正義をふりかざす君へ

著者 :
  • 徳間書店
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感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198636180

感想・レビュー・書評

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  • 著者の本をはじめて読んだ。
    いつもこんな感じなのか、この本だけなのか分からないけど、暗い雰囲気で固い文章のイメージ。

  • 久しぶりの真保裕一であったが、期待したほどではなかった。タイトルがなかなかいい感じだったので期待していたのだが。推理物やサスペンスというより、エスピオナージュに近いので、最初は何がなんだかよくわからないし、誰を信じたらよいのか全く分からない。それはそれで手法としてはいいのだが、全体の枠組みが小さい。そのためこんなことのためにここまでやるのか、と思ってしまった瞬間、リアリティが欠如してしまった。そこからは単に絵空事をなぞるだけになってしまう。もっと面白くかけたのではないかとおもうと少し残念。

  • 前半の引き込まれ具合は流石であるが、後半はもう一歩。出張先でさらっと読むには良い。

  • 石持浅海の本みたいなタイトルだな、と思って読み始めた。

    主人公は写真の送り主をつきとめてほしい、という依頼を元妻から受ける。
    その写真は元妻と市長選に立候補している男性の不倫現場を撮ったもので、選挙妨害か?現金目的のゆすりか?ということで主人公は調査を進めていく。

    主人公は離婚前、実業家だった元妻の父(故人)の片腕として働いていたり、義父のホテルが人手に渡ったのは主人公のせいということにされていたり、ラグビー部の先輩が元妻の不倫相手とは敵対する市長選の候補者の後援をしていたり、イロイロ詰め込まれてるな〜って感じで、少し食傷気味。

    もう少しシンプルにしたほうが最後の衝撃も大きいんじゃないかな〜と個人的には思った。

  • 別れた妻と故郷を捨てた元記者が、地元の利権を牛耳る先輩の悪を詳らかにする。

    記者から長野の棚尾の資産家・神永家に婿養子に入った不破だったが、経営するホテルが食中毒事件を起こし、死者まで出る事態に。

    勤めていた信央日報からも糾弾を受け、棚尾を捨て、妻を捨てた不破に、別れた妻から妻の不倫相手で、棚尾市長に立候補する朝比奈亘との密会写真の真相究明を依頼され、再び棚尾に戻る。

    しかし不破の動く先々で妨害が入り、真相を隠そうとする不破の先輩で信央日報を牛耳る大瀧へと疑惑を深めていく。


    画策された悪事が巧妙すぎて何が本題か途中でわからなくなりました。
    この中での正義って、いろんな登場人物のいろんな形の正義がぶつかって、弾けて、苦悩する世の中を表しているのかなと思いました。

  • 別れた妻に頼まれ、七年ぶりに故郷へ戻ってきた元新聞記者の男。結婚を機、地元の名士である義父の経営するホテルに転職したのだったが、食中毒事件をきっかけとした地元紙の報道で一家は没落し、裏切り者の汚名を着せられた男は逃げるように町を後にしたのだった。
    その町は今、二カ月後の市長選に向け候補者の両陣営が攻防を繰り広げている最中であった。
    知人を訪ね歩いていた男は暴漢に襲われる。自分が何かを知りえる立場にいると気づいた男は、過去を探り始める。

    中々全容が見えてこない前半に、少々飽きそうになる。
    確かに、正義を声高に叫ぶ人はなんだか恐い、特に集団は。マスメディアに流されず、自分の目で見極めたいとは思うけど、一般人には中々そんな手段はないし。
    最後まで読んで、正直そんなに隠す必要はなかったのでは?と思ってしまった。念を入れるつもりがあだとなったというところか。
    色々なテーマを内包しているようで、ちと考えが追いついていないです。

  • 登場人物本人も自覚しているようだけど、
    誠実かもしれないけど、こんなに甘い人間
    っているのかしら?
    …って思いました。

    東京に出てから結婚し、病死した妻が
    実は…

    …って内容なんですが、

    普通、この妻を赦せますかね?

    http://noinu.blog.fc2.com/blog-entry-145.html

  • ホワイトアウトで有名な真保裕一さん、ホワイトアウトの他にも奪取などのドキドキハラハラの面白い本が多々あります。この本以外にも真保さんの本は十数冊読みましたが、今の所真保作品で一番面白かったのは「デパートへ行こう」です。次いで「ローカル線で行こう」そして「ホワイトアウト」という順番です。「デパートへ行こう」はいい内容だったなぁ。。真保作品では一番のオススメ。。

  • 初めて読む作家。文体が読みやすくてサクサク読める。ミステリーのようだったが、内容としては先が読めてしまい、ミステリーとしてではなく単純に小説として読んでしまった。小説のキモとなるべき設定そのものに必然性が弱くて、主人公がなぜハメられていくのか、なぜ人が集まるのかもイマイチ。全体的に中途半端なまま終わるストーリーはどうかなぁと言う感じ。ストーリー展開の良さで読み切れた。

  • 真保先生の大ファンだが、近年発刊されている著作は
    昔のものに比べるとあまり自分の好みでないことが多い。
    この著作も、面白いことは面白いのだが
    膝を打つような謎解きや息もつかせぬどんでん返しというよりは
    比較的予想がつきやすく淡々と描写されていくイメージのストーリーだった。

    素人なの玄人跣で大活躍するのはいつものパターンなのだが
    警察や探偵ならいざ知らず、元新聞記者、元夫というだけで
    元妻はじめたくさんの人が頼ってくることがいまいち解せなかった。

    正義を振りかざす『君』へのメッセージがいまいちというか
    黒幕に対しての不破の思いというものが大人としての逃げのような
    はっきりしない態度に思え、
    正義感を振りかざしても仕方ない、自分は元々この町を捨てて逃げた卑怯者だ
    というニュアンスは初めの方から端々にあったとはいえ
    すっきりしないラストだったなと思う。

    グランドで明かされた事実も動機としては弱く感じ、
    何故そんなことのためにこんなことを、というところまで込みなのかもしれないが
    この当たりも納得がいかなかった。

    不破がここまで恐れられることも、謂わば誤解で不破がここまで憎まれるというのも今ひとつ登場人物たちに感情移入出来なかった理由のひとつだ。

    社会派サスペンスで、市長選やマスコミなどの描写は面白かっただけにちょっと残念だった。

著者プロフィール

真保裕一(しんぽ・ゆういち)
1961年東京都生まれ。91年に『連鎖』で江戸川乱歩賞を受賞。96年に『ホワイトアウト』で吉川英治文学新人賞、97年に『奪取』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞長編部門、2006年『灰色の北壁』で新田次郎賞を受賞。他の書著に『アマルフィ』『天使の報酬』『アンダルシア』の「外交官シリーズ」や『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』『遊園地に行こう!』『オリンピックへ行こう!』の「行こう!シリーズ」、『ダーク・ブルー』『シークレット・エクスプレス』『真・慶安太平記』などがある。


「2022年 『暗闇のアリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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