シュナの旅 (アニメージュ文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784196695103

感想・レビュー・書評

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  • 行き倒れの旅人から
    「人々の飢えを除く黄金の穀物が実る
    豊饒の地が西の果てにある。」
    と、耳寄りな話を聞いた
    貧しい国の王子『シュナ』は
    相棒『ヤックル』と共に
    旅へ出る決意をする。

    生きる為の糧を求め
    住み慣れた地を去る…
    と、言うのが
    もしかすると
    本来の正しい旅の目的なのかもしれない。

    過酷な『シュナ』の旅には
    観光も娯楽もなかったが(当然…)
    干からびた地にしがみつき
    死を待つだけの日々を無為に過ごす事を快しとしなかった若者に
    天は一体何を与えたか。

    「この民話のアニメーション化が僕の夢だった。」
    と、語るアニメーション作家宮崎駿。
    元になっているチベットの民話は優しい童話だが、
    彼は、物語の根っこに絡んでいた「大人にこそ向き合って欲しい金ピカの種子」をみつけていたんだな、と感じた。

  • 『シュナの旅』(『シュナの旅』は、スタジオジブリのアニメ映画「ゲド戦記」の原案になった事でも有名です。)は15歳の時に読んで以来、私の最も大切な作品になっています。今までに私の作品制作にも大きな影響を与えて来ました。宮崎 駿氏のスケールの大きな空想力が遺憾なく発揮されています。
    『シュナの旅』の原話は、「犬になった王子」(君島久子 文、岩波書店 民話集「白いりゅう黒いりゅう」所収)ですが、2013年11月15日に絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)が出版されました。文は君島久子先生で、絵は私が日本画で丹念に描きました。『シュナの旅』と『犬になった王子 チベットの民話』を見比べると、その共通点と相違点が面白いでしょう。 
     日本画家・絵本画家 後藤 仁

    ●それぞれの関係を図解するとこうなります。

    「犬になった王子」(民話集『白いりゅう 黒いりゅう』〔訳:君島久子〕所収 岩波書店 1964年) →(影響)→ 「シュナの旅」(作:宮崎 駿 徳間書店 1983年) →(影響)→ 「アニメ映画 ゲド戦記」(スタジオジブリ 2006年)

    「犬になった王子」(民話集『白いりゅう 黒いりゅう』〔訳:君島久子〕所収 岩波書店 1964年) →(絵本化)→ 絵本『犬になった王子 チベットの民話』(文:君島久子、絵:後藤 仁 岩波書店 2013年11月15日)

  • 一度読んだだけでは
    意味がわかりません。
    でも 何度も読み返していくうちに
    あぁ そうなんだって色んな事に気付かされます
    今の現代社会にも通じる事あるんじゃないか?って
    思います。
    漫画だけど やっぱりジブリは素晴らしい

  • チベットの民話から着想を得た物語を宮崎駿さんがアニメ化している。
    たまたま立ち寄ったVillageVanguardで目に入ったので購入した。
    よく丸善に立ち寄ることが多いのだが、たまには違う書店に行くのも良いなと感じた。
    風の谷のナウシカの雰囲気が漂う作品だった。

  • 宮崎駿の原点
    だと、個人的には思います。

    何年かおきに読んでいますが
    その度に、深い感銘を覚えます。

  • ナウシカの原点。
    絵本のような漫画のような。
    宮崎駿監督の物語には独特の「間」がありますね。

  • ナウシカも もののけ姫も 原型はここにあった?!
    初版は1983年に出ている カラーの漫画。
    原作のチベット民話「犬になった王子」の話は、
    火を人間界にもたらしたギリシャ神話に通じるものがある氣がする。
    一粒万倍、産めよ増やせよ地に満ちよ、
    貧富の差を生みだすもとになった穀物栽培、農耕の歴史について
    豊かさについて、旅と出会いについて、・・・
    考える種はたくさんある。

  • 子どもにも読ませたい漫画。内容的には深いので、中学生くらいかな…。
    ナウシカを知っていれば、似てるなぁとなる世界観。続きが気になる。

  • ジブリ大好き芸人にはたまらない。
    複数のジブリ作品の要素があり、以前から知っていたような…そんな気分になるお話です。
    ストーリー、イラスト共に愛おしく、特別な一冊になりそう。

    つくづく宮崎作品のテーマは今の時代に当てはまるなと思います。今を生きる私たちに必要なコト。

  • ラジオドラマFMシアターで聞いた印象が、かなり強い。
    そして本も読んだことがあるはずだが、手元になかったので入手し再読。
    そのきっかけは、YouTube「メイドインアビス」のつくしあきひと卿お宅訪問インタビューである。
    また外縁をさらに書けば、徳間書店のアニメージュ文庫の背表紙は見覚えあり……そう、押井守・天野喜孝「天使のたまご」1985だ。
    「天使のたまご」映画自体を知る前に読み込んだものだが、あの本の中に「太陽が少女の眼には機械仕掛けに見える、あるいは本当に機械仕掛けの太陽が蒸気を噴出させている」という場面がある。
    んで本作では「輝く巨大な顔」=月なのだ。
    まあ連想したことを書いただけだけれども。

    話の内容については書いても書ききれないので避ける。
    類似や影響を書くだけで延々書ける、まさに種だ。
    が、ひとつ言うならば、童話や民話や寓話とかではなく、ハードSFでもある。
    ハイファンタジーの文脈での宮崎駿はよく言及されるが、ハードSFの文脈での宮崎駿についても、もっと言及すべきだ。というかそういうふうに見直すように心がけよう。

  • 宮崎駿の主人公に宿る心の強さに憧れる。
    挫折を味わいながら、人に助けられて、真っ直ぐに生きていく。

    ディズニー映画とストーリーは似るところがある。やはり希望を持つ大切も伝わるが、絵の美しさ、描写・台詞のリアリティさは比較的できない。

    常にどこか悲しげで緊張感がある描写、シュナとテオの結ばれたあのシーンが大好き。

  • チベット民話「犬になった王子」が元となっているそうで、谷底の小さな王国の王子が麦を求めて西の彼方へ旅をする話。もののけ姫の原型で、同時期に連載が進んでいたナウシカとも世界設定が似ているのと、息子吾郎が監督したゲド戦記はこの作品にオマージュを捧げたとのことで共通のモチーフが多く出てくる。

    メイドインアビスのつくし卿が作品冒頭の世界観を伝えるト書きを絶賛していたが、確かにここだけ読めば残りも全部読みたくなるくらいに魂が込もっていて絶品。自然の中で生きる人間の姿が活写されている。

  • ナウシカの前身みたいな話。
    めちゃ感動!

  • 十数年ぶりに再読。ページ数はそれほど多くないのだが、内容の深さを再発見。前回読んだときはナウシカに近いなと思っていたが、他の宮崎アニメにも出てくる要素があちこちに盛り込められていて、テーマの一貫性を感じられた。それにしても、ヤックルが可愛いぞ。

  • アニメ映画『ゲド戦記』の原型。

    チベット民話「犬になった王子」が元になっているというけれど、ビジュアルイメージは宮崎駿独自のファンタジーになっている。チベット民話だと王子は大麦を竜王から奪った罪で犬に姿を変えられてしまうらしい。でも、今作では後半の展開はかなり現代的なアレンジ(クトゥルフ神話的なあれ)だと思う。

    穀物を手に入れるまでは、本当に「観たことがない世界」での出来事が展開されていて、これを当時読んだときは相当衝撃を受けたものだった。でも一転して、物語が少女のほうに視点が移ってしまうと、ストーリーが散漫になってしまったと思う。後半は起伏という起伏がないのは、そういう話ではないと分かっていても、やっぱり不満として残る。

    文明批判とか、食べ物がどこから来るのか分からない日本人に向けた警句とか、色々と読み取れるものはあるだろうけれど、もうちょっと視野を広げて「文化的なるもの」に対する宮崎駿の強い興味が読み取れるような気がする。宮崎駿=エコ、という図式は一面的なもので、彼は作品の中で常に文化を描いていたと思うのだ。

    宮崎駿の文化に対する視線を語る上では、『風の谷のナウシカ』と並んで最重要の作品であることに違いはない。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「アニメ映画『ゲド戦記』の原型」で「チベット民話「犬になった王子」が元」、、、何だか興味が湧いてきた!読んでみよっと。。。
      「アニメ映画『ゲド戦記』の原型」で「チベット民話「犬になった王子」が元」、、、何だか興味が湧いてきた!読んでみよっと。。。
      2012/06/22
  • 宮崎駿の映画は好きだ。「君たちはどう生きるのか」を公開初日に観た。翌週に金曜ロードショーで「もののけ姫」を何年振りかに観た。その翌日に、名古屋のどんぐり共和国でこの本を買った。あっという間に新幹線で読んだ。宮崎駿の原点の1つを観た気がする。原典と言っても良いかもしれない。

  • 「この民話のアニメーション化が夢だった」
    スタジオジブリ宮崎駿監督が描きおろした
    オールカラー水彩の絵物語!
    チベットの民話「犬になった王子」をもとにした
    谷あいの貧しい小国の後継者シュナの物語。
    絵物語という形式で自らの夢を形にした、
    宮崎駿監督のもう一つの世界。
    1983年以来のロングセラー。

    国民の飢えを憂い、金色の種を求めて旅立つシュナが、世間知らずで甘さのあった若者から厳しい旅を経て成長していく展開、人買いに買われた少女テアとシュナのお互いに助け合う恋、人買いや軍が跋扈する終末世界のハードな世界観、後の「ナウシカ」「もののけ姫」のオリジン的な作品で宮崎駿ファンもジブリアニメファンも楽しめるファンタジー絵物語。

  • ジブリ映画を見ているような感覚
    ぜひ宮崎監督に映像化してほしい!

  • ナウシカ以外にも、宮崎作品で出てくるシーンや構図が目白押し。
    ストーリーはナウシカのような陰はありつつ、でも面白かった。

  • はーい、最高です!

  • 宮崎駿監督を好きだから。独特の世界観。悲しい世界を生きる人々。

  • この話が、地味すぎてアニメ化できないのか。

    たしかに、つらいこと多すぎで、得られるものは少し。でも、後世からみて、とても感謝されているから、こそ残っているであろう民話テイストがいい感じなのだが。

  • ひとつの事を成し遂げるのは、そう簡単なことでは無いですね。

  • すごく感動しました。
    宮崎駿監督の圧倒的世界観と、考えれば考えるほど深くメッセージ性のあるストーリーは、他の人には作り得ないものだと思います。
    本棚にあると何度も読み返したくなる作品です。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    チベットの民話「犬になった王子」をもとにした
    谷あいの貧しい小国の後継者シュナの物語。
    絵物語という形式で自らの夢を形にした、
    宮崎駿監督のもう一つの世界。
    1983年以来のロングセラー。

  • 中学の頃に新刊で持っていましたが、売ってしまったのか誰かに貸したまま行方不明になったのか手元にないので某Amazonで再度購入。
     宮崎駿ワールドの原点でもあり最後の映像化作品はコレでお願いしたい。

  • 岡田斗司夫さんのYouTubeチャンネルを見て興味が出たので読みました!
    チベット民話の「犬になった王子」が元になってます(そちらは未読)
    「ゲド戦記」の元ネタで、ラピュタとナウシカの間の話らしいです。
    これがアニメになったら壮大なんだろうなぁと思いながら楽しんで最後まで読めました。
    個人的には神人の島をもっと深掘りして欲しかったかな
    是非アニメ化して欲しい!!

  • 宮崎監督の言葉選びが絵画のような絵にぴったりと合っていて、一コマ一コマが生きているようで、いつまでも見ていられます。世界の謎や、悪は存在し続けますが、シュナとテアと妹が、ひとまず幸せになれそうで安心しました。一気に読んでしまいました(*^^*)

  • 再読

  •  そろそろ『風立ちぬ』とか『ナウシカ』とかと同じサイズで売ってもいいと思ひます。発行当時のやうな、「カリ城とか言うくそアニメ以来才能が枯れた」人として仕事がアレだった作者をイメージできない人が大多数なんだから。
    中尾佐助『料理の起源』によれば、Dough(小麦粉を水で練ったもの)文化の双璧に「ナン」と「皮パン」があると言ふ。
     だからと言ふわけでもなからうが、中尾佐助リスペクトの本書では、話の端から端までナン食ってる。
     特に衒ひがないが、ヒワビエとやらを移植栽培してゐる。『となりのトトロ』だか『もののけ姫』だかいふ、当時「馬糞臭い」と言はれ、企画が出る端から却下されたころにしては、発想がしょーもないと言はれる感じが。
     多分、作者入魂の、「踊る幼女」が脳裏に焼き付いて離れない。

  • ここにはナウシカ、トトロ、もののけ姫などの原点が詰まっている。初刷は1983年。映画ナウシカの公開前年か~。元となった民話「犬になった王子」にも興味がそそられる。

著者プロフィール

アニメーション映画監督。1941年東京都生まれ。学習院大学政治経済学部卒業後、東映動画(現・東映アニメーション)入社。「ルパン三世 カリオストロの城」(1979)で劇場作品を初監督。1984年には「風の谷のナウシカ」を発表。1985年にスタジオジブリの設立に参加。「天空の城ラピュタ」(1986)、「となりのトトロ」(1988)、「魔女の宅急便」(1989)、「紅の豚」(1992)、「もののけ姫」(1997)、「千と千尋の神隠し」(2001)、「ハウルの動く城」(2004)、「崖の上のポニョ」(2008)、「風立ちぬ」(2013)を監督。現在は新作長編「君たちはどう生きるか」を制作中。著書に『シュナの旅』『出発点』『虫眼とアニ眼』(養老孟司氏との対談集)(以上、徳間書店)、『折り返し点』『トトロの住む家増補改訂版』『本へのとびら』(以上、岩波書店)『半藤一利と宮崎駿の腰ぬけ愛国談義』(文春ジブリ文庫)などがある。

「2021年 『小説 となりのトトロ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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