- Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
- / ISBN・EAN: 9784198640286
作品紹介・あらすじ
伊達政宗の伯父にして山形の礎を築いた戦国大名・最上義光。父との確執、妹への思い、娘に対する後悔、甥との戦。故郷を愛するがゆえ、戦場を駆ける北国の領主には数々の受難が待ち受けていた。調略にて戦国乱世を生き抜いた荒武者の願いとは……。策謀に長けた人物とのイメージとは裏腹に、詩歌に親しむ一面を持ち合わせ、幼少期は凡庸の評さえもあったという最上義光を歴史小説界の麒麟児が活写する!
感想・レビュー・書評
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最上義光と義姫については大河ドラマ「独眼竜政宗」の原田芳雄と岩下志麻がちょっと小狡いイメージ、本当にそれしか無かった。
いろいろ頑張ったのにもかかわらず、代替わりした後のあっけなさに驚いた。
最上義光作品、そしてこの作家さんの作品は今後も読んで行きたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最上義光。出羽の小さな大名であった最上家を、57万石の大大名へと押し上げた。
父の最上義守は、近隣の勢力との外交により均衡を保ってきたが、最上義光は父や弟との骨肉の争いに始まり、調略を駆使して領土を拡大した。
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2020.2.16完了
もちろん小説内の話ではあるけれど、最上作品ははずさない。もっと言えば、安東も南部も、伊達も上杉もはずさない。ある程度時代背景や筋書きは承知の上で読むも、悲しき駒姫の秀次連座事件や朝鮮出兵など、巷説の悲劇をあまり深く取り上げていないのも読みやすかった一因でもある。 -
最上家の11代当主であり、山形藩の藩祖である最上義光の英雄記です。伊達や上杉という大名家と隣接する山形での最上家の苦悩などが書かれています。
文章自体は読みやすく、地元の地名がたくさん出てくるので読んでいて楽しかったです。 -
伊達家や上杉家と接しながら、乱世の奥州を生き抜いた、義光。
伊達政宗の伯父であり、衰退していた最上家を盛り返した、その軌跡をえがく。
戦を嫌い、民が安んじて暮らせることを望む。
乱世の当主らしからぬ、義光の人柄が魅力的だった。
だからこそ支えようとする、家臣たちとの関係もいい。
最上家の苦闘の歴史が細かく描かれ、よく知ることができた。
彼らに共感できたからこそ、最後はやるせない。 -
初めての作家さんの本。たまたま図書館で目について手に取ると、最上義光が主人公とのことで、地味な印象しかないけど、山形は祖父の実家でもあるので、これは縁があるかもと思い、借りてみた。
文章は読みやすく、ストーリーも倦怠することなく進むけど、なぜだかなかなか読み進まない。文字量多いのかな?
内容的には最上義光の少年期から、大大名となり、その後までじっくり丁寧に追われている。事実から都合良く最上義光の行動を意味付けしているのが気になる点はあるものの、最上義光の人となりを感じられる内容となっている。 -
大河ドラマの影響か最上義光といえば原田芳雄で、悪役というイメージが付いていた。
書く人によってこれだけ人物像が変わるものかとビックリする。
実在の義光はこっちの方が近いみたいだけれど…。
(大河ドラマの方は悪く書かれ過ぎらしい)
人に恵まれ、自分を慕う人を信じた義光は最終的に57万石という太守にまで上り詰める。
しかし、家族運には恵まれなかった。
(娘は処刑、正室はそれによって自害。将来有望な長男は殺害…。)
娘を溺愛した義光にとってそれが1番耐えられなかったのかもしれない。ずっとそれを引きづっている。
メインである上杉との戦いは意外にあっさり描写だった様に思う。
最上義光が築きあげたものは息子の代で早くも崩れ去る。
なんて儚い事か。
しかし、城主が変わろうともそこに生きている人は変わらない。
その土地が栄えれば繁栄すればこの本の義光は本望なんだろうと思う。 -
出羽57万石の大大名となった最上義光について書いた本です。
この本では、最上義光が家督を継ぐ前あたりから、最上義光が生涯を閉じ、そして最上家が改易されるところまでが描かれています。
山形という地は東北の真ん中にあるため、出羽を統一するというより、海を目指して領土を広げていきたかったようです。その先にあるのが荘内地方で、ようやく手に入れた荘内地方を上杉家にだまし討ちのような形で奪われたことが、後々の上杉家との戦いのモチベーションにもつながったようです。
万を超える上杉の大軍に、最上軍は各城で、500人や1000人の少人数で籠城し、撃退したりしていますので、最上家の兵の強さと優秀な武将に恵まれていたのかなと思いました。
↓ ブログも書いています。
http://fuji2000.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-fd9a.html -
三好元長、長曾我部元親、そして最上義光。勝ち切れない英雄。力戦苦闘して束の間小王国を築くも、時をおかずあえなく瓦解。そういう人々を描くと部類のうまさを発揮するのだろうかこの作者は、と思いつつ。最上義光の出発点は、戦国大名とも言えない、最上郡一郡すらおさめられない、小土豪。不戦のみを掲げ、ついには戦うべきときに戦えなくなった父を隠居に追い込み、従わぬものの制圧に乗り出す。時に、狡猾な謀略を用い、敵対勢力を謀殺するも、家臣や降ってきた者には寛大。度量の広いところを見せ、取り込んでいく。妹である伊達政宗の生母ともなった義との関係も、叱咤激励され奔放に振る舞われつつも、大事に思い。しかし、周囲の伊達に上杉に大宝寺。それぞれ最上より精強な兵を持っていたり、肥沃な領土を持っていたり。時に絶体絶命の窮地に立ちつつも、粘りに粘って、生き残り。豊臣政権に与するも、荘内をめぐっては割を食わされ、娘も殺され、憎悪を募らせ、家康には、英邁な長男義康の廃嫡を求められ、それでも関ヶ原戦には、伊達と匹敵する、上杉を上回る領地を手に入れ、民生に力を入れ、領土を富ませるが...その死後10年と持たず、改易されてしまうとは。松本清張の短編「武将不信」を読んだときにも思ったが、苦い苦い読後感。人に支えられ、戦で、治世で、成果を上げられた時の戦果が輝かしければ輝かしいだけ、その対比として/「わしの、負けか」早くから豊臣政権に近づき、臣従した景勝。その間、荘内だけを見据え、周囲の伊達や大宝寺との小競り合いを繰り返してきた自分を省みて。/「互いに心を許し合ったわけではない。わだかまりのすべてを水に流せたわけでもないだろう。それでも、最上も伊達も、新たな世で生きていかねばならない。」/氏家守棟の最後の言葉。もう荘内にこだわるのはやめてください。領内は既に豊かで殿に心服。さらに豊かさを求めて、血を流すべきではない、と。/窮地の最上家を救うため、単身、伊達家に援軍派遣を請いに乗り込んだ義康。三成に責められれば、父の方針に反して息子義康が勝手にやったことと言えばいい。伊達とて上杉が山形まで領することを望んでいまい。その時は私を押し立てて最上領へ押し出せばよい、と。使者として帰還後、さらに凄みを増した義康/「自分が招いた惨状なのだと、義光は思った。過去に捉われて、唐入りという夢に憑かれた秀吉のことは嗤えない」