ふしぎをのせたアリエル号

  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (661ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198614218

感想・レビュー・書評

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  • 小さい頃から大好きな作品!

  • 「このものがたりでも、もうじき、つみのないものが死ぬことになります。つみのないものも死ぬのです。」

    最初に読んだのは小学校中学年だったと思う。
    その時の衝撃は忘れられない。
    傷つけられた、と思った。
    こんな長い話を頑張って読んでこんなに悲しい思いをするなんて理不尽だ、と思った。
    しかし、しばらくしてまた読みたくなり、それから何度も読んだ。
    大人になり、もっともっと辛い話を現実で知ってしまった今、読み返してみると憤りの代わりに驚嘆の念を抱く。
    物語の巧みさ!
    また、信仰が歪んでいく様などは、大人の方がぞっとするだろう。
    近年新装版が出版されたことは、本当に喜ばしい。
    ずっと残って欲しい作品だ。

  • なんだか途中から不思議が本当に思えてきた。
    悪者が絵に描いたような悪者で面白かった。

  • この本に出会ったのは、神保町の有名な児童書専門の本屋、みわ書房さんです。
    たくさんの本が並ぶ本棚からこの本を取り出した時、
    ビビッと来ました。この本は絶対面白い!!
    しかし、「いや待てよ」と思い直し、その日は別の本を買って帰りました。
    けれど、この本の表紙が忘れられず、次に行った時は迷わず購入。
    ちょっと重たいので、電車の中で読むことができず、ちょびちょび家で読んでたのですが、先日読了。
    いや〜素晴らしかった。

    物語は、主人公の女の子エイミイが、家が貧しくて孤児院の前に捨てられてしまうところから始まります。
    エイミイには双子の兄、キャプテンがいました。キャプテンはお人形でしたが、エイミイといつも一緒でした。
    10歳の時、キャプテンの取れかけた耳をなおしていたエイミイは、あやまってキャプテンの頭に針を刺してしまいます。

    「あいたっ!」

    もうお分かりですね。キャプテンはエイミイと過ごしながら、
    やがて本物の男の子になっていきます。
    と、ここまではそれほどめずらしい展開ではありません。
    キャプテンは船乗りのお人形でしたから、
    立派になってきっと君を迎えにくるよ、と言って孤児院から出て行きます。
    必ず連絡すると約束したキャプテンでしたが、
    いじわるな先生に邪魔をされ、幾度も書いた手紙はエイミイの手に届きませんでした。
    エイミイはすっかり気を落とし、キャプテンのことが心配で、
    食事も喉を通らずベッドからも起き上がれなくなり・・・
    ある朝・・・お人形になってしまいます。

    男の子と女の子、人形、名前、本、優しさ、人を好きになること。
    そして誤解と思い込み、計略、戦い、その結果としての死。

    ムダなことは何一つ無く、足りないものもありません。
    この作者は魔法とはなにか、ファンタジーとはなにか、
    とてもよく分かってる人だと思います。
    ファンタジーと言えば長編が多い今日この頃ですが、この1冊の完成度には脱帽です!
    訳もとろけるほど素晴らしい。本当にクオリティの高いすごい本だと思います。
    梨木香歩さんの「りかさん」が好きな方も是非どうぞ。
    あと、ワンピースの尾田さんはこの本絶対読んでると思う。


    ★以下ネタバレ注意!★

    キャプテンとクラウド航海士のオニババについての会話は、
    思わず声を上げて笑ってしまいました(笑)
    キャプテンはとても良い子ですが、完璧ではないところが
    本当に人間くさくて魅力的です。
    最後、アホウドリのアンソニーが恋について知りたがるエイミイに
    目をつぶってなにも話さなかったのは、
    知ってもキャプテンの二の舞になることを分かっていたからかもしれません。

    この物語にはさまざまなペア(キャプテンとエイミイ、
    ニガウリ先生とエクレア先生、ステテコとデイビー、
    グリーンスリーブスとオニババ、動物たち)が登場しますが、
    それぞれがとても象徴的です。
    とくに、聖書を読み聞かされて生を受けた下着人形ステテコと、
    唯一、彼の針によって生まれたゴムのアヒルのおもちゃ、
    デイビー・アヒルは本当に良く描かれてます。
    できればデイビーには改心し、ステテコには立ち直ってほしかったのですが、
    厳しい結末になってしまいましたね。
    キリスト教的に言えば、彼らはまさしく「ユダ」です。
    2人の運命が一蓮托生であることは、なんとなく分かってましたし、
    全ての面においてハッピーエンドではないところがまた、
    この物語の魅力だと思います。リアルです。

    キャプテンの死は衝撃でしたが、彼はエイミイのことを終始「妹」としか
    呼んでいなかったので「やっぱりな」とも思いました。
    彼はエイミイの分身、エイミイの一部ですから、
    自分で自分の名前を呼ぶことはできないわけです。

    あと、オニババはてっきりニガウリ先生で、
    エイミイのおとうさんは昔別れた船乗りだったんじゃ・・・と思ってました。
    でもよく考えてみたらエイミイのおとうさんは仕立て屋で、
    憧れていたものの船乗りではなかったのでそれだとおかしいですね。
    エクレア先生がどうしてエイミイのおとうさんだと
    分かったのか(?)がちょっと不明です。
    おとうさんは孤児院の人に姿を見られていないので。

    ママ・ダアダの治療法もとても素敵ですね。
    彼女の姉さんは言葉を置き換え、整理することで素晴らしい詩を作りましたが
    ママ・ダアダは家の中のビンや絵や香辛料を置き換え、整理することで
    訪ねてくる人の病気を治してしまいます。
    部屋は心を反映する、と良く言いますが、
    彼女はまさに、訪れた人の病んだ心を整理整頓し、
    悪いところ、痛いところをきゅっきゅっと磨いて治してしまうんでしょう。

    特別じゃない場所と特別じゃない行動。
    そこに本物の魔法があるのかもしれません。

  • ふむ

  • 人形から人間になった船長(キャプテン)と、人間から人形になった少女の冒険物語。
    子供向けのファンタジーではあるけれど、船上の人間模様や伏線がしっかりしていてすごく楽しめる。
    疑い深いキャプテンとクラウド航海士の噛み合っているようで噛み合わない会話はコメディ映画のようでふふってなれるし、アリエル号の船員たちが本当に愛らしい。
    キャプテンの空回りやステテコの苦悩は痛々しいし、終盤すごく重たいけど。

    カエルがめっちゃいい、性癖

  • 章区切りごとに挿入される『マザーグース』の詩が想像力をかきたてる

  • 懐かしくって再読。

    人間になった人形と、人形になった女の子の冒険。
    海と仲間と黄金と。
    ハラハラドキドキの連続で、ラストはちょっとしんみり。。。
    そんな宝箱のようなお話

  • どんな話か覚えてないんだけれど、小学生のころに読んで、すごく楽しかったのは覚えている。
    楽しかったと言っても、結構結末がシビアだったんだけれど、表紙と、物語が絶妙で、ファンタジーとして名作に入ると勝手に思っている。
    純粋なファンタジー。懐かしくなってきたから、また読もうかな。

  • 高校生ぐらいに読んで、すっごい楽しかった記憶しかないな~。
    内容はほとんど覚えてないのに、本棚には残ってるんだよね。

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著者プロフィール

リチャード・ケネディ 画家 リチャード・ケネディ  イギリスの挿し絵画家。1910年、ケンブリツジに生まれる。絵は独学に近くも線画が特徴。水彩画もよくする。生涯に200冊以上の本に挿し絵を描き、代表作のひとつにファージョン作『リンゴ畑のマーティン・ピピン』(岩波書店刊)がある。1989年逝去。

「2006年 『この湖にボート禁止』 で使われていた紹介文から引用しています。」

リチャード・ケネディの作品

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