その歌声は天にあふれる

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制作 : Jamila Gavin  野の 水生 
  • 徳間書店 (2005年12月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198621131

その歌声は天にあふれるの感想・レビュー・書評

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  • 64点。ずっしりと重厚な群像劇。しかも字が細かくページも分厚い。後から反芻して考えられるような本。
    いろいろな登場人物が出てくるが、一章とこの物語全体の主人公であるミーシャクは確かにかわいそうな子なのだけど、メリッサのストーカーをしたり、後には彼女の一部でも自分のものとするため子どもを誘拐したり(まあ命も助けたけど)と正直気持ち悪い。一章が一番陰惨で読み進め辛い。
    二章から普通?の少年の友情が描かれたりと面白くなってきて、読み易くなる。
    三章で嵐の前の静けさ的な幸せが描かれ、四章でまたどんでん返し。
    個人的に、オチが非常に不満。誰も殺さないハッピーエンドにできなかったのだろうか。
    Y.A.って難しい。
    登場人物が性交して妊娠するシーンもあるし、ジェントル階級とか当時の(今もかも)イギリスの階級についての説明が訳者あとがきにしかないため、中学生よりは高校生にすすめるのが無難だと思う。

  • 表紙と題材だけで選んだが、大あたり。美しくて切なくて悲しくて愛しい物語だった。

  • こどもや赤子の売買、労働状況、貧困、汚職…と言ったテーマを含んだ、18世紀イギリスを舞台にした物語。

    多少疑問を感じる部分もあったものの、序盤から中盤は物語に引き込まれた。ただ肝心の終盤は、意図的だろうとは言え切れ切れで、内容もスッキリしなかった。

    自らの望みを貫き通せたミューシャクはそれはそれで幸せだったように思うが、トマスのことは残念でならない。
    良いやつなのに!わざわざああする必要あったのか?!
    と、どちらかといえばハッピーエンドが好きな私は作者に言いたい。

    結局は悪(という言葉で簡単に片付けるのも違うかも知れないけれど)がのさばったまま、というラストには余韻が残った。
    本当の世の中ってのは悲しいかなこういうものなのかも知れない。

  • ミーシャクの愛が重いです

  • ミーシュが可哀相。
    悲劇。結局主人公はミーシュなのかな?

  • ふたつの物語が並行して語られて、いつそれが交わるのかな~と思いながら読み進めました。
    いくつかの事件が起きてから章立てが変わって、舞台が数年後に移り、そこからが転がり落ちるような駆け足で話が進んでしまった。肝心の最後は何がなにやら、という感じでした。ふたつの筋が交わるまでに半分以上が費やされていて少し冗長に感じたので、前半を少しはしょって、最後をわかりやすく丁寧に書いてほしかったかなあ…。

    タイトルにひかれて読みましたが、思っていたよりも歌はストーリーに絡んできませんでした。もちろん、重要なポイントにはなっていたんだけど。

    個人的には、この作品は児童文学の範疇には収まりきらないように感じます。

  • 酒井駒子さんの表紙で気になっていて、きょう借りてきて先ほど読了。
    胸がしん、とする読後。世の中は、悪いことばかりでも、良いことばかりでもない。ひとはそれぞれ、自分の何かに従ってしか、生きることはできないから。ミーシャクはミーシャクなりの何かを貫き、それは他人にはあずかり知らぬことで、そして他のひとたちが貫こうとしているものは、ミーシャクには伝わらない。それでもそれぞれの想いの軌跡は交わって、「世の中」は動いてゆく。誰かに希望をもたらし、誰かを絶望させる。
    カヴァー折込みの紹介文にあった「群像劇」のことばに納得。消化するのにはもう少し時間がかかるかしら。

  • 18世紀イギリス。行商人のオーティスは望まれない赤ん坊をロンドンにある捨て子の扶養・教育のためのコーラム養育院に連れて行く慈善の仲買人として知られていた。だが、オーティスには恐ろしい裏の顔があったのである。預かった赤ん坊は見殺しにし道端に埋め、働き手となりそうな年頃の子どもたちを売り買いするという金目当ての残忍な商売に手を染めていたのだ。<br>
    オーティスと少々頭の弱い息子ミーシャクは、アッシュブルックの領地で領主の息子アレクサンダーと、ともに音楽家になる夢を追う少年トマス、アレクサンダーの妹イザベルとその家庭教師の娘メリッサと出会う。ミーシャクはメリッサに心を寄せ、いつも影から見守っていたのだが、メリッサはアレクサンダーと惹かれあっていた。<br>
    やがてメリッサがある秘密を抱えた時、彼らの運命にオーティスの影が忍び寄ってきて…。<br>
    <br>
    それぞれの愛と友情、野心、思惑が複雑に絡み合って、やがて一箇所に収束されていく。<br>
    作中の人物たちが解いていく秘密と謎は、読者にはすぐに答えの推測ができるように提示されていくのだけれど、途中で飽きさせることなく読ませる作品になっている。史実も絡めて描かれた作品は子どもの命が軽く扱われていた事実と親の痛切な願いが響いてきて、読み応えがありました。<br>
    様々な人物の視点から幾度も物語が語り直され、心情が吐露されるので、冗長な印象も多少あったけれど。<br>
    大好きな人との子どもを手放すのはどれだけ辛いんだろうと思う反面、14・5歳の自分自身が子どもといってよい年齢の少年少女に、生まれてくる赤ちゃんに小さくてかわいいものに対する愛情ではなく親としての愛情が湧いてくるものなんだろうかと疑問にも思いました。<br>
    アレクサンダーとメリッサは離れ離れになるかもしれないという恐れから、お互いに対する気持ちを打ち明けあい抱き合っているうちになにが起こっているのかわからないまま関係を持つことになるのだけれど、そのことに対してなんの知識もない、身体も成熟してない少年と少女が結ばれたというのにも、周りの人間のほとんどに妊娠を隠し通して子どもを産んだというのにも、どうも真実味がないなと思ってしまった。<br>
    結末はある程度予測できるので、読後は重厚で神妙な気分と、そこまで書かかずに余韻を残しておいてもよかったのにという倦怠感のないまぜになった複雑な気分でした。<br>
    雰囲気はすごく出ている作品だと思うので、こういう雰囲気が好きな人にはとっても好きな作品なんだろうなと思います。<br><br>
    2007/01/20

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その歌声は天にあふれるの作品紹介

舞台は十八世紀の英国。行商人オーティスは、望まれない赤ん坊をロンドンにある「コーラム養育院」に連れていく、慈善の仲買人として知られていた。だがオーティスには、実は恐ろしい裏の顔があった。残忍な仲買人の父と汚れなき魂を持つ息子ミーシャク、ミーシャクが心寄せる天使のような少女メリッサ、メリッサと惹かれあう領主の後継ぎアレクサンダー、そしてアレクサンダーとともに音楽家になる夢を追う、貧しくも撥刺とした少年トマス。やがて、メリッサがある秘密を抱えてしまったとき、少年たちの運命にオーティスの影が…。様々な人物が織りなす愛と友情、絆と葛藤。物語を彩る音楽の描写が美しい余韻を残す、痛ましくも力強い群像劇。二〇〇〇年度ウィットブレッド児童文学賞受賞、カーネギー賞候補作。10代から。

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