- Amazon.co.jp ・本 (52ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198607234
感想・レビュー・書評
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マリー・ホール・エッツのデビュー作。松岡享子訳。
挿絵は版画。動物たちがじつに生き生きと描かれている。
家族のなかで、としとったペニーさんだけが人間。彼はとても貧しく、「今にも壊れそうな小屋」に住んでいる。毎朝、石ころだらけの道を通って、町の工場へ働きにいっている。
ひとりめの家族が老馬のリンピー。競馬馬のように脚に包帯を巻いてもらいたいがため、いつも右の前脚をひきずって歩く。
つづいてとてもきれいな目のムールーという雌牛。面倒くさがりで食べ物を咀嚼しない。
そしてスプロップという雌のヤギにパグワックというブタ。子ヒツジのミムキン、めんどりのチャクラック。オンドリのドゥーディー。
ペニーさんの稼いだお金はみんな動物たちのエサに消えていく。さてある日、柵の扉が壊れていたがために、動物たちはぞろぞろと外に出てしまい、隣の「雷じいさん」の畑を荒らし回ってしまう。
ペニーさんが帰ってきたあとでおとなりさんは言う。
獣たちをぜんぶ自分によこすか、うちの畑を耕して石と雑草をのぞき、毎日牛乳を届けろ。
しかし働きに出ているペニーさんにそんな暇はない。
落ち込むペニーさん(ぜったいに動物たちを責めはしない)を見た動物たちは、自分たちでその仕事を担うことにする。
(動物たちが夜な夜な働く様子が、一枚の真っ黒な版画で示してあるのが可笑しい)
無事仕事を終えた動物たちは、「働く喜び」を見出す。それまで怠け者だった動物たちはペニーさんの土地まで耕してしまう。
みんなで町の市場へいき、「すきなもののタネ」を買い、畑に蒔いた。こうしてペニーさんの畑は、町でもいちばん美しい畑になる。
こうして、ペニーさんと動物たちの幸せそうな暮らしが描かれ本作はいったん閉じる。というのも嬉しいことに「ペニーさんもの」は3部作だそう。
ところで、ペニーさんたちが食べ物のタネだけでなく、ヒマワリやパンジーやバラの苗、ヒヤシンスまで、必ずしも必要でないものを買ったところでジンときた。金銭的な余裕はないはずなのに。
本作に登場する動物も、読んでいてもはや戦争捕虜の象徴としか見えず、ペニーさん自身の境遇も、当時の貧しい生活を強いられた人々の姿を反映しているのだろうけれど、
そうした解釈抜きでも、上の畑荒らし事件をきっかけに動物たちが働く喜びを見出し、それがペニーさんにも伝染し、みんなで手に入れたささやかな幸福のかたちは、紙上で発散されるこの幸福感は、当時の読者の心をもいかばかり温めたことだろう。
たとえ貧しくとも働くことがあくまで喜びでなくてはならないという強いメッセージが伝わってくる絵本だ。しかし見落とせない意外と重要な点は、それだけでなく、動物たちがまったく反省していないということのすばらしさだと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ペニーさん、シリーズどれも最高〜✨
ホントならペニーさんは愛情深く、でも貧乏でも勤勉です正直者のペニーさん。
家族を養うためにせっせと工場へはたらきにいかねばなりません。
…だというのに、ペニーさんの動物たちときたら、本当に仕方ないの。いつもそう。
けれど、ちゃあんと反省して心を入れ直し、ペニーさんをハッピーにしてくれるのも、この子たちなんです -
「貧乏でも動物たちと幸せに暮らしていたペニーさんでしたが、ある日、動物たちがおとなりさんの畑を荒らしてしまいます。怒ったおとなりさんから損害賠償の要求をされ、困り果てるペニーさんを救おうと動物たちは…。「生まれながらのストーリーテラー」と称された、絵本作家エッツのデビュー作。」
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ペニーさんには家族が沢山
工場で働いても働いても食べるためのお金しかありません
ペニーさんの家族は
馬のリンピー
雌牛のムールー
メスヤギのスプロップ
ブタのパグワッグ
子ヒツジのミムキン
めんどりのチャクラック
おんどりのドゥーディー
あるひみんなは壊れた柵から外に出て隣の畑を食い荒らしてしまいます
お隣さんは大激怒
弁償しろと怒鳴りこんできました
お金がないペニーさんはお隣さんの条件にどうしたらいいか頭を抱えました
その話を聞いていたリンピーは,,,
37分かかりました
少しずつ読むのがよさそうです -
印象的な表紙に良書のにおいを感じ、読んでみると予想的中でした。
パラパラとめくって文字が多いなと思ったものの、高学年の子供もどんどん読み進めることができます。
登場する動物が多く、名前が覚えにくいのですが、これ誰だっけ?と戻りながら読み進めるのもまた楽しいです。
学芸会の演目にもできそうな、いいお話しです。
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2020.10
表紙の絵から想像していたのと全然違った。おもしろい。表紙怖いけど。怠け者の動物たちがピンチのペニーさんのためにこっそり働く。というかピンチの原因を作ったのは動物たちだけど。愛情をたっぷり受けて育っている動物たちだから解決策も当たり前に愛情のこもったやり方だった。みんなが一緒に楽しく暮らすためにそれぞれが持ち場でできることをすること。ペニーさんの家族の形。 -
ペニーさんが、どうぶつたちががんばっているのをまほうつかいとか小おにがやっていると思っているのがおもしろかった。ほんとうのことを知って、こしをぬかすほどおどろいただろうな。うれしくてありがたいと思っただろうな。くろと白の絵が細かくてきれい。どうぶつが、あまえんぼうでめんどうくさがりなのはおれみたい。でも、名前がなかなかおぼえられなくて、ああーってなるよ。それから、あんぜんピンのつくり方を知りたいです。(小2)
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すてきすてきすてき!
ペニーさん一家みたいな暮らし憧れるゥ。 -
マリー・ホール・エッツのデビュー作
ペニーさんは、工場で働きながら、たくさんの動物たちがおり、貧乏暮らし。
ある日、動物たちは、隣の畑を荒らしてしまう。すると、隣のおじさんに見つかってしまい、ペニーさんは損害賠償するように求められた。動物たちを売り払うか、隣のおじさんの為に働くか。どちらがいいか悩むペニーさんを見て、動物たちは、責任を感じ、自分たちで自分に出来ることをすることにした。
いつの間にか仕事が進んでいて、ペニーさんは不思議に思うが、動物たちの頑張りで期日に間に合うことが出来た。
働くことの喜びを知った動物たちは、次にペニーさんの庭を耕した。ペニーさんは喜び、種や苗を植えた。
嵐の夜、畑を見に来たペニーさんに動物たちが働いていたことがバレてしまった。ペニーさんは喜び、この立派な畑のおかげで工場を辞めて、畑仕事に専念することが出来ると言った。
ペニーさんは、家を建て直した。春が来て、隣のおじさんに牛と鶏を大金で買いたいとの申し出を断り、見事な庭を見物にきた人たちにいちばん幸せな家族だと言われながら暮らしている。
味わいのある物語で、面白かった。
文章が長いので、読み聞かせには不向き。