴というよりは、生そのもの。私たちの中核であり、構成するすべて。そして現代人はそれを知らない。宮崎さんはまだその少し前の人類の心を知る人なのか、知ろうと努めたのか、それとも戦争と貧困の体験に、穀物の伝説との親和性があるのか。いや、自分の親世代には実感をもって伝わるレベルの伝説なのか。
石原慎太郎が言っていたが、今の若者は不幸だ。貧困を知らない。
こう一概に暴力的に定義づけられると腹が立つが、この作品を読むとこの作品の美しさをきっと心から理解できないのは寂しい。
穀物の伝播の伝説は良いですよね。日本や沖縄では米の伝説がマレビトから。やっぱり島国では海の向こうからやってきたり。このチベット系でも断絶した崖の先の海の先に神の国があるんですね。農民の純粋な感謝と憧憬がどうにも愛おしい。 -
シュナはなんとなく女子にみえる。ゲームの「ワンダと巨像」と似ている。旅立ちと喪失と再起動の物語。大男の緑色が怖い。
-
「シュナの旅」はルグィンの「ゲド戦記」が原案?という情報を得て読んでみた。
文庫本のマンガなので30分ぐらいで読める、「ゲド戦記」もそうだが「ナウシカ」も「ラピュタ」も「もののけ姫」も混ざっていて、興味深い。
映画の「ゲド戦記」のエンディングのスタッフロール内で原案は「シュナの旅」とクレジットされている -
文庫サイズで読むのがもったいないほど、美しい絵巻き物語でした。
-
ジブリアニメを見ている感覚で読める
主となる食料がないと村は生きていけない
それを得るためには相応の犠牲が伴う
そういうことを思い起こさせられる作品 -
神話や民話と宮崎駿さんとのシンクロ率が半端ない。
想像を超える。
期待値を揚々と超えてくる。 -
絵も文章も美しいです。、
-
宮崎駿が出した絵本というか、カラー漫画。ナウシカとラピュタが合わさった感じでなんとも面白い。昨今のジブリよりもよほど面白い。ぜひ映画化を、、、って、それがナウシカなのかな?
-
絵が綺麗。
こんな時代だけど食べ物の大切さや
人が助け合うという事。
改めて何かを感じる作品。
ナウシカや
もののけ姫を思い出させるような描写も
宮崎駿作品ならでは。
サクッと読める本