欧米日 やらせの景気回復

著者 :
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198633745

感想・レビュー・書評

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  • 「やらせの経済回復」というタイトルに興味を持ち、本書を手にした。

    そして、その答えは、冒頭から記されていた。
    著者が言う「やらせの経済回復」とは、潰れかかっていた欧州の銀行を禁じ手ともいえる大量の資金供給を行い、強引な延命措置を講じ、欧州の銀行やギリシャ、スペイン等を救ったことを指す。

    では、それの何が問題なのか。
    多少強引な手を使っ手でも、銀行や国家を救うことにそれなりの意味があると思うが、著者は、銀行に大量に資金を流しても、その金は国民には流れず、結果的に銀行等を生きながらえさせることになっても景気の回復にはつながらないことが問題だという。

    しかし、そもそも、国家や銀行が破綻した場合、国民の生活にも多大な混乱が生じることは想像に難くない。銀行への大量の資金供給によりその危機を回避できたのであれば、それなりに意味があったのではないか。

    また、著者が、この大量の資金供給を批判する本当の理由は、本書の前に書いた『「金・ドル体制」の終わり』(2011年11月発売)で、「ヨーロッパで20の大銀行が潰れる」といったにも関わらず、前述の大量資金供給により、そのような事態にならなかったことに対する不満が根底にある。

    著者の主張が外れたことの言い訳をずっときかされているようで、あまりいい気がしなかった。
    また、文章自体も独善的で、言葉遣いも悪く、小林よしのり氏の著作を読んでいる気になり、これまた不快であった。

  • 2012年(平成22年)4月30日 発刊

    2011年10月31日 円高のピーク 75.32円
    2011年11月8日 イタリア,スペイン国債 7%
    2012年1月16日 日経平均8,378円→上昇へ
    2012年2月14日 日銀追加金融緩和 65兆円 物価安定のめど1%

    ゴールドマン 国債CDSというバクチ商品→払えない
    2012年3月6日時点 CDS決裁の可能性があった→野村証券,モルガンスタンレー→株価下落

    2012年3月8日 ヨーロッパの危機はひとまず遠のいた。選択的デフォルトにとどめる。

    アメリカの場合 2008年9月15日 リーマンショック→社債のCDSを売っていたAIGに支払い義務40兆円→公的資金,国有化→連邦破産法第11条で債権放棄させた。

    日米の株 2012年1月16日からヘッジファンドにより一斉に買い上げ。
    ドル高政策

    2012年2月2日朝日新聞 三菱UFJ銀行,国債の急落を想定→シナリオ作成42兆円を保有,2016年には経常赤字,今の1%から3.5%へ

    人工的に株高 過剰流動性はアメリカへ 17,000ドルもありえる→大暴落?

    日本 1998年10月 外為法の大改正,金融ビッグバン

  • タイトルに惹かれたものの、満足度は△でした。確かに、世界経済は誰かが演出してるのは分かりますが、どうもしっくりこなかったです。相性が悪いのか、タイミングが現時点とズレていたせいかもしれません。後半の有望な日本株については、検証してみると。なかなか合致してました。

  • Amazonのレヴューでは、言い訳が多いとか、これまでと書きようが違うとか、の書き込みが多いようでしたが、それほど現在の状況がこれまでと違うのでしょう。

    最後の財務省の相続税に対する姿勢や、マレーシア・インドネシア・シンガポールについての記述については非常に参考になりました。

  • "このかたの書き方、物言いはあいも変わらず過激です(笑)
    今回この本を手に取ったのは、後半にジョホールバルについて深く書かれているからです。
    著者もジョホールバル・シンガポールの成長は確信されているようです。
    ジョホールへの投資に興味を持たれている方。されている方。
    勉強しておいても良い本でしょう。
    信用バブルについても書かれていますので、最初の本から続けて読むと理解度も深まります!! "

  • 副島隆彦氏独特の論理展開。

    結構、興味深く読めました。

    国民、国家を助けるのではなく、金融機関を助けるための米・欧、日の対応。

    資本主義システムの根底を揺るがす、ユダヤ金融資本の禁じ手。

    いつまで続くユダヤ金融資本のやりたい放題。

    民主主義的選挙制度とやらも、結局、どうなっていくことやら。

    権力・マスゴミをどう駆逐できるのか。

    真の民度が試される21世紀中盤から後半ということでしょうか(涙)。

  • 考え方が独特。
    それが深層なのか、ただのオカルトなのかが、わからないほど。

    距離をもって読む分には損はない。世界の動向を、著者は違った目線で見せてくれます。

  • 現在進行形の衝撃の内容。ギリシャ危機の本当の理由が分かった。

  • 311震災後に円高となって史上最高値を更新した時に、副島氏が本で明言していた通り、1ドル60円の世界が来ると思いました。しかし現在(2012.5)時点では1ドル80円程度でもみ合っている様です。

    この水準でさえ私が最初に米国に旅行した時(250円)と比べれば凄い円高なのですが、なぜ一気に副島氏の予想通りにならなかったのだろうかと不思議に思っていました。

    この本はその現象の原因を説明している本です、彼は今年(2012)3月頃までは何が起きているか理解できなかったと述べています。

    ギリシアの国債は凄い棒引き(75%)が認められたようで、更に欧州の銀行を救うという目的で投入される金額は天文学的なものです、日本では100兆円をつぎ込んで長い年月をかけて日本経済を立ち直らせましたが、欧州はどのくらいかかるのでしょうか。

    この本で面白かったのは、これからは、かさばる重い「金」ではなく、ダイヤモンド!と言っていた点でした。ダイアモンドは金と違って、ピンからキリなので目利きが難しそうに思いましたが。

    以下は気になったポイントです。

    ・欧州の大銀行70行に対して公式で100兆円(1兆ユーロ)、欧州全体(800)ではその10倍がつぎ込まれた、それでEU27か国の大銀行の連鎖倒産は免れた(p10、22、30)

    ・イタリアは国会議員でもないマリオ・モンティが首相になり、14人の新閣僚全員が議員でない、大統領の緊急勅令(p34)

    ・戦争とは、お金の問題(経済)に失敗した帝国が破れかぶれで起こす帳簿破り捨てを原因とする、イラン爆撃を織り込んで現在、石油価格(ICEブレンド種:ドバイアラビアンライト)が上がっている(p41)

    ・ギリシアの当時野党党首(パパンドレウ氏)が財政粉飾を露見すると、シティバンク傘下のヘッジファンドがギリシア国債を売ったのでゴールドマンサックスは赤字決算となった(p50)

    ・今後の日本有望株は、「水と空気を綺麗にする企業」である、東レ・帝人・三菱自動車・日東電工等(p57)

    ・ギリシアがユーロ圏から追放された場合、政府公式通貨はドラクマに戻るが、ギリシア国民はユーロと使い続けるだろう、自国通貨の貨幣価値が下がりすぎてインフレが凄くなるので、ペルーやグアテマラでドルが通用しているのと同じ(p64)

    ・2012.3.8の決定で、ギリシア危機はシティバンク系(ロックフェラー)のヘッジファンドに全体の4%だけのCDS(7000億円)を実行して、残りはギリシア国債を米国債に交換することで決着した、損失補てんで100兆円(p78、118)

    ・日本の場合、1998-2006年までバブル崩壊後の銀行の不良債権処理と30万社のリストラで100兆円(真水)かかったが、本当はその10倍の1000兆円かかった、国富がそれだけ消えたから(p85)

    ・島国日本はパイプラインでシェールガスによる天然ガス(ガス田比較で1/6)を運びこめない、液化する必要があるため価格交渉力が弱いので、カタールやオマーンから原油と同水準で買わされている(p98)

    ・2012.2.20のユーロ圏財務相会合で、ギリシア第二次支援が決まり、1)IMFと協力して14兆円融資、2)ギリシア国債務は、元本の53.5%削減と低クーポン新ギリシア国債に交換することで、合計74%を減免となった(p108)

    ・今回のギリシア対策で、CDS契約通り損失を補償する保険金は、国債の3倍から4倍の大きさであると判明した、副島氏の試算では、スペイン:1100,イタリア:1600,仏独:3000兆円,米国:4京円(p134)

    ・リーマンブラザーズの破綻(2008.9.15)において、その社債についていたCDS契約における支払い義務がAIGに40兆円あることが判明した、米国政策当局は1.5%のみ執行させてAIGを破綻処理させた、そして公的資金を16兆円投入して国有化した(p145)

    ・欧州全体のGDP規模が日本の5倍程度と考えると、日本の処理額の5倍(500兆円)が必要で、資産としては5000兆円失われると思われる(p152)

    ・2012.4になってスペインで政権交代したマリアノ・ラホイ政権が前政権の財政赤字の粉飾を明らかにしたのでスペイン国債が暴落しやすくなっている(p155)

    ・日本の次期政権は、自民党・公明党・みんなの党・維新の会の4党が連立を組むだろう(p167)

    ・日本の財政赤字は地方自治体のものも含まれている、アメリカは州債、市債、地方自治体債は公表していない(p179)

    ・アメリカヘッジファンドは2012.1.16から日本株高をつくるために買い上げを開始した、あと1年程度は円安と株高は続くだろう、その後に大暴落が起きる(p187)

    ・1000万円を株式投資するなら、500万円は上昇基調が終わるまでそのまま、残りは利食いする(p190)

    ・2014年には「5000万円以上の富裕層の海外に置いてある預金や投資金額は申告義務が課せられる」という法律が施行される(p200)

    ・マレーシア人の英語は日本人の耳に優しい、マクドナルドは「マク・ダウ・ナウ」と発声する(p204)

    ・液体爆弾は存在しない、貴金属を女性用の下着入れにいれて乳液の瓶の中にいれて持ち運ぶのを禁止するのが本当の目的、これからは金の延べ板よりも5カラット以上の質の良いダイヤモンドがお奨め(p20)

    2012年5月17日作成

  • (1回目読了)
    ひととおり全体の流れに目を通してみた。前作までのいくつかは、前回までのリバイスといった感じで目新しいことも少なかったが、今作は情勢が変化してきたこともあり、内容に変化がでており楽しめた。再度読み直して理解を深めていきたい。

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著者プロフィール

副島隆彦(そえじま たかひこ)
評論家。副島国家戦略研究所(SNSI)主宰。1953年、福岡県生まれ。早稲田大学法学部卒業。外資系銀行員、予備校講師、常葉学園大学教授等を歴任。主著『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』(講談社+α文庫)、『決定版 属国 日本論』(PHP研究所)ほか著書多数。

「2023年 『大恐慌と戦争に備えて 個人資産の半分を外国に逃がす準備を!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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