正義をふりかざす君へ

著者 :
  • 徳間書店
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感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198636180

作品紹介・あらすじ

地元紙の記者だった不破勝彦は、神永美里と結婚し、義父の仕事を助けるべくホテル業へ転身する。が、やがてホテルは不祥事を起こし義父は失脚、妻との不和も重なり、彼は故郷から逃げ出した。七年後-彼は帰りたくない故郷へと戻る。元妻の不倫相手を救うために。問題を起こしたホテルを、正義の名のもとに攻撃した新聞社。そのトップに就任したのは、高校の先輩である大瀧丈一郎だった。ホテルは彼の傘下に吸収され、不破を恨む者たちが次々と現れる。そして、ついに魔の手が彼を襲う-!「正義」の意味を問い直す、渾身の長篇ミステリー!!

感想・レビュー・書評

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  • 著者の本をはじめて読んだ。
    いつもこんな感じなのか、この本だけなのか分からないけど、暗い雰囲気で固い文章のイメージ。

  • 相変わらずぐいぐい読ませるけど、読後感はやはり二時間ドラマかなあ。最近の「相棒」な感じ。タイトルから受ける印象と深さは感じないし、構築は簡単なはずの「正義」が内包するダブルバインドについてなども一切ふれてい無い。なんでこのタイトルにしたかな。まさかサンデル先生に便乗?

  • 誰に対しての「君へ」なのか。
    特定の誰かに対してでなく、登場する人間全てに対しての言葉のような読後です。
    単純に考えれば、ある一人の人物にたどり着くのですが。
    それは読み終えたからこそ、そう思うのであって。読み進めている最中に感じたことは、皮肉と斜に構えた優越感。

    「正義」という言葉のなんと使い勝手のいいことか。

  • ホテルと選挙とそして女。
    長野県の小さな地方都市に7年ぶりに舞い戻った男は捨てたはずの過去と
    得体の知れない悪意に巻き込まれていく。
    果たして誰が?なんのために?

    複雑に張り巡らされた謎と伏線が見事に回収されて終結させているのはお見事。
    ひとつひとつの事件が繋がってすっきりと読了しました。
    話としては地味だけど小役人モノを得意していた作者の初期作品を思わせる内容。
    新聞社やホテルの内幕は特に興味深い。
    難を言えば動機がちょっと弱かったかな。
    でも、これはわたしが女故の感想なのかもしれない。
    男性の意見もぜひ聞いてみたいところです。

  • 久しぶりの真保裕一であったが、期待したほどではなかった。タイトルがなかなかいい感じだったので期待していたのだが。推理物やサスペンスというより、エスピオナージュに近いので、最初は何がなんだかよくわからないし、誰を信じたらよいのか全く分からない。それはそれで手法としてはいいのだが、全体の枠組みが小さい。そのためこんなことのためにここまでやるのか、と思ってしまった瞬間、リアリティが欠如してしまった。そこからは単に絵空事をなぞるだけになってしまう。もっと面白くかけたのではないかとおもうと少し残念。

  • 前半の引き込まれ具合は流石であるが、後半はもう一歩。出張先でさらっと読むには良い。

  • 石持浅海の本みたいなタイトルだな、と思って読み始めた。

    主人公は写真の送り主をつきとめてほしい、という依頼を元妻から受ける。
    その写真は元妻と市長選に立候補している男性の不倫現場を撮ったもので、選挙妨害か?現金目的のゆすりか?ということで主人公は調査を進めていく。

    主人公は離婚前、実業家だった元妻の父(故人)の片腕として働いていたり、義父のホテルが人手に渡ったのは主人公のせいということにされていたり、ラグビー部の先輩が元妻の不倫相手とは敵対する市長選の候補者の後援をしていたり、イロイロ詰め込まれてるな〜って感じで、少し食傷気味。

    もう少しシンプルにしたほうが最後の衝撃も大きいんじゃないかな〜と個人的には思った。

  • 別れた妻と故郷を捨てた元記者が、地元の利権を牛耳る先輩の悪を詳らかにする。

    記者から長野の棚尾の資産家・神永家に婿養子に入った不破だったが、経営するホテルが食中毒事件を起こし、死者まで出る事態に。

    勤めていた信央日報からも糾弾を受け、棚尾を捨て、妻を捨てた不破に、別れた妻から妻の不倫相手で、棚尾市長に立候補する朝比奈亘との密会写真の真相究明を依頼され、再び棚尾に戻る。

    しかし不破の動く先々で妨害が入り、真相を隠そうとする不破の先輩で信央日報を牛耳る大瀧へと疑惑を深めていく。


    画策された悪事が巧妙すぎて何が本題か途中でわからなくなりました。
    この中での正義って、いろんな登場人物のいろんな形の正義がぶつかって、弾けて、苦悩する世の中を表しているのかなと思いました。

  • 黒部の羆を読み、真保裕一さんの他の作品も読んでみたくなり、今回はこの本のタイトルにひかれ手に取りました。

    前半は中々話が進まず、寝落ちでページも進まず…と苦戦しましたが、途中からは一気に読めました。

    タイトルへの期待感が大きかったせいか、ちょっと拍子抜けかな…

    後半の、事件の真相を追う場面は、元新聞記者らしくスピード感もあり、次の展開はこうなるのでは?と楽しめましたが、個人的には最後がなんとも後味が悪い感じがしました。

  • 別れた妻に頼まれ、七年ぶりに故郷へ戻ってきた元新聞記者の男。結婚を機、地元の名士である義父の経営するホテルに転職したのだったが、食中毒事件をきっかけとした地元紙の報道で一家は没落し、裏切り者の汚名を着せられた男は逃げるように町を後にしたのだった。
    その町は今、二カ月後の市長選に向け候補者の両陣営が攻防を繰り広げている最中であった。
    知人を訪ね歩いていた男は暴漢に襲われる。自分が何かを知りえる立場にいると気づいた男は、過去を探り始める。

    中々全容が見えてこない前半に、少々飽きそうになる。
    確かに、正義を声高に叫ぶ人はなんだか恐い、特に集団は。マスメディアに流されず、自分の目で見極めたいとは思うけど、一般人には中々そんな手段はないし。
    最後まで読んで、正直そんなに隠す必要はなかったのでは?と思ってしまった。念を入れるつもりがあだとなったというところか。
    色々なテーマを内包しているようで、ちと考えが追いついていないです。

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著者プロフィール

真保裕一(しんぽ・ゆういち)
1961年東京都生まれ。91年に『連鎖』で江戸川乱歩賞を受賞。96年に『ホワイトアウト』で吉川英治文学新人賞、97年に『奪取』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞長編部門、2006年『灰色の北壁』で新田次郎賞を受賞。他の書著に『アマルフィ』『天使の報酬』『アンダルシア』の「外交官シリーズ」や『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』『遊園地に行こう!』『オリンピックへ行こう!』の「行こう!シリーズ」、『ダーク・ブルー』『シークレット・エクスプレス』『真・慶安太平記』などがある。


「2022年 『暗闇のアリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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