出発点―1979~1996

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著者 : 宮崎駿
  • スタジオジブリ (1996年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (580ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198605414

出発点―1979~1996の感想・レビュー・書評

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  • 風立ちぬを観て久しぶりにジブリ熱が上がりに上がり、原画展に行き、DVDを買い、それでも飽き足らずDVD借りて観たりする毎日。
    そんななか本書も通勤中にちびちびと読んでいたのですが、とにかく重い。ひたすら重かった。

    ・アニメーションを作るということ
    ・しごとの周辺
    ・人
    ・本
    ・好きなこと
    ・対談
    ・企画書・演出覚書
    ・作品
    ・エロスの火花(高畑勲)

    どーんと、580P。ぎっしり。
    33年分、文章として残っているものを全部詰め込んだ感じ。
    映像ではなく、言葉で宮崎駿という人物が具体的にどう凄いのかがわかる本だと思いました。
    でも本人は絶対そんなつもりでこの本を出したわけではないと思うし、
    多分鈴木さんにそそのかされての事なんじゃないかなあなんて思ったり 笑。

    宮崎駿について一番手っ取り早く理解できるのは巻末に描かれたパクさんの文章で十分。そのくらい素晴らしいあとがきというか解説でありました。
    でもやっぱり宮さん自身が何を思って何がしたくて作品を作っているかとか、あの映画のあのキャラクターはどうして生まれたのかとか、そういう細かいことも含め、本文がとても興味深かったです。
    対談もえらい豪華だったし。批判もいっぱいしているけれど、理由が明確だし、なんというか、すべてにおいて信念の強いひとだなと。
    個人的に口だけのひと...言うだけで行動しない人が一番嫌いなんですが、宮さんの場合は言うけど、やる。
    今の日本は駄目だと言いながら、毎朝近所のゴミを拾い、子供のために映画を作る。
    正しいか間違ってるかは別として、私はすごく好感を持ちましたね。
    映画ではなく、宮崎駿と言う人間がさらにすきになりました。

    小学生の時、初めて映画館でナウシカを見たときの、強い衝撃。
    あの時の自分が何を感じ何を思ったのかはもう忘れてしまったけれど
    なんかすごいものを観たという感覚だけが残っている。
    それから数十年、いい歳した大人になってもジブリに夢中なんてきっと宮さんは良いことだとは思わないし。喜びもしない。
    だけど、72歳になってもアニメーションがやめられない宮さんと一緒で、私もやっぱりジブリ好きはやめられない。そう思いました。

  • 本書は「宮さん」ことアニメーション映画監督・宮崎駿の書いたエッセイや企画書に演出覚書さらには司馬遼太郎らとの対談にくわえインタビュー等90本を収録したまさに「思想書」とも呼ぶべき一冊でございます。

    本書は宮崎駿監督が1979年から1996年まで綴ったエッセイや企画書、さらには演出の覚書や私淑する司馬遼太郎らなどの対談やインタビュー記事を90本にもわたって収録したまさに『思想書』とも言うべき膨大な記録となっていて、その内容のあまりの濃さに読み終えた後はしばらく放心状態になっておりました。

    具体的な作品に関してはスタジオジブリ製作前の「パンダコパンダ」や『アルプスの少女ハイジ』に始まってナウシカ、ラピュタ、紅の豚などの代表作に始まり「コクリコ坂から」についても触れてあって、「あぁ、この頃からあの企画は暖めてあったんだ」という思いと、後に「300日戦争」とも言われる息子・宮崎吾朗氏との相克の理由がなんとなくわかるような気がいたしました。

    さらに、解説ではパクさん(スタジオにいつも遅刻ギリギリに入ってきて水道水を飲みながらパンをパクパク食べていたことから命名)こと高畑勲監督による宮崎駿監督評もこれまた秀逸で、その中でも一番驚いたことはあのハードワークといわれるアニメーション製作をしている宮崎監督の『休息方法』とはなんと、スタジオの経営やスタッフの席替えなどの陣頭指揮、さらにはジブリ美術館の設計図を自ら引くなどの『別の仕事』が彼にとっては『休息』という普通の人が聞いたらド肝を抜かれそうな仰天エピソードが書かれてあって、表紙にも描かれているくわえタバコにギンギンの顔で机に向かっている自画像はまさに当時の筆者そのものなんだなぁと思いながらページをめくっておりました。

    この本を読んでいる途中、テレビで『風の谷のナウシカ』が再放送されており、結末はわかっていてもつい最後まで見ておりました。ここには、ナウシカ製作当時のウラ話や作品にこめたメッセージが当時のインタビューにこめられていて、同時進行していたマンガ版のナウシカとの兼ね合いや、二人三脚で歩んできた高畑勲監督をはじめとする製作スタッフとの緊張関係にわたるまで、本当にはじめて知るようなことがてんこ盛りの内容でした。

    そして、尊敬する司馬遼太郎との対談や、手塚治虫が他界したときの追悼メッセージに書かれた彼への『訣別』の思いなども収録されており、アニメーションを芸術の域にまで消化させた人間の生々しいまでの『息遣い』が収録された一冊であると思います。

  • 宮崎駿ってほんとにすごいんじゃないかと、今さらながら気がついて、彼の書いた文章や、言葉や、考え方に触れてみたくなって手に取ってみた本。
    これを読むと、宮崎駿がこの世界の動きや、人々の心の中をよくよく感じ取って作品を作っていることがよくわかる。
    また、彼の作品がそのために存在しているということもよく分かる。
    ジブリの作品が、宮崎駿の映画がなかったなら、日本は今よりもぐっと元気のない国だったんではないか、そう思えてくるほどだ。

    「伝えたいこと」「哲学」「世界を観る視線」そんなものがしっかりと彼の中に根を下ろしているにも関わらず、その映画は誰がみても楽しめるエンタテイメントなのだ。
    それが、本当にすごい。

    私がこの本を読んで分かったことは、私にはその世界をみる視点がないということ、その目を養うための訓練をずっとしてこなかったということだった。
    借り物はいやだ。
    私も、自分でこの世界をきちんとみてみたい、感じてみたい。
    それでないと、自分の人生を全うできない気がする。
    存分に生きられない気がする。

    勉強することは、そのために必要だったのだ。
    高校生のときとかに分かっていればなあとも思うけど、
    その時は分かんないんだよね。

  • 自分の根源

    エネルギーが湧くところを支えてくれる

    弱気になったときに叱咤激励してくれる

    幼いときから今までずっと

  • 10年以上前、父親と一緒に行ったジブリの原画展で買ったものを宮崎駿監督引退を機に本棚から引っ張り出して読んだ。

    冒頭の方で宮崎駿が作品をつくるに至る原体験を知ることが出来、ジブリ作品の主人公に少女が多いことの理由がわかる。

    全編に渡って感じた事は宮崎駿は職人であり、リアリズムの人であること。
    個人的にジブリ作品には、物語の展開に疑問を持つものがいくつかあるが、それも、監督よりアニメーターという仕事にこだわる宮崎駿のスタンス、仕事のやり方から窺い知れば理解できる。

    著名人との対談も多数収録されているが、中でも司馬遼太郎との対談で
    『もののけ姫』の舞台となった室町時代の農村の話やら当時の階級やら自然の話は、両人ともどれだけの知識量を持っているんだろうと感服する内容だった。

    後半には環境問題は自分が実際に身の回りの川を掃除したりした方がよっぽど気持ちが良いみたいな発言があるが、そこもまた実践を重んじており、宮崎駿自身のリアリズムを追求した作風と通ずるものがあって、説得力があった。

  • 矛盾を常に抱えた姿はリアリティがある。
    権威を誰よりも憎んでいるのに権威になっている。
    殺し合いは愚かだ!と怒りつつ戦車や戦闘機が大好物。
    子育てをしなかったくせに子育てを語る。

    そんなムチャクチャな人だから面白いものを作れる。
    発言に滲み出ている激情こそが映画を作る原動力なんだなぁ。

    「自分の極論に拮抗して弁証法を発展させるべき手応えのある相手を欲している」という高畑勲による宮崎評は面白い。
    それがジブリ内にいない故の葛藤。
    司馬遼太郎に懐いたのは自分を遥かに超える知の人だったからか。

    昔のインタビューでクソジジイになりたいって言ってるけど、見事になったのは笑える。

  • この本には「通俗文化」という言葉がよく登場する。
    この言葉の意味するところはつまり、中身のないアニメ、爆弾や鉄砲といった小手先の道具で子供たちの関心を惹き、メッセージ性が欠如したアニメのことである。テレビアニメ全盛期において、大量のアニメを効率よく生産するために、一つ一つの作品が真剣に描かれなくなったことで、アニメはその価値を落としたと宮崎駿はことあるごとに語っている。当時、20~30代の働き盛りで、野心に燃えていた宮崎駿はこの状況に憤慨し、「自分は二番煎じではなく、新しいものを作る!」という信念が今のスタジオジブリの原動力となったと言っても良いだろう。

    最近の作品でこそ、宮崎駿の思考回路が複雑化し、観客の共感が得られにくくなっているとは言え、その姿勢はスタジオジブリ創設当初は強固なものだったのだろう。その一端は本書にも掲載されている企画書からも伺える。映画会社に所属する人間として、あんな熱い企画書は見たことがない。「勇気」とか「希望」とか、当たり障りの良い言葉がまかり通る中(しかも、それが企画書として通ってしまう!)、観客に迎合し過ぎることなく、しかし、確かな信念を持った企画書に正直惚れ惚れしてしまうのであった。

    しかも、企画書自体にはそんなに難しい言葉は出てこない。宮崎駿自身が身近で感じたことの延長線上に『ナウシカ』や『ラピュタ』や『トトロ』の壮大な物語があるのである。「人生に必要なことは半径3m以内に全てある」とは言うは易し、凡人には中々気付かないことも多い。しかし、類まれなる洞察力・観察力を持った宮崎駿はその気付きのきっかけを観客に与えようとしているのである。


    さて、宮崎駿は信念を持った映像作家であることは本書を通して良く分かったが、その作り方はその信念とは無縁の型破りである。まず、確固たるテーマがあるにも関わらず、脚本やシナリオを書かない。いきなり絵コンテを書き始め、スケジュールが間に合わなければ、絵コンテが完成する前から、作画を始める始末。しかも、その絵コンテも人物の髪質がどうとか、モノの配置はどうとか、ディテールから入っていくというから驚き。

    なかなか一括りには語れない多面性を持っているのが、宮崎駿なのだ。これを機に是非「折り返し点」も読みたい。

  • おびただしい論争(とそのための理論武装)や、ゴリゴリの現実、なんとなく予想される様々な「大人の事情」・・・そういったものに嫌になったとき、はっとさせられる、目の覚める一書。とぐろ巻く流れの中で、道標となる宮崎駿の発言の数々を収録!

  • 宮崎さん意外と毒舌だった…!
    なぜか、すごく優しいおじさんだとイメージしてました。

  •  この人のアニメは勿論第一級品であるが、この人の書く文もまた、一級品だろう。
     エッセイ・インタビュー・公演などを集めた本なのだが、いかにあの大きな頭に膨大な知識とそれに伴う己の意見が詰め込まれているかを知ることが出来る。
     圧巻である。裏打ちされるものあってのあの作品か、と誰もが納得するんじゃないかと思う。
     合間の飛行機漫画が堪らなく面白い。

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アニメーション映画監督・宮崎駿の企画書・演出覚書・エッセイ、講演・対談等90本を収録。宮崎アニメの33年間。

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