白鳥異伝

著者 :
  • 徳間書店
4.16
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  • Amazon.co.jp ・本 (598ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198605407

作品紹介・あらすじ

遠子と小倶那は双子のように育った。都に出る日、小倶那は誓った…必ず遠子のもとに帰ると。けれども小倶那は「大蛇の剣」の主として帰り、遠子の郷をその剣で焼き滅ぼしてしまった…。「小倶那はタケルじゃ、忌むべき者じゃ」大巫女の託宣を胸に、何者にも死をもたらすという伝説の勾玉の首飾りを求めて旅立つ遠子。だが、ついに再び会う日が来たとき、遠子の目に映った小倶那の姿は…?神代から伝えられた「力」をめぐって、「輝」の未裔、「闇」の未裔の人々の選択を描く、ヤマトタケル伝説を下敷きにした壮大なファンタジー。10代から。

感想・レビュー・書評

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  • 『空色勾玉』に続く萩原規子さんの神話ファンタジー第二弾。今回ベースとなる神話はヤマトタケル伝説である。

    巫女の一族、橘家の娘遠子と、川に捨てられていたところ橘家に拾われた小倶那。二人は三野の里で双子のように仲良く育つ。
    12歳になった小倶那は、都を統治する「輝の一族」の皇子に仕えるため、遠子と離れて都へと旅立つことになる。必ず帰ってくる、と遠子に約束する小倶那だが、帰ってきた彼は「大蛇の剣」の使い手となっており、三野の里を焼き滅ぼしてしまう。
    小倶那を自分の手で止めるために、遠子は橘一族に伝わる五つの勾玉を求めて旅立つ。

    なかなかのボリュームだった『空色勾玉』よりさらに分厚く、読み終えることができるか心配したが、面白くて一気読みしてしまった。
    ちょっとおてんばな少女の主人公、謎が多く自分では制御できない力を秘めた美少年、と基本的には主要なキャラクターが前作と似ているが、主人公の遠子が勾玉を探し求めて全国を旅する冒険が楽しく、また途中まで旅の道連れとなる同族のいけすかない象子や、美しい女性に目がなく自由気ままなプレーボーイだが、年寄りと子供をほおっておけない菅流など、脇のキャラクターが魅力的で、前作よりもぐっと惹きつけられた。

    巫女の一族といってもほとんど何の能力も持たず、ただ小倶那への一途な愛だけでつき進んでいく遠子の姿は、大人の私にはまぶしすぎるほどだが、少年少女が困難に立ち向かい、正しい方向に世界を動かしていく、という王道の物語は、人生のどこかで必ず出会うべきものではないかと思う。

  • 空色勾玉の続編です。
    個人的には空色勾玉より読みやすく楽しく読めました。
    菅流とその仲間たちがこの物語を重くなりすぎないことに一役買っています!オススメ!

  • 何回読んだかわからない。
    好きな人と生きる選択をすること。どんな状況でも、その選択さえ手放さなければ、ただ一人の人としてパッピーエンドを迎えられる。
    現実はそうはいかないこともあるけれど、そういう意味ではファンタジーだと思うけど、そういうメッセージが込められたファンタジーが大好きだし、生きる勇気になる。今までも、これからも。

  • 約10年ぶりに再読。
    勾玉シリーズで一番好きだったのが、本書。
    久しぶりに読んでもやっぱりよくて、久々に寝るのを惜しんで読みました。
    運命に翻弄されつつ、ひたむきに生きようとする人々が織り成す物語。
    壮大な和風ファンタジーです。

    勾玉を集める旅はまるでRPGゲームのようで、そのファンタジー色の強い世界観に魅せられます。
    加えて人物が誰も魅力的。読んでいて何度か泣かされました。
    人は様々な一面を持っている生きものだと思いますが、それらが丁寧に書かれているからこそ読んでいて身近にも、愛おしくも感じるんでしょうね。
    弱い一面と強い一面、好ましい一面と好ましくない一面。
    思わずハッとさせられる場面がいくつあったことか。

    以前読んだ時はただただ、そのファンタジーの魅力や人物描写に惹かれたけれど、改めて読んでみるとテーマの1つに「愛情の形」があることに気づきます。
    本書には本当に様々な愛情の形で溢れていて、どれが良くてどれが悪いというものではないけれど、考えさせられるものがありました。
    相手を想うこと、向き合うこと、一緒に生きることの大切さに触れられます。

  • ヤマトタケル伝説を下敷きにした、勾玉シリーズ第2作。

    幼い頃から双子のように育った遠子と小倶那。
    しかし運命は彼らを、命をねらい・ねらわれる相手へと変えてしまいます。
    彼らの故郷を滅ぼした強大な力から小倶那を解き放つため、遠子は伝説の勾玉を探しに旅出ちます…

    大和の時代のプレイボーイ・菅流がいい味出しています。
    ともすると遠子と小倶那の背負うものの重みで苦しくなりそうなのですが、軽やかな風のような菅流のおかげで笑いと明るさが差し込むのです。
    特に、菅流と彼の友人たちの会話が大好きです。
    楽天的で、どんなことでも笑い飛ばせそうな陽気さは、人生における最強の武器の1つかも。

  • いつまでも心の中に残っている。初めて読んだ時は空色勾玉と並び衝撃を受けました。

  • 空色勾玉に続けて読んだが、前作よりハマらなかった。前作に比べ登場人物の神秘度が減ったにも関わらず、超自然的な能力の要素、恋愛や語彙の現代っぽさが増したことへの違和感を拭い切れなかったからだと思う。こんなクソどうでもいいことが気になって肝心の内容が入ってない自分に呆れる。誰か私の小蛇を祓ってくれ。

  • 大好きな本です!!中学生の時に読んだんですが、とても大好きで今でもたまに読み返します。登場人物みんな魅力的すぎる

  • 勾玉三部作二作目♡
    主人公は小碓命(小倶那)と遠子(橘の巫女の血筋を引く)
    ヤマトタケルの伝説をモチーフにしたお話し
    大碓命と明姫のカップルもせつないけど美しいカップル♡♡
    一番好きなのは伊津母の菅流♡(笑)
    荻原規子さんが参考にした「少子部スガル(少子部蜾蠃(ちいさこべのすがる))」のお話しが載っている『日本霊異記』も読みたくなった♪

    〈覚書〉
    「日本書紀」第12代天皇(在位:景行天皇元年7月11日 - 同60年11月7日)。日本武尊(やまとたけるのみこと)の父。『日本書紀』には自ら九州に遠征して熊襲・土蜘蛛を征伐し、東国には日本武尊を遣わして蝦夷を征討させたと伝わる。

  • 荻原規子の勾玉3部作のうち、「空色勾玉」に続くふたつめの物語。個人的には、一番好き。物語的にも一番長い笑 日本の神話を下地に敷いたファンタジーで、今回はヤマトタケルを題材にしています(前作は神々に焦点を当てていて、アマテラスとかツクヨミとかイザナギとかイザナミとかが出てくる)。

    あらすじは、一言で言うのはちょっと難しい。三野の少女・遠子と、双子のように育った拾い子・小倶那の物語。小倶那は皇子の影武者となり都に上るも、皇子の謀反なり出生の秘密なんなりで、「大蛇の剣」という強大な力を暴走させてしまい、故郷である三野を焼き払ってしまう。生き残った遠子は、故郷を滅ぼし、他の国々も滅ぼし続ける小倶那を殺すため、「大蛇の剣」を鎮める勾玉、「玉の御統」を探し求める……、という内容。

    ぶっちゃけて言うと、ラブストーリーです。ラブストーリーですが、ファンタジーです。しかも一筋縄ではいかない骨太のファンタジーです。設定やストーリーが作りこまれていて、児童文学としてあがることの多いタイトルですが、大人が読んでも十分楽しい。というより、一途な遠子ちゃんがすごく良いキャラクターで、大人こそ深く楽しめる。「小倶那を殺す」という物騒な想いに対しても一途だし、双子のように育った小倶那への恋慕も一途。

    ラブストーリーという点で、若干少女マンガ風な香りが漂ってくるのが、男性読者にはノットフォーミー臭を抱かせやすいですが、ぜひ一読して欲しい作品。より深く楽しむのであれば、設定的なつながりのある前作「空色勾玉」も必読です。

    一時期はこの勾玉3部作シリーズが好きすぎて、新作は出ねーのか、3部作で本当に完結なのかと悶え苦しんだ次第。

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著者プロフィール

荻原規子・東京生まれ。早稲田大学卒。『空色勾玉』でデビュー。以来、ファンタジー作家として活躍。2006年『風神秘抄』(徳間書店)で小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞(JR賞)、日本児童文学者協会賞を受賞。著作に「西の良き魔女」シリーズ、「RDGレッドデータガール」シリーズ(KADOKAWA)『あまねく神竜住まう国』(徳間書店)「荻原規子の源氏物語」完訳シリーズ(理論社)、他多数。

「2021年 『エチュード春一番 第三曲 幻想組曲 [狼]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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