本日は、お日柄もよく

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198629854

感想・レビュー・書評

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  • スピーチライターという、すこし珍しい仕事の
    お仕事小説。
    平凡なOLである主人公二ノ宮こと葉。幼馴染みの結婚式で、伝説のスピーチライターの久遠久美に、心を動かされ、弟子入りをする。そして幼馴染みの選挙活動で、スピーチライターの仕事をするようになるという驚きの展開ストーリー。
    スピーチライターという仕事を軸にして、ドキドキあり、笑いありのスピード感ある展開で政治についての内容も多かった。
    主人公のこと葉が、物事に真っ直ぐに立ち向かい、素直な性格で皆から愛されるタイプだから、頑張れたのではないかと思う。
    伝説のスピーチライターの久遠久美も能力あって格好いい。
    リスニングボランティアの北原正子さんも、凄い人。老人ホームで、お年寄りの話をただひたすらに聞くという、ボランティアだというが、はじめて知った事。

    [ お年寄りの話を黙って聞く、という行為はその人のことを決して否定せずに受け止める。お年寄りになると話がくどくなったり、同じことを繰り返してしまったりするでしょう。話したくても、うとまれてしまうのね。何も求めているわけじゃない、ただ話したいだけなのにね。何もかも黙って聞いて最後にたった一言だけ。悲しい話なら「大変でしたね」明るい話なら「すてきですね」っていわせてもらう] 本文より―

    これは、こと葉が、私には絶対務まりそうにない、という描写も続くのだが、私にもかなり難しい事だなあと感じて読んだ。
    でも、話を聞くということの大切さを見習いたい事だと思ったし、努力していきたいなと感じた。このことは心に刻んでおきたいと思った部分…

    人の心を打つスピーチとは、考え抜かれた言葉や文章、間、目線などの極意を身に付けた上でのパフォーマンスが大切だということ。それが聞く人を、聴衆を、惹き付けるのだと描写されていた。

    心が…あったかくなる幾つかのスピーチや言葉があった。
    「困難に向かい合ったとき、もうだめだと思ったとき、想像してみるといい。三時間後の君、涙が止まっている。二十四時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君歩き出している。だって人間はそんな風にできているんだ。」

    「愛せよ。人生において、よきものはそれだけである。」

    • mei2catさん
      こんばんは。私もこの本大好きです!
      こんばんは。私もこの本大好きです!
      2023/01/06
  • 困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。3時間後の君、涙がとまっている。24時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している。どうだい?そんなに難しいことじゃないだろう?だって人間はそういうふうにできているんだ。とまらない涙はない。乾かない涙もない。顔は下ばっかり向いているわけにもいかない。歩き出すために足があるんだよ。

  • 痛快! OLこと葉の成長物語。最後は幸せになってほしいなーと思いながら読んでいたが、そうだ、題名が「本日は、お日柄もよく」だったもんね。

    さる老舗製菓会社の総務部のOLこと葉。同期の結婚披露宴で来賓社長のあまりに退屈なスピーチに眠気がさし、顔面を目の前のスープ皿につっぷす。次に来賓にたったさる女性のみごとなスピーチ。さらに、ひそかに思いを寄せていた家族ぐるみのつきあいの幼馴染の厚志にスピーチを頼まれる。そこでみごとなスピーチの女性に弟子入りする。その女性は政界人や社長やはてまて町内会の挨拶まで、スピーチの骨組みを作る、スピーチライターという職業の人だった。

    そこから始まること葉の大進撃。広告会社のコピーライター、亡父の遺志をついでの厚志の議員立候補、などちょっと池井戸潤の会社物シリーズがほんわかとなったような読み心地も。

    書かれたのが2008年と、民主党政権時代かと思ったら民主党は2009年3月からのようだ。連載時に政権党になったか。小泉首相の郵政民営化とかうまくおりこんでいる。後期高齢者医療制度ってこのころできたのね。

    wowwowで2017.1にドラマ化。厚志は渡辺大、ワダカマは速水もこみち。どっちもかっこいいけど逆の配役でもいいかも。俳人でもあること葉の祖母は八千草薫、これはあってるなあ。肝心のこと葉は比嘉愛未・・全く知りません。


    「本とも」2008.11月号~2010.6月号に連載

    2010.8.31初版 図書館

  • スピーチの大切さを学べた本でした。
    ***
    歴史上、有名なスピーチと言えばマーティン・ルーサー・キングさんの「I Have a Dream」が思い浮かびます。少し前ではオバマさんの「Yes, We Can」などのように、スピーチがいかに人を動かす重要な表現方法であるかがわかります。

    この本が出版された2010年頃、そのオバマさんを支えたスピーチライターという職業が注目されたようで、検索すると日本では馴染みのない響きですが、アメリカでは政治家のみならず企業のPRなどでも需要があるそうです。
    スピーチのゴーストライター?かと思いましたが、どちらかというとコンサルタント的な意味合いが強く「原稿執筆よりも、情報戦」というくらい状況を把握することが大事という蔭山洋介さんの言葉が印象的でした。

    本書でもその情報戦の重要さがたくさん出てきますし、スピーチの極意十箇条は今後役立てたいと思いました。

  • スピーチライターという珍しいお仕事に焦点をあてた物語。でも決してお仕事小説ではなく、言葉の持つ限りない可能性がテーマなのかな。
    言葉の力を感じることができる、覚えておきたい名フレーズがたくさんありました。

    披露宴会場、選挙演説会場、様々な場でのスピーチシーンがまるで目の前で行われているかのように臨場感を持って描かれ、感情が動かされました。後半は選挙色が強く、強引に話が進んでいく感じが否めないが、言葉の力で人の心を動かす魔法に憧れながら、気持ちよく読了しました。
    オバマ前大統領のスピーチを聞いてみたくなりました。

  • スピーチライターという仕事があることを知れたのは面白かったし、人を惹きつける話し方は大切だなーと思うのでそこはとてもよかった

    政治がらみの内容と、敵味方でそんな協力あるわけないだろーと
    ありえない感じがしてしまって
    あまり入り込めなかったので3にしました

  • 途中、滞っていた話がどんどん動いていくところで引き込まれた 誰でもしたことがあるけれど、それ単体を極めるとなると難しいスピーチの話
    最初にワダカマが出てきた時からあ、絶対なんかあるな…と思っていたら案の定だったし、少し話がうまくいきすぎな気もするけど今川のおじさんの言葉がすごく好き 「歩き出した三日後の君に、また会いに来るよ」がおじさんの性格を表しているし、辛い時ただ抱きしめてくれる存在がいてくれてよかった

  • なかなかスピード感とドラマチックな展開のあるストーリー。展開は読めるけれど、逆に裏切りもなく安心して読み進められる感じのストーリー。連続ドラマになりそうなストーリーだなという印象。
    ただ、読む前のイメージより、政治色が強いストーリーだったのには驚いた。

  • OLだった主人公が、スピーチライターとして新たな人生を歩きだす話。
    政治とスピーチとの組合が、じぶんにあまり馴染みのない世界の為、興味深いものがあった。
    途中、ちょっと読みづかれもしてしまったかも…

  • 図書館で予約待ちした本は、どの本がどのタイミングで手元にやってくるかわからない。そうやってランダムにやってきた本やら購入した本やらを、数冊平行して読んでいる。
    そうすると不思議なことに、ジャンルが異なるにも関わらず、たまたま同じようなことが書かれている場面に出くわすことがある。

    つい先日読み終わった自己啓発系の本と、この小説もそうだった。だから全くの個人的で偶然的な共通項にしか過ぎないのだが、「話すことより人の話を聞くことの大切さと思いやり」が今回の共通項だった。
    そういった理由から、自分にとってこの本で一番印象に残ってしまったのはその部分であり、主題からずれてしまったかもしれない。

    私はこの本の他の多くの読者のようにはスピーチに涙することがなかった。主人公とおばあちゃんのことも好きになれなかった。むしろ苦手かも。私が好感を持ったのはワダカマと、意外なところで吉原家の鈴木社長。

著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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