シュナの旅 (アニメージュ文庫 (B‐001))

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著者 : 宮崎駿
  • 徳間書店 (1983年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784196695103

シュナの旅 (アニメージュ文庫 (B‐001))の感想・レビュー・書評

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  • コミック類はこの本棚には入れないことにしているが、前述した【犬になった王子】が元になった話ということで特別扱いにする。
    カテゴリーは(少々無理だが)児童書。読まれた方はどうぞご容赦を。

    宮崎駿さんによる後書きを読むと『十数年前、はじめて読んで以来、この民話のアニメーション化がひとつの夢だったのですが、現在の日本の状況では、こんな地味な企画は通るはずもありません・・』
    とあって、軽い衝撃を受けた。
    私自身は、なんとドラマティックなお話だろうと感動しつつ読んだからだ。
    それとも、もしかしたら私たちは、殺戮の場面や暴力的なシーンがないともう物足りないまでに鈍化しているのだろうか。
    素朴で、土のにおいのする力強い話にはもう魅力を感じないのだろうか。
    この【シュナの旅】の後半は、元になったと言うチベット民話とは大きく異なる。
    「神人」という存在が登場し、人買いから集めた人間たちを麦に変えてしまうのだ。
    かなりぞっとする設定で、旅の途中で人買いから救った少女・テアとの関わりがわずかな希望である。
    それも、互いにギリギリの命の選択であり、チベット民話に描かれたような、純愛を貫くというものでもない。
    読みすすめていると、身体が痛くなってくるような感覚がある。
    何もここまで登場人物を痛めつけなくてもとさえ思う。

    【シュナの旅】を先に読んだ場合は、こんな感想ではなかったかもしれない。
    絵は相変わらず美しく、ナレーションのように文字が入り、文を絵が補い、絵を文章が補うという、とても良い配分。
    吾郎監督の【ゲド戦記】の原案になったと言うのも頷ける。
    色々な場面が「ナウシカ」のようでもあり、「ラピュタ」のようでもあり、「もののけ姫」の「シシ神様」を彷彿とさせるような【ヤックル】という家畜も登場する。
    もっとも、こちらはもっとずっと身近にいて、人間を助けてくれる存在だが。

    背景色とのミスマッチで、ところどころ文字が見にくいのが惜しい。
    宮崎アニメファンの方は、ぜひ元になったと言う民話もおすすめです。

  • 十数年ぶりに再読。

    チベット民話をモチーフに描かれたもので、アニメーション化したかったものの内容が地味という理由から断念したものが書籍となったそう。

    でも淡々としたなかに、ナウシカの要素あり、もののけ姫の要素あり、ゲド戦記の要素あり、ジブリ好きとしては何度見ても楽しいです。

    民話…文章からこれだけの空想を広げてそれを表現できるなんて…羨ましいなんて簡単に言ってしまうのはおこがましいことこの上ないけど、でもやっぱり羨ましい!

  • TSUTAYAで見かけたので購入。
    チベットの民話を元に書かれた(描かれた)ようです。
    その不思議な世界観は、大きな起伏があるわけではありませんが面白い作品でした。
    「もののけ姫」にも登場したヤックルも出てきます。
    しかし、世界観的には「風の谷のナウシカ」に近いです。
    この世界にかつて何があったのか!?と物語として描かれていないところが気になってしまいます。
    是非アニメーション化したものをみたいなと思いました。

  • もののけ姫や、ナウシカの原点と言えるような作品です。
    厚さ1cm程の本ですが、1本の映画のようなスケールの大きさ。
    さすがです。

    ヤックルが出てきます。かわいい!

  • チベットの民話「犬になった王子」がベースのお話。ナウシカのヴァリアント(趣向)かなっていうくらい、世界が似てる。

    ストーリーは、喪失、出発、助ける者、奪取、追手、帰還(省略)で古典的だけど、時空歪んでたり、◯◯出て来たり、世界の奥行きがやっぱ半端ないからおもしろい。

  • 宮崎駿のイラストに魅かれて購入。前ページカラーの漫画。シンプルな物語で、チベットの民話をもとにしているそう。宮崎駿のこういう世界観好きだなあ……

  • 古い作品ですが、民話を元にイメージを膨らませた物語と宮崎さんの絵柄がピッタリと一致する本書。その高い完成度に、今読んでも飽きません。そろそろ絵本を卒業する娘に買い与えましたが、読むのは自分ばかりです。

  • 彼の絵からは、風と土の匂ひが漂つてくる。そして、透き通る水の冷たさ。ほんたうに彼はこの地球が好きなのだといふことが感じられる。そして、それは自然と人間といふ対立では決してなく、人間もまたその自然の一部であることを彼はたしかな感覚としてもつているのだらう。ジブリスタジオ、特に宮崎駿に限つて言えば、この感覚なくしてはあり得ないと思ふ。
    ひとはさういう自然の中で生きてはじめて男になり、女になつていくのだ。王子とはいふものの、最初のシュナは男女のそれと区別がつくものではなく、テアもまたさうだ。自然と生き、他人と生きて行く中で、彼らはひととなる。旅立つ時のシュナとテアのその顔は、はじまりの旅とはまつたく違うものである。この生れ変る瞬間、一瞬の機微を彼はかき分けることができるのだ。それが彼の生み出した精神であり、彼のスタイルであると思つてゐる。アニメはさういふ書き分けや想像のできる形である。
    どんなに原作のある作品であつたとしても、その原作の中に、この精神を重ねあはせることによつて、ジブリはジブリらしさといふものを生み出している。原作を改編しているのではなく、原作と自身の精神の対話があるのだ。そこに創造性が存在するのだ。あとがきにもある通り、これは本当にあつた出来事といふよりかは、チベットの人々の穀物への感謝の物語だ、といふことばに現れている。
    願はくは、その精神が今後のジブリスタジオで生きて行くことを。

  • 『不滅のあなたへ』などの作品がここから生まれている…

  • 穀物。何よりも重要。生の象徴というよりは、生そのもの。私たちの中核であり、構成するすべて。そして現代人はそれを知らない。宮崎さんはまだその少し前の人類の心を知る人なのか、知ろうと努めたのか、それとも戦争と貧困の体験に、穀物の伝説との親和性があるのか。いや、自分の親世代には実感をもって伝わるレベルの伝説なのか。
    石原慎太郎が言っていたが、今の若者は不幸だ。貧困を知らない。
    こう一概に暴力的に定義づけられると腹が立つが、この作品を読むとこの作品の美しさをきっと心から理解できないのは寂しい。
    穀物の伝播の伝説は良いですよね。日本や沖縄では米の伝説がマレビトから。やっぱり島国では海の向こうからやってきたり。このチベット系でも断絶した崖の先の海の先に神の国があるんですね。農民の純粋な感謝と憧憬がどうにも愛おしい。

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