地下鉄(メトロ)に乗って―特別版

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著者 : 浅田次郎
  • 徳間書店 (2006年7月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198621919

地下鉄(メトロ)に乗って―特別版の感想・レビュー・書評

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  • 地下鉄が繋ぐ、過去と現在。
    出口の階段を上ると目の前に広がる、今はもうない街並。
    過去の風景の中で眩しい笑顔を見せる、若かりし頃の父。

    父の暴言が優しかった兄を死に追い込んだのだ、と憎しみを募らせ
    20数年間縁を切ったまま、父が病に倒れても見舞いに行く気など毛頭ない真次が
    兄の命日をきっかけに、地下鉄で過去の世界へと運ばれ、
    父が重ねてきた歴史を遡りながら
    時代に翻弄され、変わらねば生きられなかった父の哀しみを知り
    「僕らはただ、父のように生きるだけです」と静かな共感をもって歩き始める物語

    と書いてしまうと、とてもノスタルジックで美しい物語になってしまうのですが。。。

    その美しさが、自らの存在を消してでも真次の幸せを守ろうと願う、愛人みち子の献身や
    真次が父の許に置き去りにした弟の苦しみをただひとり受け止め、
    離婚まで考えるほど親身になって考えてやる妻の慈愛を踏み台にして
    成り立っている感じがするのが気になってしまって。

    殴られ、足蹴にされても父の横暴に耐えていた母を見て育ったのに、
    狭い家で義母と同居し、子ども2人を世話しながらパートに出て家計を支え
    義弟の苦労まで慮ってくれる妻を捨てて愛人と出奔する決意をあっさり固める
    真次がどうしても許せなくて

    最後に遺されたルビーの指輪を、記憶がないとはいえ
    箱だけ買って妻にプレゼントするなんて、みち子にも奥さんにもひどすぎる!
    それは大切にどこかに仕舞い込んで、奥さんには別のをきちんと選んで
    プレゼントしてあげて!と言いたくなってしまう。

    情に篤く曇りのない瞳をしていた少年の佐吉が、戦争をくぐりぬけ
    抜け目ないアムールとなって成り上がり、押しも押されぬ成功者として君臨するために
    幾重もの汚れた鎧を見に纏わねばならなかった切なさは伝わるし
    タイムスリップした過去の風景の描写のすばらしさには感動するけれど

    出てくる男性のほとんどが、女性の愛情を当然のように享受するだけで
    踏みつけにしている感じがするのがやるせなく、胸が痛い作品でした。

  • 戦後の混乱の最中に財をなした父に反目して家を出た『真次』は、兄の命日の夜地下鉄から階段を上って出て行くと、そこには懐かしい風景が広がっていた。ちょうど兄の死んだ日に辿りついた彼は、兄の自殺を止めるべく行動したのだが戻った先は変わっていなかった。
    その日を境に、どんどん古い時代へと地下鉄は彼を運んでいく。その先で出会ったのは、若かりし日の父の姿だった。

    メトロというの言葉は、なんとなく哀愁のある響きをしている。
    そしてこの物語で紡がれる時代も、直に知ってはいないけれど何故か郷愁を感じさせてくれる。貧しく苦しい時代だったはずなのに、活気というか生そのものが息づいているような、今は失われてしまった何かがあるような気がしてならない。
    苦く、哀しい話だったけど、読後感は悪くない。

  • 中盤までどうも情景を想像出来ず、時代の言葉も難しい…、読むのを諦めようかと思ったけど、段々世界観が分かってきて謎も明らかになっていって、読み続けて良かったなと\(^^)/
    真次の性格はあまり好きになれず、節子が真次に進言した時は激しく同意した(^^)笑
    映画化もされてるならそっちの方が見やすいのかな。

  • 最後の展開が個人的には驚いた。
    自分の存在そのものを賭けて守りたいものってなんだろうね。やっぱ子供、かなぁ。

    ヒロイン?の考えというか心理が読み解き切れていないのは、自分の力の無さか。(苦笑)

    男って基本不器用だよね(笑) 時代によっても違うだろうけど、ここで描かれている時代、特に父親の時代は、今とは比べものにならないかも。(笑)

  • 町に地下鉄がやってきたその日、真次は不思議な錯覚に捉われる。
    ホームに立ちつくす自分を、もうひとりの自分が地下鉄の窓の中から見つめているのだ…。
    (アマゾンより引用)

    ファンタジー要素の強い作品ではあったけどもなかなか良かった。
    けど、お兄さんはどう足掻いても死ぬ運命にあったのに、
    みちこさんは生きる運命にはなかったんだね(´・ω・`)
    何か切ないなぁ…

  • オフ会課題本。特別版も読了。エッセイを読むとこの作品に込めた浅田さんの思いがより伝わってきますね。ただし、オフ会では最後のエッセイは討論の範囲に含めません☆詳細はオフ会終了後に。

  • タイムスリップして、生命力あふれる父親の若いときの姿に触れる、なんていいね
    現実世界と仮想世界の狭間で揺れる、みち子がなんとも哀しい
    一抹の哀感をおぼえる作品

  • 面白い。読みだしたら止まらなくなって、一気に読んだ。
    主人公やその恋人が物語の中でタイムスリップするのだが、その中で彼らに関係する人間の人生が見え、物語が深まっていく。時代が行ったり来たりするが、混乱せず読み入っていける。
    こういった物語を作れるのは、本当にすごいと思う。

  • タイムスリップをしながら謎が明らかになるストーリーだが、意外に自然な感じで読めた。

  • 映画化にもなっているので読んでみようと思いました。
    最初は、話があちこちに飛ぶので混乱しましたが、だんだんと繋がって先がきになって一気に読んでしまいました。
    最後は、なんだか分からないうちに終わってしまった感じで、ちょっと悲しい話だったかなと思いました。

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