最強組織の法則: 新時代のチームワークとは何か

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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198603090

感想・レビュー・書評

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  • とても示唆的。自分はこちらを読んだけれど、「学習する組織―システム思考で未来を創造する」で大幅に改訂されているそうなので、いずれそちらも読みたい。

    著者は人間の生存に必要な事だけではなく、高度な欲求を満たすために組織が持つべき5つの要素を、
    ①システム思考
    ②自己マスタリー
    ③メンタル・モデルの克服
    ④共有ビジョンの構築
    ⑤チーム学習
    であると述べ、そのような組織をラーニング・オーガニゼーション(学習する組織)と定義している。

    ラーニング・オーガニゼーションの核心には精神の変化がある。
    自分自身と世界とを別個のものとみる態度から、世界とつながっているとみる態度へ。
    問題の原因は「よその」誰か、または何かから来ているとする態度から、自分の行動が目の前の問題を生み出しているのだとする態度へ。
    ラーニング・オーガニゼーションでは、人々は絶えず発見をくりかえす。
    自分がどのようにして現実をつくっているか、そしてその現実をどうすれば変えていけるか。
    アルキメデスが言ったように。「充分長いてこがあれば、片手で世界を動かしてみせよう」


    ・問題にぶつかったらばらばらにするんだ。世界を細かく分解すればいい―幼いころからわれわれはそう教えられる。これで複雑な課題やテーマも一見取り組みやすくなる。しかし、その裏にひそむ莫大な代償をわれわれは支払うことになるのだ。なぜなら、行動のもたらす結果をもう予測できないからである。つまり、より大きな統一体とつながっているという実感が失われてしまうのだ。そこでわれわれは「大局を見よう」として、頭のなかにある断片を寄せ集め、全部のかけらを項目に分け、意味あるまとまりをつくろうとする。しかし、それはむなしい。割れた鏡の破片を寄せ集めて正しい映像を見ようとするようなものだから。こうして、やがて人は全体を見る努力をすっかりあきらめてしまう。

    ・都市の荒廃から地球環境の危機にいたるまで、窮迫する公共の諸問題の原因は、多くの場合、それらを緩和するべく計画された善意の政策そのものにある。諸問題の本質は実際には「システム」だったが、政策担当者はそうした根本原因に目を向けず、対症療法にのみ追われたのである。
    …きわめて大胆な組織実験は、たいていの場合失敗をくりかえしていた。部署別の自律的意思決定の試みは、組織全体に破滅的打撃を与えていたし、「チームワークづくり」と称して同僚こぞって筏の急流下りに出かけても、いざ帰ってみると、仕事上の問題について根本的意見の相違はなお消えなかった。危機の際には全社一丸となっても、景気が上向くとやる気はみんな蒸発した。異常な成功でスタートした企業でも、顧客や社員のためを思うこのうえなく立派な意図をもちながら、いつのまにか衰微のらせんにつかまり、立て直そうとすればするほどジリ貧に陥った。
    当時、システム思考のみでこれらの企業を変えられるとわれわれは思っていた。が、さまざまなケースと取り組んでいるうちに、システム思考だけでは足りない理由が分かってきた。

    ライト兄弟はエンジン飛行が可能な事を実証した。けれども商業航空の時代を切り開いたのは、1935年に実用化されたマグダネル・ダグラスDC-3だった。DC-3は5つの⑦不可欠な構成技術を合体させ、実用的集合体を初めてつくりだした。可変ピッチプロペラ、格納式車輪、「モノコック」と呼ばれる軽量成型ボディ、空冷式星形エンジン、ウィングフラップ(下げ翼)がそれである。その1年前、ウィングフラップを除くすべてを備えたボーイング247が開発されたが、ウィングフラップを欠くこの期待は離着陸時に不安定で、エンジン・サイズを縮小するしかなかった。成功するには5つの要素すべてが必要だったのである。

    ・ある分野で労働力の一時的供給過剰が広がると、その余剰人員のことを誰もが口にするので、若者たちはその分野を避ける。それで二、三年もすると労働力不足をきたし、とにかく人手が欲しいと、必死で若者たちを集める。それでまた供給過剰になる。ある職種の職業訓練をはじめるのに最適の時期は、明らかに、人々が余剰人員云々を数年来語っていて、志望者が他にほとんどいない時期である。そうすれば、人員不足が深刻になるちょうどそのときに訓練を終えられる。

    ・真に深くかつ新鮮な洞察とは、システム自体がそのふるまいの原因であることに目を開かせてくれる、そんな洞察である。

    ・このビール・ゲームは、過去20年間に教室や経営管理の研修セミナーで何千回となくプレーされた。五大陸にまたがる、年齢や国籍、文化的背景やビジネス環境も大きく異なるさまざまな参加者がプレーを試みた。生産・流通システムという言葉を初めて聞く人もいれば、そうした仕事に長年携わっている人たちもいた。けれどもゲームをするたびにおなじ危機が起きる。まず、需要が増えれそれに追いつけない。システム全体で注文がたまる。在庫が底をつく。注文残高が累積する。ついで、ビールが大量に届く一方で新注文がガタ減りする。ゲームの終盤には、プレーヤーのほとんど全員がどうしようもない大量の在庫を抱え込む。たとえば週あたり8、10、12ケースといった卸売業者の注文に対して、工場の在庫が数百という水準で上回る例もめずらしくない。
    背景がさまざまに異なる文字通り何千人ものプレーヤーが、皆同じ質の行動パターンを生むとすれば、この行動の要因は個人を超えたところにあるにちがいないと判断せざるをえない。すなわち行動の要因はゲームの構造そのものにあるはずだ、と。
    たとえば1985年、パーソナル・コンピュータのメモリー・チップは安価でたやすく手に入った。売り上げは18%落ち、アメリカ国内の生産者は25~60%の損失をこうむった。しかし、86年末に突然の品不足に陥り、パニックと過剰注文がそれに輪をかけた。その結果、同じチップが100~300%も値上がりしたのである。
    おなじような需要の急上昇と急落が半導体業界を見舞ったのは73年から75年にかけてのことだ。業界全体に膨大な注文と納品の遅れが累積したあげく、需要はがくんと落ちた。

    ・小売業者・卸売業者・ビール工場というプレーヤーそれぞれが、週一回だけ決定した―ビールをどれだけ注文するか。注文量を最初にかなり増やしたのは、小売業者で、第12週前後にそれはピークに達した。その時点で、ビールが納期に遅れはじめる。卸元と工場レベルでの受注残高のせいである。しかし小売業者はそのことを考えず、ビールをぜひとも手に入れようと注文量を一気に増やした。その突然の注文増が今度はシステム全体で増幅されたのである―はじめは卸売業者、つぎに工場で。卸売業者の受注量はほぼ40グロスでピークを迎え、工場生産量はほぼ80グロスでピークになる。
    その結果は、注文量が書くレベルで累積し下落する典型的パターンである。それは小売業者から工場へと「上流」に進むほど増幅される。言い換えれば、末端消費者から遠くなればなるほど注文は累積し、瓦解はいっそう極端になるのである。現に、工場プレーヤーのほぼ全員が一大危機に見舞われ、週あたり40、60、100グロスかそれ以上を生産してほんの数週間後に、ゼロに近い生産ベースで終わる。
    もう一つの特徴的行動パターンが在庫と注文残高の変動に現れる。小売業者の在庫は第5週ごろマイナスに陥りはじめる。小売業者の注文残高は数週間増えつづけ、第12週ないし15週ごろまでプラスに戻らない。同様に、卸売業者は第7週から第15週ないし18週まで、ビール工場では第9週から第18週ないし20週まで、受注量をこなせない。在庫がいったん蓄積しだすと、大きな数字に達する(第30週には、小売業者で約40ケース、卸売業者で約80から120グロス、工場では約60から80グロス)。
    注文の行き過ぎと激減、および在庫-注文残サイクルというこの二つの特徴的パターンは’安定した消費需要に反して’起こる。現に消費需要は一回変化しただけである。第2週に消費者の注文は倍増した―週に4ケースから8ケースへ。ゲームのその後ずっと、それは週8ケースのままだったのだ。
    …ビール・ゲームをやったあと、卸売業者とビール工場を演じた参加者に、消費者の注文状況を想像するままに描いてもらう。大部分の人が、彼らの受注が上下したのと同じように上下する曲線を描く。つまり参加者は、ゲームの注文が上昇し下落するなら、それは消費者需要の上昇と下落によるものと考えるのだ。そんな「外部要因」を仮定することこそ非システム思考の特徴である。
    消費需要をめぐるプレーヤーの想像から浮き彫りになるのは、問題が生じた場合、だれかまたは何かに罪を着せようとするわれわれの根深い欲求である。ゲームを済ませた当初は、悪いのはほかのプレーヤーだと多くの人が考える。しかし自分とおなじ問題がプレーヤー全員に起きたのが分かると、この信念は崩れる。つぎに多くの人はスケープゴート探しの矛先を消費者に向ける。しかしその推測をフラットな消費者需要レベルと対照すると、この理屈もあえなく崩れるのである。責任をお互い同士に、あるいは消費者に負わせることができないのを知ると、プレーヤーは最後の手段に訴える―システムのせいにしろ。しかしこの主張もまた根拠がない。実際、在庫や出荷の遅れ、情報不足といった「物理的システム」を考えても、大半のチームはスコアを相当に改善できるのだ。

    ・システムの効率を改善する際の、最高のレバレッジとは、システムにおける遅れを最小化する事である。

    ・成長限界の状況に立ち向かうには別の方法があるのだ。どの場合も、レバレッジは拡張循環ではなく平衡循環にある。そのシステムの行動を変えるためには、制限要素を特定し、それを変えなければならないのである。

    ・たとえばマーケティング・プロモーションや値下げを試みたり、サービス人員の増加や減少を試みたりする。また、あまり急速に航空機数を増やさないよう試みたり、逆により急速に増やすことを試みたりもする。また、基本運賃で提供する「サービス範囲」を広くしたり狭くしたりしてみる。成長と投資不足の構造を理解するようになるにつれ、収益および利益の伸びを持続させ、高いサービス品質を維持し、さらに輸送旅客数に伴ってサービス能力を向上する事のできるような戦略を見出していく。鍵は、サービス能力の確立という「根本的解決策」を重要視する事だ。これらはいずれも、とくに以下にあげるような、単純な変革によって達成できる。
    ★25%の運賃値上げ(それでもまだ業界の平均運賃の2/3である)
    ★高いサービス基準の維持
    結局、敵は「外に」いるというピープル・エクスプレス社幹部の思いこみが、自らの方針や戦略における矛盾の把握を妨げていたのだ。同社は人材活用方針における画期的な新アイディアによって革新を遂げようとしたが(ジョブ・ローテーション、チーム・マネジメント、社員持ち株制度、全社員の序列がわずか4段階しかない給与システム)、同時に数年で国内航空業界の大手にのし上がろうともした。これら二つの目標は内部的に相反するものだった。たとえば、年間100%の成長を維持するのに必要なのは、社員がさまざまなタイプの技能を何カ月もかけて習得しなければならない高度な人材活用システムではなく、数週間で人材養成が可能な「金太郎飴」的業務なのだ。

    ・真の変化には、生き残りを迫る脅威が必要だという間違った信念ができあがる。この変化の危機理論は驚くほど広く信じられている。だが、これもまた危険な単純化なのだ。ワークショップやプレゼンテーションの場で、私はよく訊くことがある。「人々や組織というものは、危機にあったときにだけ、根本的に変化するものだと考えていらっしゃる方は、どのくらいいますか?」まず間違いなく、8、9割方の手が上がる。そこで続けてまた尋ねてみる。「絶対的にどんな問題もない人生が送れるようになったときに、まず最初に思われることは何でしょう?」今度の答えは圧倒的だ。「変化です。何か新しいものを作り出したい」したがって、人間というものは、ふつう思われているよりももっと複雑なのだ。われわれは変化を恐れ、かつ求めるのである。あるいは、組織改革を扱うあるベテランのコンサルタントがいったように、「みな変わるのがいやなのではない。変えられるのがいやなのだ」

    ・シェルのプランナーたちは、来るべき断絶の瞬間を組み入れたシナリオを作成し始めた。しかしながら、観客ともいうべきシェルの経営幹部たちにとっては、それは成長の見通しに関する自分たちの長年の経験とあまりにかけ離れており、一顧だにされなかった。ワックはそれからのことをこう書いている。
    「この時点から、文書化された将来像を提出するのがわれわれの任務ではないことが分かった。本当のターゲットは、それぞれの意思決定者たちの『小宇宙』なのだ、と」

    ・同僚とのやりとりに心の中のセリフを加えてみると、必ず隠れた前提(相手への評価や判断)があって、それがどのように行為に影響を与えているかが分かる。

    ex
    私:プレゼンテーションの具合はどうだった?

    ビル:まあ、なんというのかな。まだ結論を出すには早すぎるよ。それに、これはまったく新しい分野だから…。

    私:そうだね、でもこれから何をすべきかな?きみが提議した問題はとても大事なことだと思うんだけど。

    ビル:うん、でもどうかな。まずちょっと成り行きを見守ってみよう。

    私:そうかもしれないけど、ただ待つだけじゃね。もっとやるべき事があるんじゃないのかな。


    心のなかのセリフを入れてみるとどうなるか。

    私:プレゼンテーションの具合はどうだった?
    (みんな、プレゼンテーションは大失敗だといってるよ)

    ビル:まあ、なんというのかな。まだ結論を出すには早すぎるよ。それに、これはまったく新しい分野だから…。

    私:そうだね、でもこれから何をすべきかな?きみが提議した問題はとても大事なことだと思うんだけど。
    (どれだけひどい状況か、ほんとうにわからないんだろうか?それとも、それに向き合う気が無いのだろうか?)

    ビル:うん、でもどうかな。まずちょっと成り行きを見守ってみよう。

    私:そうかもしれないけど、ただ待つだけじゃね。もっとやるべき事があるんじゃないのかな。
    (信じられない。われわれが前進するのに、あのプレゼンテーションがどんなに致命的だったか、本当にわかっていないのか。こいつにはっぱをかける方法を何とか見つけださなくちゃ)

    この例では私はおもにふたつの点でビルに対する前提を抱いている。ひとつは、彼には自信がない。とくにプレゼンテーションのまずい出来に向き合うことに関してだ。もうひとつは、彼は自主性を欠いている。そして、その両方とも事実とは言えないかも知れないのに、私の心のセリフでは明らかに事実として存在しており、この状況を扱うやり方にも影響を与えている。

    ・今日でもやはり、コミットメントを通じて解き放たれたエネルギーをコントロールしたり方向付けできるかどうかに、多くの管理職が慎重だ。そして、結局は服従で手を打ち、社員たちに服従の出世コースを歩ませることに甘んじているのである。

    ・研究会が進むにつれ、請求管理者たちは大事な管理上の課題について考え始めた。「未決」請求の件数が誤解を招く恐れが非常に高いのははっきりした。とくに、この数字だけでは、あなたの能力が十分なのかどうかを決して判断できないのだ。現行の基準では処理不可能な仕事量があれば、サービス提供者は一人の客に費やす時間をいつでも調整できる。プレッシャーがかかれば、仕事を早く投げやりに終わらせるだけだ。「サービス業では、処理能力を仕事の質と分けて評価する事は不可能」なのである。仕事の質をしっかりと評価できないならば、処理能力もしっかりと評価できない。これこそサービス業の多くが慢性的な能力不足に陥っている原因である。

    ・新しい学習ディシプリンを身に付けようというせっかくの努力が往々にして失敗に終わるのは、人間は自分が必要だと思うことを学ぶのであって、他人に言われるから学ぶのではないという学習の第一原則を、リーダ-が忘れてしまうからである。
    端的に言えば、リーダーの仕事とは学習のプロセスを設計することであり、それによって組織のメンバーが、自分の直面した重要課題に対して建設的に対処し、学習のディシプリン一つ一つについての能力を高めることができるようにすることである。

  • 990年原作の本とは思えない、今、日本企業の経営者が改めて読むべき本。

    読了するのに約3週間かかった。書評は、上のリンク先のブログを参照下さい。以下は、目次と個人メモです。


    <目次>

    第1部 最強組織の条件
     ラーニング・オーガニゼーションとは何か
    1 「充分長いてこがあれば、片手で世界を動かしてみせよう」
    2 組織はかく思考する
    3 システムの囚人、考え方の囚人?

    第2部 システム思考革命
    ラーニング・オーガニゼーションの中核ディシプリン
    4 システム思考の法則
    5 考え方をシフトする
    6 現象を支配するパターンを見抜く
    7 レバレッジの原則
    8 木を見て森も見る

    第3部 ラーニング・オーガニゼーションの構築
    9 自己マスタリー
    10 メンタル・モデルの克服
    11 共有ビジョン
    12 チーム学習

    第4部 創造への課題
    13 組織の「分権化」
    14 管理職の時間
    15 仕事と家庭の対立が終わる

    第5部 組織学習の新しいテクノロジー
    16 マイクロワールド1
    17 マイクロワールド2
    18 マイクロワールド3
    19 新しいリーダーシップ

    解説 日本企業の新しいチームワークへの指針

    2011.02.06 書評を書く
    2018.02.03 『「学習する組織」入門』に関連して取り上げる。

    <hr>
    <メモ>

    学習する組織
     ・人々がたゆみなく能力を伸ばし、心から望む結果を実現しうる組織、
     ・革新的で発展的な思考パターンが育まれる組織
     ・共通の目標に向かって自由にはばたく組織、
     ・共同して学ぶ方法をたえず学び続ける組織

    学習する組織の5つの鍵(14)
    ・システム思考:全体のパターンを明らかにし、それを有効に変えていくすべ
    ・自己マスタリー:高いレベルの習熟
    ・メンタル・モデルの克服:メンタル・モデルとは、我々の心に固定化されたイメージや概念。
    ・共有ビジョンの構築
    ・チーム学習:「対話」で始まる。対話の週間は各地の未開文化で保持されている。だが現代社会ではほぼ完全に失われてしまった。

    企業の抱える7つの学習障害(26−36)
    1.職務イコール自分
    2.敵は向こうに
    3.積極性の幻想:積極姿勢はしばしば形を変えた受身である。
    4.個々の出来事にとらわれる
    5.ゆでられた蛙の寓話
    6.体験から学ぶという錯覚:重要な決定の場合はたいてい、その帰結を直接には経験しない
    7.経営チームの神話

    ビール・ゲームの教訓
    61 システム構造:時間の広がりのなかで行動に影響をあたえる基本的相互関係。
    69 成功:自分が成功するには他の者もまた成功しなければならない。
    71 システム構造による説明(生成的)→行動パターンによる説明(対応的)→出来事による説明(受動的)


    5 考え方をシフトする
    95 企業経営における複雑な予測や事業分析手法そして立派な戦略プランが、往々にして劇的な解決策を生み出すことにならない。
    96 経営の多くの場面では、真のレバレッジとは、細部の複雑さではなく動態的な複雑さを理解することである。
    99 システム思考におけるフィードバックとは、影響力はつねに原因でもあり結果でもある。
    101 構造が行動の原因になっている。
    フィードバック・プロセス(104)
     拡張フィードバックー小さな変化がどのように拡大するか
     平衡フィードバックー安定と抵抗、一見何も起こっていない(111)
    107 拡張循環:クチコミ、雪だるま現象、便乗効果、悪循環
    112 遅れーいずれことが起こる
    システムの効率を改善する際の最高のレバレッジとは、システムにおける遅れを最小化することである。

    6 現象を支配するパターンを見抜く
    126 外国企業に市場シェアを奪われつつある企業は関税による保護を求め、結局、保護なしには立ち行かなくなってしまうのである。

    7 レバレッジの原則
    147 品質基準のなし崩し→顧客需要の低減


    9 自己マスタリー
    165 組織は個人の学習を通してのみ学ぶ
    自己マスタリーの二つの基本的な活動(167)
     1.自分にとって何が大事かをつねに明らかにしつづけること
     2.どのようにすればいまの現実の姿がもっとはっきりと把握できるようになるか、学習しつづけること。
    抵抗感(173)
    自己マスタリーは、直感や個人のビジョンといった計量不可能なあコンセプトに基づく。
    自己マスタリーはプロセス(179)
    テンション(180)
    クリエイティブ・テンション:ビジョンと現実の姿のギャップが創造的なエネルギーの源
    エモーショナル・テンション:不安、落胆、失望、心配等のネガティブな感情

    10 メンタル・モデルの克服
    メンタル・モデル:心の奥底に深く秘められた各自のイメージ(190)
    ロイヤル・ダッチ・シェルの事例
    シニア・プランナー、ピエール・ワック
    経営幹部に情報を与えるのが仕事ではなく、その世界観を考え直す機会を与えることが自分たちの任務(199)
     古いメンタル・モデル:石油ビジネスのやり方はこれからも変わらない(199)
     新世界観:供給不足、低い成長率、不安定な価格という新しい時代へと突入していく(200)

    1973年から1974年のオイルショックでは(200)
     競合他社:各部門の手綱を引き締め、権限を中央に集中した。
     シェル:精製施設への投資削減、OPEC以外の油田の急速な開拓。

    203 クリス・アージリス「行動科学」
    熟練した無能力者(203)
    「高度に熟練したやり方で、学習する際の苦痛や不安から自分自身を守る」

    ハノーバー保険のメンタル・モデルを育むための作業原則(208−209)
     8 集団の中で調和することをゴールとしない。
     9 プロセスがうまく働けば、その結果として、調和がもたらされる。

    自己省察の技術(211)
    思考プロセスをスピードダウンすることで、どのようにメンタル・モデルが形成され、どのように行動に影響を与えているか自覚できるようになること。

    メンタル・モデル克服とシステム思考の関係(222)
     メンタル・モデル克服:隠された前提を明らかにすることに焦点を当てる
     システム思考:前提を再構築し、重要な問題の原因をあきらかにできるようにする。

    11 共有ビジョン
    共有ビジョンとは何か(225-227)
    ・心に強く刻み込まれた力。はっきり知覚できるもの。
    ・「我々は何を創造したいのか」という問いに対する答え
    ・組織のなかのあらゆる人々が抱いている心象
    ・多くの人々が本当の意味でコミットするビジョン
    ・外因的:競争に勝つこと、一番になること。
    ・内因的:武術を極める、完璧を目指す。
    ビジョンに対してとりうる態度(245)
    ・コミットメント:法をも作り出す。
    ・参加:法の精神の範囲内。
    ・心からの服従:期待される以上を行う。法に従う良き兵士。
    ・形だけの服従:期待されることまで。かなり良き兵士。
    ・嫌々ながらの服従:期待されることまで。不平を漏らす。
    ・不服従:期待されるこもしない。
    ・無関心:「もう五時になったの?」
    共有ビジョンうまくいかない理由(255-256)
    ・現実に対するわれわれの受身の姿勢。
    ・人々が変化に対応することだと考えること。
    共有ビジョンが生きる時(255-256)
    ・自らの未来を形作ることができると本当に信じるとき、ビジョンは生きてくる。
    ・人々が変化を生み出すことだと考えること。

    12 チーム学習
    「意見交換」と「ディスカッション」(271-272)
    ・ディスカッション:決定が下される。ひとつの結論や行動方針に集中。
    ・意見交換:複雑な問題の探求。合意は求めない。行動は副産物。
    意見交換の条件(267)
    ・参加者はみな、自分の仮説を「呈示」する。
    ・参加者はみな、お互いを仲間と見なす。
    ・進行役の存在。
    偉大なチームと月並みなチームの相違(273)
    ・衝突をいかに直視するか、衝突につきまとう防御をどう扱うかにある。
    防御慣例(274-279)
    ・一種の保護膜をつくり、苦痛から自分たちを守る。
    ・苦痛を防いでくれるが、苦痛の原因について学べなくなる。
    ・その根源は、自分たちの意見の背後にある思考を好評することへの恐怖(アージリス)。
    ・自己密封式:それ自身の存在をわかりにくくくしている。
    学習するチームの特徴(281)
    ・防御の欠如ではなく、いかに防御に直面するか。

    13 組織の「分権化」
    分権化と集権化の揺れ動き(291)
    ・経営上層部が下の意志決定者を信頼していない証拠となる。
    ・責任転嫁の構造にもなっている。
    分権化によって高める価値(292)
    ・学習の質、適応能力、興奮や意気込み、人間的成長
    監督することなく管理するにはどうしたらよいのだろうか?(293)
    「共同食卓の悲劇」(ギャレット・ハーディン)(297)
    ・共同で利用される資源がある。
    ・個々の意志決定者は自由に行動でき、短期的な利益を得るために資源を利用する。
    ・しかし、その対価は支払わない、または、資源利用の代償に気づかない。
    ・問題が顕在化するまでに遅れが生ずる。
    「共同食卓」は誰が管理するか?(301)
    ・1.管理者を置く。
    ・2.危険信号がともったことを知らせる手段を定めておく。「喫水線」の原理。
    中枢の経営者が担う新たな役割(303)
    ・研究者として:組織をシステムとしてとらえ、内外の諸力を解明する。
    ・設計者として:諸力を組織全体の幹部が理解できるように学習過程を設計する。

    15 仕事と家庭の対立が終わる
    個人の役割(318)
    ・自分にとって何が本当に重要なのかの見極め。
    ・選択する(約束する)。
    ・自分の選択について、周りの人間には正直に振舞う。
    ・周りの人間の上辺だけの同意や協力を求めない。
    組織の役割(320)
    ・自己マスタリーをサポートする。
    ・家庭問題の存在をメンバーが認められるようにする。
    ・カウンセリングやガイダンス。
    学習する組織の5つのディシプリンを実行することにより身につく価値観や習慣はビジネス同様、家庭を育てるのにも役立つ。

    16 マイクロワールド1
    「経験による学習のジレンマ」(325)
    (要約)現実の課題は複雑で、行動に対して結果が時間的・空間的にかけ離れていて実感できず、経験から学習することができない。
    マイクロワールド:時間と空間を圧縮した模擬(326)
    子供の遊びに見るマイクロワールド(326):
    ・人形遊び:人との接し方
    ・積木遊び:空間幾何学と力学の基礎
    ・ブランコ:振り子の基本的原理
    ・シーソー:てこの原理
    マイクロワールドを適用すべき領域(328):
    ・1.未来の学習
    ・2.隠れた戦略チャンスの観察。
    ・3.使われていないレバレッジの発見。

    17 マイクロワールド2
    18 マイクロワールド3

    19 新しいリーダーシップ
    設計者としてのリーダー
    老子(365)
    ・悪しきリーダー:人々から嫌悪される人。
    ・よきリーダー:人々から賞賛される人。
    ・偉大なリーダー:人々に「我々が自分たちで成し遂げた」といわしめる人物。
    給士役としてのリーダー
    ・ビジョンの奥に壮大な物語と目的意識が存在する。(372)
    ・組織に言及した物語(381)
     人間性と調和(オブライエン)
     存続への欲求と創造への欲求(サイモン)
     壮大な理想像の概念化とアイデアの実践(スタータ)
    ・物語は未完成でもある。物語は語られるうちに進歩していく。(381)
    教師としてのリーダー
    ・「リーダーの最初の役目は、現実を定義することである」(マックス・ド・プリー、ハーマン・ミラー元CEO)(383)
    ・「教師としてのリーダー」は、いかにしてビジョンを実現するかを「教える」のではない。全員に学習をうながすのである。(388)
    ・ラーニング・オーガニゼーションにおけるリーダーとは、どんな人材だろうか?それは、学習する人なのである。(394)
    選択と欲求は違う。「欲しい」とは受動的であり「選ぶ」とは能動的だ。(394)


    [解説]日本企業の新しいチームワークへの指針、T・W・カン
    共有ビジョン
    ×討議していくうちにだんだん保守的になっていくこと。
    メンタル・モデル
    ×「尊敬する先輩が作った仕掛けだから否定できない」・・前例主義
    チーム学習
    ×仕事の領域、メンツや学閥等が邪魔して、いえないことが多い・・・風通しの悪さ
    〇アメリカにおいては対話を重んじる二法通行の教育システムが主流だ。
    ×日本の場合、一方通行がほとんどだ。
    ×東洋では経験を重視する。時代が不透明になり、自社組織の中に経験がない機能をどう補うかを真剣に考える必要性が生じてきた。
    自己マスタリー
    〇自己を磨くという面では、東洋から学ぶべきところが多い。京セラ稲盛会長の例、職人かたぎ、TQC、改善運動など。
    システム思考
    ×論理学・システム工学・・日本ではまだこの分野の教育が根深く下ろしているとはいえない。
    システム思考
    組織において戦略を実行する歳、的確なフィードバックがタイムリーに返ってこなければ致命傷になるだろう。
    ×日本ではミドル・マネジメントの位置づけも課題になる。
    0 +

  • 第1章 十分長いテコがあれば片てで世界を動かしてみせよう
    「システム思考」の可能性を現実のものにするには、「共通のビジョン」を築き、「メンタル・モデル」を意識化し、「チーム学習」を進め、個人の習熟をはかる「自己マスタリー」の訓練も必要である(P21)

    第2章 組織はこう思考する
    組織に生じる七つの学習障害の「職務=自分」「敵は向こう」「積極策の幻想」「個々の出来事に囚われる」「ゆでられた蛙の寓話」「体験から学ぶという幻想」「経営チームの神話」を知る

    第3章 システムの囚人、考え方の囚人
    七つの学習障害として、ビールゲームの事例を紹介。
    ・「職務=自分」なので自分の行動が他の職務にどう作用するのかを見ない
    ・よって問題が生じると、たちまちお互いに罪を着せい、「敵」をみなされるのは他のポジションにある者、場合によっては顧客になる
    ・「積極姿勢」になって発注量を増やし事態をいっそう悪化させる
    ・一般的に「自分の経験からは学ばない」。なぜなら、自分の行動の最も重要な影響はシステムの他の場所で起こり、のちにそれが問題となって跳ね返ってきても他人のせいにするからである

    第4章 システム思考の法則
    ・システム内のある場所から別の場所へ問題を移すだけの解決策は、最初の問題を解決した人とは別の人へ新たな問題が引き継がれるため、看破されずに通ってしまう(P78)
    ・状況は一旦好転してから悪化する(P80)
    ・複雑な組織の根本的特徴、すなわち「原因」と「結果」は時間的・空間的に近接しているとは限らない(P84)
    ・経営管理をめぐる難題を理解するにはその問題を生むシステム全体を眺める必要がある(P88)

    第5章 考え方をシフトする
    ・システム内での影響力は常に原因でもあり結果でもある(P99)
    ・拡張のシステムでは小さな行動が良きにつけ悪しきにつけ大きな結果を引き起こす(P105)
    ・平衡のシステムでは変化への抵抗が起こる。抵抗を克服するために潜在的な基準およびその基準が根ざす力関係に直接働きかける(P112)
    ・フィードバックは「遅れ」て生じる。短期的には取るに足らないものでも長期的には脅威となる。フィードバックが即時に起こるものであれば、だれでも気づける(P115)

    第6章 現象を支配するパターンを見抜く
    ・「成長の限界」や「問題のすり替え」などの特定のパターンの構造が繰り返し生じる(P117)
    ・成長の限界では、成長または改善のプロセスが一定期間自動的に機能するがやがて平衡プロセスに突入し成長を制限する。レバレッジは拡張プロセスではなく平衡プロセスの中にあり、制限要素を特定してそれを変える(P119, 122)
    ・問題のすり替えでは、対症療法敵解決策が重ねて実施されることによって一時的に症状は緩和するが水面下ではゆっくりと状態悪化が続いている。レバレッジは根本的な問題への反応の強化と症状に対する反応の緩和の組み合わせが必要で、長期的な方向づけとビジョンの共有が必要である(P130, 131)

    第7章 レバレッジの原則
    「成長の限界」と「問題のすり替え」の具体例としてワンダーテック社の事例が紹介される
    ・構造のどこに働きかけどこを変えれば決定的かつ持続的な改善へとつながるのかを把握(P133)
    ・成長限界の構造において最もしてはならないことは平衡プロセスではなく拡張プロセスを強引に推し進めることである(P139)
    ・時間的に隔たりのある原因と結果を把握できないという典型的な学習障害を患うことに注意(P140)

    第8章 木も見て森も見る
    ピープル・エクスプレス社の事例

    第9章 自己マスタリー
    ・自己マスタリーによって、自分にとって何が大事かを常に明らかにし続けること、どのようにすれば今の現実の姿がはっきりと把握できるようになるのか学習し続けることが可能(P167)
    ・自己マスタリーを追及するときは、自分のビジョンに忠実であること、真実の姿にこだわり続けることを選択する(P187)
    ・自己マスタリーを組織で育むには、人々がビジョンを安心して想像でき、真実へのこだわりや追及が当たり前になっており、現状維持の雰囲気に対する挑戦が期待されているようにする(P188)

    第10章 メンタル・モデルの克服
    メンタル・モデルを克服する事例として、ロイヤル・ダッチ・シェルのシナリオプランニングが紹介される
    ・システム思考でもたらされるような数々の変化があっても凝り固まったメンタル・モデルで妨げられることは多い(P222)
    ・心の奥底には世界の仕組みに関して深く秘められた各自のイメージが存在し、それが新しい見識と相容れないせいで実行の段階にまで進まない(P190)
    ・制度の中にメンタル・モデルを見つめ直し取り上げる作業を根付かせる(P206)
    ・シナリオプランニングは経営幹部たちの世界観を考え直す機会を与える(P199)
    ・自己省察の技術は「抽象化という飛躍」(実際の観察から一般化した際に検証をしないと飛躍が起きる)を認識することが大切(P213)

    第11章 共有ビジョン
    ・共有ビジョンは学習のための集中力やエネルギーをもたらす(P226)
    ・共有ビジョンは経営においてシステム思考を展開させるための努力を妨げている難問の1つ「長期コミットメントをいかにして促進できるか」に取り組む(P231)
    ・共有ビジョンの構築はリーダーの日常業務の中心的要素と考えねばならない(P236)
    ・共有ビジョンは時間をかけて現れる、それは個人的ビジョンの相互作用の副産物として生まれ、継続的な対話を必要とする(P243)
    ・共有ビジョンへのコミットメントと服従の間には雲泥の差がある。もし人が単純に従っているだけであればたとえばそれが心からの服従であっても彼らの生み出しえないエネルギーや情熱や興奮をコミットした人はもたらす(P247)

    第12章 チーム学習
    ・チーム学習とは、チームのメンバーが本当に望んでいる成果を生み出すために、一致協力してチームの能力を伸ばしていく過程である。これは、共有ビジョンを育むディシプリンと自己マイスターに基づいている(P259)
    ・意見交換では複雑で微妙な問題を自由かつ建設的に探究し、お互いの意見を十分に聴き、自分の考えを呈示する。対照的にディスカッションでは様々な考えを述べたり弁護して、そのときに下さなければならない決定をサポートするにはどの考え方が最善かを探求する(P261)
    ・意見交換では各メンバーの仮説が掲げられ、それぞれを対比することができる(P269)
    ・権力を持つ人は自分の特権を保持したいと思う以上に意見交換がもたらす恩恵を心から望まなければならない(P270)

    第13章 組織の「分権化」
    ・真に責任をもって行動するとき、学習する速さは最大になる。逆に自分が置かれている状況を思い通りにできないという無力感を抱いていたり誰かに指図されていると思うとき学習意欲はそがれる(P287)
    ・従来の権限をもつ経営者がもっと組織を分権化されたいと本当に望むことが不可欠だ。各事業単位で働く相当数の人々が、自分たちの思う通りにやり、結果に責任を持ちたいと真剣に望む必要もある(P292)
    ・共同食卓の悲劇:部分的には正しい決定が大局的には間違っている(P296)
    ・事業部化と自主性尊重によって、短期的な損得勘定に追いまくられる経営者がこれまで以上に多くなった(P300)
    ・組織全体に目を配り、「指導理念」や核となる価値観・使命を生み出し、ビジョンを常に発展させていくことが仕事の1つ(303)
    ・リスクに挑戦する態度を育てるには、失敗に対して寛大な処置をとる必要がある(P304)

    第14章 管理職の時間
    ・助言を求める人物が自分の上にいない場合、専門家として成功するには、立ち止まって仮説を立て、行動し、再び立ち止まって結果について考えるという連続したサイクルで仕事をする能力を伸ばさなくてはならない(P308)
    ・管理職の仕事は、直接報告させる人間の人選、方向性の設定、組織が将来直面する重要な課題を見極める、誰かの判断に協力する、総括的な義務である組織のデザインをする

    第15章 仕事と家庭の対立が終わる
    ・個人の仕事と生活のすべての局面とは自然なつながりで結ばれているため、仕事と家庭の間に不自然な境界をつくることはシステム思考の天敵である(P314)
    ・ラーニング・オーガニゼーションの5つのディシプリンを実行することにより身につく価値観や習慣はビジネス同様、家庭を育てるのにも役立つ(P321)

    第16-18章 マイクロワールド
    ・決断の結果が将来または組織の別の場所で生じる場合でも、時間と空間の圧縮を行うため経験や学習が可能(P326)
    ・未来の学習、隠れた戦略チャンスの観察、使われていないレバレッジの発見ができる(P328)

    第19章 新しいリーダーシップ
    ・ラーニング・オーガニゼーションのリーダーの重要な設計作業は、ビジョン、価値観、目的、システム思考、そしてメンタル・モデルを統合すること(P368)
    ・ビジョンの給仕役(P374)
    ・目的意識と本物のビジョンをもちながら、メンバーの理解力を育成する能力に欠けているリーダーが非常に多い(P387)
    ・変化を引き起こす組織的な力を、人々が理解できるように手助けしなければならない(P388)
    ・いかにしてビジョンを実現するかを「教える」のではなく、全員
    に「学習を促す」のである(P388)

  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB20538533

    本書はMITのPeter M. Senge 教授が執筆し、全米でベストセラーになった洋書“The Fifth Discipline”を和訳したものです。センゲ教授は本書を通じて、システム思考という概念を提唱しました。これは、世の中の事象は因果関係の複雑な体系に埋め込まれており、その事象の発生要因を捉えるためには、因果体系の全体を視野に入れなければならないという考え方です。
    例を挙げましょう。米ソ冷戦の時代には、「アメリカの軍拡→ソ連の軍拡」という因果関係が成り立っていました。敵国(アメリカ)が軍事拡大を行ったために、我が国(ソ連)は更なる軍事拡大を行わなければならないという論理です。しかし、この論理の背後にはもう一つ重大な因果関係が存在します。「ソ連の軍拡→アメリカの軍拡」です。つまり、今度はアメリカ側が敵国の軍事拡大に合わせて、それを上回る軍拡を行うことです。以上の二つの因果関係を合わせると、言い換えれば、因果体系の全体を視野に入れると、両国の行っていることは際限の無い軍備増強であり、互いに恒常的な優位性を決して保てないことが認識できます。この様に目先の因果関係に囚われることなく、その全体構造を認識することができたならば、無為な軍拡競争などは行われなかったに違いありません。
     社会にはこれに類することが実にたくさんあります。皆さんはセンゲ教授の提唱するシステム思考を身につけ、何事においても物事の因果関係の全体構造を把握するように努めて下さい。分かり易い因果関係のみに惑わされること無く、その背後にある因果の体系に目を向けて下さい。これこそ、視野を広げるということを意味します。

    (推薦者:経済経営学類 秋山 高志先生)

  • 【メモ】
    ・ラーニング・オーガニゼーションの5つの鍵
    ①システム思考
    ②自己マスタリー
    ③メンタル・モデルの克服
    ④共有ビジョンの構築
    ⑤チーム学習

  • ちょっとフワッとしているが、学習する組織を作るには良い本。

  • 図書館にて
    ラーニングオーガニゼーションとその実現に向けた方法論を詳細に説明している。リーダーに対する考え方も感銘した。

  • これからの社会はますます複雑を極めていく世の中となっていく。そのような中で社会が発展し企業の中の組織が成長発展していくために必要な考え方や思考を著者は論じている。企業に所属する一社員としての個人の成長発展と同時にその人が所属する組織が組織単位で成長し向上していくにはどのような管理機構や組織体系が必要なのかと言うことが詳細に論じられており非常に参考になる。これからの時代、成長を続ける会社としての組織体制を築く上で参考になる考え方と言える。組織がチーム単位で学習し成長していくためにどのようなシステム思考が必要なのかと言うことが詳しく論じられている。

  • ざっと一読のみ

  • ”■読前チェック
    T:下読み10分(+本ちゃん読み15分)
    P:jinkaiとしての次年度方針に活かす
    O:1/10までに作成する方針(文案)へ反映させる”

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