かわいそうな歴史の国の中国人 (一般書)

著者 :
  • 徳間書店
3.36
  • (1)
  • (5)
  • (6)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 62
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198638283

作品紹介・あらすじ

中国人はなぜ平気でウソをつき、なぜ社会に不信が蔓延するのか。それは歴史に秘密があった。皇帝と漢字と城によってつくられた中華文明そのものが不毛の原因なのである。王朝ごとの断絶した歴史しかなく、官僚による点と線だけの統治では、民は収奪の対象でしかなかった。ないないづくしだった中国人だから、残酷なくらい利己的にならざるをえなかったのである。中国人の本質を歴史、社会構造から読み解いた日本人必読の書。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 中国をディスっているように見えるけど、まぁあながち間違いでもないよね。
    中国とは、中国人とは何かから始まり、最後はウイグル人や東トルキスタンの国の人権弾圧の話になり、最後は中国という国は長続きしないだろうという希望の話になってた。でもまあ当分は滅びそうにはないよね…。

  • 膝ポン。

  • シナの国
    漢字の持つ意味
    土地がシナで、民族は連続性なし

  • ◆きっかけ
    ブクログ。宮脇淳子氏の著作を検索中に出てきて。2017/2/27

  • あんまりちゃんと中国について考えたことがなかったな。と実感。
    国というものが、日本と全然意味合い違いそう。

    キングダムの国なのに...
    けど、賄賂が当然という背景が腑に落ちておもしろかった。

  • モンゴル史が専門で、東アジア史や中央アジア史にも精通している宮脇さんの著書。
    おもしろいし、歴史を俯瞰しているというか、視点のスケールが大きくて偏りを感じません。
    岡田英弘さんの引用が多いですが、夫だしそもそも師匠なのですから、多くなっても当然と言ったところでしょうか。名前が出てくるたびほほえましい気持ちになってしまいます。

    本書は中国というもの、中国人というものがよく分かる一冊になっています。
    少数民族問題(モンゴル、チベット、ウイグル)についても書かれています。
    宮脇さんは歴史家なので、ODAなどに関する記述はほとんどなかったのですが、少数民族が弾圧を受ける際の経済面やインフラ面について、日本から中国に流れたお金が少なからぬ影響を及ぼしていると思っています。
    そういった意味でも、少数民族問題は他人事ではありません。
    中国に対し、浅はかな同情でかわいそうなどと思い簡単に手を貸すのは危険です。
    宮脇さんも書いていたとおり、日本は中国のことを放っておけばよかったのだし、これからも放っておくべきです(経済面では特に)。
    もっと勉強しなければ。

  • 本当はシナ2000年が正しい。秦の始皇帝から来ている。
    中国の歴史学者は1840年前と後で分けている
    。アヘン戦争により西欧列強に国土を蹂躙され世界史に巻き込まれた。本当の近代化は日清戦争後だが、それをごまかすためにアヘン戦争とした。
    漢文を理解するために古典の知識が必要。古典こそが正当で正しい考え方ということになり新しい発想がでにくい。
    国土が広いので年貢を中央に送ることはできなかった。言葉が通じないので年に行っても、言葉の通じる集団に属することになる。言葉が通じない土地に入植して村をつくり周辺住民と争いながらかいたくしていった。よって肝心は周りはみな敵と考えている。縁組みするときに相手の村を決めて女子を交換する。
    漢字のルビは1918年に誕生したがそれ以前の発音は先生の発音を耳で聞くしか無かった。
    中国人が宗族を大切にするかというとそもそも国が国民を守るという歴史が存在しなかった。
    シナの汚職こそが統治システムの最大の特徴。中国人は他人を必要か必要でないかで毎日人間関係を組み替える。
    日本人が中国の宴会に招かれて失敗するのは、酔っぱらって本音を話してしまうこと。中国人の宴会とは誰かが抜け駆けしないためのもの。中国人は人間関係が非常に厳しい国。甘えて生きていける社会ではない。
    水に落ちた犬は叩けというのが考え。

  • 独断と偏見に満ちた書き方ですが、真実を突いています。だから、もっとまじめな書き方がよいとは思ったけど、まじめに書くといろいろ支障があります。中国論としては、センセーショナルな割に筋が通っています。
    ただ夫をはじめ、身内贔屓の引用がちょっと信用しにくくしているところが残念。

  • 中国には55の少数民族がいて、最大である漢民族を中心に自治共和国とともに現在の中華人民共和国を構成している、というのが私が高校のときに学んだもので、いまでもその認識にはあまり変化はありません。

    この本を読んでわかったのは、現在の中国は、旧満州・モンゴル・新疆・チベットに分かれていた様ですね。この本には各地域の歴史にも触れられていて興味深かったです、さすが、モンゴルやチベットの研究をされている本書の著者である宮脇女史だと思いました。

    私にとっては、目から鱗の情報が多くありましたが、先週(2014.8)上海に行ったとき、あるマーケットに行ったときに、同じものを売っているお店が数多く並んでいて、どのようにして差別化しているのだろうと不思議に思ったのですが、その解答(自分と同じ言葉を話す人に対して商売をする、p33)が書いてあり納得しました。

    以下は気になったポイントです。

    ・故旧博物館の貴重な文物は、上海に疎開、南京に移り、支那事変の際はさらに奥地を転々として、蒋介石は選りすぐりの文物204箱を3隻の軍艦に載せて台湾に運んだ(p3)

    ・国としての中国は1912年に建国した中華民国から、1949年に成立した中華人民共和国のいずれも略称は中国という(p19)

    ・シナ、チャイナも紀元前221年にいまの中国の核となる地域を初めて統一した、秦の始皇帝の「秦」からきている、英語のChinaに対する日本語はシナである(p20)

    ・西暦184年に起きた黄巾の乱によって後漢が崩壊した時、それまで6000万人いた人口が10分の1程度になる、そのため三国の争いは決着がつかなかった。(p23)

    ・元は明の建国により北の草原に退却するが、モンゴル人は元は滅んだと思っていない(p24)

    ・始皇帝の統一前の戦国7国は、それぞれ使っている漢字は字体も異なるし発音も違っていた。統一後、他の六国が使っていた漢字を廃止して、政治学の書物を没収した。これが「焚書」である、このとき漢字の字体・読み方を統一した。このとき、1つの漢字には一音節の一音の読みとしたので、漢字は意味を表すものではなくなった。(p27)

    ・世界の四大発明(紙、印刷、火薬、羅針盤)はすべてシナ大陸にもかかわらず、その発明を活かしきれなかったのは、新しい価値を認めないという、漢字の持っている制約によるもの(p29)

    ・中国語にルビができたのは1918年、日本の振り仮名をなめて「注音字母」という表音文字を公布するまで共通の話し言葉はなかった。漢字の発音をローマ字で表すようになり、これをピンインという(p30)

    ・歴代皇帝は、郡・県と呼ぶ直轄都市に、自分が任命した官吏を税金を集めるために派遣して、それぞれの土地から税金を集めるというシステム(郡県制)をとっていた。国は税金を集める仕組みに過ぎないので、人々は自分たちを守ってくれる集団(宗族)をつくった(p36)

    ・本当の仏教には輪廻転生の思想があり、死んだ跡の遺体はただの物体、灰にしてガンジス河に流す(インド)、山の上で鳥に食わせる(チベット)、草原に捨てて動物に食わせる(モンゴル)が、生きている衆生への功徳と考えられる(p40)

    ・骨は父から、肉は母からという考え方がある。骨は父系でしかつながらないから、男の子が生まれないと困る(p41)

    ・シナの官僚は「官吏」と言う、官は、皇帝が任命したもの、吏は、官が自分で雇う人8(しょ吏)とも言う(p46)

    ・科挙の試験は、まず地方で、県試・府試・院試を受けて国立大学の入学資格を得て学生になる、そのあと、3年に一度の郷試に合格、さらに翌年、北京で実施される会試、皇帝臨席のもとでうける殿試で最終順位が決まる、郷試までで終わった人は、読書人と呼ばれる(p47)

    ・同族の村では父系が同じなので結婚できない、それで縁組する村を決めて女子を交換する(p49)

    ・信じていないけれど、言ったほうが勝つから言う、言ったことを信じていないのが中国人、言ったことと行動ははっきり峻別するのが中国人、つまり建前と本音が異なる(p55)

    ・日本が科挙制度を輸入しなかった理由は、9世紀に仮名を発明して、話し言葉をそのまま書けるようになり、だれでも漢字が読めるようになった。漢字の使い方の試験である科挙をする必要が無かった(p57)

    ・中国で夫婦別姓であるのは、男女同権だからではない、お嫁に来た女の人は「死ぬまで同族でない」と表すために別姓のまま(p78)

    ・中国には8大方言があるが、漢字で書けるのは、北京方言と広東方言のみ(p84)

    ・中国の宴会の3大タブー:1)マイペースでは飲むな(手酌はだめ)、2)酔っ払ってはいけない、3)真面目な話は不可(p90)

    ・中国人と議論するときに重要なのは、本当のことだけを言う。真実だけ言っていれば、相手が何を言おうと、それはウソと反論できる(p110)

    ・破壊のあとの回復期だけ、中国では政治がうまくいく、経済がうまくいって人口が増えてくると、また共食いになる(p139)

    ・中国共産党は、地主たちを殺してみんなに分配した、けして生産性をあげて富を増やしたわけではない。これまで下層だった人には喜ばれた。同様なことを、モンゴル・チベット・ウイグルで行った(p140)

    ・中国には55の少数民族がいるとされているが、本当の問題は、チベット・ウイグル・内モンゴル、である。中国建国時には6つと言っていたのに、9→30→55となった(p147)

    ・少数民族は人口全体の8%であるが、64%の領域に住んでいる。もともと自分たちの土地に住んでいて、自分たちで政治体制、文化・文字を持っていた(p148)

    ・清朝の五体は、満州人・中国人(漢人)・モンゴル・ウイグル・チベット人であった、日本の建てた満州国の5族協和は、日本人・朝鮮人・漢人・満州人・モンゴル人(p154)

    ・文化大革命で内モンゴルは合計数百万人のうち100万人が逮捕され、5万人が殺された、いまでは漢族が8割以上を占める、このやり方を今では、チベットとウイグルで進行中(p167,168)

    ・中国上位1%の年収が115万元(1900万円)に対して、労働者の賃金は4.8万元(80万円)である(p206)

    2014年8月17日作成

  • 単純にタイトルが面白そうだと思って購入。

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1952年和歌山県生まれ。京都大学文学部卒、大阪大学大学院博士課程修了。博士(学術)。東京外国語大学・常磐大学・国士舘大学・東京大学などの非常勤講師を歴任。最近は、ケーブルテレビやインターネット動画で、モンゴル史、中国史、韓国史、日本近現代史等の講義をしている。
著書に『モンゴルの歴史』(刀水書房)、『最後の遊牧帝国』(講談社)、『世界史のなかの満洲帝国と日本』(以上、ワック)、『真実の中国史』(李白社)、『真実の満洲史』(ビジネス社)など多数。

「2016年 『教科書で教えたい 真実の中国近現代史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

宮脇淳子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×