学問ノススメ. 学校では教えてくれない達人の知恵

制作 : JFN 
  • 徳間書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198633882

感想・レビュー・書評

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    ラジオ版学問のすすめってラジオがめっちゃ好きで何回も同じやつ聴いたりしてたやつの書籍化を読んだ。半藤一利さんの本読んでみたいと思った。

    今になってみれば、ちょっと気取っていてキザっぽい気はしますが、数学の魅力はわかって
    もらえるのではないかと思います。真実は変わらない、真実でありつづける、かつ、永遠に残
    る。たとえばシェフはおいしい料理をつくる。だけど、食べちゃうと忘れられてしまう。建築
    家はりっぱな家を建てる。建築物を造る。でも、地震がきたら、なくなってしまうこともある。
    ドストエフスキーもトルストイもすばらしい文学を書く。だけどその中の真理は何千年つづく
    だろうか。
    しかし、数学の定理という真実は、3000年たとうと5000年たとうと、「もうその定
    古い」と言う人がいても、証明されたことは覆えされない。多数決で覆される
    いけれど永遠につづく、ものすごい真実なんです。そこには美があります。数学の定理

    あるとき、若い読者から「どうして勉強しなければいけないのですか」という質問を受けま
    した。いくら三角関数や微分・積分を勉強しても、日常生活には役に立たないじゃないですか
    というわけです。しかし実は、そこに学ぶということの一番大事な側面があると思うのです。
    に私たちは数学や理科を学ばなくても生きていけます。ただ、学ばずに生
    憶覚などの五感だけを頼りに世界を見ることになります。それは実は、世界をゆ
    見ていることになるのです。私たちは視覚でものを見るときに、見たいものを見るだけですし、
    しかもいろいろな方法で処理して見ているわけです。たとえば虹は7色といわれていますが、
    本当は連続した色のスペクトルであって、民族によって虹が何色かはちがって見えているわけ
    です。虹は本当は7色ではないということを学ばないと、私たちは本質をゆがめて見ているこ
    とに気がつかないのです。

    微分・積分ができたのは1600年代ですが、
    も1600年の初めころで、顕微鏡ができて初めてミクロの世界を見ることができるようし
    ったのも1600年代です。それと同じころに、世界は絶え間なく動いているので、その動き
    を止めることができたら世界のすべてを記述できるのではないかと考えた人がいるのです。そ
    こで考えだされたのが微分・積分という方法です。だから、微分・積分の公式などは本当はど
    うでもよくて、微分・積分を学ぶことは、それがどのよう世界を記述しようとしているのか、
    そういう形で世界を記述したいと思った当時の人々の思いや考え方を学ぶことなのです。
    自分が持っている五感だけで世界を見るのは、小さなツボの中に入って、その壁に開けた5
    つの穴から見ているようなものです。世界は本当に絶え間なく動いていて豊かなものなので、
    学ぶことによっていろいろな見方を獲得しなければ、私たちは世界を豊かなものとして見るこ
    とができないのです。それが学ぶことの本質だと思います。

    歴史を自分なりに解釈していくと、歴史はとってもおもしろく見えてきます。歴史とは人間
    を見ることであって、年号を覚えることではありません。日本人がこれまでどのような生き方
    をしてきたのか、どんな考え方をしてきたのかということが歴史のなかから見えてくる。そう
    すると、新しい日本人を発見することもあって、歴史がどんどんおもしろくなってくる。私た
    ちのなかにはそういう人がいる、そういう生き方ができるんだということにもなっていきます
    からね。

    るべく案内人はいないほうがいいし、目的は持たないほうがいいと男
    にかく僕は説教くさいことは一切言わないようにしていますが、ひとつだけ言うなら、「なる
    べく目的を持つな」ということ。目的を持つと、そのこと以外はどうしても見なくなる。探す
    本があって本屋へ行くとほかの本を見なくなるのと同じです。漫然と行くほうがいいんですよ。
    たとえば「留学するならきちんと目的を持って行かないといけません」みたいなことをほかの
    先生に言われても、「とりあえずそう言ってるだけだから、聞き流していい」と僕は学生に言
    います。もちろん、これがやりたい、と本気で思えればいいんですよ。でも、本当にやりたい
    こともないのに、目的だけ設定して自分を閉じてしまうより、自分を開いておいたほうがいい
    と思うのです。屁理屈なんだけど、目的は実は手段に過ぎないというか、手段のほうが目的だ、
    くらいに考えたほうが、いろいろな発見があるんじゃないかと思います。

  • 【ノート】
    ・Podcastで愛聴している「学問ノススメ」を本にまとめたもの。毎回40〜1時間程度の番組内容をコンパクトにまとめてあると思うが、やはり番組で生の声を聞くのが一番だと思った。

    ・この番組では、パーソナリティーの蒲田さんがゲストをどう気持よくして、リラックスした話を引き出すかというのも聴きどころの一つ。松岡正剛さんまでもがその術中(?)にはまるのだから、なかなかのものだ。

  • 本の素晴らしさとは、直接ではないにしても、著名なもしくは有名な人の思考や言葉に触れることができることじゃないかな。

  • いろんな方の人生論。東日本大震災後の本のため、それをネタにした話が多い。その点がつまらない。しかし普段考えを聞く機会もない分野の方の話を読めるのは面白い。

  • 立花隆さんの文章があったので購入。

    人間は本質的に学ぶのが好きなもの。目新しい者に好奇の目を向ける
    自分の中に何か新しいものが出現したときに、その新しいものに対して好奇心の心を持って、それに近づいて調べることなのです。
    つねに環境との情報のやりとり、それが生きるということ。
    そのやりとりの中で自分を変えていく。広い意味での進化。生物はすべて進化する存在なのです。

  • 普通

  • おお、えらい豪華な執筆陣だ。

    たぶん若い読者に向けての語りなんだろうけど、類書にありがちな
    「こんなに才能のある俺はこうやってうまくいったので、みんなもそうすべき」
    ってな感じの愚にもつかない「アドバイス」はほとんどなくて、真摯な言葉が並ぶ。
    東日本大震災直後に作られたって要素が大きいのかな。

    僕のようなおじさんも、ちょっと感銘を受けたのが多かった。いわんや若者をや、である。

  • 「学ぶ」ことに対する21人の考え方。立花隆、氏からのメッセージから始まる。「勉強しすぎるということはない」とのこと。土田賢二、氏「当たり前」を疑う哲学の精神があらゆるものを新鮮に見せる・・・など、気にかかる文章は、それぞれ生き方に関係する。

  • 東日本の震災の話が多かった。

  •  立花隆や内田樹、福岡伸一などの作家から山下洋輔、篠原勝之、横尾忠則など様々な世界で活躍する方々の考え方や知恵というものを伺い知ることができる。学問のススメというタイトルだが、決して学問のみを扱っているのではなく、その人たちそれぞれの生き方や美学を文面から感じ取ることができた。
     個人的には、篠原勝之の話が印象深かった。テレビでしかの印象は持ち合わせていなかったが、その豪快かつゲージツ家ならではの繊細な心を見ることができた。「お前はお前でいい」という言葉は、単純ながら響くものがあった。
     東日本大震災、福島原発事故後の出版であるため、その記述が多岐に見られるが、あの惨劇を受けて、これから社会を知る上でどのような考え方を持つべきかを様々な達人から学ぶことができる一冊である。

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