- Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198623531
作品紹介・あらすじ
昔、猟師に子どもを殺された母トラが、憎しみのあまり、夜ごと村をおそうようになった。困りはてた王に、国の占い師が予言する。王子をトラにさしだせば、国に平穏がおとずれると。王は、幼い王子ウェンを森の奥におきざりにするが…?人間を憎みながらも、小さく弱いものを愛する気もちを忘れなかった母トラと、強く心やさしい少年に育ち、人と獣の世界を結ぶ存在となる王子ウェンの姿を描く、心ゆさぶる迫力の大型絵本。2005年ドイツ児童図書賞受賞。
感想・レビュー・書評
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6年生読み聞かせに持っていきました。
時間10分程度
6年生で早生まれは寅年です。寅年には「草や木が成長する様子」のことだそうです。
「みなさんもトラのように元気に成長してください」と添えてはじめました。
子供を殺された母トラは、人間への憎しみ怒りに身を任せて村を襲う。
被害が大きくなり、王は占い師を呼ぶ。
「トラの怒りを鎮めるためには、ウェン王子さまをトラにさしだすしかありません。
しかし王子様が危ない目に合うことは、決してないでしょう」
まだ幼いウェンは一人で森に入る。
匂いを嗅ぎつけた母トラは、ウェンを食い殺そうとして…、
だがウェンの目に殺された自分の子供を思い出す。
こうして母トラとウェンとの森での暮らしが始まる。
※※※以下ネタバレしています※※※
数年後、城から王と后がウェンを取り戻しに来た。
母トラはウェンにトラの子供が覚えなければならないことは全て教えていた。
ウェンは母トラに誓う。「ぼくには、森のお母さんと、お城のお母さんがいる。ぼくは今は城に戻らなければならない。でもまた会いに来るよ。トラとして学んだことは忘れない」
ウェンは毎年トラに会いに行く。
何年もたち、ウェンが王様になり、王子が生まれると母トラのもとに連れてきて言う。
「この子を預けるから、トラとして学ばなければいけないことを教えてやっておくれ。りっぱな王子になれるように」
大判の絵本です。
絵はとても迫力があり、構図も大胆で、緊迫と緩和のバランスの良いお話。それを繊細な表情で表現します。ウェン王子を大事にくわえる母トラの目、森でたくましく育ったウェン王子のまっすぐな眼差し。
二人のお母さんに大事に育てられたウェン王子は、森と人間界を繋いだ王子がそれを自分の子供に継承してゆきます。
この話を大袈裟ではなく抑えた力強い絵と文章で表現しています。
このストーリーは、作者がトラが子供を大事にくわえている青銅器を見て考えたものだと言います。
人間が動物に育てられる英雄譚は多いですが、絵もストーリーもとてもよい本です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
先ず、表紙の持つ迫力に圧倒される。
パリに住む、中国生まれの絵本作家・チェン・ジャンホンの作品では、これが日本で始めて紹介されたものらしい。
薄紙に描かれた水墨画に、微妙な色合いを重ねた挿絵には、目を釘付けにさせられる。
その上、コマ割には斬新さもあり、大型の絵本の良さをじゅうぶんに生かしている。
三国志さながらの豊かな色彩で表現された、、王と兵士たちのいでたち。鬱蒼と木々が生い茂る深い森の神秘的な様、猛々しい大きなトラの顔と姿。
とりわけ中盤の、話の転換点となる場面での、トラがウェンをくわえて涙を流す絵は秀逸で、ほとんどもらい泣きである。
いや、やはりこの本が高評価である最大の理由は、そのストーリーだろう。
子どもたちを人間の猟師に殺されたトラが、怒りのあまり村を襲う。
それを鎮めるために、予言者の忠告にしたがってウェン王子がトラに差し出される。
森の奥でウェン王子に出会ったトラは、かつて我が子にしていたように、そおっと王子を口にくわえていく。そこから、王子とトラの暮らしが始まるのだ。
終盤、息子を取り戻しに来た王のために焼き討ちに遭い、あわやと思う場面がある。
最後の最後まで目が離せないが、このお話の素晴らしいところは、王子が城に帰って終わりにならないところだ。
このエンディングのおかげで、どれだけ心に救いが残ることだろう。
親の、子を思う心にはひとも動物も変わりはない。
子どもには子どもの受け止め方もあるだろうが、多くの大人をひきつけたのは、根底に流れるその部分に違いないと思う。
サイズも大きく話も骨太なので、組み合わせる他の本は、なるべく軽いものが良いかもしれない。
約12分。小学生以上。子どもを持つ、すべてのお母様たちにお薦め。
中学生たちに読んだ時、「そうか!王子を差し出すことで、人間もトラも宥めることができたんだね!」と言った子がいた。なんて賢いんだろう。 -
大迫力の絵もお話もとても良いです。中国古代王朝の青銅器とトラに育てられた子どもの伝説から着想を得た、というが、とにかく絵が素敵。何度読んでもいい。ふたりのお母さん、いいね。平岡敦の訳も好き。
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トラの絵本といえばこれでしょう!
読み聞かせするぞ!と思って練習するも、
途中涙ぐんでしまって、鍛錬がたりない。
物語の展開がすばらしくて、飽きさせない。
そして更に予想していなかったオチ!
迫力ある絵が魅力なので、読み聞かせしたい。
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トラといえば、この絵本を思い出します。
読み聞かせでは、子どもたちがお話の世界に引き込まれて、一気に教室が静まり返っていました。
わたし自身も、何度も読み返している大好きな一冊です。 -
子供を人間に殺された母トラが、村々を襲う。
民を救うために、占いに従って、幼い我が子を死地に赴かせる王さま。
占い師によると、王子は死なないようだが、父子だけで母トラの住む森に入って行き、別れる場面はいきなり切ない。
物語はスリリングに展開し、クライマックスも意表を突く。迫力ある絵も、本当に素晴らしい。
そして、母の愛は強く、深かった!
---長男が小学校高学年の時、クラスの読み聞かせに使いましたが、子供たちの食いつきがとても良かったです。
(下読みの段階で自分が泣いてしまうので、本番では泣き崩れないよう訓練しました) -
8分
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中国の絵本作家 : 陳江洪(チェン・ジャンホン)の絵本シリーズ - 子どもの中国語学習教材専門店「ちゃいリンガル」
http://chinese-bilingual.com/?mode=grp&gid=556872
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昔、猟師に子どもを殺された母トラが村を襲うようになった。困った王は、国の占い師の予言に従い、幼い王子をトラにさしだすが…。人間を憎みながらも、幼い者を愛する気もちを忘れなかったトラ。トラの元で強く優しい少年に育った王子。人と獣の間に生まれた絆が心をゆさぶる、迫力の大型絵本。
http://www.tokuma.jp/bookinfo/9784198623531