- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198627799
作品紹介・あらすじ
弱小地方球団・仙醍キングスの熱烈なファンである両親のもとに生まれた山田王求。"王が求め、王に求められる"ようにと名づけられた一人の少年は、仙醍キングスに入団してチームを優勝に導く運命を背負い、野球選手になるべく育てられる。期待以上に王求の才能が飛び抜けていると知った両親は、さらに異常ともいえる情熱を彼にそそぐ。すべては「王」になるために-。人気作家の新たなるファンタジーワールド。
感想・レビュー・書評
-
天才とは、才能を有する人のことではなく、その才能によって人生を台無しにされてしまう人のことをいう、というのは、誰あろう私の言葉である。
絵描きの天才は、絵を描くことで身を滅ぼし、音楽の天才は、音楽によって身を滅ぼし、愛の天才は、愛によって身を滅ぼす。野球の天才は、やはり野球によって人生を滅ぼすのだ。故に、本当の幸福は凡人にのみ与えられる。
この小説の主人公は王様である。そして天才である。生まれてきたときから、誰かに注視され続ける存在である。味方がいて、敵がいて、信者がいて、従者がいて、友がいて、過酷な運命がある、否の打ち所のない、正真正銘の王様だ。そしてやはり、才能によって人生が台無しになってしまう。正真正銘の天才だ。最後に生まれてきた子供は、王様であり天才である男の力によって、天才でも王様でもない、凡人としてとても幸福に生きて死ぬ未来を授かったのだろう、と私は思っている。そうでなければ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ううぅーん よく分からなかった。
とりあえず最後まで読んだけど、物語の肝みたいなのが結局分からず終い。
楽しい!ドキドキ!って感情も抱かない。
伊坂さんの本は割と面白さの振れ幅が大きいかも -
常に最下位争いの弱小チームである仙台の野球チーム。
そのチームをこよなく愛す夫婦から生まれた野球の天才児。
両親の期待通りに育っていくのだが。。。
というあらすじで良いのか?
伊坂さんのライトな感じで、あまり苦になく読む事が、
できたけど、うーん。
面白いけど、なんかお話しとして地味なんだよなー。
いや、人死が出るところとかめっちゃ、記憶に残ってるんだけど。
うーん。。。 -
登場人物に温度を感じない。
面白いのか、そうでないのかよくわからない。
でも、読みたくなる不思議な物語。
強く儚い王の物語。 -
熱狂的な仙醍キングスファンの両親のもとに生まれてきた王求(おうくと読む)。両親は王求をプロ野球選手に育てるため、明らかに一線を越えた援助をし続ける。影に日向に奔走し、運よく才能に恵まれて生まれてきた王求を怪物バッターへと育て上げる。王求の内面はあまり語られない。いいなり、というわけでもない野球への熱心な姿勢に貫かれている朴訥とした青年。途中、黒ずくめの魔女が現れたりクラスメイトの父親が怪物だったり(というか節目節目にこいつは出てくる)というファンタジー。(マジックリアリズムとよびたい)
伊坂作品に通底しているご都合主義の裏返しのような(不都合主義と私はくくる)、まぁいわば出来過ぎた偶然が重なる物語で、王求がプロになってバッターとして活躍してからは、一体何を自分は読んでいるんだろうかという不思議な気持ちになる。で、最後でようやく自分が何のどういうお話を読んでいたのかがわかる。舞台だったらスタンディングオベーション並みのラストでした。 -
本は薄いけど内容はずっしり来た。一回読んでみてほしい作品。
-
不思議な話だなという一言につきました。
野球の話をしているのですが、
野球の話を超えた抽象的な話のような感もあります。
ただ野球が好きなだけの天才・王求の人生が、
周囲の人間が絡むごとに徐々に変化していくわけですが、
決して天才だから歪められたわけでなく、
他人の関わりなくして生きてはいけない人間の
さだめのようなものをそこはかとなく感じました。
なんて、書いてみましたが、
正直、よく分からんなぁという話です。以上。 -
伊坂さんらしい、愛すべきキャラクターがそこまで居なかった気がします。
時々出る王求の人間らしさ、少年らしさにほっこりしたけど、終始暗い印象です。
シェイクスピアを読んだことがないからかな??
シェイクスピアを読んでからもう一度読んでみようかな??
でもいつもの伊坂さんの作品のほうがリラックスして、くすっと笑って楽しめる印象です。 -
山田王求、ひたすら脳内で大谷選手を想像していた。シェイクスピアのフレーズが混ざっていて、一風変わった雰囲気だった。楽しかった。
-
やっと!!初伊坂です。
私より少し年下の年代に、すごく人気のある作家。
東野さんなんかよりずっと人気あるだろうに、直木賞は未だ。
とにかく乾いた印象。感情移入を拒むかのような。
かと言って磯崎さんのように、不親切ではない。
この辺が若い人に受ける理由の一端でしょうか。
よくある風景の中の、おとぎばなし。
よくあるというのは、日本人にはお馴染みの「プロ野球」が舞台の作品だから。
でも、おとぎばなし。・・・それもなんとシェイクスピア。
実を言うとシェイクスピアを読んだのは10代の頃なので、
既に、かなりいろいろな物語が頭の中でごっちゃになっているのだが
人物の役割や、せりふ回しから、ああ、とわかる。
日本人の日常であるプロ野球の中にあって、かけ離れた世界を描いているんですね。
その余裕の文章、テクニック。
この作者の、物語作家、小説家としての力量を感じました。
作者自身が、自分らしくない作品になりました、と書いているので
私はもっと彼の作品を読まねばならない、と思ってます。