経済特区自由村

著者 :
  • 徳間書店
3.10
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本棚登録 : 141
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198636197

作品紹介・あらすじ

「お金を使わずに生きるのがぼくたちの活動だ」外食産業と提携し、ブロイラー養鶏場を経営したものの、度重なる設備投資で借金まみれ。あげく追加投資を勧めた営業マンを突き飛ばし、鈴木明男は自家用軽トラックで逃亡した。たどり着いたのは人里離れた山奥の神山田村。そこで明男が目にしたものは自給自足、義務のない暮らし。そして金を使わない暮らしを提唱する男・民人の姿だった。ベストセラー『限界集落株式会社』の著者が真の「エコ」を問う!

感想・レビュー・書評

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  • 最初が重かったですね。
    エコは夢なのか。
    現実の辛さを感じました。
    ラストに少し救われた気がします。

  • 「おいしい野菜が食べたい」が面白かったのでこちらも読んでみた…けど、作者はこの小説を通して結局何が言いたいのか、何を伝えようとしたのか分からないまま読了。
    途中読むのをやめようかと思いながらも手はページを捲っていたので何かしら惹かれるものはあったんだと思います。

  • 読み進むうちに、いくつか明らかになることがあるので詳細は省くけれど、女性格闘家、脱サラで養鶏を始めた男、複雑な家族関係のある女の子を中心に、あるコミューンの様子が描かれていく。脱マネー、自給自足、規則はないという村には、ほかにもいろいろな考えや企みを持った人間たちがうごめく。
    エコという言葉を軸に、いろいろな考えが出てくるのだけど、でもそれがまとまるかというと、そうではなかった。
    「限界集落株式会社」より現実的で、読み進むうちいやになるところもあったが、なんとか読み切った。ラストはもうちょっとなんとかならなかったかな~。

  • 巨大ファーストフード店の契約養鶏家として劣悪な環境で働いている鈴木、最強の女子総合格闘家の岬など、さまざまな人間がある理由に、過疎化の進む山奥の村を訪れる。
    そこには脱マネーを掲げたエコロジスト集団たちのコミューンがあった。
    その中心にいるのは民人という謎めいた青年と、暴力団まがいの男たち。
    このコミューンの正体、そして目的はなんなのか・・・・。
    ミステリーとしては浅い感じで、啓蒙小説というわけでもない。なんとなくありがちな印象を受けてしまった。

  •  モチーフが面白く、ミステリー要素を含んだプロットも作者の得意とするところ。
     本作も一気読みせずにはおれない作品に仕上がっている。

     ファストニッポンの超速成ブロイラーなど、現実にありそうでゾッとする小道具の設定もよかった。

     ただ主人公の1人鈴木明男が殺人を犯したと思い込み、養鶏場から逃亡するというところには無理があるように思う。
     その後の、冷静沈着な行動をする鈴木明男を見ていると違和感が拭えない。
     そこを割り引いて☆4つとなった。

  • 萌え系ビジネス本(農業系)本かと手に取りましたが、これは純然たる小説です。
    良く見れば、表紙も萌え絵ではないですし(笑)

    廃村に入植してきたノーマネー&エコロジーコミュニティに集った人々の顛末記。
    導入部で、このコミュニティは、掲げている看板とは真逆で全くサステナブルでないとわかります。
    ばあちゃんの知恵と不断の労働でやっと維持している里山農法との対比も際立ちます。
    著者のこの類の団体への視線は冷淡なようです。
    団体の食糧自給活動やらの描写はそこそこで、派閥争い、痴話話、主役二人の人探しに主題は移ってしまいます。

    中盤からページを割いている主催者のコミュニティ立ち上げの動機づけが今一つ説得力がないのですが、まあ、その程度のものだったのでしょうか。

    図書館で借りました。

  • エコライフがいい、脱原発であるべきという。
    たしかに素晴らしい思想。
    ブームに乗っかって自己満足というか、自分の存在意義を明らかにしたくなるのもわかる。

    でもそうすることで利便性を追求して成長してきたものと逆行する部分があることも事実。

    金持ちの道楽というか、既に成功した人ほどそんな地球レベルでの物事が語れるのであるという事実を物語にしたという感じかな?

    人間の際限ない欲望を押さえ込む限界もある。
    限界を超えてしまった先にあるものは破滅だけなのか?
    なんて壮大なスケールで考え始めてしまう一歩となるかも。

  • お金不要で暮らせるコミュニティの話

  • 究極のエコを目指して成立したFEE(フリーエコノミー&エコロジー)に潜入することになった格闘家の洋子。
    そして、食肉用ブロイラー養鶏をやりながも仕事に疑問を持ち続けていた明男。明男は自分を借金地獄へ落とした相原を突き飛ばして逃げてしまう。その先で出会った元気なこなたばあちゃんに助けられながら、同じ集落にあるFEEに疑惑を持つ。
    人物は生き生きしていて面白いが、途中から急速に話をまとめようとして失敗した感がなくもない。一人ひとりのエピソードは楽しいがいつの間にかいなくなっている、そんな気がした。
    最後は震災のことが出てくるし、一体なにが一番言いたかったのかが若干わからなかった。

  • 「け」で始まるおもしろい本を探し求めてもう半年。
    なかなか見つからない…
    カルトじゃない、カルトじゃないと何度も言われれば言われるほど、やっぱり「特区」は怖い。
    2016/11/5読了

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著者プロフィール

黒野伸一(くろの・しんいち)
一九五九年、神奈川県生まれ。『ア・ハッピーファミリー』(小学館文庫化にあたり『坂本ミキ、14歳。』に改題)で第一回きらら文学賞を受賞し、小説家デビュー。過疎・高齢化した農村の再生を描いた『限界集落株式会社』(小学館文庫)がベストセラーとなり、二○一五年一月にNHKテレビドラマ化。『脱・限界集落株式会社』(小学館)、『となりの革命農家』(廣済堂出版)、『長生き競争! 』(廣済堂文庫)、『国会議員基礎テスト』(小学館)、『AIのある家族計画』(早川書房)、『グリーズランド1 消された記憶』(静山社)、『お会式の夜に』(廣済堂出版)など著書多数。

「2021年 『あした、この国は崩壊する ポストコロナとMMT』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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