- Amazon.co.jp ・本 (78ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198601256
感想・レビュー・書評
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おじいちゃんの様々な価値を一つずつ思い出させる人々。山の崖につくまでだまって荷車を引きながら、最後に「いやだ」という孫。あったかい。
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読み始めてすぐに自発的な姨捨山という
死を受け入れる自殺という結末が読めてしまうが
それでも最後まで読めたのは
それなりの豊かな流れがあったからだと思う
それにしても社会が生きづらくなった今
この物語を書こうと思うと
もっと切実な問題として
ベニスの商人の如くにお金でしか命を測れないという
大自然の法則に反する人間社会の価値観を
考慮しなければならないことになり
嘘を書き込まないかぎり
豊かさなど微塵もなく読む気も起こらない本に
ならざるをえないだろう
政治を主権者たる庶民の手に取り戻して
誰もが程々に生き抜ける
棲み分けと補い合うことを両立させる環境を
編み出さなければならない
それには可能は範囲で
無条件のベーシックインカムを実施することだと思う -
おじいちゃんが老いに絶望し、たった一人の身内である孫に、荷車で山の頂上まで連れて行け、と言う。一人死ぬつもりなのだ。『楢山節考』みたいだが、はじめからそうはならないだろうと思わせる温かさとユーモアがあるので、安心して読める。
ドイツ語で書かれた物語だが、舞台はイタリアのようだし、時代はまだ田舎には車も走らないような頃。孫は学校に通っている。祖父は読み書きできないが。
『パードレ・パードローネ』も思い出す。あれくらいの頃かもしれない。
老いれば体にガタがくるし、考えも鈍り、いいことばかりとは言えないが、まだまだ人の役に立てるし、楽しみもある。
児童書ではあるが、老いを感じ始める大人に元気をくれる本だと思う。
周りの人たちが、皆おじいさんを愛し、頼りにしているのがいい。(おじいさんも愛され、頼りにされるに足る、知恵と経験の持ち主であることがちゃんと描かれている。)
現実にはここまで他人に愛されることはないだろうが、だからこそ外国のちょっと昔の話として書いたのだろう。現代ドイツの話ではこうはいかないから。
ちょっと幸せな気分になる本。 -
これはいつ読んでも泣く。
山頂で孫が泣き出すシーンがたまらん。
おじいちゃんが死ぬつもりだってこと分かってて、それでも黙って荷車を引いてきた気持ちってどんなんだろう。
途中で文字を教えていく孫がけなげで良い。
年を取って家族に迷惑をかけるようになったら、皆このおじいちゃんみたいに死のうとするのかな。
働けなくなっても、介護が必要になっても、生きてること自体が必要だって言ってくれる人がいたらいいな。
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おしいちゃんに言われるままに、おじいちゃんを荷車に乗せて山の上へ連れて行く少年。山の上で二人は?さし絵が温かくて素敵。