この靴、なげたい (文芸書)

著者 :
  • 徳間書店
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本棚登録 : 98
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784198638702

作品紹介・あらすじ

彩は男と別れる決意をし、碧は同僚のまー子に嫉妬し、奈緒美は甲斐性のない旦那に怒り狂い、智佐は自分が何をしたいのかわからず、詩絵は好きだった男に会うために背伸びをし、珠子は夢のためにホテルの部屋を掃除する……。やりきれない想いは、彼女たちの行動を加速させていく。けれども、そこには未来に繋がる道がきっとあるはず――。6人の人物たちの個性に合った靴を通じて、彼女たちが自らのストレスと向き合う姿を味わえる連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 「この靴、なげたい。」女性なら、一度くらいは思ったことがあるのでは。私自身は、何度もある。ヒールの高い慣れない靴を履いたときの、靴擦れの痛みと情けなさを今でも生々しく思い出す。
    スポーツシューズ、ミュール、ピンヒール、セミ・パンプ、トウシューズ、リクルートシューズ…。それぞれの靴を、どういう思いで、「なげたい」と思うのか…姫路を舞台に、日々に倦む6人の女性たちの心模様が綴られる。主役は一篇毎に替わるものの、登場人物が各話共通のため、「あ、ここでつながる!」という発見が楽しい。世間の狭さが地方あるあるという感じがして、地方出身者としては大いに共感。
    アラサー独特の見栄や諦めの悪さや無意味な意地やプライド…諸々がビターに描かれていて、それぞれにジリジリとした焦りの理由は異なるんだけど、どれも手に取るようにわかるんだなぁ。それが、履きにくい(または履けない)靴へのこだわりなのだと。
    そんなこだわりを捨てて、靴擦れのしない靴ばかり履くようになった自分は、何だか遠いところまで来ちゃったなぁ…と思ってしまう。
    中居真麻さん、今回初めて読みました。他の作品も是非読んでみたい。

  • 『iPhoneにイヤフォンをつきさし、音楽を流しながら、歩く。アパートや公園や医院が、水彩画が溶けるみたいに流れていく。』
    ........なんて素敵な表現なんだろう(*´`)

  • ひとつ一つの話にどこか繋がりがあって面白かった。たしかに女の人は色々な事で悩んでるよね。そんなことがわかりました。悩んでるのは自分だけじゃない、みんな悩み事ある。だから負けじと頑張らないと、と。

  • 短編。

    スポーツシューズ、代々ろくな男としか縁のない家系で、じゅうたん屋とのつまらない不倫。

    ミュール、かわいい同僚と、かわいくない自分。同僚の嘘、自分の本音。

    ピンヒール、幸せそうな子育てブログ、それだけじゃない現実

    セミパンプ、掛け持ちする仕事、自分のことばかりで友人に押し付けていた商品。

    トウシューズ、保育士がずっと思って引きずっていた恋心。

    リクルートシューズ、売れない脚本家、ラブホテルのバイトと同僚からの励まし。

    若いな、みたいな印象。何様。
    自分が思っているより、他人は深く考えていないんだね。

  • 靴にまつわる短編集。関西が舞台。少し話がリンクしている。そこまで靴が印象的だったわけでもないかなぁ。

  • 靴の名前がタイトルになった短編集が収録されています。
    もっと他の作品も読んでみたくなりました。
    http://ameblo.jp/sunnyday-tomorrow/entry-11953951439.html

  • ジャケ買い?ジャケ借り?
    タイトルと表紙に惹かれて入手。
     
    『僕は彼女にとって・・。
    靴ほど大事ではないが鞄よりは大事な相手だと思うよ?』と言ったのはAカッチャーだったか???
     
    俺は初デートで・・必ず女性の靴を見てしまうヽ(^o^)丿
     
    てな訳で本著。
    当方のカテゴリー分類で、あえて『哲学』に分類した、女性に関する一冊。
     
    男の俺から見ると・・
    登場人物は皆、発達障害のコミュ力欠乏なメンヘラ達に思えるんだけど・・
    でも、これ・・紛う事無き!等身大の愛する女性たち!のオムニバス(*^^)v
    素晴らしい・・。
     
    読んだ後、なんだか無暗に女性に優しくしたくなる一冊ス(^O^)
     
    男爵おすすめ。
    U25の男性や・・Over25の女性・・
    が。読むべきか?と勝手に思ったよ(^o^)
     
    素敵な一冊です。
    あ・・是々非々に一気に読んでね~ヽ(^o^)丿♪
     

     

  • 女の人は靴次第で変われるし、

    自分が変われば靴も変わるんです。

  • 可もなく不可もなく、だろうか。

    作りはいいなあと思ったし、最後までサクサクと読めたのだけれど、読んでみて思ったのは、そこまでそれぞれの【靴】を感じられなかったなあ、と。投げたい投げたい、と思いながら読めばまた違うのかもしれないけれど、そういうわけにもいかないし。。

    というのも、やはり私も靴が、大好きだから。
    そうそうそう、と何度も頷く。

    靴とも、仲良くやっていくしかない。
    恋人のように相性の良いものもあれば、わたしをひたすら傷つけるものだって、たくさんある。
    でもぴったりの靴に出逢いたいから――そうして起こす行動を恋愛に当てはめてみると、いやはやこれまた可笑しい。
    また少しだけこの本が好きになったかもしれない。

  • 靴と女性をテーマにした連作短編集。靴好きとしては読まないわけにはいかない一冊です。最後から二つ目の「トウ・シューズ」がすごくよかった。ヒール靴は一種の戦闘服で、久しぶりに会う想い人のために7㎝ヒールのブーティを履く気持ちは痛いほどよくわかるし実際私でもそうしただろうし、試着したときは行けたのにいざ履くとあれ?ってのもわかる!!けど後には引けないものねー。

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著者プロフィール

作家

「2016年 『今日から仲居になります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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